42 / 62
第二章 吸血少女は愛されたい
衝撃的な出会い
しおりを挟む
散々な目に遭った。
自分が悪いことはわかるけど、まさかあたしの苦手な納豆を出されるとは思わなかった。
そんなショックからか、いつもなら見慣れたはずの景色が変わって見える。
……ん? そういえば……ここ、どこ?
今更ながらに自分がどこにいるのか疑問を抱く。
「ほんとにどこだ……全然わからない……」
辺りを見回すも、木々が多くて見晴らしが悪い。
木の葉で太陽の光は遮られていて薄暗いため、余計に見づらいのだ。
「えーっと……家はどっちだ?」
現在地がわからないため、とりあえず前に進んでみる。
ここは住宅街ではなく、山の中に来てしまったのではと思うほど緑一色。
でも、一応道はあるみたいだし、人が通るところまで行けば何とかなるはず……
「あわわわ……! 待って待ってー!」
「え?」
なにやら右の方からなにかが近づいてくる音と声がする。
そちらへ視線を向けると、一人の少女が全速力で走ってきていた。
見た目的にあたしより少し年上だろうか。
肩までいかないくらいの長さの黒髪で、くせ毛なのかふわふわしている。
服装はピンクのパーカーにジーパン姿というラフなものだった。
――いやいや、こんなにのんきに分析している暇はない!
なぜなら、その子のすぐ下には大きな馬がいるから。
しかも、その馬が少女とともにこっちに向かって突進してきていたのだから。
「うっそぉ!?」
「あぁ、もう! 止まれって言ってるのに!」
その人は馬に言い聞かせるように、手綱を力強く引っ張っている。
だけど、馬はその言葉を聞いていないかのように、まったく止まる気配がない。
そして、まっすぐこちらへと迫ってくる。
「ひぃっ!」
思わず叫んだものの、どうすることもできず、目をつぶることしかできなかった。
そのまま、ぶつかると思った瞬間……急ブレーキがかかったように動きが止まる。
「……あれ?」
恐る恐る目を開けると、さっきの少女があたしの前にいた。
その横には先ほどの馬もいる。
「ごめんなさい! この子ったら暴走しちゃって!」
「い、いえ……大丈夫ですけど……」
目の前で起きたことに驚きつつも返事をする。
すると、彼女はほっとした表情を浮かべた。
「よかった……あの、お怪我とかありませんか?」
「はい。なんともないので気にしないでください」
「本当にすみません……」
申し訳なさそうに頭を下げる彼女。
なんだかこっちが悪いことをした気分になる。
それよりも気になったのは彼女の容姿だった。
ところどころについている砂汚れのせいで遠目ではわからなかったけど、よく見ると顔立ちがよく整っていて人形のような美しさがある。
瞳は大きくて吸い込まれそうな感じがするほど綺麗だ。
髪の色も黒く艶があって、まさにやまとなでしこのようだった。
「あ、あの……あんまり見つめられると……恥ずかしいのですが……」
「あっ! す、すいません!」
無意識のうちにじっと見てしまっていたらしい。
慌てて謝ると、その人は頬を赤く染めて照れた様子を見せた。
かわいい。すごくかわいいんだけど……
でも、今はそんなことよりも大事なことがある。
「ところで、どうしてこんなとこで馬に乗ってたんですか?」
「あー、実はこの近くに牧場があるんですよ。そこから暴走しちゃって……」
困りました、と苦笑いを浮かべる彼女。
あたしもそれに合わせて笑うしかなかった。
まさか、あんなスピードで突っ込んでくるとは思ってなかったからね……
「では、そろそろ失礼します。その……この子、牧場に戻しにいかないとなので」
ぺこりと軽く会釈してから、馬に乗る彼女。
このまま行かせてもよかったのかもしれない。
だけど、なぜか今日のあたしは渚以外の人と話したい気分だった。
「あの……もしよかったら、あたしも牧場に行ってもいいですか?」
自分が悪いことはわかるけど、まさかあたしの苦手な納豆を出されるとは思わなかった。
そんなショックからか、いつもなら見慣れたはずの景色が変わって見える。
……ん? そういえば……ここ、どこ?
