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意思に沿うわぬ行為
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手にした斧を器用に回し射程圏内にロッシュを捉えると、振りかざした刃が男の喉元目掛けて下させる。攻撃が愚直で大振りだったせいか、シルヴィの攻撃を難なく避けて見せると今度はロッシュの方が、体勢を崩した彼女目掛けてナイフを振るう。
しかし、大雑把に振るったシルヴィの一撃は、男に避けさせる為のフェイク。彼女の振るった斧の柄には、いつの間にか鎖が繋がれており、反対の手に持っていた筈のもう一本の斧は、彼女の手からを姿を消していた。
囮りであった一撃目を得意げに躱し、拍子抜けしたように鼻で笑ったロッシュも彼女から感じる違和感に気づく。ロッシュの位置からでは、彼女の身体で隠れてしまっている分、よく見なければ見落としてしまうかもしれない。
鎖は彼女の背中を回り、一撃目を振り下ろした時に背後から放った手斧はロッシュの上空やや後方から落ちて来るように迫っていた。危険を察知したロッシュは、バックステップでシルヴィとの距離を空けようとする。
シルヴィは計っていた通りに事が運んだことに、思わず笑みを溢す。すると、彼女は振り下ろした体勢のまま後方へ下がる。そのことによって背中を通っていた鎖がピンと張られ、ロッシュへ迫っていた手斧が引っ張られ加速する。
ステップだけでは間に合わないと、短剣を取り出したロッシュは直撃を避ける為、斧の刃が来るであろう位置に構えてガードする。鋼同士がぶつかり合う甲高い音が響くと、ロッシュはそれを弾き落とし射程圏内から脱出する。
だが、シルヴィの攻撃はそれを許さない。ロッシュに弾かれ空中でバランスを崩した手斧を一気に引っ張り手繰り寄せると、もう片方の手斧を大きく振り回して鎖を身体の周りで一回転させる。
遠心力で勢いを得た手斧を鎖鎌のように使い、甲板上を薙ぎ払う。その軌道上には鎖が繋がれている為、手斧より内側にいると鎖に絡めとられてしまう。しかし、背後に飛んで避けられるほど範囲は狭くない。
後退することを諦めたロッシュは、あろうことかシルヴィの方へと走り出した。迫り来る手斧を繋ぐ鎖に合わせ、直撃により絡めとられる寸前に男はスライディングをして鎖の下を通り抜ける。
起き上がり様に投げナイフをシルヴィに向けて放るが、彼女も難なくこれを弾き落とす。腕を振った時に、自らの腕の影でロッシュの姿を遮ったその僅かな一瞬の内に、ロッシュは彼女の懐にまで入り込んでおり、立ち上がり様の短剣の切り上げでシルヴィの首元を狙う。
「ぐッ・・・!なんちゅうスピードだよッ!」
ロッシュの攻撃は擦ることすら出来ない。男は手持の武器の刃に毒を持っているという。それを受けた者がどうなるのか、彼女はよく分かっている。本来なら首を曲げて紙一重で避けることでカウンターを合わせやすくするところだが、ロッシュとの戦いではオーバーに避けるくらいじゃないと、取り返しのつかないことになる。
横着せずに足を使って回避するシルヴィを連撃で追うロッシュ。複数回避けたところで、攻勢に転じたシルヴィは男の握る短剣を手斧を使い、はたき落とす。ナイフは床へ落ち、回転しながらロッシュの後方へと吹き飛んで行く。
それを目で追ったロッシュが、シルヴィに視線を戻すと彼女は既に攻撃体勢に入っており、避けることの出来ない体勢のままシルヴィの一撃が振られる。
だが、彼女の一撃はロッシュの頬を掠めるだけに終わってしまう。その場にいた誰もが、何故シルヴィの一撃が“外れた”のか不思議でならなかった。勿論それはシルヴィ自身も例外ではなく、誰よりも驚いていたのは彼女だった。
「・・・?」
自分の手を見て思わず呆けてしまう彼女に、思考を巡らせる暇すら与えまいと、空かさずロッシュが新たに取り出した短剣で斬りかかる。躱せない攻撃は無理に動かず、手斧で受け止めながら一時ロッシュとの距離を空けるシルヴィ。
何故確実に攻撃を当てられるような場面で“外して”しまったのか、自身の腕を疑うシルヴィ。その後を追って追撃を行うロッシュ。しかし、グレイスのバフ効果があるおかげか、男の攻撃を避けるのは難しくなかった。
そして攻撃を躱すのに合わせ、カウンターのように鎖を張ると、ロッシュの腕に鎖が巻き付き拘束すると手斧を引っ張り男の体勢を崩す。再びやって来た絶好のチャンスに、今度こそ全力の一撃を叩き込むシルヴィ。
だが、彼女の一撃は先程と同様ロッシュに命中することなく、擦りもしなかった。最初の無意識な一撃とは違い、今度は確実に命中させることに意識を集中させていた為、間違いない。
