姉妹百合なんて興味ない!……はず?

M・A・J・O

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あちらの世界

初めてのツーショット

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「じゃあ、早速撮るわよ。背景とかにもこだわった方がいいかしら?」
「もちろん! そのうさちゃんぬいぐるみを真ん中にしてピンクのカーテンが映えるような位置取りで……あ、ポーズは指ハートしよ」
「細かいわね……」

 めるは苦笑するも、どこか楽しそうだった。
 色んな表情が見られるのが楽しくて、気づいたら私はシャッターを押していた。

「あ、ちょっと」
「いいじゃん、可愛いよ。もっと笑って!」
「もう……」

 呆れた表情で笑いながらも、めるはシャッター音に合わせてポーズをとってくれる。
 私は何度も撮り直しを頼んでしまい、気付けば撮影が一時間を超えていた。
 それでも楽しかったので全く苦ではなかった。
 めるもそう思ってくれてるかはわからないけど。

「うん……よし! ありがとうめる!」

 写真を見てみる。そのどれもが可愛らしい表情をしていて、めるの可愛さが写真にそのまま写ってるようだった。

「どう? いい写真は撮れたかしら?」
「うん! もう最高だよ! これ待ち受けにするね」
「それはやめて」
「えー」

 待ち受けは拒否されてしまったけど、この写真たちは一生の宝物になるだろう。
 写真の中に映るめるは、いつも見せてくれる顔以上にいい表情をしている気がした。

 もしかして、私が隣にいるから?
 それはさすがに自惚れすぎか。

「何ニヤニヤしてるのよ? もしかして私、変な顔だった?」
「ううん、ちょっと考え事してて」
「……気になるわね」
「大したことじゃないから大丈夫」

 あまり踏み込んで欲しくなかったので、私は強引にこの話を終わらせた。

「まあいいわ……それじゃあ写真も撮り終わったことだし、何か食べに行きましょ!」
「めるが乗り気で嬉しいよ」
「なっ! い、いいでしょ!? 疲れたのよ! ういの奢りだから覚悟なさい!」
「はいはい、仰せのままに」

 私たちはそのままめるの家を後にし、街へ繰り出した。
 めるは終始上機嫌で、私もそんなめるを見ているのが楽しくてついじっと見つめてしまう。

 やっぱり、めると一緒に過ごす時間が私の幸せだ。
 だから私は、これからもずっとめると仲良くしていきたい。
 それが私の一番の願いだ。

「な、なによ……ジロジロ見て……」
「いや、今日も可愛いなーって」
「か、かわっ……!」
「あはは! 照れてるの~? かぁわいい!」
「うるっさい! ういのくせに生意気よ!?」

 そんなやり取りをしながら、私たちは街を歩いていた。
 外はまだまだ暑さが残るけれど、そんな気温に負けないくらい私たちの熱は燃え盛っていた。……と思う。

「私夕飯食べてないのよね。だからそれも兼ねて奢ってもらおうと思うのだけど……ういはいいの?」
「え、なにが? お金ならいくらでも出すよ?」
「そうじゃなくて。親とかは? ほんとよくこんな時間に外に出ようと思ったわよね」

 めるは呆れたようにため息をついた。
 だってめるとのツーショットが撮りたかったんだもの。
 何も言わずに家を飛び出したのは軽率だったけど、きっとうちの妹はわかってくれるだろう。

「あー、それなら大丈夫。今夜はお父さんもお母さんも帰ってくるの遅いし、妹がご飯担当だから」
「……なにも大丈夫な要素が見当たらないのだけど?」

 おかしいな。めるの言いたいこととしては『親を心配させてるんじゃないか』とか『親がご飯作ってたらどうするの』とかだと思っていた。
 だからこそ今夜は帰り遅いし大丈夫と伝えたのだが。
 どうやら私の予想は外れたらしい。

「める? なんでそんなにジト目なの?」
「だってういが何もわかってないから」
「え、なんで……?」

 私は本当にわからないので困惑している。
 そんな私を見てめるはまたため息をついた。

「はぁ……もういいわよ、それで」
「えぇ……」
「ほら! もうお店着くんだから切り替えなさい! 奢ってもらうんだから高いもの頼むわよ!」
「めるのそういうところ、私好きだなあ」
「っ……!? ば、ばか! もう!」

 私はただ素直に思ったことを言っただけなのに、なぜかめるは顔を真っ赤にしながら怒ってしまった。
「え? なんで怒ってるの?」と聞くも、返事は返ってこない。
 結局そのままお店に着いてしまい、私たちは席に着いた。

「で? ういは何が食べたいの?」
「んー、私は何でもいいよ。めるの好きなので」
「そう? じゃあ店員さん、これ一つとー……あとこれも」
「え、そんなに食べるの?」
「いいじゃない。今日は散々振り回されたんだから」
「まあ、いいけどさ」

 私はメニューを見ながら考える。
 めるが頼んだのはハンバーグにオムライスにパスタと、どれもこれも高カロリーなものばかり。しかもデザートまで頼んでいる。
 これはまた体重が増えそうだなぁ……と思いながらも私はめるが幸せそうに食べる姿を想像し、思わず微笑んでしまった。

「……なにニヤニヤしてるのよ?」
「いや? 別に?」
「変なの」

 そう言いながらもめるはどこか嬉しそうだった。
 そんなやり取りをしている間に料理が運ばれてくる。
 どれもこれも美味しそうで、私は思わず涎を垂らしそうになった。

「じゃあ食べましょっか」
「うん!」
「いただきます」

 私たちは早速料理を食べ始める。
 見た目も綺麗だから、写真を撮ってから食べる人もいるだろう。
 だけど、私たちの間ではそれがなかった。
 めるは一口食べる度に幸せそうな表情を浮かべるものだから、私まで嬉しくなってしまう。

「めるは本当に美味しそうに食べるよね」
「だって美味しいんだもの。ういも食べなさいな」
「そうだね」

 私はハンバーグを口に運ぶ。
 ジューシーな肉汁が溢れ出し、デミグラスソースと絡み合って絶妙なハーモニーを奏でていた。
 そんな私を、めるはじーっと見つめてきた。
 その視線に気付いた私が首を傾げると、めるが口を開く。

「うい、一口ちょうだい?」
「いいよ。はい」

 私はハンバーグを切り分け、めるの口元へと持っていく。すると彼女はそれをぱくりと食べた。
 そんな様子すらも可愛らしくて思わず頭を撫でたくなる衝動に駆られたが、それはさすがに怒られるだろうなと思ってやめた。

「うん……やっぱり人のお金で食べるご飯は美味しいわ」
「なんか悲しいな……」

 でも喜んでくれてよかった。
 めるとこんな楽しい時間を過ごせるのなら、今日のご飯代は安いものだ。
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