48 / 50
最終章 ストーキングは愛の証!
これが沙友理の答え?
しおりを挟む
○月○日
さっちゃん先輩……そこまで私を想ってくれたなんて嬉しすぎる!
これはもう結婚するしかないよね。
女の子同士とか学生とか色々問題はあるけど、愛があればなんとかなるに決まってる。
相思相愛で他の人なんて関係なくて、二人だけで一緒にいられたらそれでいいの。
ずーっと一緒だよ、さっちゃん先輩……
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
スマホの画面越しに華緒を見る。
華緒は真面目に勉強しているようで、盗撮に不慣れな沙友理にもまったく気づいていないようだった。
これはチャンスとばかりに、シャッターを切っていく。
あまり代わり映えしないが、愛しい華緒を記録に残すことができると思うと、沙友理はゾクゾクした。
「ふ、ふふふ……」
無意識に不気味な笑みを浮かべていた。
自分の中にこんな感情があったなんて、沙友理は今まで知らなかった。
もしかしたら最初からあったのかもしれないし、華緒と出会ってから生まれたのかもしれない。
だが、そんなことはどうでもいい。
悪いものではなく、素晴らしいものなのだから。
「うん、いい感じなのです!」
何枚か同じようなものを撮ってしまったが、それもなかなかいいものだ。
――沙友理だけの華緒。
それが小さな画面の中にたくさん溜まっている。
そのことがなによりも嬉しくて、沙友理はスマホをぎゅっと強く握った。
どうしてこうも華緒は可愛いのだろう。
沙友理の目には、華緒が天使に見えている。
穢れを祓ってくれるような、そんな存在に。
「いっちゃんがたくさん……嬉しいのです……」
そういえば、華緒はもうストーキングをやめてしまったのだろうか。
こんなに素晴らしいものと教えてくれたのは華緒なのに。
それはそれで尾行や盗撮がしやすくなるからいいのだけれども。
でも、いつもだれかと一緒にいた沙友理は、少し寂しさを感じている。
そんな時、ふと華緒と目が合ったような気がした。
気のせいかと思ったが、華緒は血相を変えてどこかへすっ飛んでいった。
「え、いっちゃん……?」
やはり、嫌われてしまっただろうか。
覚悟はしていたが、どうしても嫌われることは怖い。
沙友理のメンタルは、華緒関連では弱くなってしまうようだ。
でも、華緒は――そんな人ではない。
「さっちゃん先輩……っ!」
「え、え……な、なんでこっちに来たのですか!?」
「なんでって……さっちゃん先輩の姿が見えたからですけど……」
沙友理はそういうことを聞きたかったわけではない。
完全に嫌われたかと思っていたから。
「えっと、その、こんなわたしなんて……嫌いになったに決まってるのですよね……」
「えっ! そんなことないです!」
「本当なのですか?」
「本当です! むしろ嬉しいです!」
華緒は嬉々とした表情で、沙友理に詰め寄る。
その表情はヤンデレみたいに恍惚としてとろけていた。
沙友理はそれに驚き、思わず後ずさりしてしまう。
「だって、さっちゃん先輩が私のことそれくらい大好きに想ってくれてるってことだから、嬉しいに決まってるじゃないですか! それにしても、私と同じことをしてくれるなんて嬉しいです。さっちゃん先輩も私色に染まってくれたってことですよね。ふふっ」
かつてないほど饒舌ぶりを見せる華緒。
それだけ感情が高ぶっているという証だろう。
沙友理も感化され、無意識に華緒の手を握っていた。
「う、嬉しいのです。わたし、いっちゃんに嫌われるんじゃないかって思ったので……いっちゃんのことほんとに大好きで毎日ずっと一緒にいて、ずっといっちゃんのことだけ見ていたいのです。こういうのって異常、なのですかね……?」
「それ私も当てはまるんですが……遠回しに私のこと異常って言ってます?」
「そ、そんなわけないのです! これはわたしだけの問題で……!」
「冗談ですよ。それに、私にとってさっちゃん先輩は異常じゃないです。なにせ同類なんですから」
それもそうだ。
華緒にストーキングのよさを教えてもらったと言ったのは沙友理自身なのに。
なぜそのことを忘れて、一人で悩んでいたのか。
沙友理は色々とバカらしくなった。
華緒は笑って受け入れてくれている。
いや、むしろ歓迎してくれている。
どこに恐れる必要があるのか。
沙友理と華緒は似たもの同士で相思相愛なのだ。
それならばなにも問題ないだろう。
今度は華緒の手をより強く握って、真剣な眼差しでまっすぐ相手の目を見る。
「――結婚しましょう、いっちゃん」
「ど、どうしたんですか……急に……」
華緒は沙友理と目を合わせられないのか、しきりに目を泳がせている。
顔は程よく熟したトマトのようで、実に可愛らしかった。
これは手応えがありそうだ。
「いっちゃんとこれからもずっと一緒にいたいのです。お互いおばあちゃんになっても、家族に反対されても、いっちゃんだけと一緒にいたいのです!」
「……私だけ……」
「あ、えっと、だめだったらいいのですが……」
「だ、だめなわけないです! むしろこっちからお願いしたいですよ!」
やはり、華緒は快諾してくれた。
沙友理は嬉しくなって、抱きしめたあと優しく口付けした。
華緒は最初戸惑っていたが、徐々に目を閉じていく。
ちゅちゅというリップ音が小さく響く。
それだけで幸福感が跳ね上がる。
しかし、沙友理はすぐにキスを終わらせた。
「さっちゃん先輩……」
「うふふ、いっちゃん可愛いのです」
「もう……っ!」
この時、沙友理は思った。
お互いがストーカーで、ストーキングづくしの恋もいいなと。
ストーキングこそ、二人の仲を深めるものである。
「ストーキングは愛の証、なのですっ!」
さっちゃん先輩……そこまで私を想ってくれたなんて嬉しすぎる!
これはもう結婚するしかないよね。
女の子同士とか学生とか色々問題はあるけど、愛があればなんとかなるに決まってる。
相思相愛で他の人なんて関係なくて、二人だけで一緒にいられたらそれでいいの。
ずーっと一緒だよ、さっちゃん先輩……
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
スマホの画面越しに華緒を見る。
華緒は真面目に勉強しているようで、盗撮に不慣れな沙友理にもまったく気づいていないようだった。
これはチャンスとばかりに、シャッターを切っていく。
あまり代わり映えしないが、愛しい華緒を記録に残すことができると思うと、沙友理はゾクゾクした。
「ふ、ふふふ……」
無意識に不気味な笑みを浮かべていた。
自分の中にこんな感情があったなんて、沙友理は今まで知らなかった。
もしかしたら最初からあったのかもしれないし、華緒と出会ってから生まれたのかもしれない。
だが、そんなことはどうでもいい。
悪いものではなく、素晴らしいものなのだから。
「うん、いい感じなのです!」
何枚か同じようなものを撮ってしまったが、それもなかなかいいものだ。
――沙友理だけの華緒。
それが小さな画面の中にたくさん溜まっている。
そのことがなによりも嬉しくて、沙友理はスマホをぎゅっと強く握った。
どうしてこうも華緒は可愛いのだろう。
沙友理の目には、華緒が天使に見えている。
穢れを祓ってくれるような、そんな存在に。
「いっちゃんがたくさん……嬉しいのです……」
そういえば、華緒はもうストーキングをやめてしまったのだろうか。
こんなに素晴らしいものと教えてくれたのは華緒なのに。
それはそれで尾行や盗撮がしやすくなるからいいのだけれども。
でも、いつもだれかと一緒にいた沙友理は、少し寂しさを感じている。
そんな時、ふと華緒と目が合ったような気がした。
気のせいかと思ったが、華緒は血相を変えてどこかへすっ飛んでいった。
「え、いっちゃん……?」
やはり、嫌われてしまっただろうか。
覚悟はしていたが、どうしても嫌われることは怖い。
沙友理のメンタルは、華緒関連では弱くなってしまうようだ。
でも、華緒は――そんな人ではない。
「さっちゃん先輩……っ!」
「え、え……な、なんでこっちに来たのですか!?」
「なんでって……さっちゃん先輩の姿が見えたからですけど……」
沙友理はそういうことを聞きたかったわけではない。
完全に嫌われたかと思っていたから。
「えっと、その、こんなわたしなんて……嫌いになったに決まってるのですよね……」
「えっ! そんなことないです!」
「本当なのですか?」
「本当です! むしろ嬉しいです!」
華緒は嬉々とした表情で、沙友理に詰め寄る。
その表情はヤンデレみたいに恍惚としてとろけていた。
沙友理はそれに驚き、思わず後ずさりしてしまう。
「だって、さっちゃん先輩が私のことそれくらい大好きに想ってくれてるってことだから、嬉しいに決まってるじゃないですか! それにしても、私と同じことをしてくれるなんて嬉しいです。さっちゃん先輩も私色に染まってくれたってことですよね。ふふっ」
かつてないほど饒舌ぶりを見せる華緒。
それだけ感情が高ぶっているという証だろう。
沙友理も感化され、無意識に華緒の手を握っていた。
「う、嬉しいのです。わたし、いっちゃんに嫌われるんじゃないかって思ったので……いっちゃんのことほんとに大好きで毎日ずっと一緒にいて、ずっといっちゃんのことだけ見ていたいのです。こういうのって異常、なのですかね……?」
「それ私も当てはまるんですが……遠回しに私のこと異常って言ってます?」
「そ、そんなわけないのです! これはわたしだけの問題で……!」
「冗談ですよ。それに、私にとってさっちゃん先輩は異常じゃないです。なにせ同類なんですから」
それもそうだ。
華緒にストーキングのよさを教えてもらったと言ったのは沙友理自身なのに。
なぜそのことを忘れて、一人で悩んでいたのか。
沙友理は色々とバカらしくなった。
華緒は笑って受け入れてくれている。
いや、むしろ歓迎してくれている。
どこに恐れる必要があるのか。
沙友理と華緒は似たもの同士で相思相愛なのだ。
それならばなにも問題ないだろう。
今度は華緒の手をより強く握って、真剣な眼差しでまっすぐ相手の目を見る。
「――結婚しましょう、いっちゃん」
「ど、どうしたんですか……急に……」
華緒は沙友理と目を合わせられないのか、しきりに目を泳がせている。
顔は程よく熟したトマトのようで、実に可愛らしかった。
これは手応えがありそうだ。
「いっちゃんとこれからもずっと一緒にいたいのです。お互いおばあちゃんになっても、家族に反対されても、いっちゃんだけと一緒にいたいのです!」
「……私だけ……」
「あ、えっと、だめだったらいいのですが……」
「だ、だめなわけないです! むしろこっちからお願いしたいですよ!」
やはり、華緒は快諾してくれた。
沙友理は嬉しくなって、抱きしめたあと優しく口付けした。
華緒は最初戸惑っていたが、徐々に目を閉じていく。
ちゅちゅというリップ音が小さく響く。
それだけで幸福感が跳ね上がる。
しかし、沙友理はすぐにキスを終わらせた。
「さっちゃん先輩……」
「うふふ、いっちゃん可愛いのです」
「もう……っ!」
この時、沙友理は思った。
お互いがストーカーで、ストーキングづくしの恋もいいなと。
ストーキングこそ、二人の仲を深めるものである。
「ストーキングは愛の証、なのですっ!」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。
そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。
夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。
それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになるのでご安心ください。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる