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砂の部屋
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イヅツは密かに腰に手を回し、背後で剣を取り出すと彼のクラスである魔剣の力で、周囲を取り囲む砂を一蹴する。
「エア・フォースッ!」
「うッ・・・!風だと!?めんどくせぇ相手だなぁ」
部屋のあちこちへ砂が吹き飛び、壁や天井、床を打ち付ける音が砂浜に吹く風のように心地の良い環境音として聞こえてくる。
デューンの拳はイヅツの起こした風に阻めれ、その勢いを殺していた。これ以上は深傷になると思ったのか、すぐに飛び退き距離を取ると別の手段を考案する。
「アンタと俺は相性最悪だぜぇ?この手の相手は、やりづらくてしょうがねぇ・・・」
「そうか?もっと語らないと分からない・・・だろッ?」
攻撃を中断し離れたデューンに対し、距離を詰めるでもなく剣先を床に滑らせるように前へ持ってきて振り上げるイヅツ。到底彼の攻撃が当たるような距離ではなかったが、勿論物理的に剣で攻撃するつもりではなかった。
振り上げた剣の動きに合わせるように、部屋の中に幾つかの歪みが生じる。するとその歪みは、デューンに向けて旋風のように飛んでいく。
それをデューンは避けられるものは避け、避けられないものを拳で物理的に相殺させた。その手は硬いものを殴ったかのように、血が滲んでいた。
「ってぇ~・・・。随分な挨拶じゃないか」
「最初にしてきたのは、お前じゃないか」
「アンタは奇妙なことを言うねぇ。一方的に“挨拶“するから楽しいんじゃないか。返事なんて期待しちゃいないんだよ」
暴力は一方的だからこそ愉快なもの。反撃されることなど望んではいないと言うデューンは、そのまま自身の身体を砂に変え、何処かへと消えていこうとする。
当然、それを黙って見ているイヅツではなく、逃がすまいと距離を詰め床に剣を突き刺すと、隙間からまるで温泉でも掘り起こしたかのように水が吹き上がる。
デューンのサラサラとした砂は、イヅツの起こした水に触れると泥へと変わり、その動きを鈍らせる。しかし、デューンは既に全身を砂に変えており、何処へ逃げたか分からなくなってしまう。
「クソッ・・・!間に合わなかったか?」
「おいおい、ただの風使いってだけじゃなく、水まで扱えるのか!?汚ねぇぞ!」
「戦いの最中に姿を消すお前に、言われたくはないな」
「まさか俺が逃げるとでも思ってるぅ?んな訳ねぇんだよな。確かに能力的にはアンタの方が有利かもしれねぇが、環境は俺の味方らしいな」
最早デューンの姿はなく、部屋の何処からか聞こえてくる彼の声に耳を傾ける。イヅツの周囲や室内に集まっていた砂は水により固まる。もしデューンがこの固まった砂の中にいるのなら、身動きが取れないはず。
すると、部屋の至る隙間という隙間からどんどんと砂が送り込まれてくる。それこそ部屋を埋め尽くさんと言わんばかり。それが更に固まることで、今度はイヅツの動きも鈍り始めてしまう。
「まさかこれ程の量とは・・・!」
「墓穴を掘ったなぁ!攻めてるつもりだったかい?残念!追いつけられてたのはアンタの方だったなぁ!」
イヅツは急ぎ脱出用の通路を確保するため、剣を振るい風の刃を飛ばし窓を破壊する。しかし、押し寄せて来たのは外の風ではなく大量の砂。今度は扉を破壊してみるも、結果は同じだった。
「こっちもか・・・。突破口は自分で切り開くしかないようだ」
彼が次に試したのは、水を吸い込み固まっていく砂を、地属性の魔法でより強固に固めていく。それこそ、その塊の上に立てるほどに。
「固まれば俺にも対処可能だ。アースブレイク!」
魔法剣から放たれたスキルにより、床の上に敷き詰められた地面のように固まった砂を砕き、下の階層へと落ちていくイヅツ。
一階はまだ砂に侵されておらず、その隙にイヅツは外へと出る。
「チッ・・・!外に出られちまったか・・・。まぁ仕方がねぇ、アイツらの後を追わせねぇように遊んでやるか」
二階の窓から逃げるイヅツの様子を伺っていたデューン。再び砂になり上空を風に乗るように飛んでいくと、ハッカー集団のNAに関係している二人の男が逃げた方角への道を、先回りして封鎖しに向かう。
「エア・フォースッ!」
「うッ・・・!風だと!?めんどくせぇ相手だなぁ」
部屋のあちこちへ砂が吹き飛び、壁や天井、床を打ち付ける音が砂浜に吹く風のように心地の良い環境音として聞こえてくる。
デューンの拳はイヅツの起こした風に阻めれ、その勢いを殺していた。これ以上は深傷になると思ったのか、すぐに飛び退き距離を取ると別の手段を考案する。
「アンタと俺は相性最悪だぜぇ?この手の相手は、やりづらくてしょうがねぇ・・・」
「そうか?もっと語らないと分からない・・・だろッ?」
攻撃を中断し離れたデューンに対し、距離を詰めるでもなく剣先を床に滑らせるように前へ持ってきて振り上げるイヅツ。到底彼の攻撃が当たるような距離ではなかったが、勿論物理的に剣で攻撃するつもりではなかった。
振り上げた剣の動きに合わせるように、部屋の中に幾つかの歪みが生じる。するとその歪みは、デューンに向けて旋風のように飛んでいく。
それをデューンは避けられるものは避け、避けられないものを拳で物理的に相殺させた。その手は硬いものを殴ったかのように、血が滲んでいた。
「ってぇ~・・・。随分な挨拶じゃないか」
「最初にしてきたのは、お前じゃないか」
「アンタは奇妙なことを言うねぇ。一方的に“挨拶“するから楽しいんじゃないか。返事なんて期待しちゃいないんだよ」
暴力は一方的だからこそ愉快なもの。反撃されることなど望んではいないと言うデューンは、そのまま自身の身体を砂に変え、何処かへと消えていこうとする。
当然、それを黙って見ているイヅツではなく、逃がすまいと距離を詰め床に剣を突き刺すと、隙間からまるで温泉でも掘り起こしたかのように水が吹き上がる。
デューンのサラサラとした砂は、イヅツの起こした水に触れると泥へと変わり、その動きを鈍らせる。しかし、デューンは既に全身を砂に変えており、何処へ逃げたか分からなくなってしまう。
「クソッ・・・!間に合わなかったか?」
「おいおい、ただの風使いってだけじゃなく、水まで扱えるのか!?汚ねぇぞ!」
「戦いの最中に姿を消すお前に、言われたくはないな」
「まさか俺が逃げるとでも思ってるぅ?んな訳ねぇんだよな。確かに能力的にはアンタの方が有利かもしれねぇが、環境は俺の味方らしいな」
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すると、部屋の至る隙間という隙間からどんどんと砂が送り込まれてくる。それこそ部屋を埋め尽くさんと言わんばかり。それが更に固まることで、今度はイヅツの動きも鈍り始めてしまう。
「まさかこれ程の量とは・・・!」
「墓穴を掘ったなぁ!攻めてるつもりだったかい?残念!追いつけられてたのはアンタの方だったなぁ!」
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魔法剣から放たれたスキルにより、床の上に敷き詰められた地面のように固まった砂を砕き、下の階層へと落ちていくイヅツ。
一階はまだ砂に侵されておらず、その隙にイヅツは外へと出る。
「チッ・・・!外に出られちまったか・・・。まぁ仕方がねぇ、アイツらの後を追わせねぇように遊んでやるか」
二階の窓から逃げるイヅツの様子を伺っていたデューン。再び砂になり上空を風に乗るように飛んでいくと、ハッカー集団のNAに関係している二人の男が逃げた方角への道を、先回りして封鎖しに向かう。
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