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レッツト・ヴォルフ
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シュトラールの影とシンの【潜影】がリンクしたことにより、彼にもダメージの一部が行き渡り、その役目を果たしたというように事切れ、膝から崩れ落ち静かに倒れ込む。
両腕を失ったシュトラールに動きはなく、ただ黙って立ち尽くしており、その神話で語られる剣士の偉業のように、光の怪物の腕を斬り落としたアーテムは、飛び上がったまま身を翻し、未だ何か秘めているのではないかと思わせる程に、不気味に立ち尽くす彼を視界に収める。
「まだだッ・・・、完全に気配を断つまで安心できねぇ」
空中で身体を捻るアーテムが、回転数を上げてシュトラールを蹴り、地に張り倒さんと試みようとする。
そして、流石というべきであろう。
狼の獲物に対する、息の根を止めるまで油断しないその姿勢が功を奏し、予想が的中する。
回転を加えた強烈な回し蹴りをシュトラールに向けて放ったアーテムだったが、突如動き出した彼の、切断したはずの銀の腕によって掴まれ、遠方へと投げ飛ばされる。
「ばッ・・・馬鹿なッ! 不死身なのか!?」
辛うじて立っていることが精一杯のイデアールが、底の見えないシュトラールという漢の、異常なまでの生命力に驚嘆と絶望の声を上げる。
シュトラールは彼の方を見ることもせず、斬り落とされた腕の代わりに水銀で両腕を作り、俊敏な動きで身体を回転させながらイデアールの方を向くと、地に円を描くように足を開き急停止し、片方の腕を飛ばす。
腕は弓矢のようにイデアールの元へ飛んでいくと、彼の喉元を鷲掴みにして、そのまま壁まで吹き飛ばすと、身体を壁に固定するように形を変える銀の腕。
「ぐはッ・・・!」
激しく壁に打ち付けられたイデアールは、遂に意識を失い再起不能となってしまうと、ボヤける視界で上下の闇が徐々に彼の見る景色を飲み込んでいく中で最後に焼き付けた光景は、上半身の傷を銀色に染め上げ、依然凛として立ち尽くすシュトラールの姿と、何処へ飛ばされたのかも分からぬアーテムの落とした短剣、そして彼の傍でイデアールを影から支えてくれた男の力無く倒れる姿だった。
「シン・・・、アーテム・・・、みんな・・・。 これが、光に当てられ続けた者達の・・・末路なのか。 最早何処へも行けない・・・。 彼の方舟は既に・・・黄金郷へと飛び立ってしまっていたのか・・・」
そこで、シュトラールという強い光の中から、別の光の元へと歩き出そうとした、小さな小さな理想を抱く灯火、イデアールという漢の意識は途絶えた。
すっかり閑散とした朝孝の道場は、殺風景な程に物が崩壊し、まだ街で戦っている騎士やルーフェン・ヴォルフの者達の声や戦火が上がる音が聞こえてくる程、物静かになった。
シュトラールが此処を訪れた時とは全く別物にまで様変わりし、ボロボロとなった王の衣服を水銀が包み込み、元通りの威厳ある美しい装飾の施された物へと、アバターを変えるかの如く作り出す。
そして一通り辺りを見渡し、シン達の惨状を確認すると、彼はその場を後にしようとしたが、不意に投げられた短剣がその足を止めさせる。
「・・・着替えたばかりなんだ、止してくれないか? 傷のある格好では、民達に合わす顔がない・・・」
瓦礫を避けて歩く男が外壁を潜り、獲物に背を向ける屈辱とも捉えられる態度を取る彼に、まだ仇なす者がここにいるのだと、その姿を現わす。
「何を馬鹿なことを言ってやがるッ・・・! どこにも行かせねぇ・・・、お前が人々の前にその姿を晒すことはもうないッ! ここでお前の思惑は喰い散らかされるんだからなぁ・・・!」
「思惑ではない。 前に進めば見える景色が変わるように、それは当たり前のようにやってくる必然の事なのだ。 夢幻の中にいるのは、貴様の方だ・・・アーテムよ。 迷える者共を導き、指導者にでもなったつもりでいたのか? 貴様が引き連れてきたのは、正しき者達の礎となる為に用意された死地に他ならない・・・」
シュトラールの言葉に全く物怖じせず、聞く耳を持たないアーテムは、自分の信じる道しか見ておらず、その考えを曲げることもない。
「貴様は聖人でもなければ、気高い狼でもない・・・。 人々を騙し、惑わす穢らわしい悪の権化なんだと、いい加減気づいて大人しく裁かれろ」
新しく携えた鋼の剣を引き抜き、装いを新たにした王たる姿でアーテムへ剣先を向けるシュトラール。
「黙れよ・・・ペテン師がッ・・・!」
