57 / 62
第二章 吸血少女は愛されたい
ホテルに泊まりたい
しおりを挟む
ついに来てしまった。
あまりに突発的なことだったから、部屋が空いてるか不安だったけど、渚が予約してくれていたみたいだ。
最初、ホテルに誘ったのは渚なのだから当然だろう。
だけど、冗談だとも言っていたから予約してくれていたなんて思っていなかった。
「……来ちゃったね」
「……来ちゃったね」
あたしはあまりの緊張で、渚から投げられた言葉をそのまま返すことしかできなかった。
それくらいドキドキしていたのだ。
でも、それはきっと渚も同じだと思う。
だって……ほら。
顔を見てみるとわかる。
渚の顔は真っ赤に染まっていて、その瞳には恥ずかしさからか涙まで浮かんでいるように見える。
そんな彼女を見た瞬間――
――あ、すごく興奮する。
あたしの中のSなスイッチが入ってしまったのを感じた。
「あ、あのさ、花恋ちゃん……私、こういうのははじめて――でっ!?」
「ごめん、渚。あたし今異様に渚の血がほしい♡」
「えっ!? いや、今日は私がエスコートしようと思ってたんだけど!?」
あたしは渚をベッドに押し倒し、恍惚な表情で舌なめずりをする。
そんなあたしの様子に顔を青ざめさせた渚は必死に逃げようと抵抗する。
だけど、あたしが注射器を取り出すと、途端に大人しくなった。
そうして、あたしは渚の首筋に噛み付いた。
「うあっ……! や、やめ……」
痛みに耐えるような声を出す渚だが、すぐに甘い吐息に変わる。
あたしは夢中になって彼女の首を甘噛みし続ける。
そしてある程度満足したところで、彼女の首から離れ、腕に刺した注射器から血を取り出して飲む。
甘くて濃厚な味。
身体中に力がみなぎってくるようだった。
やっぱり、渚の血は格別だ。
他の人の血を飲んだことはないけど。
「もう……いきなりなんだもん。びっくりしたよ」
「ごめんね? 我慢できなくて」
「いいよ。それだけ私のことを想ってくれてるってことだもんね?」
「うん! もちろんだよ!」
満面の笑みを浮かべるあたし。
すると、渚はふわりとした微笑みを浮かべたあと、そっとあたしの頬に手を添えてきた。
「ねぇ、花恋ちゃん……もっと吸ってもいいんだよ?」
「えー……これ以上したら歯止めがきかなくなっちゃうから駄目だよ」
「大丈夫だよ。もう私、怖がらないから」
「んー、じゃあ……ちょっとだけね」
あたしは再び渚の首元へ吸い付く。
彼女は小さく苦しそうに喘ぐと、あたしのことをぎゅっと抱きしめてきた。
「……大好きだよ、花恋ちゃん」
「あたしも大好き」
あたしたちは多くを語らず、そのまま唇を重ね合わせる。
そしてお互いに見つめ合いながら、再び口づけを交わし合うのであった。
「花恋ちゃん、どうしよう」
「ど、どうしたの?」
「……お腹すいた」
「……え、今?」
あたしはてっきり血を吸いすぎたと思って焦ったけど、どうやらそうではないらしい。
色気のない発言に、あたしはすっかり冷めてしまった。
「そっかー、渚はあたしより食べ物の方取るんだー」
「ご、ごめん、ほんとにお腹空いちゃって……このタイミングで言うのもどうかと思ったんだけど……我慢できなくて」
しゅんとする渚。
その姿を見ると許さないわけにもいかなくなる。
まあ、さっきの言葉は冗談なんだけど。
遊園地の閉園時間が17時でギリギリまでそこにいて、そのままホテルに直行したから、お腹が空くのも無理はない。
せっかくだし、このままホテルの部屋で夕食を食べようということになった。
ルームサービスを頼んで、食事を済ませた後、シャワーを浴びてから二人でベッドに入る。
疲れていたのか、すぐに眠気が襲ってきた。
渚も同じようで、ぐっすりと寝息を立てて眠っている。
「おやすみ、渚」
あたしは起こさないようにそう言って、一緒のベッドで眠ったのだった。
あまりに突発的なことだったから、部屋が空いてるか不安だったけど、渚が予約してくれていたみたいだ。
最初、ホテルに誘ったのは渚なのだから当然だろう。
だけど、冗談だとも言っていたから予約してくれていたなんて思っていなかった。
「……来ちゃったね」
「……来ちゃったね」
あたしはあまりの緊張で、渚から投げられた言葉をそのまま返すことしかできなかった。
それくらいドキドキしていたのだ。
でも、それはきっと渚も同じだと思う。
だって……ほら。
顔を見てみるとわかる。
渚の顔は真っ赤に染まっていて、その瞳には恥ずかしさからか涙まで浮かんでいるように見える。
そんな彼女を見た瞬間――
――あ、すごく興奮する。
あたしの中のSなスイッチが入ってしまったのを感じた。
「あ、あのさ、花恋ちゃん……私、こういうのははじめて――でっ!?」
「ごめん、渚。あたし今異様に渚の血がほしい♡」
「えっ!? いや、今日は私がエスコートしようと思ってたんだけど!?」
あたしは渚をベッドに押し倒し、恍惚な表情で舌なめずりをする。
そんなあたしの様子に顔を青ざめさせた渚は必死に逃げようと抵抗する。
だけど、あたしが注射器を取り出すと、途端に大人しくなった。
そうして、あたしは渚の首筋に噛み付いた。
「うあっ……! や、やめ……」
痛みに耐えるような声を出す渚だが、すぐに甘い吐息に変わる。
あたしは夢中になって彼女の首を甘噛みし続ける。
そしてある程度満足したところで、彼女の首から離れ、腕に刺した注射器から血を取り出して飲む。
甘くて濃厚な味。
身体中に力がみなぎってくるようだった。
やっぱり、渚の血は格別だ。
他の人の血を飲んだことはないけど。
「もう……いきなりなんだもん。びっくりしたよ」
「ごめんね? 我慢できなくて」
「いいよ。それだけ私のことを想ってくれてるってことだもんね?」
「うん! もちろんだよ!」
満面の笑みを浮かべるあたし。
すると、渚はふわりとした微笑みを浮かべたあと、そっとあたしの頬に手を添えてきた。
「ねぇ、花恋ちゃん……もっと吸ってもいいんだよ?」
「えー……これ以上したら歯止めがきかなくなっちゃうから駄目だよ」
「大丈夫だよ。もう私、怖がらないから」
「んー、じゃあ……ちょっとだけね」
あたしは再び渚の首元へ吸い付く。
彼女は小さく苦しそうに喘ぐと、あたしのことをぎゅっと抱きしめてきた。
「……大好きだよ、花恋ちゃん」
「あたしも大好き」
あたしたちは多くを語らず、そのまま唇を重ね合わせる。
そしてお互いに見つめ合いながら、再び口づけを交わし合うのであった。
「花恋ちゃん、どうしよう」
「ど、どうしたの?」
「……お腹すいた」
「……え、今?」
あたしはてっきり血を吸いすぎたと思って焦ったけど、どうやらそうではないらしい。
色気のない発言に、あたしはすっかり冷めてしまった。
「そっかー、渚はあたしより食べ物の方取るんだー」
「ご、ごめん、ほんとにお腹空いちゃって……このタイミングで言うのもどうかと思ったんだけど……我慢できなくて」
しゅんとする渚。
その姿を見ると許さないわけにもいかなくなる。
まあ、さっきの言葉は冗談なんだけど。
遊園地の閉園時間が17時でギリギリまでそこにいて、そのままホテルに直行したから、お腹が空くのも無理はない。
せっかくだし、このままホテルの部屋で夕食を食べようということになった。
ルームサービスを頼んで、食事を済ませた後、シャワーを浴びてから二人でベッドに入る。
疲れていたのか、すぐに眠気が襲ってきた。
渚も同じようで、ぐっすりと寝息を立てて眠っている。
「おやすみ、渚」
あたしは起こさないようにそう言って、一緒のベッドで眠ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
疎遠になった幼馴染の距離感が最近になってとても近い気がする 〜彩る季節を選べたら〜
若椿 柳阿(わかつばき りゅうあ)
ライト文芸
「一緒の高校に行こうね」
恋人である幼馴染と交わした約束。
だが、それを裏切って適当な高校に入学した主人公、高原翔也は科学部に所属し、なんとも言えない高校生活を送る。
孤独を誇示するような科学部部長女の子、屋上で隠し事をする生徒会長、兄に対して頑なに敬語で接する妹、主人公をあきらめない幼馴染。そんな人たちに囲まれた生活の中で、いろいろな後ろめたさに向き合い、行動することに理由を見出すお話。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる