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いざ、横浜へ
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神奈川県ノースシティ某所。
プレジャーフォレストでも調査を終え、その地を後にしたシンとにぃなは、そこで拠点を築くコウやヴァンらに惜しまれながらも、別の調査地を目指して移動していた。
にぃなの強い希望により、神奈川の中でも最も人が多く集まるであろうと予想した横浜を目指すことにした。
「いいのか?俺達はノースシティ、つまり北部担当だろ?勝手に中心部なんかに行ったりしたら・・・」
「いいの!どうせ上の連中は気にしてなんかないんだもん。どこ探しても一緒!それに、人が集まる場所の方が情報は得られやすいでしょ?私達に下されたのは“神奈川の調査“何だから、神奈川のエリアから出なければ問題ないでしょ?」
「それはそうかもしれないけど・・・」
神奈川の調査に送り込まれたのは複数人いる。現在の日本は、大まかに東西南北に分かれて“シティ“呼びされている。その中でも特に人が多く住むエリアを“セントラル“と呼んでいる。
故に時代や人の流れによって、それらが変わることもある。彼らに言い渡されたノースシティの調査というのも、厳守すべきものではなく、あくまでも調査するにあたり、エリアを限定させて効率化を図るもの。
遅かれ早かれ、調査が終わればフィアーズの上層部は細かいことなど気にはしていない。
「前から行ってみたかったんだよねぇ~横浜!中華街にシーパラダイスに赤レンガ倉庫!ん~楽しみぃ~!」
「はぁ~・・・。人が多いってことは、それだけ危険もありそうなもんだけどなぁ・・・」
煌びやかなセントラルに期待に胸を躍らせるにぃなと、同じく楽しみな気持ちはあるものの、プレジャーフォレストの時のような襲撃や危険があるのではないかと、不安に駆られるシン。
二人を乗せた無人タクシーは、順調に横浜へと向かう。その途中、二人に対しとある人物からメッセージが届く。
「ん?何だ・・・?」
「え、私もぉ~。誰だろ?」
彼らにメッセージを送ったのは、同じく神奈川エリアの調査を言い渡されていた筈の、“蒼空“(ソラ)という人物から、神奈川調査チーム宛に全員へメッセージを送っていた。
《このメッセージを見た人へ。すぐにセントラルの横浜、赤レンガ倉庫へ来て欲しい。人手が必要だ、頼む》
「丁度行こうとしてたところじゃないか」
しかし、彼のメッセージに対する神奈川調査チームの反応は冷たいものだった。元々チームワークのあるメンバーではなく、それどころかシンは面識すらない者が殆どだ。
どうやらにぃなもそれに関しては同じらしく、殆どのメンバーを知らない。これもフィアーズが離反者を出さないようにしている対策なのだろう。同じメンバーで固めてしまうと友好関係が生まれやすく、不平や不満を共通認識として捉えやすくなり、組織から逃げ出そうとする者が多くなる。
任務への期待はしていなくとも、反乱や離反への対策はしている。それは恐れからではなく、単純に実験に使うモルモットの数が減ることを危惧してのことだった。
《私は行けない。ごめん》
《俺もパス。やる事あるし》
そこに記されていたのは、皆断りのメッセージしかなかった。
「みんな行かないみたいだな・・・。何か冷たくない?」
「そうでもないよ。だって、初めて会った時だって、みんな好き勝手に散らばって行ったでしょ?エリアが限られてるとはいえ、監視もない自由行動だもの。一人でゆっくり満喫したいと思うもんじゃない?」
にぃなの言うことも最もだった。気の知れた者達とならまだしも、全く素性もしれない赤の他人と行動を共にしていては、フィアーズに監視されている時と何ら変わらない。
限られた自由の中で、精神的にも拘束されていてはやっていけない。場合によっては衝突も生まれるだろう。
「まぁ・・・それもそうか。で、どうする?俺達丁度横浜に向かっちゃってるけど?」
