身の毛もよだつ、怪談話。

紡木糸

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【episode.8】消えた村の伝説

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静かな山間にひっそりと佇む村、名を「霧村」という。


かつては豊かな自然に囲まれ、村人たちが笑顔で暮らしていた。


しかし、ある日突然、村は姿を消した。


周囲の人々は村の存在を忘れ、
ただの伝説として語り継がれることとなった。


物語は、


大学生の翔太が友人たちと共に霧村を探しに行くところから始まる。


彼らは都市伝説に興味を持ち、
心霊スポットとして知られる霧村を訪れることに決めた。


夜の帳が下りる頃、彼らは山道を進み、
薄暗い森の中に足を踏み入れた。


「本当に村なんてあるのかな?」


と、友人の加奈が不安そうに呟く。


翔太は、


「大丈夫、ただの噂さ」


と笑い飛ばしたが、心の奥では不安が渦巻いていた。


彼らは懐中電灯を手に、村の伝説を確かめるために進んでいく。


やがて、霧が立ち込めてきた。
視界が狭まり、周囲の音が消えていく。


翔太たちは不気味な静けさに包まれ、心拍数が上がる。


すると、ふと目の前に古びた石碑が現れた。


「霧村、ここにあり」


と刻まれた文字が、彼らの心に恐怖を植え付ける。


「もう引き返そう」


と加奈が言ったが、翔太は


「まだ何も見ていない」


と言い張り、先を急ぐ。


村の跡地にたどり着くと、そこには朽ち果てた家々が立ち並んでいた。


まるで時間が止まったかのような光景に、彼らは言葉を失う。


「誰かいるのか?」


と翔太が叫ぶと、かすかな声が返ってきた。


「助けて…」


それは、かつてこの村に住んでいた人々の声だった。


翔太たちは恐怖に駆られ、逃げ出そうとしたが、
霧が彼らを包み込み、視界を奪った。


次の瞬間、翔太は一人で立っていた。


友人たちの姿は消え、ただ静寂だけが残っていた。


彼は必死に周囲を探したが、誰も見つからない。
心の中に不安が広がり、彼は村の奥へと進むしかなかった。


村の中心に辿り着くと、そこには祭壇のようなものがあった。


周囲には村人たちの姿が浮かび上がり、彼らは翔太を見つめていた。


その目は、助けを求めるように輝いていた。
翔太は恐怖と悲しみで胸が締め付けられた。


「私たちを忘れないで…」


村人たちの声が響く。


翔太はその言葉に引き寄せられ、祭壇に近づいた。


すると、彼の手が祭壇に触れた瞬間、
村人たちの姿が一斉に消え、霧が彼を包み込んだ。


目を開けると、翔太は元の山道に立っていた。


友人たちの姿はどこにもなく、彼だけが取り残されていた。


彼は恐怖に震えながら、村の伝説が真実であることを理解した。


それから数年後、翔太は村のことを語ることをやめた。


彼の心には、消えた村の記憶が深く刻まれていた。


霧村は今もどこかに存在し、
村人たちは彼を待ち続けているのだろう。


彼はそのことを知りながら、決してその場所には戻れないのだった。


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