723 / 1,646
国境も時代も飛び越えて
しおりを挟む
弥上の反応を見て、明庵はある確証を得ていた。それは彼が、依頼先の相手や同僚から向けられる目線や言葉と、同じものを弥上が向けてきたからだった。
「そうか、分かった。休養中なのに、何度も同じようなことを説明させて済まない」
「いや、別に構わねぇよ・・・。それに警察の奴らより、何だか圧も感じなかったし・・・」
警察が聴取に来た時は、二人組の男達が来て如何にも職務ですといった様子で、淡々と質問をされたそうだ。そして、会話をする者の後ろで、逐一メモを取られるのが彼にとって精神的にやられる要因だったと話した。
「アンタ、変わってるな。仕事っつぅよりも自分の為にやってるみたいな・・・」
「そんな事はないさ。それじゃぁこれでお暇させてもらうよ」
明庵は彼に見せていたスマートフォンと、飛ばしていたドローンを折りたたみ鞄へしまうと、彼の個別スペースから出ようとした。が、明庵は一つ忘れていたといった様子で振り返り、弥上のベッドへ近づいて懐から名刺を取り出し彼に渡した。
「もし何か思い出したら、ここへ連絡をくれないか?どんな些細なことでも構わない。・・・特に最後に話したような、奇妙な体験があれば是非教えて欲しい。事故前の出来事でも構わないから」
「へぇ~。サイバーエージェントのお知り合いなんて初めてだよ。分かった、何かあったら連絡する」
快く受け入れてくれた弥上が、名刺を貰った後に握手を求めるように手を明庵へ差し出した。一瞬どうしたものかと悩んだ明庵だったが、折角話してくれた彼への敬意を示さなければと、その手を握る。
「アンタ変わってるけど、嫌な人間じゃなさそうだ」
「周りの人間は俺のことを変人と呼ぶがな・・・」
そう言って手を離し、個人スペースを立ち去る明庵。彼のバイクがどこへ行ったのか、彼の身に何が起きたのか詳しいことまでは分からなかったが、それでも収穫はあった。
弥上には離していなかったが、彼の記憶データをスキャンした際に、改造ドローンに備わっている不可視のものを検知する機能を使い、事故当時のデータを調べていた。
その結果、彼が事故を避けようとハンドルを切る前に、僅かに反応があったのだ。それは間違いなく、高速道路で朱影が車とは別に、機動力のある足を手に入れようと弥上のバイクに乗り込んだ時のものだった。
「何かが彼のバイクに接触した・・・。そしてそれを奪い、何処かへ向かったんだ。だが何処へ?タイヤ痕は現場から数メートルしか残されていない。向き的にはセントラルで間違いないが・・・。まだ東京にいるのか?」
今の明庵に出来るのは、異変の検知と憶測だけ。それ以上の情報を得るには、ドローンや携帯端末のアップデートが必要になる。しかし、その方法も何を追加すればいいのか分からない。
そして、明庵はバイクを持ち去った人物は、慎を何処かへ連れ去った黒いコートの何者かなのではないかと踏んでいた。今ある情報だけではそう思わざるを得ないのが、正直なところ。
弥上から得たデータを繰り返し確認しながら病室を後にし、エレベーターを降りていると、事件現場に残されていた何かの跡らしきものを送った武器マニアの知人から、メッセージが届いていた。
「もう解析が終わったのか・・・?」
すぐに映像を止め、メッセージを開くと、そこには複数枚の画像データとそれに関する説明が載せられていた。
どうやら高速道路上に残されていた跡は、国や時代を問わず様々なものが使われた可能性が高いという趣旨で、写真と跡を並べて説明文として考察と検証から行き着いた種類の槍が並び連ねてあったのだ。
武器マニアとして血が騒いだのか、聞いてもいないような詳しい用途や時代背景なども記載されていたことから、彼の見立てに間違いはないように思える。
真っ先に明庵の脳裏に過ったのは、時代や国がバラバラな為、特定ができないという点だった。すぐに全世界の警察が扱っている事件の記事を確認する。