今更ながらに自分がどこにいるのか疑問を抱く。
「ほんとにどこだ……全然わからない……」
辺りを見回すも、木々が多くて見晴らしが悪い。
木の葉で太陽の光は遮られていて薄暗いため、余計に見づらいのだ。
「えーっと……家はどっちだ?」
現在地がわからないため、とりあえず前に進んでみる。
ここは住宅街ではなく、山の中に来てしまったのではと思うほど緑一色。
でも、一応道はあるみたいだし、人が通るところまで行けば何とかなるはず……
「あわわわ……! 待って待ってー!」
「え?」
なにやら右の方からなにかが近づいてくる音と声がする。
そちらへ視線を向けると、一人の少女が全速力で走ってきていた。
見た目的にあたしより少し年上だろうか。
肩までいかないくらいの長さの黒髪で、くせ毛なのかふわふわしている。
服装はピンクのパーカーにジーパン姿というラフなものだった。
――いやいや、こんなにのんきに分析している暇はない!
なぜなら、その子のすぐ下には大きな馬がいるから。
しかも、その馬が少女とともにこっちに向かって突進してきていたのだから。
「うっそぉ!?」
「あぁ、もう! 止まれって言ってるのに!」
その人は馬に言い聞かせるように、手綱を力強く引っ張っている。
だけど、馬はその言葉を聞いていないかのように、まったく止まる気配がない。
そして、まっすぐこちらへと迫ってくる。
「ひぃっ!」
思わず叫んだものの、どうすることもできず、目をつぶることしかできなかった。
そのまま、ぶつかると思った瞬間……急ブレーキがかかったように動きが止まる。
「……あれ?」
恐る恐る目を開けると、さっきの少女があたしの前にいた。
その横には先ほどの馬もいる。
「ごめんなさい! この子ったら暴走しちゃって!」
「い、いえ……大丈夫ですけど……」
目の前で起きたことに驚きつつも返事をする。
すると、彼女はほっとした表情を浮かべた。
「よかった……あの、お怪我とかありませんか?」
「はい。なんともないので気にしないでください」
「本当にすみません……」
申し訳なさそうに頭を下げる彼女。
なんだかこっちが悪いことをした気分になる。
それよりも気になったのは彼女の容姿だった。
ところどころについている砂汚れのせいで遠目ではわからなかったけど、よく見ると顔立ちがよく整っていて人形のような美しさがある。
瞳は大きくて吸い込まれそうな感じがするほど綺麗だ。
髪の色も黒く艶があって、まさにやまとなでしこのようだった。
「あ、あの……あんまり見つめられると……恥ずかしいのですが……」
「あっ! す、すいません!」
無意識のうちにじっと見てしまっていたらしい。
慌てて謝ると、その人は頬を赤く染めて照れた様子を見せた。
かわいい。すごくかわいいんだけど……
でも、今はそんなことよりも大事なことがある。
「ところで、どうしてこんなとこで馬に乗ってたんですか?」
「あー、実はこの近くに牧場があるんですよ。そこから暴走しちゃって……」
困りました、と苦笑いを浮かべる彼女。
あたしもそれに合わせて笑うしかなかった。
まさか、あんなスピードで突っ込んでくるとは思ってなかったからね……
「では、そろそろ失礼します。その……この子、牧場に戻しにいかないとなので」
ぺこりと軽く会釈してから、馬に乗る彼女。
このまま行かせてもよかったのかもしれない。
だけど、なぜか今日のあたしは渚以外の人と話したい気分だった。
「あの……もしよかったら、あたしも牧場に行ってもいいですか?」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
疎遠になった幼馴染の距離感が最近になってとても近い気がする 〜彩る季節を選べたら〜
若椿 柳阿(わかつばき りゅうあ)
ライト文芸
「一緒の高校に行こうね」
恋人である幼馴染と交わした約束。
だが、それを裏切って適当な高校に入学した主人公、高原翔也は科学部に所属し、なんとも言えない高校生活を送る。
孤独を誇示するような科学部部長女の子、屋上で隠し事をする生徒会長、兄に対して頑なに敬語で接する妹、主人公をあきらめない幼馴染。そんな人たちに囲まれた生活の中で、いろいろな後ろめたさに向き合い、行動することに理由を見出すお話。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる