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第一章 少女たちの願い(前編)
放たれた光は……
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「へくちっ!」
「おやおやぁ~? どうしたんですかぁ、結衣様? そんな可愛いくしゃみしてぇ」
「わ、わかんない……誰かに噂されてるのかなぁ?」
からかうように言うガーネットを横目に。
結衣は窓から見える景色をセンチメンタルに眺め、顔を顰める。
あの後、真菜とお別れをしてから数時間が経とうとしていた。
日は既に昇りきり、万物を照らしだしていて、眩しいほどだ。
静かに思えた昼時はしかし、どこか嫌な予感がしてならない。
だが、そう言える根拠がどこにもなかった。
「むっ……! これは……!」
「! やっぱり、ガーネットも感じる?」
「ええ……! 感じますよぉ……!」
そして、一呼吸置くと。
「今からテレビで魔法少女モノのアニメが始まるとぉ!」
――…………
相変わらず結衣とは違った意見を持っているらしいガーネットに。
結衣は呆れすら通り越して、ただただ無が襲った。
そんな結衣に目もくれず、ガーネットはテレビのリモコンのボタンを押してチャンネルを変える。
そして、その魔法少女モノのアニメとやらを観させられた。
「ほんとガーネットって魔法少女好きだよね……私が魔法少女させられてるのもガーネットの趣味でしょ……」
ため息を吐きながら、結衣は変わらず窓の外を眺めてそう言う。
「ええ、その通りですが何か?」
ガーネットが何故か真顔で、素のトーンで言葉を放ったように感じられた。
結衣はもうガーネットと会話する気力がなかったため、無視を決め込んだ。
そうしている間にアニメが始まったのか。
ガーネットは結衣の態度に興味をなくし、テレビに見入っている。
そんな時――窓の外から一筋の光が地上から放たれ、天に向かっているように見える現象が起こった。
結衣はそれを、目を見開いて見つめる。
「な、何あれっ!」
「結衣様? 五月蝿いですよぉ。もぉ~」
「アニメなんかいいから! 窓の外見て! あれって多分――」
結衣がそこまで言った時、渋々窓の外を視たガーネットが驚いた様子で言葉を発する。
「なっ――! この気配――まさか!?」
「やっぱりなんかあるんだよね!? 行かなきゃじゃない!?」
結衣が焦った様子でそう問うと。
「い、いえ……あれには――関わらない方がいいです……」
深刻な問題を見つけたかのような声のトーンで呟いたガーネットの真意は計り知れない。
だが、ガーネットがそう言うということは――恐らく関わらない方がいいのだろう。
ガーネットは奇想天外なことばかり言うし、多くを語ろうとはしない。
――が、嘘をついたことはないのだから。
結衣は逸る気持ちを抑え、見て見ぬ振りを決め込んだ。
それがこの後、最悪の展開を招くことになるなんて――気づかずに。
「おやおやぁ~? どうしたんですかぁ、結衣様? そんな可愛いくしゃみしてぇ」
「わ、わかんない……誰かに噂されてるのかなぁ?」
からかうように言うガーネットを横目に。
結衣は窓から見える景色をセンチメンタルに眺め、顔を顰める。
あの後、真菜とお別れをしてから数時間が経とうとしていた。
日は既に昇りきり、万物を照らしだしていて、眩しいほどだ。
静かに思えた昼時はしかし、どこか嫌な予感がしてならない。
だが、そう言える根拠がどこにもなかった。
「むっ……! これは……!」
「! やっぱり、ガーネットも感じる?」
「ええ……! 感じますよぉ……!」
そして、一呼吸置くと。
「今からテレビで魔法少女モノのアニメが始まるとぉ!」
――…………
相変わらず結衣とは違った意見を持っているらしいガーネットに。
結衣は呆れすら通り越して、ただただ無が襲った。
そんな結衣に目もくれず、ガーネットはテレビのリモコンのボタンを押してチャンネルを変える。
そして、その魔法少女モノのアニメとやらを観させられた。
「ほんとガーネットって魔法少女好きだよね……私が魔法少女させられてるのもガーネットの趣味でしょ……」
ため息を吐きながら、結衣は変わらず窓の外を眺めてそう言う。
「ええ、その通りですが何か?」
ガーネットが何故か真顔で、素のトーンで言葉を放ったように感じられた。
結衣はもうガーネットと会話する気力がなかったため、無視を決め込んだ。
そうしている間にアニメが始まったのか。
ガーネットは結衣の態度に興味をなくし、テレビに見入っている。
そんな時――窓の外から一筋の光が地上から放たれ、天に向かっているように見える現象が起こった。
結衣はそれを、目を見開いて見つめる。
「な、何あれっ!」
「結衣様? 五月蝿いですよぉ。もぉ~」
「アニメなんかいいから! 窓の外見て! あれって多分――」
結衣がそこまで言った時、渋々窓の外を視たガーネットが驚いた様子で言葉を発する。
「なっ――! この気配――まさか!?」
「やっぱりなんかあるんだよね!? 行かなきゃじゃない!?」
結衣が焦った様子でそう問うと。
「い、いえ……あれには――関わらない方がいいです……」
深刻な問題を見つけたかのような声のトーンで呟いたガーネットの真意は計り知れない。
だが、ガーネットがそう言うということは――恐らく関わらない方がいいのだろう。
ガーネットは奇想天外なことばかり言うし、多くを語ろうとはしない。
――が、嘘をついたことはないのだから。
結衣は逸る気持ちを抑え、見て見ぬ振りを決め込んだ。
それがこの後、最悪の展開を招くことになるなんて――気づかずに。
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