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這い回るもの
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這い回るように動き出したソレは、隠れたシン達を探し出すように通路や壁、天井を指導し始める。
真っ先に何かを見つけたように動き出したソレは、朱影の照らす光の方へ向かって速度を上げる。
「あぁ!?んだコイツらぁッ!!」
朱影は武器を取り出し、次々に迫り来る何かを串刺しにしていく。鋭利な獲物の先でもがき苦しむソレは、林檎ほどの大きさで表面は黒ずんでおり、何とも形容し難い肉の塊だったのだ。
身体から足のように生えたものをよく見ると、朱影はあまりの悍ましさに表情を歪めた。それは足ではなく、小さくなった“人間の腕“だったのだ。五本の指があり、獣のように鋭くなった爪のようなものも確認できる。
そして胴体を貫けば、これまた人間のように赤黒い血を垂れ流していた。
「うッ・・・!なっ何なんだよコイツはッ・・・」
「ギィー!ギギギィーッ!!」
肉の塊から突如、甲高い生き物の鳴き声のようなものがした。その体表には、それまでなかった口が肉を割いて出現し、人が歯を食いしばっているように見えた。
不気味で嫌悪感を抱く見た目をしたソレを、朱影はすぐさま振り払い矛先から吹き飛ばす。
勢いよく壁にぶつかったソレは、血を垂れ流しながらも、逃げるように水中へと飛び込んでいった。
「何だよアレ・・・。あんなモンスター見たこと無いぞ・・・!?」
アサシンのクラスによる補正のおかげで、暗い中でも暗視できるようになっていたシンは、反対側に逃げた朱影が小さな奇形のモンスターに襲われているのを見ていた。
水中に消えた大きな何かから吐き出された小型のモンスターは、何故先に朱影の方に向かって集まっていったのか。距離的には丁度二人の中間辺りに飛来した筈。単純に考えられるシンと朱影の違いはと言うと・・・。
「ライトだッ!光を察知してるんじゃッ!?」
「チッ・・・!!」
床に落ちたライトを通路の先に蹴り飛ばす朱影。ガリガリと地面に表面を削られる音が、下水道に響き渡る。
しかし、モンスター達はそれでも朱影の方に向かって行く。
「何だッ!この!群がんじゃねぇよ、気持ち悪りぃッ!!」
モンスター達は光に誘われて群がっている訳ではなかった。ライトを手放した今、シンと朱影に生物として見分ける違いなどない。
まさか、シンが現実世界に生きる人間であると判断している訳でもあるまい。もしそうなら、シンを優先して狙ってきている筈だからだ。
「何で朱影の方に・・・まさか・・・」
ならばと、シンが別の可能性を見出し、自身の持ち物を探る。姿や服装までもWoFのキャラクターが反映されているシン。もしかしたら服だけではなく、あちら側で使っていたアイテムも反映されているかも知れない。
だが、シンの予想とは反し、手持ちのアイテムは全て失われているのか。或いは取り出せないのかは分からないが、使おうと思っていた道具が用意出来ない。
代わりになるものはないかと周囲を見渡す。すると、何処から流れてきたものか、水の中にいくつかのゴミが浮かんでいるのが見えた。
朱影からは離れてしまうが、今は仕方がないと逃げた先の通路へと走り出していく。遠のいていく足音に、逃げたのかと少し苛立ちが表情に出てくる朱影。
だが、それもすぐ誤解だと分かる。すぐに足音は朱影の方へと再び近づいて来る。
「これでッ・・・どうだッ!!」
持ってきたゴミの入った袋を、水路を挟んだ向こう側の通路へと投げるシン。ゴミ袋は壁にぶつかると、中に入っていたペットボトルや弁当の容器などを撒き散らし、大きな音を下水道に響かせた。
シンが考えたのは、光ではなく音だった。戦いの最中にある朱影では、物音を消すのは不可能。ならばそれよりも大きな音を立ててやれば、そっちへ誘導できるのではないだろうか。
