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考察と突破策
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氷塊に紛れた光弾は、第一波の時と同じように宛も氷塊であるかのように装い、迎撃態勢をとるキングの船へとやって来る。まだキングは、氷塊の中に光弾が隠れていることに気づいていない。
「野郎ぉ・・・その無尽蔵の魔力で消耗戦に持ち込む気かぁ?」
再びキングは、飛んで来る氷塊の群れに手を差し伸べる。氷塊はキングの乗る船に辿り着く前に、海へと急降下し深い深い海の底へと落下するように勢いよく落ちていく。
だが、キングはその能力の感触の中である違和感を感じた。それはまるで、水の中で海面へと上がって来る気泡を、掌で受け止めすり抜けて行くような。嫌な予感を感じたキングは、能力の出力を上げて氷塊の落下速度を更に上げる。
「ッ!?何だったんだ・・・今のは・・・?」
違和感の正体が分からない。だが、キングの能力を持ってすれば耐え凌ぐことのできるものだった。しかし彼の嫌な予感は、気のせいで済ませるには余りに危険なもののように感じた。
自身の身の安全を確保し、他の船の様子を伺う。そしてキングの嫌な予感はやはり間違っていなかった。
ジャウカーンが戻った船団に、蟒蛇の光弾が紛れ込む第二波が訪れた。彼らもキングと同様、何の疑いもなく第一波と同じ迎撃を行った。しかし、そこで初めて第一波の氷塊群とは違うことに気がつく。そして、気がついた時には既に遅かった。
彼らの炎が氷塊を溶かす中、一人の術師による炎の魔法が蟒蛇の作り出した光弾に当たる。すると、光弾は形を変えレーザービームのようになり、魔法を当てた術師目掛けて飛んで行く。
誰もが予測すらしていなかった攻撃に、術師は胸を貫かれ甲板に倒れた。唖然とする船員達。ジャウカーンもその例外ではなかった。突然の出来事に、事態が把握出来なくなる。パニックになった術師達が、慌てて氷塊を排除しようと魔法を撃ち放つ。
こうなってしまっては、例え近くで氷塊と光弾を見ても見分けがつく筈もなく。誤って光弾に魔法を放ってしまった術師達が、次々にレーザーに撃ち抜かれ絶命して行く。
「ジャウカーンさんッ!敵襲ですよ!氷塊に紛れて何かいますッ!」
「何かって何だよッ!?そんな筈はねぇ・・・!あん中に何かが居るのなら、見逃す筈はねぇ・・・。魔力はあの化け物の魔力しか感じねぇぞ?・・・何なんだ・・・こりゃぁ・・・!」
しかし、迫り来る氷塊を迎撃しなければ船が破壊され、海の藻屑となってしまう。手を止める訳にはいかない。術師達を失いながらも、ジャウカーンは氷塊を狙い攻撃し続けた。
そして遂に、順番は彼の元へとやって来る。ジャウカーンの放った炎が蟒蛇に光弾に命中すると形を変え、術師達を貫いたレーザーとなり彼目掛けて放たれる。その瞬間を視界に捉えることは出来ても、身体はその速度についてはいけない。姿を変えた光弾は、ジャウカーンの身体を貫く。
「ジャウカーンさんッ!」
「ぐッ・・・!だッ・・・大丈夫だッ・・・。なるほど、そういうことかよ・・・」
ジャウカーンの身体に空いた穴からは、炎が燻っていた。彼は攻撃が命中する寸前に身体の一部を炎へと変え、やり過ごしていたのだ。だがそれでも、ロロネーの霧化と同じく物理的な攻撃は躱せても、魔力を帯びた攻撃はダメージを受ける。
そして彼は、ただ攻撃を受けるだけではなかった。自分達を襲う未知なる攻撃に目を背けることなく、攻撃の衝撃と痛みに耐えながらも、その正体を暴くため観察を続けた。彼の決死の観察眼は、彼の部隊を生存させる為に大いに活躍する策を見出すことに繋がった。
彼は、自分の放った攻撃が氷塊に似た何かに命中したことにより、攻撃を仕掛けた術者をピンポイントで狙うものの存在に気付いた。そしてそれが、彼の感じていた通り蟒蛇の魔力であり、別の魔力に触れることが引き金となり変化と攻撃を開始することを見抜いた。
つまり蟒蛇の放った光弾は、蟒蛇以外の魔力に触れると、その魔力の持ち主を攻撃するカウンター攻撃をしていたのだ。では何故キングには通用しなかったのか。それは単純に、彼の魔力に触れた光弾が形を変え、レーザーとなって向かう前にその能力によってねじ伏せられ消滅しただけだった。
ジャウカーンの部隊は、魔法を主体とした戦闘を行う。術者を特定し、狙い撃つ蟒蛇の光弾とは最悪の相性だった。だが、光弾はあくまで魔法の発生源である場所に向かって飛んで行く。
仮説を立てたジャウカーンは、キングの船から発った時と同様に海面を燃やしマグマのように海水を変えると、上空へと吹き上がらせる。氷塊は溶け、そして紛れ込んでいる光弾がそれに触れると、ジャウカーンではなく吹き上げるマグマの発生源へと向かって行ったのだ。
「お前らッ!氷塊に魔法を撃つのをやめろ!代わりに、海面にアレやんぞ」
彼の言葉と行動に、何をすべきか察した術師達が一斉に詠唱を開始し、赤い光に包まれる。そして氷塊や光弾が向かって来る海面に向けて、息を合わせた合体魔法を放つ。
海面は横一直線に赤くなり、彼らの船団と氷塊を隔てるように、炎で出来た巨大な壁を作り上げた。
「野郎ぉ・・・その無尽蔵の魔力で消耗戦に持ち込む気かぁ?」
再びキングは、飛んで来る氷塊の群れに手を差し伸べる。氷塊はキングの乗る船に辿り着く前に、海へと急降下し深い深い海の底へと落下するように勢いよく落ちていく。
だが、キングはその能力の感触の中である違和感を感じた。それはまるで、水の中で海面へと上がって来る気泡を、掌で受け止めすり抜けて行くような。嫌な予感を感じたキングは、能力の出力を上げて氷塊の落下速度を更に上げる。
「ッ!?何だったんだ・・・今のは・・・?」
違和感の正体が分からない。だが、キングの能力を持ってすれば耐え凌ぐことのできるものだった。しかし彼の嫌な予感は、気のせいで済ませるには余りに危険なもののように感じた。
自身の身の安全を確保し、他の船の様子を伺う。そしてキングの嫌な予感はやはり間違っていなかった。
ジャウカーンが戻った船団に、蟒蛇の光弾が紛れ込む第二波が訪れた。彼らもキングと同様、何の疑いもなく第一波と同じ迎撃を行った。しかし、そこで初めて第一波の氷塊群とは違うことに気がつく。そして、気がついた時には既に遅かった。
彼らの炎が氷塊を溶かす中、一人の術師による炎の魔法が蟒蛇の作り出した光弾に当たる。すると、光弾は形を変えレーザービームのようになり、魔法を当てた術師目掛けて飛んで行く。
誰もが予測すらしていなかった攻撃に、術師は胸を貫かれ甲板に倒れた。唖然とする船員達。ジャウカーンもその例外ではなかった。突然の出来事に、事態が把握出来なくなる。パニックになった術師達が、慌てて氷塊を排除しようと魔法を撃ち放つ。
こうなってしまっては、例え近くで氷塊と光弾を見ても見分けがつく筈もなく。誤って光弾に魔法を放ってしまった術師達が、次々にレーザーに撃ち抜かれ絶命して行く。
「ジャウカーンさんッ!敵襲ですよ!氷塊に紛れて何かいますッ!」
「何かって何だよッ!?そんな筈はねぇ・・・!あん中に何かが居るのなら、見逃す筈はねぇ・・・。魔力はあの化け物の魔力しか感じねぇぞ?・・・何なんだ・・・こりゃぁ・・・!」
しかし、迫り来る氷塊を迎撃しなければ船が破壊され、海の藻屑となってしまう。手を止める訳にはいかない。術師達を失いながらも、ジャウカーンは氷塊を狙い攻撃し続けた。
そして遂に、順番は彼の元へとやって来る。ジャウカーンの放った炎が蟒蛇に光弾に命中すると形を変え、術師達を貫いたレーザーとなり彼目掛けて放たれる。その瞬間を視界に捉えることは出来ても、身体はその速度についてはいけない。姿を変えた光弾は、ジャウカーンの身体を貫く。
「ジャウカーンさんッ!」
「ぐッ・・・!だッ・・・大丈夫だッ・・・。なるほど、そういうことかよ・・・」
ジャウカーンの身体に空いた穴からは、炎が燻っていた。彼は攻撃が命中する寸前に身体の一部を炎へと変え、やり過ごしていたのだ。だがそれでも、ロロネーの霧化と同じく物理的な攻撃は躱せても、魔力を帯びた攻撃はダメージを受ける。
そして彼は、ただ攻撃を受けるだけではなかった。自分達を襲う未知なる攻撃に目を背けることなく、攻撃の衝撃と痛みに耐えながらも、その正体を暴くため観察を続けた。彼の決死の観察眼は、彼の部隊を生存させる為に大いに活躍する策を見出すことに繋がった。
彼は、自分の放った攻撃が氷塊に似た何かに命中したことにより、攻撃を仕掛けた術者をピンポイントで狙うものの存在に気付いた。そしてそれが、彼の感じていた通り蟒蛇の魔力であり、別の魔力に触れることが引き金となり変化と攻撃を開始することを見抜いた。
つまり蟒蛇の放った光弾は、蟒蛇以外の魔力に触れると、その魔力の持ち主を攻撃するカウンター攻撃をしていたのだ。では何故キングには通用しなかったのか。それは単純に、彼の魔力に触れた光弾が形を変え、レーザーとなって向かう前にその能力によってねじ伏せられ消滅しただけだった。
ジャウカーンの部隊は、魔法を主体とした戦闘を行う。術者を特定し、狙い撃つ蟒蛇の光弾とは最悪の相性だった。だが、光弾はあくまで魔法の発生源である場所に向かって飛んで行く。
仮説を立てたジャウカーンは、キングの船から発った時と同様に海面を燃やしマグマのように海水を変えると、上空へと吹き上がらせる。氷塊は溶け、そして紛れ込んでいる光弾がそれに触れると、ジャウカーンではなく吹き上げるマグマの発生源へと向かって行ったのだ。
「お前らッ!氷塊に魔法を撃つのをやめろ!代わりに、海面にアレやんぞ」
彼の言葉と行動に、何をすべきか察した術師達が一斉に詠唱を開始し、赤い光に包まれる。そして氷塊や光弾が向かって来る海面に向けて、息を合わせた合体魔法を放つ。
海面は横一直線に赤くなり、彼らの船団と氷塊を隔てるように、炎で出来た巨大な壁を作り上げた。
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