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第一章 少女たちの願い(後編)

期待を裏切らない者

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 さすがというか、緋依は期待を裏切らなかった。
 小さい子どもでも扱いやすいようになっているのに、機体を壁にぶつけたり、他の機体にぶつかっていったりしていたのだ。

「……なんか、逆にすごいね……」
「ええ……なんと言うかもう……ぶふっ!」

 結衣はもう、逆にそこまでできる緋依に感心している。
 そして、ガーネットに至っては、笑いを堪えきれずに吹き出してしまっている。

 緋依に見られたらまずい。
 結衣はそう思い、ガーネットをリュックの奥にしまい込んだ。

「ぶぎょ!? 結衣様酷すぎませんか!?」
「ちょっとだけでいいから黙ってて!?」

 ――酷いのはどっちの方だ。
 そんな言葉は飲み込んで、気持ちを切り替える。

 緋依はベンチに腰掛け、どんよりとした重いオーラを纏っている。
 その緋依の横には、真菜が座っている。

「ほ、ほら……元気……出して? せっかく、遊園地に……来てる……のに……」

 真菜は必死に励ましているが、緋依は聞く耳を持っていないようだった。
 そんな時――

「あれ!? 夏音ちゃんがいないよ!?」

 驚愕と混乱にまみれた美波の声が響く。
 その声を拾った結衣は、慌てて周囲を見回す。

 目の前には、ひどく落ち込んでいる緋依と、それを励ます真菜。
 その横には、疲れ切った顔をしている明葉とせーちゃん。
 そして、結衣の後ろには。

「ど、どうしよう……」

 顔面蒼白になっている美波がいる。
 どこを見回しても、夏音の姿が見当たらない。

「……夏音ちゃん……」

 なんだか、雲行きが怪しくなってきた。
 結衣は不安に響く鼓動を抑え、夏音の身を案じる。
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