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あちらの世界
大切にしたい
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「美味しかったね……!」
「え、えぇ、そうね!」
あれから結局、ドキドキしすぎて話題が見つかることはなく、気まずいままクレープ屋に立ち寄った。
しかし、そんな中でもちゃんと味を感じられたのはよかったのかもしれない。
私としてはクレープ屋に行くのは初めてだったから新鮮でなかなかに楽しかった。
また今度一緒に来れたらいいな……
「さて、次はどうする? 行きたいところクレープ屋だけ?」
「えーっと……」
もうすぐ日も暮れる時間だ。
そろそろ帰らないと、今日の夕食当番は私だった気がする。
だけど、めるともう少しだけ一緒にいたい。
今日一日を振り返ってみると気まずさしか残ってないかもしれないけど、めるとこうしてデートしている事実だけで胸がいっぱいになりそうだった。
――本当に幸せだ。
「うい? どうしたの?」
ボーッとしていたらめるに声をかけられた。
いけない、今はデート中なのだから余計なことを考えるべきではない。
私は慌てて返事をする。
「えっ!? あ、いや! なんでもない!」
「そ、そう……じゃあ」
すると突然手を握られ、心臓が大きく跳ね上がる。
そしてそのままグイッと引っ張られて体勢が崩れた。
「わっ!?」
私の手を引いているのはもちろんめるしかいないわけで。
いきなりこんなことをされて動揺しない方がおかしいだろう。
しかも、私が顔を上げるとちょうど前を向いているめるの横顔が見えてしまい、さらに鼓動が激しくなる。
「これなら少しは寂しくないわよね?」
「……はい」
めるの言葉に小さく答えることしかできない自分が悔しかった。
きっと今の自分の顔を見られたくなかったからだ。
だって、こんなの……反則じゃないか。
いつもより優しく微笑む横顔にときめいてしまったなんて言えるはずがない。
だから私は俯いて歩くしかなかったのだ。
次に行く場所が決まらなくて適当に歩いているだけでも、私はそれでいい気がした。
可愛くて大好きなめると手を繋いで……いや、手を引かれて歩いていることそのものに意味があると思ったから。
それに、もし目的地があったとしても、そんなことはどうでもよくなっただろう。
なぜなら――
「める、大好きだよ」
自然と言葉が溢れ出てしまうくらいには幸せな気分に浸っていたのだから。
「うい、あなたは……」
「ん?」
「……いえ、なんでも」
「えー! なにそれー!」
めるの言いかけたことが気になったけど、教えてくれなかったので諦めることにした。
でも、めるの顔を見てみるとなんだか頬を染めているような……まさかね。
そんなはずはない。
だって、私がめるのことを勝手に好きになっているだけなのだから。
めるが本気で振り向いてくれることはない。
付き合っているのも、私がグイグイ行っただけだから。
きっと、ただそれだけの関係に過ぎない。
だから勘違いしてはいけない。
「……ん? どうしたの?」
ふと見ると、いつの間にか立ち止まっているめるがいた。
その表情はとても真剣なもので、思わず見惚れてしまうほど美しかった。
やっぱり好きなんだよな……
改めて思い知らされる気持ち。
この感情をうっかり吐き出さないためにはどうすればいいのかわからない。
いっそこのまま言ってしまおうかとも思ったが、ここで言ったところで困らせるだけだという結論に至り、口を閉ざすことにした。
「……なんでもないよ」
「そうなの? なんかつらそうな顔してたわよ?」
「え……ほんと?」
「えぇ、もしかして体調悪いとか……」
「違う! 元気だよ!」
「そう。それならいいわ」
ホッとしたように息をつく朔良さんを見ると、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
私は心配されるほどの顔をしていたらしい。
そんなにわかりやすいだろうか……
だとしたら嫌だな。
バレないようにしないと。
でも、いつか本当の意味でちゃんと告白できたらいいなと思う。
「……よしっ! じゃあ行くわよ!」
「はい!」
今度は手を繋いだまま歩き出す。
めるの手は温かくて、とても心地よかった。
私は今日一日を振り返ってみて思う。
今日は今までの人生で一番幸せな日だったと。
そして同時に、もう二度と来ることのない思い出なのだろうと。
今日をずっと忘れずに心に刻み込んでおこう。
そう誓った一日だった。
「だって、多分……気まぐれだろうから」
私は自嘲気味に呟く。
あの時の行動は本当に理解できなかったから。
どうして自分なんかをデートに誘ったのか。
その理由を知る由もない。
でも、それでいいと思った。
理由なんて知ってしまったら、きっと期待してしまうから。
それに、たとえ自分に都合の良い解釈をしたって何も変わらない。
だから、私は自分の想いを心の中に押しとどめておくことに決めたのだ。
ただ、一つだけ言えることがあるとするならば――
「やっぱり私は……めるのことが大好きだ」
この恋だけは絶対大切にしたいということだけだった。
だけどその言葉はめるに届くことはなく、風に乗ってどこかへ飛んでいった。
「え、えぇ、そうね!」
あれから結局、ドキドキしすぎて話題が見つかることはなく、気まずいままクレープ屋に立ち寄った。
しかし、そんな中でもちゃんと味を感じられたのはよかったのかもしれない。
私としてはクレープ屋に行くのは初めてだったから新鮮でなかなかに楽しかった。
また今度一緒に来れたらいいな……
「さて、次はどうする? 行きたいところクレープ屋だけ?」
「えーっと……」
もうすぐ日も暮れる時間だ。
そろそろ帰らないと、今日の夕食当番は私だった気がする。
だけど、めるともう少しだけ一緒にいたい。
今日一日を振り返ってみると気まずさしか残ってないかもしれないけど、めるとこうしてデートしている事実だけで胸がいっぱいになりそうだった。
――本当に幸せだ。
「うい? どうしたの?」
ボーッとしていたらめるに声をかけられた。
いけない、今はデート中なのだから余計なことを考えるべきではない。
私は慌てて返事をする。
「えっ!? あ、いや! なんでもない!」
「そ、そう……じゃあ」
すると突然手を握られ、心臓が大きく跳ね上がる。
そしてそのままグイッと引っ張られて体勢が崩れた。
「わっ!?」
私の手を引いているのはもちろんめるしかいないわけで。
いきなりこんなことをされて動揺しない方がおかしいだろう。
しかも、私が顔を上げるとちょうど前を向いているめるの横顔が見えてしまい、さらに鼓動が激しくなる。
「これなら少しは寂しくないわよね?」
「……はい」
めるの言葉に小さく答えることしかできない自分が悔しかった。
きっと今の自分の顔を見られたくなかったからだ。
だって、こんなの……反則じゃないか。
いつもより優しく微笑む横顔にときめいてしまったなんて言えるはずがない。
だから私は俯いて歩くしかなかったのだ。
次に行く場所が決まらなくて適当に歩いているだけでも、私はそれでいい気がした。
可愛くて大好きなめると手を繋いで……いや、手を引かれて歩いていることそのものに意味があると思ったから。
それに、もし目的地があったとしても、そんなことはどうでもよくなっただろう。
なぜなら――
「める、大好きだよ」
自然と言葉が溢れ出てしまうくらいには幸せな気分に浸っていたのだから。
「うい、あなたは……」
「ん?」
「……いえ、なんでも」
「えー! なにそれー!」
めるの言いかけたことが気になったけど、教えてくれなかったので諦めることにした。
でも、めるの顔を見てみるとなんだか頬を染めているような……まさかね。
そんなはずはない。
だって、私がめるのことを勝手に好きになっているだけなのだから。
めるが本気で振り向いてくれることはない。
付き合っているのも、私がグイグイ行っただけだから。
きっと、ただそれだけの関係に過ぎない。
だから勘違いしてはいけない。
「……ん? どうしたの?」
ふと見ると、いつの間にか立ち止まっているめるがいた。
その表情はとても真剣なもので、思わず見惚れてしまうほど美しかった。
やっぱり好きなんだよな……
改めて思い知らされる気持ち。
この感情をうっかり吐き出さないためにはどうすればいいのかわからない。
いっそこのまま言ってしまおうかとも思ったが、ここで言ったところで困らせるだけだという結論に至り、口を閉ざすことにした。
「……なんでもないよ」
「そうなの? なんかつらそうな顔してたわよ?」
「え……ほんと?」
「えぇ、もしかして体調悪いとか……」
「違う! 元気だよ!」
「そう。それならいいわ」
ホッとしたように息をつく朔良さんを見ると、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
私は心配されるほどの顔をしていたらしい。
そんなにわかりやすいだろうか……
だとしたら嫌だな。
バレないようにしないと。
でも、いつか本当の意味でちゃんと告白できたらいいなと思う。
「……よしっ! じゃあ行くわよ!」
「はい!」
今度は手を繋いだまま歩き出す。
めるの手は温かくて、とても心地よかった。
私は今日一日を振り返ってみて思う。
今日は今までの人生で一番幸せな日だったと。
そして同時に、もう二度と来ることのない思い出なのだろうと。
今日をずっと忘れずに心に刻み込んでおこう。
そう誓った一日だった。
「だって、多分……気まぐれだろうから」
私は自嘲気味に呟く。
あの時の行動は本当に理解できなかったから。
どうして自分なんかをデートに誘ったのか。
その理由を知る由もない。
でも、それでいいと思った。
理由なんて知ってしまったら、きっと期待してしまうから。
それに、たとえ自分に都合の良い解釈をしたって何も変わらない。
だから、私は自分の想いを心の中に押しとどめておくことに決めたのだ。
ただ、一つだけ言えることがあるとするならば――
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