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目覚めた者達
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長い階段を降りシンとシャルロットを休ませながら、ミア達も今までの疲労が溜まっていたため少し休むことにした。
「ミア・・・、彼は・・・?」
シンが仰向けで寝ながら、ツクヨの方を見て、どういう経緯でミアと行動を共にしているのかを聞いた。
「彼の名はツクヨといって、私達と同じ現実世界の者だ」
彼女の口からさらっと吐かれた言葉に、シンは思わず身体を起こそうとしたが、まだイデアールから受けたダメージが残っており、まるで筋肉痛のような痛みに表情を歪める。
「まだ無理しない方がいい。 ここも安全とは限らないが、休める時に休んでおけ」
彼を心配するミアの言葉を聞いてシンは、ミアが重大なことを口にしている自覚がないのに驚きとも呆れともとれない顔で彼女を見る。
「さらっと言ったけど、ミア・・・君ねぇ・・・」
「まぁ待てって、アンタも知らないだろ? 彼の事情を・・・」
現実世界からWoFの世界に来たというツクヨの存在にシンは、自分達の身に起きている事態について、何か手掛かりが得られるのではないかと思っていた。
しかしその、ミアの言う“彼の事情”と言う言葉が、その真実という光に雲をかける。
「事情・・・?」
「あぁ、実は・・・」
ツクヨのことを知らないシンに、彼がどのようにしてバグに巻き込まれ、こちらの世界に来たのかを彼女なりに噛み砕いて話した。
彼の身に起きた現実世界での出来事、普段ゲームをしない彼がどうしてWoFを起動させたのか、そしてこちらに来てからの生活や、動乱の中共に聖騎士隊隊長のリーベと戦ったことや、現在の城や聖都の様子、門の内側でどんなことがあったのか。
「そうか・・・俺が寝てる間にそんなことが・・・」
ミアの話を聞いている内に、身体を起こせるくらいにまで回復してきたシンは、自分がイデアールにやられている間に、彼女やツクヨ、そしてルーフェン・ヴォルフの者達に起きた様々な出来事を聞き、自分が情けなくなった。
「それなのに俺は・・・。 成長は疎か、何も出来ていないじゃないか・・・」
「聖騎士隊の隊長クラスともなれば、アタシらが一対一で戦って勝てるような相手じゃなかった・・・。 イデアールと同じ隊長のリーベと戦ったんだから、その実力は身に染みて知ってるさ・・・」
ミア自身、リーベと一時的に一人で戦う場面があったが、反撃する暇も無いほど一方的にやられ、一度は死を覚悟した程だ。
そんな相手に、負けはしたものの互角の打ち合いをしていたのだから、シンも決して成長していない訳ではない。
二人は、彼らとの戦闘を思い出し、自分達が如何に無力であったかを思い知らされる。
ユスティーチに起きる面倒ごとには関わらないようにしようなど、そんな甘い問題ではなく、サラやメア達の時と同じく、巻き込まれれば命の保証はない上、上位クラスのアドバンテージを持つ二人をしても、全く歯が立たないというものなのだ。
シン達が意気消沈していると、それまで気を失っていたシャルロットが目を覚ます。
「こ・・・ここは・・・? あれ・・・私、城に居たはずじゃ・・・」
彼女の目覚めと、今にも掻き消されそうなほど小さく喋るその声に、ツクヨが安堵したのか、恩人の目覚めに喜びの声を漏らす。
「良かった・・・無事みたいだね! どう?動けるかい?」
ツクヨの呼びかけに、身体を起こしたシャルロットだが、まだ頭痛がするのか、頭を抑え辛そうな表情を浮かべる。
「アイツは・・・、シャーフは・・・どうなったの?」
「何も・・・思い出せないかい?」
朧げな記憶を必死に思い出そうと、片手を頭に当てながら、聖都に何が起きたのかを振り返るシャルロット。
「確か、聖都にモンスターが出て・・・。 イデアールさんに報告しようと城に向かったら誰も居なくて、それで玉座の間に・・・。でも居たのはシャーフだけ・・・」
そして漸く彼女は思い出した。
そこでシャーフと戦おうとするも、峰打ちを食らい気を失ってしまったことを。
「そうッ! 大変なのッ! アーテムやレジスタンスのみんな・・・それに先生の身が危ないッ・・・!!」
「先生・・・? 朝孝さんのことか・・・」
そこで始めてシャルロットは、シンとミアの存在に気づく。
「シンさんッ!? 無事だったんですね! ・・・良かったぁ・・・。 えぇ、シュトラール様が市街地にッ・・・! 道場に向かってるのッ!!」
一同は彼女の発した言葉に、一瞬思考が停止し絶句した。
今まさにこれから向かおうとしているところに、聖騎士を束ね、聖都ユスティーチの王たるシュトラールが向かっている。
そしてそこには、ルーフェン・ヴォルフの掲げる大志に多大な影響を与えた人物が居る。
と、なればシュトラールの目的はただ一つ・・・。
反乱因子の大元、朝孝の殺害だ。
「ミア・・・、彼は・・・?」
シンが仰向けで寝ながら、ツクヨの方を見て、どういう経緯でミアと行動を共にしているのかを聞いた。
「彼の名はツクヨといって、私達と同じ現実世界の者だ」
彼女の口からさらっと吐かれた言葉に、シンは思わず身体を起こそうとしたが、まだイデアールから受けたダメージが残っており、まるで筋肉痛のような痛みに表情を歪める。
「まだ無理しない方がいい。 ここも安全とは限らないが、休める時に休んでおけ」
彼を心配するミアの言葉を聞いてシンは、ミアが重大なことを口にしている自覚がないのに驚きとも呆れともとれない顔で彼女を見る。
「さらっと言ったけど、ミア・・・君ねぇ・・・」
「まぁ待てって、アンタも知らないだろ? 彼の事情を・・・」
現実世界からWoFの世界に来たというツクヨの存在にシンは、自分達の身に起きている事態について、何か手掛かりが得られるのではないかと思っていた。
しかしその、ミアの言う“彼の事情”と言う言葉が、その真実という光に雲をかける。
「事情・・・?」
「あぁ、実は・・・」
ツクヨのことを知らないシンに、彼がどのようにしてバグに巻き込まれ、こちらの世界に来たのかを彼女なりに噛み砕いて話した。
彼の身に起きた現実世界での出来事、普段ゲームをしない彼がどうしてWoFを起動させたのか、そしてこちらに来てからの生活や、動乱の中共に聖騎士隊隊長のリーベと戦ったことや、現在の城や聖都の様子、門の内側でどんなことがあったのか。
「そうか・・・俺が寝てる間にそんなことが・・・」
ミアの話を聞いている内に、身体を起こせるくらいにまで回復してきたシンは、自分がイデアールにやられている間に、彼女やツクヨ、そしてルーフェン・ヴォルフの者達に起きた様々な出来事を聞き、自分が情けなくなった。
「それなのに俺は・・・。 成長は疎か、何も出来ていないじゃないか・・・」
「聖騎士隊の隊長クラスともなれば、アタシらが一対一で戦って勝てるような相手じゃなかった・・・。 イデアールと同じ隊長のリーベと戦ったんだから、その実力は身に染みて知ってるさ・・・」
ミア自身、リーベと一時的に一人で戦う場面があったが、反撃する暇も無いほど一方的にやられ、一度は死を覚悟した程だ。
そんな相手に、負けはしたものの互角の打ち合いをしていたのだから、シンも決して成長していない訳ではない。
二人は、彼らとの戦闘を思い出し、自分達が如何に無力であったかを思い知らされる。
ユスティーチに起きる面倒ごとには関わらないようにしようなど、そんな甘い問題ではなく、サラやメア達の時と同じく、巻き込まれれば命の保証はない上、上位クラスのアドバンテージを持つ二人をしても、全く歯が立たないというものなのだ。
シン達が意気消沈していると、それまで気を失っていたシャルロットが目を覚ます。
「こ・・・ここは・・・? あれ・・・私、城に居たはずじゃ・・・」
彼女の目覚めと、今にも掻き消されそうなほど小さく喋るその声に、ツクヨが安堵したのか、恩人の目覚めに喜びの声を漏らす。
「良かった・・・無事みたいだね! どう?動けるかい?」
ツクヨの呼びかけに、身体を起こしたシャルロットだが、まだ頭痛がするのか、頭を抑え辛そうな表情を浮かべる。
「アイツは・・・、シャーフは・・・どうなったの?」
「何も・・・思い出せないかい?」
朧げな記憶を必死に思い出そうと、片手を頭に当てながら、聖都に何が起きたのかを振り返るシャルロット。
「確か、聖都にモンスターが出て・・・。 イデアールさんに報告しようと城に向かったら誰も居なくて、それで玉座の間に・・・。でも居たのはシャーフだけ・・・」
そして漸く彼女は思い出した。
そこでシャーフと戦おうとするも、峰打ちを食らい気を失ってしまったことを。
「そうッ! 大変なのッ! アーテムやレジスタンスのみんな・・・それに先生の身が危ないッ・・・!!」
「先生・・・? 朝孝さんのことか・・・」
そこで始めてシャルロットは、シンとミアの存在に気づく。
「シンさんッ!? 無事だったんですね! ・・・良かったぁ・・・。 えぇ、シュトラール様が市街地にッ・・・! 道場に向かってるのッ!!」
一同は彼女の発した言葉に、一瞬思考が停止し絶句した。
今まさにこれから向かおうとしているところに、聖騎士を束ね、聖都ユスティーチの王たるシュトラールが向かっている。
そしてそこには、ルーフェン・ヴォルフの掲げる大志に多大な影響を与えた人物が居る。
と、なればシュトラールの目的はただ一つ・・・。
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