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決勝戦・王者の虚無と、裏切りの姫君
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1
準決勝を終え、決勝戦が行われるメインアリーナの控え室へ向かう通路。
勝利の熱気は冷め、僕たち桜島南のメンバーは押し黙っていた。
コンクリートの壁に囲まれた薄暗い廊下。その向こうから、規則正しい、軍隊のような足音が響いてきた。
コツン、コツン、コツン。
複数の足音だが、乱れがない。
やがて、その姿が闇の中から浮かび上がった。
純白のジャージに、血のような深紅(クリムゾン)のライン。胸には金色の刺繍で『SATSUMA』の文字。
私立・薩摩学院高等学校。
インターハイ常連、全国ベスト8の実績を持つ、県内最強の私学だ。
先頭を歩く男の姿に、僕たちは本能的に足を止めた。
デカい。
身長は190センチを超えているだろうか。鍛え上げられた肉体は、ジャージの上からでもその厚みが分かる。
だが、何よりも異様なのは、その男が纏っている空気だった。
闘志も、敵意も、決勝戦への緊張感すらもない。あるのは、深海のような静寂と、他者を寄せ付けない圧倒的な「拒絶」のオーラ。
御門蓮(みかど れん)。
薩摩学院3年、主将にして絶対的エース。
御門家というバレーボールの名門一族の当主代行でもある彼は、「高校バレー界の魔王」と呼ばれていた。
僕たちが道を譲ろうと壁際に寄ると、蓮は僕の前で足を止めた。
見下ろされる。
物理的な高さ以上に、生物としての格差を見せつけられるような感覚。
「……お前か」
低い声。地響きのように腹に響く重低音。
「黒岩のところを破ったリベロというのは」
「……はい。桜島南の、日向です」
僕は精一杯、視線を逸らさずに答えた。
蓮は値踏みするように僕を一瞥し、鼻を鳴らした。
「小さいな」
「ッ……」
「だが、目は悪くない。……せいぜい、俺の『庭』を汚さないように踊れ」
庭。
彼はコートのことをそう呼んだ。彼にとって、試合会場は戦場ではなく、自分が支配する領土に過ぎないのだ。
蓮は興味を失ったように歩き出そうとした。
その時。
彼の背後に控えていた、小柄な影が動いた。
2
蓮の影から現れたのは、お人形のように可愛らしい少女だった。
プラチナブロンドに近い、色素の薄いふわふわの髪。それを高い位置でハーフツインテールにし、深紅の大きなリボンで結んでいる。
制服は、薩摩学院の豪華な白のブレザー。
だが、彼女の様子はおかしかった。
俯き、両手を胸の前で固く握りしめ、小刻みに震えている。
彼女は兄の背中を、恐る恐る見上げた。
兄が自分を見ていないことを確認すると、彼女は仮面を被るように、パッと表情を変えた。
「……失礼いたします」
鈴の鳴るような、しかしどこか作り物めいた声。
彼女は僕の目の前までトコトコと駆け寄ると、スカートの裾をつまんで優雅にカーテシー(西洋式のお辞儀)をした。
「初めまして。薩摩学院1年、マネージャーの御門蘭(みかど らん)と申します」
彼女が顔を上げる。
大きなアメジスト色の瞳。
その瞳孔は少し開いていて、焦点が合っていないような、危うい熱を帯びていた。
彼女は僕の手を、両手で包み込むように握った。
冷たい。氷のように冷たく、そして湿っている。
「……あ、あの……」
「私、見てましたの。さっきの準決勝」
蘭は小声で、早口に囁いた。
目は笑っている。けれど、頬は引きつり、視線は絶えず兄の背中を気にしている。
「お兄様以外のスパイクをあんなに綺麗に拾うなんて……私、救われましたわ」
「え?」
「お願いです、日向様」
彼女の手の力が強くなる。爪が食い込むほどに。
それは握手ではなく、助けを求める「すがりつき」だった。
「お兄様のスパイクも、拾ってくださいまし。ボロボロになっても、腕が折れても……絶っ対に、あの人を止めてくださいね?」
狂気。
彼女は完璧な笑顔を貼り付けたまま、兄の敗北を――いや、兄の「破壊」を願っていた。
この笑顔は、兄に叱られないための「演技」だ。
その下にあるのは、底知れない恐怖と、逃避への渇望。
「蘭」
前を行く蓮が、足を止めた。
振り返りもせず、ただ名前を呼んだだけ。
抑揚のない低い声。
ビクッ!!
