えっちな姉妹百合、上等ですっ!〜えっちなことばかりしたがる妹に辟易しつつもされるがままになっています〜【完結済み】

M・A・J・O

文字の大きさ
27 / 32

えっちな姉妹百合は歯車が狂う

しおりを挟む
「はぁ……はぁっ……」

 ここはどこだろう。どこまでも続く真っ黒な闇。
 そこに私が発しているのではない、誰かの息づかいのようなものが聞こえる。
 この全身がふわふわする感覚は、おそらく私は夢を見ているのだろう。

「どこにいるの、ういー!」

 この声は……というか、私を呼び捨てにする人なんて家族くらいしかいない。
 うみだ。実の妹が私を呼んでいる。いや、探している……?

 でも、真っ暗でなにも見えない。
 かろうじて声だけは聞こえるが、どこから声がしているのかは全くわからない。
 私も声を出そうと口を開くも、声が出ない。
 ちゃんと発しているはずなのに、音にならない。

 やがて、私を探すうみの声がだんだん遠くなっていく。
 夢だとわかっていても、なぜか見つけてもらえない寂しさで恐怖と焦燥が襲ってきた。
 私は必死に手を伸ばすも、それが果たしてうみのいる方角なのかどうかわからないまま……

 ……目を覚ました。

「うっわぁ……やけにリアルだったな~……」

 べったりと汗でパジャマが肌に張り付いている。
 それに嫌悪感を抱いたが、あれが夢でよかったという安堵の方が大きい。
 私一人だけあの暗闇に取り残されたような感覚。できることなら、もう二度と味わいたくない。

「ふぅ……あっつい……とりあえず水……」

 私はこの時、本当に安心しきっていた。
 多少の違和感がありつつも、気にせず洗面所へ向かった。

「はふぅ……ほんとあれが夢でよかったよ……それにしても、なんであんな夢見たんだろ……」

 ぶつぶつ呟きながら考えるも、答えが出てくるわけがなかった。
 夢のことは一旦忘れよう。
 なんかやけに家が静かだし。

「おはよう、うい」
「え、あ、おはよ。お母さん、なんかやけに静かだけどうみとめいもいるんだよね?」

 起きたばかりでまだ目が覚めきっていない様子のお母さんに問いかける。
 めいをいつの間にか家族として認識するようになってしまったが、それはそれとして、なんか胸騒ぎがする。
 違和感の正体はこれだった。
 いつも起きたら横にいるはずのめいが、今朝はいなかった。

 自分の家に一旦帰っている可能性もある。
 それならいいのだが、だとしたらなにも言わずにいなくなるなんておかしい。
 ……私のことが嫌いになったとかならわからなくもないが。
 いや、とにかく、突然めいの気配もうみの気配もないのは変だ。
 うみの気配もないというところが特に。

「え、変なこと聞くのね。めいは今海外留学に行ってるじゃない」
「……え?」
「でも、もう一人がわからないわね。――“うみ”って、誰のこと?」
「……はぁっ!?」

 なんてことだ。お母さんは認知症にでもなってしまったのか。まだそんな歳じゃないと思うけど。
 お母さんの記憶力を疑うほど、それは突飛なものだった。
 めいがわからないのならまだわかる。でも、実の娘のことがわからなくなるのは、おかしいとしか言いようがない。

「お、お母さん……実の娘がわからないって……」
「え? 実の娘はあなたとめいよ? うみって子を産んだ覚えはないわ」

 絶句とは、まさにこのことだ。
 なんてこと……だとしたら、あれは、あの夢は……!
 私がどこかにいなくなるということではなく、うみがどこかにいなくなるということ……!

「……っ!」

 私は駆け出した。
 アテがあるわけでもなく、どこかにいるであろううみの元へ。
 なにかがおかしい。
 そう感じていた時には、すでに事は終わっていたのだ。

 うみが、私の妹が、どこかへ消え去ってしまうなんて。
 そんなことは、絶対あってはならない。
 私が必ず、うみを見つけ出してやる。

「うみー! どこにいるのー!?」

 私は力の限り叫んだ。
 迷子の子どもを探すように、なんてやさしいものではなく、災害かなんかで生き別れた兄弟を探すように叫んだ。
 生き別れの部分は合っているかもしれない。
 お母さんの記憶から……いや、私以外のみんなの記憶から消えてしまったうみを、私はいつまでも探し続けた。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

処理中です...