大きな音を立てるだけなら声を出しても良かったが、人の声も分析のデータになりかねない。もしこの下水道や、付近の地上に彼らを追っていた何者かがいたら、自ら厄介ごとを招く結果に繋がると思ってのことだった。
真っ先に何かを見つけたように動き出したソレは、朱影の照らす光の方へ向かって速度を上げる。
「あぁ!?んだコイツらぁッ!!」
朱影は武器を取り出し、次々に迫り来る何かを串刺しにしていく。鋭利な獲物の先でもがき苦しむソレは、林檎ほどの大きさで表面は黒ずんでおり、何とも形容し難い肉の塊だったのだ。
身体から足のように生えたものをよく見ると、朱影はあまりの悍ましさに表情を歪めた。それは足ではなく、小さくなった“人間の腕“だったのだ。五本の指があり、獣のように鋭くなった爪のようなものも確認できる。
そして胴体を貫けば、これまた人間のように赤黒い血を垂れ流していた。
「うッ・・・!なっ何なんだよコイツはッ・・・」
「ギィー!ギギギィーッ!!」
肉の塊から突如、甲高い生き物の鳴き声のようなものがした。その体表には、それまでなかった口が肉を割いて出現し、人が歯を食いしばっているように見えた。
不気味で嫌悪感を抱く見た目をしたソレを、朱影はすぐさま振り払い矛先から吹き飛ばす。
勢いよく壁にぶつかったソレは、血を垂れ流しながらも、逃げるように水中へと飛び込んでいった。
「何だよアレ・・・。あんなモンスター見たこと無いぞ・・・!?」
アサシンのクラスによる補正のおかげで、暗い中でも暗視できるようになっていたシンは、反対側に逃げた朱影が小さな奇形のモンスターに襲われているのを見ていた。
水中に消えた大きな何かから吐き出された小型のモンスターは、何故先に朱影の方に向かって集まっていったのか。距離的には丁度二人の中間辺りに飛来した筈。単純に考えられるシンと朱影の違いはと言うと・・・。
「ライトだッ!光を察知してるんじゃッ!?」
「チッ・・・!!」
床に落ちたライトを通路の先に蹴り飛ばす朱影。ガリガリと地面に表面を削られる音が、下水道に響き渡る。
しかし、モンスター達はそれでも朱影の方に向かって行く。
「何だッ!この!群がんじゃねぇよ、気持ち悪りぃッ!!」
モンスター達は光に誘われて群がっている訳ではなかった。ライトを手放した今、シンと朱影に生物として見分ける違いなどない。
まさか、シンが現実世界に生きる人間であると判断している訳でもあるまい。もしそうなら、シンを優先して狙ってきている筈だからだ。
「何で朱影の方に・・・まさか・・・」
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だが、シンの予想とは反し、手持ちのアイテムは全て失われているのか。或いは取り出せないのかは分からないが、使おうと思っていた道具が用意出来ない。
代わりになるものはないかと周囲を見渡す。すると、何処から流れてきたものか、水の中にいくつかのゴミが浮かんでいるのが見えた。
朱影からは離れてしまうが、今は仕方がないと逃げた先の通路へと走り出していく。遠のいていく足音に、逃げたのかと少し苛立ちが表情に出てくる朱影。
だが、それもすぐ誤解だと分かる。すぐに足音は朱影の方へと再び近づいて来る。
「これでッ・・・どうだッ!!」
持ってきたゴミの入った袋を、水路を挟んだ向こう側の通路へと投げるシン。ゴミ袋は壁にぶつかると、中に入っていたペットボトルや弁当の容器などを撒き散らし、大きな音を下水道に響かせた。
シンが考えたのは、光ではなく音だった。戦いの最中にある朱影では、物音を消すのは不可能。ならばそれよりも大きな音を立ててやれば、そっちへ誘導できるのではないだろうか。
大きな音を立てるだけなら声を出しても良かったが、人の声も分析のデータになりかねない。もしこの下水道や、付近の地上に彼らを追っていた何者かがいたら、自ら厄介ごとを招く結果に繋がると思ってのことだった。
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