World of Fantasia

神代 コウ

文字の大きさ
424 / 1,646

合流する戦友

しおりを挟む
 彼らを乗せた船は順調に進み、次なる島へと向かう。デイヴィスによれば、先に行っているという仲間達が途中の島で使えそうな物を集め待機しているのだという。その目印として、空っぽになった宝箱の側に彼らの使っている武器と、目印となる物が置いてあるのだという。

 デイヴィスと出会った島を出て、最初に辿り着いた島に到着するシン達の船。一行は残されているであろう目印を知るデイヴィスと、共に潜入をこなすシンが島に降り立ち、他の面々は船で待機することになった。

 ここまで来ると、殆どの島は既に荒らされた後なのだと、レースの経験者であるデイヴィスと何度も話を聞いていたツバキは言う。故に島で別の海賊と財宝を争って奪い合うということは起こらないらしい。

 それこそロッシュやロロネーのように、レースの中で別の目的を果たそうとする者や、後続の海賊を狙おうとする輩くらいなものだ。残りは大船団を引き連れる優勝候補者達の部下や傘下の海賊が散らばり、各所の島で財宝やアイテムを集め、レイド戦に合流するのが常套手段なのだという。

 浜に降り、島の中へと歩みを進めるシンとデイヴィス。暫くすると、こんな孤島に誰が住んでいたのかというような、手作りの廃屋が見えてきた。待っているのはキング暗殺計画の協力者である、デイヴィスの仲間であるのだが、一応警戒は怠らないよう気配を殺し、目印を探す二人。

 虱潰しに財宝が隠してありそうなところを探していくと、何者かの気配を二人は察知する。アサシンと忍者は、敵の気配をある程度探すことの出来る索敵スキルも有している。加えて、先に敵を見つけ自分達は相手の索敵にかからぬよう身を隠す術も持ち合わせている、潜入や隠密に適したスペシャリストといえる。

 息を殺し、互いに目で合図をし合い物陰に隠れる二人。すると、廃屋の高い位置から一人下の階層へと静かに降りて来た。物音を立てないようにゆっくりと歩くその人物は、身を低くし床に手を触れると、振動や床の様子を伺い何者かが廃屋を訪れたことを発見する。

 その人物がそれを仲間に知らせようとしたところで、シンとデイヴィスは息を合わせ、その人物を音も立てず他の者に悟られることもなく取り押さえる。デイヴィスは素早く足音を消すスキルを使うとその人物の背後に駆け寄り、腕を回して首を締め上げる。と、同時にシンはその人物の足元の影を使い、どこに通じるか分からぬ影の穴を床に開ける。

 その人物は宛ら落とし穴に落ちたかのように落下し、デイヴィスの腕によって首吊り状態へとなる。シン達はその人物を直ぐに殺すことなく、影の穴が縮小し身体のところでピッタリと止まる。すると、まるで地面に埋められたように胸のところまで床に飲み込まれ、その人物は締め上げられる。

 首に巻かれた腕を必死に叩くとの人物は、降参を認めるハンドサインをする。その僅かな音を聞きつけたのか、上の方から別の者の声が聞こえて来た。

 「よせッ!敵じゃない!」

 そういうと、声を掛けた者とその周辺にいた数人が武器を捨て両手を上げ始めた。互いに目を合わせるシンとデイヴィスは、拘束していた者を手放し、シンのスキルでそのまま床に埋めた状態で解放すると、その者の首に短剣を当て人質にする。

 「何者だ?」

 「待ってくれ。今、船長を呼ぶ」

 「駄目だ。信用できない以上、仲間を呼ばせる訳にはいかない」

 今にも人質を殺しそうな二人の様子に、緊迫する謎の者達。そこへ新たな気配が数人近づいてくると、シンは周囲の薄暗さを活かし影のスキル“繋影“を使い、その場にいる全員を影で縛り上げ人質にする。

 協力関係になったとはいえ、シンの便利なスキルに思わず目を奪われ感嘆する。そしてデイヴィスも負けじと、忍者のスキルを駆使して周囲の者達にある細工を施す。それは目を凝らさなければ決して見つける事が出来ない程の細い線を、シンが縛り上げた者達に風遁の力を使い気づかれないように結びつけると、それら髪の毛程もない線の束を持ちながら火遁の印を結ぶ。

 シンを含め、デイヴィス以外の者には彼が突然忍術の構えを取り出したようにしか見えていない。そこへ姿を現したのは、囚われた彼らとは違う凝った装いをしたリーダーらしき人物とその取り巻きだった。

 「おい、俺だ。“シンプソン“だよ。この顔を忘れたのか?デイヴィス」

 やれやれといった様子で歩み寄るシンプソンと名乗る人物は、両手を広げデイヴィスへ仲間の解放を訴えかける。そしてその顔を見た彼の表情から、警戒した様子が一気に消え、安堵の溜め息を漏らした。

 「何だ、お前だったのか・・・。約束の目印が無かったもんでな、すまない」

 デイヴィスは直ぐに印を解き、線を引き抜くとシンに彼らは敵じゃないと言い、拘束を解いてやってほしいと合図する。

 どうやら彼がデイヴィスの言っていた協力者の一人である海賊、シンプソンらしい。彼らを縛り上げていた影は、直ぐにその者らの影へと戻り、何事もなかったかのように物音ひとつ立てず、彼らを解放した。

 床に倒れる者や、咳き込む彼らの様子で解放されたことを悟ると、デイヴィスは伝えていた手筈と違うことについて、シンプソンに尋ねた。

 「お前達の目印があれば、こちらも手を出すことはなかったんだ。何か問題でも起きたのか?」

 「大きな問題って訳じゃぁねぇんだ。ただ・・・」

 彼の質問に、困った様子を伺わせるシンプソン。彼らが言うには、デイヴィスに言われた通りこの島へ先回りした彼らは、訪れる別の海賊を追い払いながらデイヴィスの到着を待っていたらしい。

 だが、その中で数人の船員が忽然と姿を消したのだと言う。被害自体は大きなものではない。二人程度の船員が、誰にも気づかれることなく急にいなくなったのだそうだ。

 「アンタが見れば直ぐに分かる様、昔のアンタの海賊旗を約束どおり要所要所に置いておいたんだ。だが消えた奴らと一緒に、いくつかの海賊機も無くなってたんだ。後からやって来たフィリップスの奴らに聞いても、島の近くで妙な船は見かけてねぇらしいんだ・・・」

 「フィリップス達はその後何処へ?」

 「先の島へ向かったよ。だがアシュトンやアンスティスの奴らも既に先に向かっている。今頃もっと奥の方か、レイド戦の辺りにまで向かってる頃じゃねぇか?」

 話を聞く限り、確かに甚大な被害というわけではない。だが裏切りや、逃げ出したという線も考えづらい様だ。そもそも逃げるならレースの前に姿を眩ます筈。それにシンプソンの海賊団は、内部抗争が起きる様な雰囲気のある海賊団でもないのだと、船員達は語る。故に妙な動きがあれば直ぐに船団中に伝わるのだとか。

 「外部の者による仕業じゃぁねぇのか?」

 「誰も妙なものや、異変は感じなかったっていうんだぜ?そんなことあるか?」

 シンプソンは、シンやデイヴィスが捕らえた部下達の様に、決して単独での行動はさせていなかったそうだ。必ず五人以上の小隊で周囲の警戒に当たらせていた。それは、互いの不審な動きを仲間内で監視させる意味を込めた、裏切りや勝手なことをしない様抑制させるものでもあった。

 しかし、姿を消したのはたったの二人。誰も争った様な声や物音を聞いていない上に、何処にも襲われた様な形跡すら見当たらない。そもそも襲われたのであれば、何かしらの音や気配くらいするものだろう。

 その調査に当たろうとしたところで、シン達が島を訪れタイミング悪くかち合ってしまったのだ。暫く他の海賊船の往来もなかった為、シン達の船の接近に気がつかなかったようだ。

 「確かに妙なことだが、計画を実行する時が来た。捜索は後に出来んか?」

 「少数の船員と一隻の船を置いていく。なぁに、計画に支障はねぇさ」

 レイド戦が行われる戦地へ赴く意向で決定したシンプソンに、デイヴィスは共にいるシンのことと、その仲間達との経緯を説明し、改めて計画を実行する戦友として自らの名を名乗り、固い握手を交わすシンとシンプソン。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界に流されて…!?

藤城満定
ファンタジー
東京発沖縄着の船で修学旅行に出港した都立東品川高等学校2年4組の生徒35人は出港して2時間が過ぎた頃に突然の嵐に巻き込まれてしまい、船が転覆してしまって海に投げ出されてしまった。男子生徒の宮間景太郎が目を覚ますと、そこはどこかの森の中だった。海に投げ出されたのに、何で森の中にいるんだ?不思議に思って呆然としていたら、森の奥から聞き覚えのある女子生徒達の悲鳴が聞こえてきた。考えるより先に体が動いた。足元にあった折れて先端が尖った木の枝と石コロを取って森の奥へと駆け出した。そこには3人の女子生徒が5匹の身長160cmくらいの緑色の肌色のバケモノに襲われていた。そのバケモノは異世界アニメやコミックでお馴染みのゴブリン?だった。距離は10mはある。短剣を持ったのと木製の棍棒を持ったゴブリンの内、棍棒を持ったのがソレを振り下ろすのを防ぐのは無理な距離。ならばと、拾っておいた石コロを全力投球投。全くの無警戒だった場所からかならの威力で投げられた石コロが頭に命中して、そのまま倒れてしまったので他のゴブリン共も動揺した。その隙に女子生徒達とゴブリン共の間に立ち塞がり、拾った木の枝(棒?)を振り回して距離を置き、斃したゴブリンから棍棒を拾ってそこからはタコ殴りに殴りまくった。棍棒や短剣を弾くと、頭、首、肩、腕、足と、それはもうフルボッコのボッコボコにして斃してから暫くして女子生徒達に「大丈夫か?」と声をかけると、3人ともポカーンと口を開けて呆然としていた。まあ、無理もない。何故なら景太郎はクラスでは寡黙で、いつも1人で行動しているそれは、ぶっちゃけて言うと、完全な『ボッチくん』だったからだ。そんな景太郎が自分達の命を助けてくれた。それも今まで誰も見た事のない熱く必死な戦い方でだ。これは謂わゆる『吊り橋効果』ではあるが、こうまで男らしい姿を見せられては惚れるなというほうが無理だろう。その瞬間から女子達による景太郎の取り合い合戦が始まった。 【毎週火曜日に投稿します】

【めっさ】天使拾った【可愛ぃなう】

一樹
ファンタジー
酔っ払いが聖女を拾って送迎する話です。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

処理中です...