だが、何処にも大量の武器が盗まれたというような事件は発生していない。わざわざ警察のデータベース上を確認しなくとも、それが真実であることは分かった。
そこまで大掛かりな窃盗が実行されたとあらば、確実に世界的な大ニュースとなっていることだろう。
つまり、とても現実的ではないが、既存する世界中の槍を使ったのではなく、新たに作り出された物か、或いは何処からか持って来たかということになる。
「どういう事だ・・・。それ程の武器をどうやって調達した?それとも、奴らは別の次元、別の世界へ移動することができるとでもいうのか・・・?」
あり得ないもの追う彼であっても、流石にその発想に行き着くのはおかしくなったとしか思えなかった。だが、常識に囚われていては彼の求めるものには追いつけない。
現に、人間が目の前で消える現象を目撃しているのだ。明庵の追う“異変“に関わる重要人物は、時代や国を飛び越えた異次元の存在であることも、念頭に置いておかねばならないだろう。
「そうか、分かった。休養中なのに、何度も同じようなことを説明させて済まない」
「いや、別に構わねぇよ・・・。それに警察の奴らより、何だか圧も感じなかったし・・・」
警察が聴取に来た時は、二人組の男達が来て如何にも職務ですといった様子で、淡々と質問をされたそうだ。そして、会話をする者の後ろで、逐一メモを取られるのが彼にとって精神的にやられる要因だったと話した。
「アンタ、変わってるな。仕事っつぅよりも自分の為にやってるみたいな・・・」
「そんな事はないさ。それじゃぁこれでお暇させてもらうよ」
明庵は彼に見せていたスマートフォンと、飛ばしていたドローンを折りたたみ鞄へしまうと、彼の個別スペースから出ようとした。が、明庵は一つ忘れていたといった様子で振り返り、弥上のベッドへ近づいて懐から名刺を取り出し彼に渡した。
「もし何か思い出したら、ここへ連絡をくれないか?どんな些細なことでも構わない。・・・特に最後に話したような、奇妙な体験があれば是非教えて欲しい。事故前の出来事でも構わないから」
「へぇ~。サイバーエージェントのお知り合いなんて初めてだよ。分かった、何かあったら連絡する」
快く受け入れてくれた弥上が、名刺を貰った後に握手を求めるように手を明庵へ差し出した。一瞬どうしたものかと悩んだ明庵だったが、折角話してくれた彼への敬意を示さなければと、その手を握る。
「アンタ変わってるけど、嫌な人間じゃなさそうだ」
「周りの人間は俺のことを変人と呼ぶがな・・・」
そう言って手を離し、個人スペースを立ち去る明庵。彼のバイクがどこへ行ったのか、彼の身に何が起きたのか詳しいことまでは分からなかったが、それでも収穫はあった。
弥上には離していなかったが、彼の記憶データをスキャンした際に、改造ドローンに備わっている不可視のものを検知する機能を使い、事故当時のデータを調べていた。
その結果、彼が事故を避けようとハンドルを切る前に、僅かに反応があったのだ。それは間違いなく、高速道路で朱影が車とは別に、機動力のある足を手に入れようと弥上のバイクに乗り込んだ時のものだった。
「何かが彼のバイクに接触した・・・。そしてそれを奪い、何処かへ向かったんだ。だが何処へ?タイヤ痕は現場から数メートルしか残されていない。向き的にはセントラルで間違いないが・・・。まだ東京にいるのか?」
今の明庵に出来るのは、異変の検知と憶測だけ。それ以上の情報を得るには、ドローンや携帯端末のアップデートが必要になる。しかし、その方法も何を追加すればいいのか分からない。
そして、明庵はバイクを持ち去った人物は、慎を何処かへ連れ去った黒いコートの何者かなのではないかと踏んでいた。今ある情報だけではそう思わざるを得ないのが、正直なところ。
弥上から得たデータを繰り返し確認しながら病室を後にし、エレベーターを降りていると、事件現場に残されていた何かの跡らしきものを送った武器マニアの知人から、メッセージが届いていた。
「もう解析が終わったのか・・・?」
すぐに映像を止め、メッセージを開くと、そこには複数枚の画像データとそれに関する説明が載せられていた。
どうやら高速道路上に残されていた跡は、国や時代を問わず様々なものが使われた可能性が高いという趣旨で、写真と跡を並べて説明文として考察と検証から行き着いた種類の槍が並び連ねてあったのだ。
武器マニアとして血が騒いだのか、聞いてもいないような詳しい用途や時代背景なども記載されていたことから、彼の見立てに間違いはないように思える。
真っ先に明庵の脳裏に過ったのは、時代や国がバラバラな為、特定ができないという点だった。すぐに全世界の警察が扱っている事件の記事を確認する。
だが、何処にも大量の武器が盗まれたというような事件は発生していない。わざわざ警察のデータベース上を確認しなくとも、それが真実であることは分かった。
そこまで大掛かりな窃盗が実行されたとあらば、確実に世界的な大ニュースとなっていることだろう。
つまり、とても現実的ではないが、既存する世界中の槍を使ったのではなく、新たに作り出された物か、或いは何処からか持って来たかということになる。
「どういう事だ・・・。それ程の武器をどうやって調達した?それとも、奴らは別の次元、別の世界へ移動することができるとでもいうのか・・・?」
あり得ないもの追う彼であっても、流石にその発想に行き着くのはおかしくなったとしか思えなかった。だが、常識に囚われていては彼の求めるものには追いつけない。
現に、人間が目の前で消える現象を目撃しているのだ。明庵の追う“異変“に関わる重要人物は、時代や国を飛び越えた異次元の存在であることも、念頭に置いておかねばならないだろう。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に流されて…!?
藤城満定
ファンタジー
東京発沖縄着の船で修学旅行に出港した都立東品川高等学校2年4組の生徒35人は出港して2時間が過ぎた頃に突然の嵐に巻き込まれてしまい、船が転覆してしまって海に投げ出されてしまった。男子生徒の宮間景太郎が目を覚ますと、そこはどこかの森の中だった。海に投げ出されたのに、何で森の中にいるんだ?不思議に思って呆然としていたら、森の奥から聞き覚えのある女子生徒達の悲鳴が聞こえてきた。考えるより先に体が動いた。足元にあった折れて先端が尖った木の枝と石コロを取って森の奥へと駆け出した。そこには3人の女子生徒が5匹の身長160cmくらいの緑色の肌色のバケモノに襲われていた。そのバケモノは異世界アニメやコミックでお馴染みのゴブリン?だった。距離は10mはある。短剣を持ったのと木製の棍棒を持ったゴブリンの内、棍棒を持ったのがソレを振り下ろすのを防ぐのは無理な距離。ならばと、拾っておいた石コロを全力投球投。全くの無警戒だった場所からかならの威力で投げられた石コロが頭に命中して、そのまま倒れてしまったので他のゴブリン共も動揺した。その隙に女子生徒達とゴブリン共の間に立ち塞がり、拾った木の枝(棒?)を振り回して距離を置き、斃したゴブリンから棍棒を拾ってそこからはタコ殴りに殴りまくった。棍棒や短剣を弾くと、頭、首、肩、腕、足と、それはもうフルボッコのボッコボコにして斃してから暫くして女子生徒達に「大丈夫か?」と声をかけると、3人ともポカーンと口を開けて呆然としていた。まあ、無理もない。何故なら景太郎はクラスでは寡黙で、いつも1人で行動しているそれは、ぶっちゃけて言うと、完全な『ボッチくん』だったからだ。そんな景太郎が自分達の命を助けてくれた。それも今まで誰も見た事のない熱く必死な戦い方でだ。これは謂わゆる『吊り橋効果』ではあるが、こうまで男らしい姿を見せられては惚れるなというほうが無理だろう。その瞬間から女子達による景太郎の取り合い合戦が始まった。
【毎週火曜日に投稿します】
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる