50 / 50
エピローグ
ストーキングのなくなった日常?
しおりを挟む
あれから数年後。沙友理たちは高校を卒業し、大学生になっていた。
結婚はしていないが、同棲中だ。
順風満帆で、いつでもどこでもすごくラブラブ。沙友理たちの愛は不滅だ。
もちろん、大学も同じところに通っている。
「今日は全休なのでのんびりできるのですね……」
「そんなにのんびりしてて大丈夫ですか? 三年生だとそろそろ本格的に就活のこと考えなきゃいけないのに」
「うっ……き、聞こえないのです……」
そう。沙友理は大学三年生で、華緒が大学一年生。
沙友理はまた本格的に進路を考えなくてはいけなくなっていた。
「まあ、いざとなったら私がさっちゃん先輩の面倒を見る予定なので大丈夫ですけど」
「うわぁぁん! いっちゃん天使なのです!!」
「ふっふん。当たり前です。私はさっちゃん先輩だけの天使ですから」
微妙に話が噛み合っていない気もするが、これが沙友理たちの日常だった。
沙友理は進路のことで思い悩んでいるみたいだが、華緒は全然そんなことないみたいだ。
華緒は積極的にアルバイトをしていて、優秀な人材として認められているため、「ぜひうちの正社員にならないか」と声をかけられることがざらにある。
羨ましいことこの上ない。
「いっちゃんはどこでも生きていけそうな感じがしてすごいのです」
「どういう意味です?」
「こんなにしっかりしてて頭もよくて可愛くて……みんなから求められてそうな感じがするのですよ……」
「え、そうですかね……みんなから求められてそうなのはさっちゃん先輩の方な気がしますけど……」
沙友理と華緒はお互い、相手の方が上で自分はまだまだだと思っている。
お互いの好きなところやいいところを言い合うと、平気で三日三晩かかるだろう。
それくらい相手のことが大好きなのだ。
「いっちゃんは企業からもすごく求められててすごいのです。将来のキャリアウーマンとして期待されてるのですよね」
「それを言ったらさっちゃん先輩だって、大学の仲間たちからすごく慕われてるじゃないですか。私はあまり慕われたことがないので羨ましいですよ」
お互いを褒め合い、この会話は終わる。
この二人の会話はいつもこうして平和で、とてつもない愛がある。
『二人で一人』という言葉は、この二人のためにあるといっても過言ではないだろう。
しかし、時にはガツンと言ってくれる人も必要だったりする。
――ピンポーン。コンコンコン。
「ねーちゃん、華緒さーん。いるんでしょー?」
「あ、うるさいのが来たのです」
インターホンが鳴り、丁寧にドアをノックする音が響く。
そして、沙友理と華緒がよく知っている声も響く。
いつもなかなかその三つの音が鳴り止まないため、沙友理は「うるさいの」と呼んでいる。
「はいはーい。今行くのですよー」
「やっとでたー! 遅いよ、ねーちゃん!」
「これでも早くでた方だと思うのですが……」
あの頃よりも大きく成長した理沙が、沙友理の目の前に現れる。
背も大きくなって大人っぽい感じになったが、声も大きくなって前よりもうるさくなった気がしてしまう。
いつも声を張っているから、こう感じてしまうのだろうか。
沙友理のように長くなった狐色の髪を振り乱しながら、理沙は沙友理に詰め寄る。
「ねーちゃんが家をでてったせいで、あたしが一人で百合脳なとーちゃんの面倒を見なきゃなんなくなったんだからな? 『今ごろあの二人はどうシてるのかな?』とか。セクハラだよセクハラ!」
「それは大変なのですねぇ」
沙友理は棒読み気味に言う。
もうそれは沙友理にとっては他人事で、どうでもよかったから。
理沙には悪いが、あの変人なお父さんの相手は疲れてしまう。
「で、ねーちゃんは華緒さんとシたのか?」
「ぶぴゃあっ!?」
どうしたことか。
あのお父さんの相手を一人でしていたせいか、理沙も影響を受けてしまったということか。
それは完全に想定外だった。不覚。
しっかり者の理沙なら自分を保てるだろうと、沙友理は踏んでいた。
だから大丈夫だと思って家をでたのだが……どうやらこの選択は間違っていたらしい。
「理沙、悪いことは言わないのです。今すぐあの悪魔から離れるのです。理沙も一人暮らしするか恋人と同棲するのです」
「あたしまだ中学生だから実家でられねーんだけど」
「そんなこと関係ないのです! なんならわたしたちの家に転がり込んできても全然構わないのですよ!?」
「私が構うんですが……」
沙友理と理沙の会話に、おそるおそる入っていく華緒。
理沙ことを迷惑だと言っているわけでないと思うが、言い方が言い方だ。
それに、顔も迷惑そうな表情になっている。
「あ、そうですね。あたしが住んだら二人でイチャイチャするのが難しくなりますもんねー」
それに対して理沙は、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべる。
もう理沙は手遅れなところまで『お父さん病』が進行しているらしい。
そこまで来ると、さすがの沙友理も理沙になにも言えなくなった。
しかも、華緒はなんだか顔を赤らめていて「そ、そんなわけないよ……」とか言っている。
説得力がなさすぎる。
「もうなんでもいいから、理沙もお家に入るのです」
「えー? あたしおじゃま虫じゃない?」
「もうそういうのはいいのですよぉ!」
これが、ストーキングのなくなった沙友理たちの――愛のある日常だ。
結婚はしていないが、同棲中だ。
順風満帆で、いつでもどこでもすごくラブラブ。沙友理たちの愛は不滅だ。
もちろん、大学も同じところに通っている。
「今日は全休なのでのんびりできるのですね……」
「そんなにのんびりしてて大丈夫ですか? 三年生だとそろそろ本格的に就活のこと考えなきゃいけないのに」
「うっ……き、聞こえないのです……」
そう。沙友理は大学三年生で、華緒が大学一年生。
沙友理はまた本格的に進路を考えなくてはいけなくなっていた。
「まあ、いざとなったら私がさっちゃん先輩の面倒を見る予定なので大丈夫ですけど」
「うわぁぁん! いっちゃん天使なのです!!」
「ふっふん。当たり前です。私はさっちゃん先輩だけの天使ですから」
微妙に話が噛み合っていない気もするが、これが沙友理たちの日常だった。
沙友理は進路のことで思い悩んでいるみたいだが、華緒は全然そんなことないみたいだ。
華緒は積極的にアルバイトをしていて、優秀な人材として認められているため、「ぜひうちの正社員にならないか」と声をかけられることがざらにある。
羨ましいことこの上ない。
「いっちゃんはどこでも生きていけそうな感じがしてすごいのです」
「どういう意味です?」
「こんなにしっかりしてて頭もよくて可愛くて……みんなから求められてそうな感じがするのですよ……」
「え、そうですかね……みんなから求められてそうなのはさっちゃん先輩の方な気がしますけど……」
沙友理と華緒はお互い、相手の方が上で自分はまだまだだと思っている。
お互いの好きなところやいいところを言い合うと、平気で三日三晩かかるだろう。
それくらい相手のことが大好きなのだ。
「いっちゃんは企業からもすごく求められててすごいのです。将来のキャリアウーマンとして期待されてるのですよね」
「それを言ったらさっちゃん先輩だって、大学の仲間たちからすごく慕われてるじゃないですか。私はあまり慕われたことがないので羨ましいですよ」
お互いを褒め合い、この会話は終わる。
この二人の会話はいつもこうして平和で、とてつもない愛がある。
『二人で一人』という言葉は、この二人のためにあるといっても過言ではないだろう。
しかし、時にはガツンと言ってくれる人も必要だったりする。
――ピンポーン。コンコンコン。
「ねーちゃん、華緒さーん。いるんでしょー?」
「あ、うるさいのが来たのです」
インターホンが鳴り、丁寧にドアをノックする音が響く。
そして、沙友理と華緒がよく知っている声も響く。
いつもなかなかその三つの音が鳴り止まないため、沙友理は「うるさいの」と呼んでいる。
「はいはーい。今行くのですよー」
「やっとでたー! 遅いよ、ねーちゃん!」
「これでも早くでた方だと思うのですが……」
あの頃よりも大きく成長した理沙が、沙友理の目の前に現れる。
背も大きくなって大人っぽい感じになったが、声も大きくなって前よりもうるさくなった気がしてしまう。
いつも声を張っているから、こう感じてしまうのだろうか。
沙友理のように長くなった狐色の髪を振り乱しながら、理沙は沙友理に詰め寄る。
「ねーちゃんが家をでてったせいで、あたしが一人で百合脳なとーちゃんの面倒を見なきゃなんなくなったんだからな? 『今ごろあの二人はどうシてるのかな?』とか。セクハラだよセクハラ!」
「それは大変なのですねぇ」
沙友理は棒読み気味に言う。
もうそれは沙友理にとっては他人事で、どうでもよかったから。
理沙には悪いが、あの変人なお父さんの相手は疲れてしまう。
「で、ねーちゃんは華緒さんとシたのか?」
「ぶぴゃあっ!?」
どうしたことか。
あのお父さんの相手を一人でしていたせいか、理沙も影響を受けてしまったということか。
それは完全に想定外だった。不覚。
しっかり者の理沙なら自分を保てるだろうと、沙友理は踏んでいた。
だから大丈夫だと思って家をでたのだが……どうやらこの選択は間違っていたらしい。
「理沙、悪いことは言わないのです。今すぐあの悪魔から離れるのです。理沙も一人暮らしするか恋人と同棲するのです」
「あたしまだ中学生だから実家でられねーんだけど」
「そんなこと関係ないのです! なんならわたしたちの家に転がり込んできても全然構わないのですよ!?」
「私が構うんですが……」
沙友理と理沙の会話に、おそるおそる入っていく華緒。
理沙ことを迷惑だと言っているわけでないと思うが、言い方が言い方だ。
それに、顔も迷惑そうな表情になっている。
「あ、そうですね。あたしが住んだら二人でイチャイチャするのが難しくなりますもんねー」
それに対して理沙は、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべる。
もう理沙は手遅れなところまで『お父さん病』が進行しているらしい。
そこまで来ると、さすがの沙友理も理沙になにも言えなくなった。
しかも、華緒はなんだか顔を赤らめていて「そ、そんなわけないよ……」とか言っている。
説得力がなさすぎる。
「もうなんでもいいから、理沙もお家に入るのです」
「えー? あたしおじゃま虫じゃない?」
「もうそういうのはいいのですよぉ!」
これが、ストーキングのなくなった沙友理たちの――愛のある日常だ。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
Twitterから来ました、澪那です。
やはり百合は最高ですね。
ストーカーという単語だけ聞くと怖いというイメージがつきますが、そういったことを感じさせない、ほのぼの物語で、心が和みました。
ストーキングは愛の証。確かにその通りかもしれないです笑
Twitterからお越しいただきありがとうございます!
感想まで書いていただけて嬉しいです!
ほのぼの物語が得意なのでこういう感じにしてみました( *´꒳`*)
まさにストーキングは愛の証、ですよね!w