蘭の身体が、電気ショックを受けたように跳ねた。
彼女の顔から血の気が一瞬で引く。
呼吸が止まる。
握っていた僕の手を、火傷したかのようにパッと離した。
「……は、はい、お兄様……!」
震える声。
彼女は怯えた小動物のように身を縮こまらせ、慌てて兄の背中を追った。
その姿は、あまりにも痛々しかった。
絶対的な支配と、服従。
あそこに「兄妹の情愛」なんてものは欠片もない。あるのは「飼い主」と「怯えるペット」の関係だけだ。
去り際。
蘭は一度だけ、兄に見えない角度で振り返った。
その目には、涙が溜まっていた。
彼女は僕に向かって、音のない言葉を紡いだ。
『……私を、連れ出して』
ゾクリ、と背筋に冷たいものが走った。
彼女は今、バレーの試合の話なんてしていなかった。
もっと根本的な、彼女自身の人生からの「救済」を求めていた。
3
会場アナウンスが流れる。
『これより、男子決勝戦を行います。県立桜島南高校、対、薩摩学院高校』
大歓声。照明がコートを照らし出す。
ネットの向こうには、純白のジャージを着た「王者」たちが整列している。
その中心で、御門蓮が退屈そうに立っている。
ベンチには、御門蘭が座っている。
さっきの怯えた表情は消え、今は完璧な「お人形」のように、ニコニコと作り笑いを浮かべて、こちらに手を振っている。
……痛い。
あんな笑顔、見たくない。
僕には分かる。『過剰共感』が教えてくれる。
あの笑顔の下で、彼女の心が悲鳴を上げていることが。
『ピーッ!!』
試合開始のホイッスル。
薩摩学院のサーブから始まる。
ドォンッ!!
一球目から、空気が裂けるような音がした。
蓮のジャンプサーブだ。
速い。重い。
一ノ瀬が反応するが、ボールは腕を弾き飛ばし、観客席まで飛んでいった。
「……マジかよ」
一ノ瀬が呆然と腕をさする。「岩が飛んできたかと思ったぞ」
そこからは、一方的な蹂躙だった。
凛のデータバレーは、機能しなかった。
いや、データは正しいのだ。相手の配球も、攻撃パターンも、凛の分析通りに来ている。
だが、止められない。
3枚ブロックの上から打ち抜かれるスパイク。反応した腕を破壊するような重いサーブ。
「分かっていても取れない」という、圧倒的な個の暴力。
蓮は、チームメイトすら信用していなかった。
トスが少しでも乱れれば、セッターを睨みつける。
その視線の冷たさに、味方の選手たちが萎縮しているのが分かる。
彼はコートの中で孤独な王として君臨し、たった一人で僕たちをねじ伏せようとしていた。
0 - 15。
絶望的な点差。
僕は膝に手をつき、肩で息をした。
勝てない。次元が違う。
これが、全国のレベルなのか。
ふと、相手ベンチを見た。
蘭が、じっと僕を見ている。
兄が得点を決めても、彼女は喜んでいなかった。拍手をする手は機械的で、目は兄を見ていない。
彼女の視線は、僕に固定されている。
その瞳は、祈るように潤んでいた。
(……助けて)
僕の『過剰共感』が、彼女の心の声を拾う。
(お兄様は、私の世界をすべて壊す。友達も、好きなものも、全部排除して、私をあの白い鳥籠に閉じ込める。……お願い、誰かあの人を倒して。私を外へ連れ出して)
彼女の笑顔の下にあるのは、兄への根源的な恐怖と、自由への渇望。
彼女は、僕に「バレーの勝利」ではなく、「兄の支配からの解放」を託しているのだ。
かつての僕と同じだ。
黒岩監督という絶対的な支配者に怯え、思考を停止し、心を殺していた僕。
彼女は今、その地獄の中にいる。
(……ふざけるな)
僕は顔を上げた。