「なッ・・・俺の腕が・・・!」
ロッシュ目掛けて振り下ろしたシルヴィの腕は、彼女の意思に従わず男を避けるようにして振り下ろされていたのだ。それはまるで自分の腕ではないかのように・・・。
しかし、大雑把に振るったシルヴィの一撃は、男に避けさせる為のフェイク。彼女の振るった斧の柄には、いつの間にか鎖が繋がれており、反対の手に持っていた筈のもう一本の斧は、彼女の手からを姿を消していた。
囮りであった一撃目を得意げに躱し、拍子抜けしたように鼻で笑ったロッシュも彼女から感じる違和感に気づく。ロッシュの位置からでは、彼女の身体で隠れてしまっている分、よく見なければ見落としてしまうかもしれない。
鎖は彼女の背中を回り、一撃目を振り下ろした時に背後から放った手斧はロッシュの上空やや後方から落ちて来るように迫っていた。危険を察知したロッシュは、バックステップでシルヴィとの距離を空けようとする。
シルヴィは計っていた通りに事が運んだことに、思わず笑みを溢す。すると、彼女は振り下ろした体勢のまま後方へ下がる。そのことによって背中を通っていた鎖がピンと張られ、ロッシュへ迫っていた手斧が引っ張られ加速する。
ステップだけでは間に合わないと、短剣を取り出したロッシュは直撃を避ける為、斧の刃が来るであろう位置に構えてガードする。鋼同士がぶつかり合う甲高い音が響くと、ロッシュはそれを弾き落とし射程圏内から脱出する。
だが、シルヴィの攻撃はそれを許さない。ロッシュに弾かれ空中でバランスを崩した手斧を一気に引っ張り手繰り寄せると、もう片方の手斧を大きく振り回して鎖を身体の周りで一回転させる。
遠心力で勢いを得た手斧を鎖鎌のように使い、甲板上を薙ぎ払う。その軌道上には鎖が繋がれている為、手斧より内側にいると鎖に絡めとられてしまう。しかし、背後に飛んで避けられるほど範囲は狭くない。
後退することを諦めたロッシュは、あろうことかシルヴィの方へと走り出した。迫り来る手斧を繋ぐ鎖に合わせ、直撃により絡めとられる寸前に男はスライディングをして鎖の下を通り抜ける。
起き上がり様に投げナイフをシルヴィに向けて放るが、彼女も難なくこれを弾き落とす。腕を振った時に、自らの腕の影でロッシュの姿を遮ったその僅かな一瞬の内に、ロッシュは彼女の懐にまで入り込んでおり、立ち上がり様の短剣の切り上げでシルヴィの首元を狙う。
「ぐッ・・・!なんちゅうスピードだよッ!」
ロッシュの攻撃は擦ることすら出来ない。男は手持の武器の刃に毒を持っているという。それを受けた者がどうなるのか、彼女はよく分かっている。本来なら首を曲げて紙一重で避けることでカウンターを合わせやすくするところだが、ロッシュとの戦いではオーバーに避けるくらいじゃないと、取り返しのつかないことになる。
横着せずに足を使って回避するシルヴィを連撃で追うロッシュ。複数回避けたところで、攻勢に転じたシルヴィは男の握る短剣を手斧を使い、はたき落とす。ナイフは床へ落ち、回転しながらロッシュの後方へと吹き飛んで行く。
それを目で追ったロッシュが、シルヴィに視線を戻すと彼女は既に攻撃体勢に入っており、避けることの出来ない体勢のままシルヴィの一撃が振られる。
だが、彼女の一撃はロッシュの頬を掠めるだけに終わってしまう。その場にいた誰もが、何故シルヴィの一撃が“外れた”のか不思議でならなかった。勿論それはシルヴィ自身も例外ではなく、誰よりも驚いていたのは彼女だった。
「・・・?」
自分の手を見て思わず呆けてしまう彼女に、思考を巡らせる暇すら与えまいと、空かさずロッシュが新たに取り出した短剣で斬りかかる。躱せない攻撃は無理に動かず、手斧で受け止めながら一時ロッシュとの距離を空けるシルヴィ。
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そして攻撃を躱すのに合わせ、カウンターのように鎖を張ると、ロッシュの腕に鎖が巻き付き拘束すると手斧を引っ張り男の体勢を崩す。再びやって来た絶好のチャンスに、今度こそ全力の一撃を叩き込むシルヴィ。
だが、彼女の一撃は先程と同様ロッシュに命中することなく、擦りもしなかった。最初の無意識な一撃とは違い、今度は確実に命中させることに意識を集中させていた為、間違いない。
「なッ・・・俺の腕が・・・!」
ロッシュ目掛けて振り下ろしたシルヴィの腕は、彼女の意思に従わず男を避けるようにして振り下ろされていたのだ。それはまるで自分の腕ではないかのように・・・。
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