バチバチと稲妻を纏って、アーテムが短剣を構えながら睨みを効かせる。
聖都ユスティーチにおいて、正義を違えた二つの組織。 その長たる二人が国の命運を賭けた最後の戦いを始めようとしていた。
両腕を失ったシュトラールに動きはなく、ただ黙って立ち尽くしており、その神話で語られる剣士の偉業のように、光の怪物の腕を斬り落としたアーテムは、飛び上がったまま身を翻し、未だ何か秘めているのではないかと思わせる程に、不気味に立ち尽くす彼を視界に収める。
「まだだッ・・・、完全に気配を断つまで安心できねぇ」
空中で身体を捻るアーテムが、回転数を上げてシュトラールを蹴り、地に張り倒さんと試みようとする。
そして、流石というべきであろう。
狼の獲物に対する、息の根を止めるまで油断しないその姿勢が功を奏し、予想が的中する。
回転を加えた強烈な回し蹴りをシュトラールに向けて放ったアーテムだったが、突如動き出した彼の、切断したはずの銀の腕によって掴まれ、遠方へと投げ飛ばされる。
「ばッ・・・馬鹿なッ! 不死身なのか!?」
辛うじて立っていることが精一杯のイデアールが、底の見えないシュトラールという漢の、異常なまでの生命力に驚嘆と絶望の声を上げる。
シュトラールは彼の方を見ることもせず、斬り落とされた腕の代わりに水銀で両腕を作り、俊敏な動きで身体を回転させながらイデアールの方を向くと、地に円を描くように足を開き急停止し、片方の腕を飛ばす。
腕は弓矢のようにイデアールの元へ飛んでいくと、彼の喉元を鷲掴みにして、そのまま壁まで吹き飛ばすと、身体を壁に固定するように形を変える銀の腕。
「ぐはッ・・・!」
激しく壁に打ち付けられたイデアールは、遂に意識を失い再起不能となってしまうと、ボヤける視界で上下の闇が徐々に彼の見る景色を飲み込んでいく中で最後に焼き付けた光景は、上半身の傷を銀色に染め上げ、依然凛として立ち尽くすシュトラールの姿と、何処へ飛ばされたのかも分からぬアーテムの落とした短剣、そして彼の傍でイデアールを影から支えてくれた男の力無く倒れる姿だった。
「シン・・・、アーテム・・・、みんな・・・。 これが、光に当てられ続けた者達の・・・末路なのか。 最早何処へも行けない・・・。 彼の方舟は既に・・・黄金郷へと飛び立ってしまっていたのか・・・」
そこで、シュトラールという強い光の中から、別の光の元へと歩き出そうとした、小さな小さな理想を抱く灯火、イデアールという漢の意識は途絶えた。
すっかり閑散とした朝孝の道場は、殺風景な程に物が崩壊し、まだ街で戦っている騎士やルーフェン・ヴォルフの者達の声や戦火が上がる音が聞こえてくる程、物静かになった。
シュトラールが此処を訪れた時とは全く別物にまで様変わりし、ボロボロとなった王の衣服を水銀が包み込み、元通りの威厳ある美しい装飾の施された物へと、アバターを変えるかの如く作り出す。
そして一通り辺りを見渡し、シン達の惨状を確認すると、彼はその場を後にしようとしたが、不意に投げられた短剣がその足を止めさせる。
「・・・着替えたばかりなんだ、止してくれないか? 傷のある格好では、民達に合わす顔がない・・・」
瓦礫を避けて歩く男が外壁を潜り、獲物に背を向ける屈辱とも捉えられる態度を取る彼に、まだ仇なす者がここにいるのだと、その姿を現わす。
「何を馬鹿なことを言ってやがるッ・・・! どこにも行かせねぇ・・・、お前が人々の前にその姿を晒すことはもうないッ! ここでお前の思惑は喰い散らかされるんだからなぁ・・・!」
「思惑ではない。 前に進めば見える景色が変わるように、それは当たり前のようにやってくる必然の事なのだ。 夢幻の中にいるのは、貴様の方だ・・・アーテムよ。 迷える者共を導き、指導者にでもなったつもりでいたのか? 貴様が引き連れてきたのは、正しき者達の礎となる為に用意された死地に他ならない・・・」
シュトラールの言葉に全く物怖じせず、聞く耳を持たないアーテムは、自分の信じる道しか見ておらず、その考えを曲げることもない。
「貴様は聖人でもなければ、気高い狼でもない・・・。 人々を騙し、惑わす穢らわしい悪の権化なんだと、いい加減気づいて大人しく裁かれろ」
新しく携えた鋼の剣を引き抜き、装いを新たにした王たる姿でアーテムへ剣先を向けるシュトラール。
「黙れよ・・・ペテン師がッ・・・!」
バチバチと稲妻を纏って、アーテムが短剣を構えながら睨みを効かせる。
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