勝てるかどうかは分からない。でも、彼女のSOSを無視することはできない。
それが、僕が楓や凛や雫から受け取った「愛」への答えだから。
誰かの「檻」を壊すのは、僕の役目だ。
4
第2セット。
蓮がスパイクを打つ体勢に入る。
高い。ブロックの上だ。
僕は、思考を捨てた。
凛のデータも、恐怖も、すべて捨てる。
ただ、蓮の「孤独」と「執着」に共鳴する。
――俺を見ろ。俺だけを見ろ、蘭。
――俺以外の世界なんて、必要ない。
彼の心から溢れ出す、歪んだ独占欲。
彼がバレーボールをする理由は、勝利のためじゃない。
妹・蘭の視線を、自分だけに向けさせるためだ。蘭の世界で、自分が絶対的な「最強」であり続けるためだ。
だから、彼は僕を狙う。
蘭が熱視線を送る「僕」という異物を、物理的に破壊するために。
来る。顔面だ。
殺す気で打ってくる。
僕は動いた。
正面へ。一歩も引かずに。
ドパァァァンッ!!
衝撃が全身を貫く。
ボールが顔の目の前で爆発するような威力。
僕は腕を交差し、衝撃を受け止めた。
骨がきしむ。皮膚が焼ける。
でも、引かない。
ボッ!
ボールが、高く上がった。
「……上がったッ!!」
会場が揺れる。
蓮が目を見開いた。
その瞳に、初めて人間らしい「感情」――激しい怒りと、焦りが宿った。
「……なぜだ。なぜ俺のボールが落ちない」
「一人だからだよ」
僕は床に倒れ込みながら、呟いた。
「あんたは強すぎる。だから、周りが見えてない。……妹さんの本当の顔、見たことあるのか?」
蓮の視線が、ベンチの蘭へ向く。
蘭は、兄を見ていなかった。
ボールを上げた僕を見て、頬を染め、うっとりと両手を組んでいた。
その顔は、兄に向けたことのない、心からの「恋する乙女」の顔だった。
「……ッ!!」
蓮の顔が歪む。
王者の仮面が剥がれ落ち、ただの嫉妬に狂う兄の顔になる。
試合の流れが変わった。
冷静さを欠いた蓮のスパイクは、力任せになり、コースが単調になった。
凛がすかさず指示を出す。「クロス締めです! パターンが崩れました!」
一ノ瀬たちが息を吹き返す。
だが、時すでに遅し。
第1セットの大差と、地力の差は埋められなかった。
『ピーーーッ! ゲームセット!』
セットカウント 0 - 2。
桜島南高校、敗退。
僕たちは負けた。全国への切符は、薩摩学院の手に渡った。
5
表彰式の後。
会場の外で、僕たちは蓮と蘭の兄妹に呼び止められた。
蓮は不機嫌そうに腕を組んでいた。
蘭が僕の腕にしがみついているのを、氷のような視線で見下ろしている。
「……日向悠真」
蓮が低い声で言った。
「今回は俺たちの勝ちだ。……だが、気に入らんな」
彼は僕の胸倉を掴み、引き寄せた。
至近距離で睨まれる。その瞳にあるのは、ライバルへの敵対心ではない。大切な宝物に群がる害虫を見るような、冷酷な嫉妬だ。
「蘭が、お前を見ていた。……試合中も、今もだ」
「……ッ」
「俺の妹の世界に、俺以外の男は必要ない。……蘭を惑わせる『異物』は、俺がすべて排除してきた」
蓮の言葉に、戦慄が走る。
彼が他校の選手を徹底的に叩き潰してきた理由は、ただの勝利への執着じゃなかった。妹が興味を持ったものを壊し、妹の視線を自分だけに向けさせるための「粛清」だったんだ。
「だが……今回は特別だ。お前は壊れなかった」
蓮は僕から手を離し、歪んだ笑みを浮かべた。
「だから、お前を『飼って』やる」
「……は?」
「俺の目の届く場所に置いてやる、と言っているんだ。……桜島南を辞めて、ウチに来い。俺の下でバレーをしろ」
それは勧誘ではない。「幽閉」の宣告だ。
自分(兄)の支配下に置くことで、妹と僕の関係さえもコントロールしようとしている。
「……お、お兄様……」
蘭が、震える声で口を開いた。
僕の腕を掴む彼女の指が、白くなるほど強張っている。
「そんな……悠真様を、そんなふうに……」
「――蘭」
蓮が、妹の名前を呼んだ。
ただそれだけ。
抑揚のない、しかし絶対的な命令を含んだ響き。
「口を挟むな。……戻るぞ」
その一言で、蘭の身体がビクリと跳ねた。
彼女の顔から血の気が引いていく。瞳が泳ぎ、呼吸が浅くなる。
反論しようとした唇が、パクパクと動いて……そして、閉ざされた。
「……は、はい……お兄様……」
俯く蘭。
その姿は、まさしく「中学時代の僕」そのものだった。
彼女もまた、この巨大な暴力(兄)の前では、意思を持たない人形になるしかないのだ。
「……断る」
僕は蓮を睨み返した。
「僕は桜島南のリベロだ。あんたのコレクションにはならない」
「……ほう? 飼い主に逆らうか」
蓮の目がすわった。空気が張り詰める。
その時。
「――そこまでよ」
背後から、冷ややかな声が割って入った。
楓、凛、雫だ。
彼女たちが僕と蓮の間に立ち塞がる。
「悠真が嫌がってるでしょ! 離れなさいよ!」(楓)
「当校の選手に対する引き抜き行為は、規定違反です」(凛)
「……野蛮ね。美しくないわ」(雫)
三人のヒロインが僕を守るように陣形を組む。
蓮は舌打ちをし、興味を失ったように背を向けた。
「……まあいい。時間はたっぷりある。……行くぞ、蘭」
蓮が歩き出す。
蘭は、操り人形のようにトボトボとそれに従おうとした。
だが。
すれ違いざま、彼女は僕の耳元に顔を寄せた。
「……助けて、悠真様」
消え入りそうな、けれど熱のこもった囁き。
「私、決めましたの。……桜島南に転校しますわ」
え?
僕は驚いて彼女を見た。
蘭は兄には見えない角度で、僕にだけ見えるように、とろけるような、そして狂気を孕んだ笑顔を見せた。
「お兄様のいない場所へ……私を連れ出してくださいね? ……私の王子様♡」
彼女はすぐに無表情に戻り、兄の背中を追って去っていった。
後に残されたのは、甘い香りと、背筋が凍るような予感。
彼女は兄に逆らえない。
だからこそ、「逃亡(転校)」という極端な手段で、この支配から抜け出そうとしている。
そしてその逃亡先に、僕を選んだのだ。
「……悠真? 今、あの子なんて言ったの?」
楓が怪訝そうに聞いてくる。
僕は冷や汗を拭った。
「……なんでもない。ただの独り言だよ」
言えるわけがない。
あの「裏切りの姫君」が、爆弾を抱えて僕たちの日常に飛び込んでこようとしているなんて。
春高予選は終わった。
けれど、僕を巡る「管理」と「争奪」の戦いは、どうやら第2ラウンドに突入したらしい。
しかも今度は、「妹狂いの魔王」と「囚われのヤンデレ姫」を巻き込んで。
僕は天を仰いだ。
秋の空は高く、どこまでも青かった。
「……誰か、タイムアウトをお願いします」
僕の呟きは、秋風にかき消された。
リベロはボールを選ばない。
そしてどうやら、ヒロインたちも選べないらしい。
これからも、僕の騒がしい青春は続いていく。
準決勝を終え、決勝戦が行われるメインアリーナの控え室へ向かう通路。
勝利の熱気は冷め、僕たち桜島南のメンバーは押し黙っていた。
コンクリートの壁に囲まれた薄暗い廊下。その向こうから、規則正しい、軍隊のような足音が響いてきた。
コツン、コツン、コツン。
複数の足音だが、乱れがない。
やがて、その姿が闇の中から浮かび上がった。
純白のジャージに、血のような深紅(クリムゾン)のライン。胸には金色の刺繍で『SATSUMA』の文字。
私立・薩摩学院高等学校。
インターハイ常連、全国ベスト8の実績を持つ、県内最強の私学だ。
先頭を歩く男の姿に、僕たちは本能的に足を止めた。
デカい。
身長は190センチを超えているだろうか。鍛え上げられた肉体は、ジャージの上からでもその厚みが分かる。
だが、何よりも異様なのは、その男が纏っている空気だった。
闘志も、敵意も、決勝戦への緊張感すらもない。あるのは、深海のような静寂と、他者を寄せ付けない圧倒的な「拒絶」のオーラ。
御門蓮(みかど れん)。
薩摩学院3年、主将にして絶対的エース。
御門家というバレーボールの名門一族の当主代行でもある彼は、「高校バレー界の魔王」と呼ばれていた。
僕たちが道を譲ろうと壁際に寄ると、蓮は僕の前で足を止めた。
見下ろされる。
物理的な高さ以上に、生物としての格差を見せつけられるような感覚。
「……お前か」
低い声。地響きのように腹に響く重低音。
「黒岩のところを破ったリベロというのは」
「……はい。桜島南の、日向です」
僕は精一杯、視線を逸らさずに答えた。
蓮は値踏みするように僕を一瞥し、鼻を鳴らした。
「小さいな」
「ッ……」
「だが、目は悪くない。……せいぜい、俺の『庭』を汚さないように踊れ」
庭。
彼はコートのことをそう呼んだ。彼にとって、試合会場は戦場ではなく、自分が支配する領土に過ぎないのだ。
蓮は興味を失ったように歩き出そうとした。
その時。
彼の背後に控えていた、小柄な影が動いた。
2
蓮の影から現れたのは、お人形のように可愛らしい少女だった。
プラチナブロンドに近い、色素の薄いふわふわの髪。それを高い位置でハーフツインテールにし、深紅の大きなリボンで結んでいる。
制服は、薩摩学院の豪華な白のブレザー。
だが、彼女の様子はおかしかった。
俯き、両手を胸の前で固く握りしめ、小刻みに震えている。
彼女は兄の背中を、恐る恐る見上げた。
兄が自分を見ていないことを確認すると、彼女は仮面を被るように、パッと表情を変えた。
「……失礼いたします」
鈴の鳴るような、しかしどこか作り物めいた声。
彼女は僕の目の前までトコトコと駆け寄ると、スカートの裾をつまんで優雅にカーテシー(西洋式のお辞儀)をした。
「初めまして。薩摩学院1年、マネージャーの御門蘭(みかど らん)と申します」
彼女が顔を上げる。
大きなアメジスト色の瞳。
その瞳孔は少し開いていて、焦点が合っていないような、危うい熱を帯びていた。
彼女は僕の手を、両手で包み込むように握った。
冷たい。氷のように冷たく、そして湿っている。
「……あ、あの……」
「私、見てましたの。さっきの準決勝」
蘭は小声で、早口に囁いた。
目は笑っている。けれど、頬は引きつり、視線は絶えず兄の背中を気にしている。
「お兄様以外のスパイクをあんなに綺麗に拾うなんて……私、救われましたわ」
「え?」
「お願いです、日向様」
彼女の手の力が強くなる。爪が食い込むほどに。
それは握手ではなく、助けを求める「すがりつき」だった。
「お兄様のスパイクも、拾ってくださいまし。ボロボロになっても、腕が折れても……絶っ対に、あの人を止めてくださいね?」
狂気。
彼女は完璧な笑顔を貼り付けたまま、兄の敗北を――いや、兄の「破壊」を願っていた。
この笑顔は、兄に叱られないための「演技」だ。
その下にあるのは、底知れない恐怖と、逃避への渇望。
「蘭」
前を行く蓮が、足を止めた。
振り返りもせず、ただ名前を呼んだだけ。
抑揚のない低い声。
ビクッ!!
蘭の身体が、電気ショックを受けたように跳ねた。
彼女の顔から血の気が一瞬で引く。
呼吸が止まる。
握っていた僕の手を、火傷したかのようにパッと離した。
「……は、はい、お兄様……!」
震える声。
彼女は怯えた小動物のように身を縮こまらせ、慌てて兄の背中を追った。
その姿は、あまりにも痛々しかった。
絶対的な支配と、服従。
あそこに「兄妹の情愛」なんてものは欠片もない。あるのは「飼い主」と「怯えるペット」の関係だけだ。
去り際。
蘭は一度だけ、兄に見えない角度で振り返った。
その目には、涙が溜まっていた。
彼女は僕に向かって、音のない言葉を紡いだ。
『……私を、連れ出して』
ゾクリ、と背筋に冷たいものが走った。
彼女は今、バレーの試合の話なんてしていなかった。
もっと根本的な、彼女自身の人生からの「救済」を求めていた。
3
会場アナウンスが流れる。
『これより、男子決勝戦を行います。県立桜島南高校、対、薩摩学院高校』
大歓声。照明がコートを照らし出す。
ネットの向こうには、純白のジャージを着た「王者」たちが整列している。
その中心で、御門蓮が退屈そうに立っている。
ベンチには、御門蘭が座っている。
さっきの怯えた表情は消え、今は完璧な「お人形」のように、ニコニコと作り笑いを浮かべて、こちらに手を振っている。
……痛い。
あんな笑顔、見たくない。
僕には分かる。『過剰共感』が教えてくれる。
あの笑顔の下で、彼女の心が悲鳴を上げていることが。
『ピーッ!!』
試合開始のホイッスル。
薩摩学院のサーブから始まる。
ドォンッ!!
一球目から、空気が裂けるような音がした。
蓮のジャンプサーブだ。
速い。重い。
一ノ瀬が反応するが、ボールは腕を弾き飛ばし、観客席まで飛んでいった。
「……マジかよ」
一ノ瀬が呆然と腕をさする。「岩が飛んできたかと思ったぞ」
そこからは、一方的な蹂躙だった。
凛のデータバレーは、機能しなかった。
いや、データは正しいのだ。相手の配球も、攻撃パターンも、凛の分析通りに来ている。
だが、止められない。
3枚ブロックの上から打ち抜かれるスパイク。反応した腕を破壊するような重いサーブ。
「分かっていても取れない」という、圧倒的な個の暴力。
蓮は、チームメイトすら信用していなかった。
トスが少しでも乱れれば、セッターを睨みつける。
その視線の冷たさに、味方の選手たちが萎縮しているのが分かる。
彼はコートの中で孤独な王として君臨し、たった一人で僕たちをねじ伏せようとしていた。
0 - 15。
絶望的な点差。
僕は膝に手をつき、肩で息をした。
勝てない。次元が違う。
これが、全国のレベルなのか。
ふと、相手ベンチを見た。
蘭が、じっと僕を見ている。
兄が得点を決めても、彼女は喜んでいなかった。拍手をする手は機械的で、目は兄を見ていない。
彼女の視線は、僕に固定されている。
その瞳は、祈るように潤んでいた。
(……助けて)
僕の『過剰共感』が、彼女の心の声を拾う。
(お兄様は、私の世界をすべて壊す。友達も、好きなものも、全部排除して、私をあの白い鳥籠に閉じ込める。……お願い、誰かあの人を倒して。私を外へ連れ出して)
彼女の笑顔の下にあるのは、兄への根源的な恐怖と、自由への渇望。
彼女は、僕に「バレーの勝利」ではなく、「兄の支配からの解放」を託しているのだ。
かつての僕と同じだ。
黒岩監督という絶対的な支配者に怯え、思考を停止し、心を殺していた僕。
彼女は今、その地獄の中にいる。
(……ふざけるな)
僕は顔を上げた。
勝てるかどうかは分からない。でも、彼女のSOSを無視することはできない。
それが、僕が楓や凛や雫から受け取った「愛」への答えだから。
誰かの「檻」を壊すのは、僕の役目だ。
4
第2セット。
蓮がスパイクを打つ体勢に入る。
高い。ブロックの上だ。
僕は、思考を捨てた。
凛のデータも、恐怖も、すべて捨てる。
ただ、蓮の「孤独」と「執着」に共鳴する。
――俺を見ろ。俺だけを見ろ、蘭。
――俺以外の世界なんて、必要ない。
彼の心から溢れ出す、歪んだ独占欲。
彼がバレーボールをする理由は、勝利のためじゃない。
妹・蘭の視線を、自分だけに向けさせるためだ。蘭の世界で、自分が絶対的な「最強」であり続けるためだ。
だから、彼は僕を狙う。
蘭が熱視線を送る「僕」という異物を、物理的に破壊するために。
来る。顔面だ。
殺す気で打ってくる。
僕は動いた。
正面へ。一歩も引かずに。
ドパァァァンッ!!
衝撃が全身を貫く。
ボールが顔の目の前で爆発するような威力。
僕は腕を交差し、衝撃を受け止めた。
骨がきしむ。皮膚が焼ける。
でも、引かない。
ボッ!
ボールが、高く上がった。
「……上がったッ!!」
会場が揺れる。
蓮が目を見開いた。
その瞳に、初めて人間らしい「感情」――激しい怒りと、焦りが宿った。
「……なぜだ。なぜ俺のボールが落ちない」
「一人だからだよ」
僕は床に倒れ込みながら、呟いた。
「あんたは強すぎる。だから、周りが見えてない。……妹さんの本当の顔、見たことあるのか?」
蓮の視線が、ベンチの蘭へ向く。
蘭は、兄を見ていなかった。
ボールを上げた僕を見て、頬を染め、うっとりと両手を組んでいた。
その顔は、兄に向けたことのない、心からの「恋する乙女」の顔だった。
「……ッ!!」
蓮の顔が歪む。
王者の仮面が剥がれ落ち、ただの嫉妬に狂う兄の顔になる。
試合の流れが変わった。
冷静さを欠いた蓮のスパイクは、力任せになり、コースが単調になった。
凛がすかさず指示を出す。「クロス締めです! パターンが崩れました!」
一ノ瀬たちが息を吹き返す。
だが、時すでに遅し。
第1セットの大差と、地力の差は埋められなかった。
『ピーーーッ! ゲームセット!』
セットカウント 0 - 2。
桜島南高校、敗退。
僕たちは負けた。全国への切符は、薩摩学院の手に渡った。
5
表彰式の後。
会場の外で、僕たちは蓮と蘭の兄妹に呼び止められた。
蓮は不機嫌そうに腕を組んでいた。
蘭が僕の腕にしがみついているのを、氷のような視線で見下ろしている。
「……日向悠真」
蓮が低い声で言った。
「今回は俺たちの勝ちだ。……だが、気に入らんな」
彼は僕の胸倉を掴み、引き寄せた。
至近距離で睨まれる。その瞳にあるのは、ライバルへの敵対心ではない。大切な宝物に群がる害虫を見るような、冷酷な嫉妬だ。
「蘭が、お前を見ていた。……試合中も、今もだ」
「……ッ」
「俺の妹の世界に、俺以外の男は必要ない。……蘭を惑わせる『異物』は、俺がすべて排除してきた」
蓮の言葉に、戦慄が走る。
彼が他校の選手を徹底的に叩き潰してきた理由は、ただの勝利への執着じゃなかった。妹が興味を持ったものを壊し、妹の視線を自分だけに向けさせるための「粛清」だったんだ。
「だが……今回は特別だ。お前は壊れなかった」
蓮は僕から手を離し、歪んだ笑みを浮かべた。
「だから、お前を『飼って』やる」
「……は?」
「俺の目の届く場所に置いてやる、と言っているんだ。……桜島南を辞めて、ウチに来い。俺の下でバレーをしろ」
それは勧誘ではない。「幽閉」の宣告だ。
自分(兄)の支配下に置くことで、妹と僕の関係さえもコントロールしようとしている。
「……お、お兄様……」
蘭が、震える声で口を開いた。
僕の腕を掴む彼女の指が、白くなるほど強張っている。
「そんな……悠真様を、そんなふうに……」
「――蘭」
蓮が、妹の名前を呼んだ。
ただそれだけ。
抑揚のない、しかし絶対的な命令を含んだ響き。
「口を挟むな。……戻るぞ」
その一言で、蘭の身体がビクリと跳ねた。
彼女の顔から血の気が引いていく。瞳が泳ぎ、呼吸が浅くなる。
反論しようとした唇が、パクパクと動いて……そして、閉ざされた。
「……は、はい……お兄様……」
俯く蘭。
その姿は、まさしく「中学時代の僕」そのものだった。
彼女もまた、この巨大な暴力(兄)の前では、意思を持たない人形になるしかないのだ。
「……断る」
僕は蓮を睨み返した。
「僕は桜島南のリベロだ。あんたのコレクションにはならない」
「……ほう? 飼い主に逆らうか」
蓮の目がすわった。空気が張り詰める。
その時。
「――そこまでよ」
背後から、冷ややかな声が割って入った。
楓、凛、雫だ。
彼女たちが僕と蓮の間に立ち塞がる。
「悠真が嫌がってるでしょ! 離れなさいよ!」(楓)
「当校の選手に対する引き抜き行為は、規定違反です」(凛)
「……野蛮ね。美しくないわ」(雫)
三人のヒロインが僕を守るように陣形を組む。
蓮は舌打ちをし、興味を失ったように背を向けた。
「……まあいい。時間はたっぷりある。……行くぞ、蘭」
蓮が歩き出す。
蘭は、操り人形のようにトボトボとそれに従おうとした。
だが。
すれ違いざま、彼女は僕の耳元に顔を寄せた。
「……助けて、悠真様」
消え入りそうな、けれど熱のこもった囁き。
「私、決めましたの。……桜島南に転校しますわ」
え?
僕は驚いて彼女を見た。
蘭は兄には見えない角度で、僕にだけ見えるように、とろけるような、そして狂気を孕んだ笑顔を見せた。
「お兄様のいない場所へ……私を連れ出してくださいね? ……私の王子様♡」
彼女はすぐに無表情に戻り、兄の背中を追って去っていった。
後に残されたのは、甘い香りと、背筋が凍るような予感。
彼女は兄に逆らえない。
だからこそ、「逃亡(転校)」という極端な手段で、この支配から抜け出そうとしている。
そしてその逃亡先に、僕を選んだのだ。
「……悠真? 今、あの子なんて言ったの?」
楓が怪訝そうに聞いてくる。
僕は冷や汗を拭った。
「……なんでもない。ただの独り言だよ」
言えるわけがない。
あの「裏切りの姫君」が、爆弾を抱えて僕たちの日常に飛び込んでこようとしているなんて。
春高予選は終わった。
けれど、僕を巡る「管理」と「争奪」の戦いは、どうやら第2ラウンドに突入したらしい。
しかも今度は、「妹狂いの魔王」と「囚われのヤンデレ姫」を巻き込んで。
僕は天を仰いだ。
秋の空は高く、どこまでも青かった。
「……誰か、タイムアウトをお願いします」
僕の呟きは、秋風にかき消された。
リベロはボールを選ばない。
そしてどうやら、ヒロインたちも選べないらしい。
これからも、僕の騒がしい青春は続いていく。
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