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 第三章 まさかの裏切り

嵐の前の静けさ

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 ガーネットと戦った日から一ヶ月が経った。
 そこからは驚くほど平和で、結衣たちは日々を謳歌していた。

 真菜と一緒に学校の色々な所を探検したり。
 せーちゃんの家でテレビゲームをして遊んだり。
 緋依と一緒に空を駆け回ったり。
 夏音の家の温泉でゆっくり過ごしたり。
 美波と魔法少女姿になってかくれんぼしたり。
 明葉の家で宝探しゲームをしたり。
 カスミに英語を教えてもらったり。

 本当に、毎日が充実している。
 一ヶ月前のガーネットの様子が気にならなくなるほど、楽しい毎日が続いている。

「それに今日は魔央とショッピングだし! 毎日サイコー!」
「……急にでっかい声出すなよ。耳に響く」
「あ、ご、ごめん……」
「結衣様はその辺何も考えてなさそうですもんねぇ。騒ぎたい時に騒ぐ――いいんじゃないですかぁ?」
「ちょっとガーネット!」

 あれからガーネットは、結衣と出会った時のようなお調子者に戻っていた。
 喧嘩していた友だちと仲直りをしたような不思議ないい感覚を覚えるも、その反面、どこか嫌な予感がしてならない。

 ガーネットは魔法のステッキに戻らず、ずっと人型のまま過ごしていることに、どこか違和感を覚えてしまう。
 楽しい毎日が、ある日突然なくなってしまいそうな感覚に陥る。

 あの日、ガーネットと戦った日からずっと、ガーネットは何かを考えているようだった。
 それを悟られないように、必死にお調子者を演じているように感じられる。

「――そうじゃ。やりたいものをやりたい時にやるのが一番である。さすがガーネット。よく心得ておるのぉ」

 突然、後ろから声をかけられた。
 それに振り返ろうとするも、後ろからの物凄い風に目を閉じることしかできなかった。
 そして風がやんだ時、隣にいたはずのものがいないことに気づく。

「が、ガーネット!」
「……ゆ、結衣……様……」

 後ろにいたはずの人がいつの間にか結衣たちの目の前に立ちはだかっている。
 そして、その人の腕にガーネットが捕らわれている。
 それはまるで、犯人が人質をとっているような構図に見えた。

「じゃ、この子は貰っていくからの。の場所で待ち合わせじゃ。ちゃんと魔法少女全員連れてくるんじゃぞ?」

 そういうやいなや、その人はガーネットを抱いたまますぐに姿を消した。
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