「ん~・・・。まぁ丁度赤レンガ倉庫も行ってみたい候補に入ってるし。順番なんかどうでもいいもんね、行ければ」
シン達は様子見がてら、蒼空のいると思われる赤レンガ倉庫へ向かうことにした。にぃなは蒼空に、シンと共に向かうというメッセージを全体メッセージではなく、個人のメッセージへ送る。
変に他の者達に、頼めば手伝ってくれる都合のいい奴と思われたくないからなのだと彼女は話した。以前にそういった者を組織内でみたことがあるのだという。
しかし、その者は会う度に疲労が目に見えて溜まっているのが分かるほど変化していき、その内姿すら見かけなくなったのだとか。
初めの内は、ただ会うタイミングがなくなっただけだと思っていたが、以前に一緒にいるのを見かけたことのある者に、その人物がどうしているのか訪ねてみると、与えられた任務が疎かになっていったことを上層部に知られ、使い物にならなくなったと判断されたのか、実験に使われいなくなったのだと言われたそうだ。
そういった者は少なくなく、自身のおかれている状況に対する不安や、先行きの見えない現状から人との接触を求める、謂わば仲間や友人といった関係を築こうとする者に多い傾向なのだそうだ。
基本、一人行動が好きな者達が多い中で、そういった行為を求める者は疎ましく思われ、都合のいいように利用されるのがオチだと、にぃなは語る。
不安を抱えているのは自分だけではない。そんな中で他人の面倒まで見てられない。個人だったらそう思うのも分からなくはない。
だが、シンやにぃな、イヅツらのように大きな目的がある中で集まった者達であれば、そういった事態にはなりずらい。
「それに、もしかしたらこの蒼空って人も、組織から抜けたいと思ってるかもしれないし・・・ね?」
手を貸してくれる味方は一人でも多い方がいい。フィアーズからの離反を目論む彼らにとって、蒼空という人物に恩を売っておくのは悪い話ではない。だが、危険は冒せない。あくまで協力するのは、様子を見てからだ。
そして二人を乗せた車は、神奈川でも多くの人が集まるセントラルの繁華街、横浜へと向かう。
プレジャーフォレストでも調査を終え、その地を後にしたシンとにぃなは、そこで拠点を築くコウやヴァンらに惜しまれながらも、別の調査地を目指して移動していた。
にぃなの強い希望により、神奈川の中でも最も人が多く集まるであろうと予想した横浜を目指すことにした。
「いいのか?俺達はノースシティ、つまり北部担当だろ?勝手に中心部なんかに行ったりしたら・・・」
「いいの!どうせ上の連中は気にしてなんかないんだもん。どこ探しても一緒!それに、人が集まる場所の方が情報は得られやすいでしょ?私達に下されたのは“神奈川の調査“何だから、神奈川のエリアから出なければ問題ないでしょ?」
「それはそうかもしれないけど・・・」
神奈川の調査に送り込まれたのは複数人いる。現在の日本は、大まかに東西南北に分かれて“シティ“呼びされている。その中でも特に人が多く住むエリアを“セントラル“と呼んでいる。
故に時代や人の流れによって、それらが変わることもある。彼らに言い渡されたノースシティの調査というのも、厳守すべきものではなく、あくまでも調査するにあたり、エリアを限定させて効率化を図るもの。
遅かれ早かれ、調査が終わればフィアーズの上層部は細かいことなど気にはしていない。
「前から行ってみたかったんだよねぇ~横浜!中華街にシーパラダイスに赤レンガ倉庫!ん~楽しみぃ~!」
「はぁ~・・・。人が多いってことは、それだけ危険もありそうなもんだけどなぁ・・・」
煌びやかなセントラルに期待に胸を躍らせるにぃなと、同じく楽しみな気持ちはあるものの、プレジャーフォレストの時のような襲撃や危険があるのではないかと、不安に駆られるシン。
二人を乗せた無人タクシーは、順調に横浜へと向かう。その途中、二人に対しとある人物からメッセージが届く。
「ん?何だ・・・?」
「え、私もぉ~。誰だろ?」
彼らにメッセージを送ったのは、同じく神奈川エリアの調査を言い渡されていた筈の、“蒼空“(ソラ)という人物から、神奈川調査チーム宛に全員へメッセージを送っていた。
《このメッセージを見た人へ。すぐにセントラルの横浜、赤レンガ倉庫へ来て欲しい。人手が必要だ、頼む》
「丁度行こうとしてたところじゃないか」
しかし、彼のメッセージに対する神奈川調査チームの反応は冷たいものだった。元々チームワークのあるメンバーではなく、それどころかシンは面識すらない者が殆どだ。
どうやらにぃなもそれに関しては同じらしく、殆どのメンバーを知らない。これもフィアーズが離反者を出さないようにしている対策なのだろう。同じメンバーで固めてしまうと友好関係が生まれやすく、不平や不満を共通認識として捉えやすくなり、組織から逃げ出そうとする者が多くなる。
任務への期待はしていなくとも、反乱や離反への対策はしている。それは恐れからではなく、単純に実験に使うモルモットの数が減ることを危惧してのことだった。
《私は行けない。ごめん》
《俺もパス。やる事あるし》
そこに記されていたのは、皆断りのメッセージしかなかった。
「みんな行かないみたいだな・・・。何か冷たくない?」
「そうでもないよ。だって、初めて会った時だって、みんな好き勝手に散らばって行ったでしょ?エリアが限られてるとはいえ、監視もない自由行動だもの。一人でゆっくり満喫したいと思うもんじゃない?」
にぃなの言うことも最もだった。気の知れた者達とならまだしも、全く素性もしれない赤の他人と行動を共にしていては、フィアーズに監視されている時と何ら変わらない。
限られた自由の中で、精神的にも拘束されていてはやっていけない。場合によっては衝突も生まれるだろう。
「まぁ・・・それもそうか。で、どうする?俺達丁度横浜に向かっちゃってるけど?」
「ん~・・・。まぁ丁度赤レンガ倉庫も行ってみたい候補に入ってるし。順番なんかどうでもいいもんね、行ければ」
シン達は様子見がてら、蒼空のいると思われる赤レンガ倉庫へ向かうことにした。にぃなは蒼空に、シンと共に向かうというメッセージを全体メッセージではなく、個人のメッセージへ送る。
変に他の者達に、頼めば手伝ってくれる都合のいい奴と思われたくないからなのだと彼女は話した。以前にそういった者を組織内でみたことがあるのだという。
しかし、その者は会う度に疲労が目に見えて溜まっているのが分かるほど変化していき、その内姿すら見かけなくなったのだとか。
初めの内は、ただ会うタイミングがなくなっただけだと思っていたが、以前に一緒にいるのを見かけたことのある者に、その人物がどうしているのか訪ねてみると、与えられた任務が疎かになっていったことを上層部に知られ、使い物にならなくなったと判断されたのか、実験に使われいなくなったのだと言われたそうだ。
そういった者は少なくなく、自身のおかれている状況に対する不安や、先行きの見えない現状から人との接触を求める、謂わば仲間や友人といった関係を築こうとする者に多い傾向なのだそうだ。
基本、一人行動が好きな者達が多い中で、そういった行為を求める者は疎ましく思われ、都合のいいように利用されるのがオチだと、にぃなは語る。
不安を抱えているのは自分だけではない。そんな中で他人の面倒まで見てられない。個人だったらそう思うのも分からなくはない。
だが、シンやにぃな、イヅツらのように大きな目的がある中で集まった者達であれば、そういった事態にはなりずらい。
「それに、もしかしたらこの蒼空って人も、組織から抜けたいと思ってるかもしれないし・・・ね?」
手を貸してくれる味方は一人でも多い方がいい。フィアーズからの離反を目論む彼らにとって、蒼空という人物に恩を売っておくのは悪い話ではない。だが、危険は冒せない。あくまで協力するのは、様子を見てからだ。
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