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えっちな姉妹百合は歯車が狂う
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「はぁ……はぁっ……」
ここはどこだろう。どこまでも続く真っ黒な闇。
そこに私が発しているのではない、誰かの息づかいのようなものが聞こえる。
この全身がふわふわする感覚は、おそらく私は夢を見ているのだろう。
「どこにいるの、ういー!」
この声は……というか、私を呼び捨てにする人なんて家族くらいしかいない。
うみだ。実の妹が私を呼んでいる。いや、探している……?
でも、真っ暗でなにも見えない。
かろうじて声だけは聞こえるが、どこから声がしているのかは全くわからない。
私も声を出そうと口を開くも、声が出ない。
ちゃんと発しているはずなのに、音にならない。
やがて、私を探すうみの声がだんだん遠くなっていく。
夢だとわかっていても、なぜか見つけてもらえない寂しさで恐怖と焦燥が襲ってきた。
私は必死に手を伸ばすも、それが果たしてうみのいる方角なのかどうかわからないまま……
……目を覚ました。
「うっわぁ……やけにリアルだったな~……」
べったりと汗でパジャマが肌に張り付いている。
それに嫌悪感を抱いたが、あれが夢でよかったという安堵の方が大きい。
私一人だけあの暗闇に取り残されたような感覚。できることなら、もう二度と味わいたくない。
「ふぅ……あっつい……とりあえず水……」
私はこの時、本当に安心しきっていた。
多少の違和感がありつつも、気にせず洗面所へ向かった。
「はふぅ……ほんとあれが夢でよかったよ……それにしても、なんであんな夢見たんだろ……」
ぶつぶつ呟きながら考えるも、答えが出てくるわけがなかった。
夢のことは一旦忘れよう。
なんかやけに家が静かだし。
「おはよう、うい」
「え、あ、おはよ。お母さん、なんかやけに静かだけどうみとめいもいるんだよね?」
起きたばかりでまだ目が覚めきっていない様子のお母さんに問いかける。
めいをいつの間にか家族として認識するようになってしまったが、それはそれとして、なんか胸騒ぎがする。
違和感の正体はこれだった。
いつも起きたら横にいるはずのめいが、今朝はいなかった。
自分の家に一旦帰っている可能性もある。
それならいいのだが、だとしたらなにも言わずにいなくなるなんておかしい。
……私のことが嫌いになったとかならわからなくもないが。
いや、とにかく、突然めいの気配もうみの気配もないのは変だ。
うみの気配もないというところが特に。
「え、変なこと聞くのね。めいは今海外留学に行ってるじゃない」
「……え?」
「でも、もう一人がわからないわね。――“うみ”って、誰のこと?」
「……はぁっ!?」
なんてことだ。お母さんは認知症にでもなってしまったのか。まだそんな歳じゃないと思うけど。
お母さんの記憶力を疑うほど、それは突飛なものだった。
めいがわからないのならまだわかる。でも、実の娘のことがわからなくなるのは、おかしいとしか言いようがない。
「お、お母さん……実の娘がわからないって……」
「え? 実の娘はあなたとめいよ? うみって子を産んだ覚えはないわ」
絶句とは、まさにこのことだ。
なんてこと……だとしたら、あれは、あの夢は……!
私がどこかにいなくなるということではなく、うみがどこかにいなくなるということ……!
「……っ!」
私は駆け出した。
アテがあるわけでもなく、どこかにいるであろううみの元へ。
なにかがおかしい。
そう感じていた時には、すでに事は終わっていたのだ。
うみが、私の妹が、どこかへ消え去ってしまうなんて。
そんなことは、絶対あってはならない。
私が必ず、うみを見つけ出してやる。
「うみー! どこにいるのー!?」
私は力の限り叫んだ。
迷子の子どもを探すように、なんてやさしいものではなく、災害かなんかで生き別れた兄弟を探すように叫んだ。
生き別れの部分は合っているかもしれない。
お母さんの記憶から……いや、私以外のみんなの記憶から消えてしまったうみを、私はいつまでも探し続けた。
ここはどこだろう。どこまでも続く真っ黒な闇。
そこに私が発しているのではない、誰かの息づかいのようなものが聞こえる。
この全身がふわふわする感覚は、おそらく私は夢を見ているのだろう。
「どこにいるの、ういー!」
この声は……というか、私を呼び捨てにする人なんて家族くらいしかいない。
うみだ。実の妹が私を呼んでいる。いや、探している……?
でも、真っ暗でなにも見えない。
かろうじて声だけは聞こえるが、どこから声がしているのかは全くわからない。
私も声を出そうと口を開くも、声が出ない。
ちゃんと発しているはずなのに、音にならない。
やがて、私を探すうみの声がだんだん遠くなっていく。
夢だとわかっていても、なぜか見つけてもらえない寂しさで恐怖と焦燥が襲ってきた。
私は必死に手を伸ばすも、それが果たしてうみのいる方角なのかどうかわからないまま……
……目を覚ました。
「うっわぁ……やけにリアルだったな~……」
べったりと汗でパジャマが肌に張り付いている。
それに嫌悪感を抱いたが、あれが夢でよかったという安堵の方が大きい。
私一人だけあの暗闇に取り残されたような感覚。できることなら、もう二度と味わいたくない。
「ふぅ……あっつい……とりあえず水……」
私はこの時、本当に安心しきっていた。
多少の違和感がありつつも、気にせず洗面所へ向かった。
「はふぅ……ほんとあれが夢でよかったよ……それにしても、なんであんな夢見たんだろ……」
ぶつぶつ呟きながら考えるも、答えが出てくるわけがなかった。
夢のことは一旦忘れよう。
なんかやけに家が静かだし。
「おはよう、うい」
「え、あ、おはよ。お母さん、なんかやけに静かだけどうみとめいもいるんだよね?」
起きたばかりでまだ目が覚めきっていない様子のお母さんに問いかける。
めいをいつの間にか家族として認識するようになってしまったが、それはそれとして、なんか胸騒ぎがする。
違和感の正体はこれだった。
いつも起きたら横にいるはずのめいが、今朝はいなかった。
自分の家に一旦帰っている可能性もある。
それならいいのだが、だとしたらなにも言わずにいなくなるなんておかしい。
……私のことが嫌いになったとかならわからなくもないが。
いや、とにかく、突然めいの気配もうみの気配もないのは変だ。
うみの気配もないというところが特に。
「え、変なこと聞くのね。めいは今海外留学に行ってるじゃない」
「……え?」
「でも、もう一人がわからないわね。――“うみ”って、誰のこと?」
「……はぁっ!?」
なんてことだ。お母さんは認知症にでもなってしまったのか。まだそんな歳じゃないと思うけど。
お母さんの記憶力を疑うほど、それは突飛なものだった。
めいがわからないのならまだわかる。でも、実の娘のことがわからなくなるのは、おかしいとしか言いようがない。
「お、お母さん……実の娘がわからないって……」
「え? 実の娘はあなたとめいよ? うみって子を産んだ覚えはないわ」
絶句とは、まさにこのことだ。
なんてこと……だとしたら、あれは、あの夢は……!
私がどこかにいなくなるということではなく、うみがどこかにいなくなるということ……!
「……っ!」
私は駆け出した。
アテがあるわけでもなく、どこかにいるであろううみの元へ。
なにかがおかしい。
そう感じていた時には、すでに事は終わっていたのだ。
うみが、私の妹が、どこかへ消え去ってしまうなんて。
そんなことは、絶対あってはならない。
私が必ず、うみを見つけ出してやる。
「うみー! どこにいるのー!?」
私は力の限り叫んだ。
迷子の子どもを探すように、なんてやさしいものではなく、災害かなんかで生き別れた兄弟を探すように叫んだ。
生き別れの部分は合っているかもしれない。
お母さんの記憶から……いや、私以外のみんなの記憶から消えてしまったうみを、私はいつまでも探し続けた。
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