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オルレラ一日目
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窓の外から聞こえてくる鳥の囀りで目を覚ます。陽の光が部屋へ差し込み、暖かな空気と明るさが瞼の裏からでも確認できる。
ソファーに寝ていたツクヨの顔に、窓からの日差しが差し掛かると、その眩しさで彼は身体を起こした。
重たい瞼をゆっくりと開きながら、ミア達の寝ている寝室の方へ視線を送る。扉は寝る前に確認した時と変化がない。
エディ邸に泊めさせてもらった記憶はあるが、ミア達が起きているのか、今が何時なのかなど、先ずは状況を確かめる為に重たい身体を起こして、寝室の方へと向かうツクヨ。
足音に気をつけながら覗き込むと、二人はまだベッドで寝ていた。窓はカーテンが閉められ、ツクヨのいた広間よりもまだ暗い。起こしては悪いと気を使ったツクヨは、そのまま音を立てずに寝室を後にし、借りていた部屋から屋敷の廊下へと出る。
夜の時に通った廊下とは違い、何処からか食器の音だろうか、生活音も聞こえていた。エディや使用人、それに昨夜は遅くて面会する事のなかった彼の妻や娘もいるはず。
先ずは挨拶や泊めてもらったことに対するお礼も兼ねて、顔を出しに行こうと一階へ降りる階段へと向かう。
するとその途中、廊下の奥の角から曲がって来た人物が視界に入る。それはこの屋敷の持ち主であるエディと、同じくらいの年齢の女性だった。恐らくこの人がエディの妻なのだろう。
そこで初めてツクヨ達の存在を知ったであろうことを考え、すぐに自分が何者であるか、昨夜旦那のエディとのやり取りを説明しようと、その女性の元へ向かうツクヨ。
「おはようございます。私は・・・」
しかし、どうやら彼女は事情を既に誰かから聞いていたらしく、驚きや慌てるといった様子もなく、上品な返しで対応された。
「あら、ごきげんよう。話は主人から伺っているわ。丁度朝食の準備が出来たから、挨拶も兼ねてお呼びしようと思っていたのよ」
休める場所を提供してくれただけでなく、朝食まで用意してくれたエディ夫妻に感謝しつつ、共にミア達を呼びにツクヨは部屋まで戻る。
彼女はパウラといい、エディと共に交易の仕事をしながら暮らしているのだという。地方の村で生まれた彼女は、頻繁に仕事で訪れていたエディと出会う。
そして、人の出入りは多いものの、大きな事件や危険もないこの街で、静かな日々を送っていた。
パウラの昔話を聴きながら部屋へ着いた二人。まだ寝ているミアを起こしてくると言い、パウラを部屋の外で待たせ、急ぎ二人のいる寝室へ向かうツクヨ。
だが、既にミアは起きており、洗面所の方から水の音が聞こえてくるので、顔でも洗っているのかと、ツクヨは扉をノックしエディの奥さんが朝食の準備が出来ていることを知らせに来てくれたと、これまでの経緯を説明した。
ミアはすぐに行くと返事をした為、ツクヨはまだ姿の見えないツバキを探しに寝室の方へと向かう。すると彼は、まだ気持ち良さそうにベッドの上で横になっていた。
初めは強引に起こして連れて行こうと思っていたが、そのあまりにも気持ち良さそうな寝顔を見て、その小さな身体に蓄積された疲れを思うと、ツクヨを思いとどまらせた。
パウラにはまだ寝ていたと伝え、遅れ部屋から出てきたミアと共に、ツバキを残して食卓へと三人で向かった。
「おはよう。昨晩はよく眠れたかい?」
既に食卓についていたエディが、読んでいた新聞を机に置き、ミア達に語りかける。エディ夫妻は、ここにいる間はこの家を自分の部屋のように使ってくれて構わないと言ってくれた。
二人はその厚意に甘え、次の馬車が来るまでの間、お世話になることにした。
ただ、このままタダで面倒を見てもらうのも悪いと思い、自分達にできることはないかと話をする。
そこでミア達が冒険者であることを知ったエディは、この街にある冒険者ギルドのことを説明した。
国と国とを繋ぐ道の途中に位置するこの街は、“オルレラ“と呼ばれており、近隣諸国からの依頼も来ているのだという。
腕に自身のあった二人は、そこでの稼ぎで泊めてもらった礼をしようと決める。そして朝食を終えた後、エディに案内されて街のギルドへとやって来た二人は、そこでいくつかのクエストを受けていくことになる。
内容はこれと言って難しいものはなかった。クエストの内容や報酬を吟味して、ミアとツクヨはそれぞれいくつかの依頼をこなしていく。
その中で、ツクヨは戦闘をメインにした依頼をこなし、ミアは報酬の珍しいアイテムを目当てに依頼を受けていった。
戦闘を行うということもあり、ツクヨの依頼は度々オルレラの外で行われ、近くのダンジョンや商業人の馬車が通る道中のモンスター退治などが多く、ミアの依頼は、街中でのお使いや錬金術を活かしたものが多かった。
こうして二人は街の者達との交流を深め、瞬く間に一日が過ぎていった。
人の出入りが多い街と言われてはいるものの、毎日のように他国からの馬車がやって来るというものでもないのか、その日はミア達の目指すアークシティ方面へ向かう馬車は現れなかった。
仕方なく今日の分の稼ぎを手に、二人は再びエディ夫妻の屋敷へと戻ってくる。お礼なんかいいとエディは言ってくれたが、それでは二人の気が収まらないと、一部の金銭とアイテムを屋敷の収益へと加えた。
オルレラにやって来てから、忙しくはあったが穏やかな一日を過ごしたミア達は、再び昨夜のようにエディの貸してくれた一室で時を過ごす。
この時、ミアとツクヨは深く気にもとめていなかったが、ツバキが起きている姿を二人は目にしていなかった。
ソファーに寝ていたツクヨの顔に、窓からの日差しが差し掛かると、その眩しさで彼は身体を起こした。
重たい瞼をゆっくりと開きながら、ミア達の寝ている寝室の方へ視線を送る。扉は寝る前に確認した時と変化がない。
エディ邸に泊めさせてもらった記憶はあるが、ミア達が起きているのか、今が何時なのかなど、先ずは状況を確かめる為に重たい身体を起こして、寝室の方へと向かうツクヨ。
足音に気をつけながら覗き込むと、二人はまだベッドで寝ていた。窓はカーテンが閉められ、ツクヨのいた広間よりもまだ暗い。起こしては悪いと気を使ったツクヨは、そのまま音を立てずに寝室を後にし、借りていた部屋から屋敷の廊下へと出る。
夜の時に通った廊下とは違い、何処からか食器の音だろうか、生活音も聞こえていた。エディや使用人、それに昨夜は遅くて面会する事のなかった彼の妻や娘もいるはず。
先ずは挨拶や泊めてもらったことに対するお礼も兼ねて、顔を出しに行こうと一階へ降りる階段へと向かう。
するとその途中、廊下の奥の角から曲がって来た人物が視界に入る。それはこの屋敷の持ち主であるエディと、同じくらいの年齢の女性だった。恐らくこの人がエディの妻なのだろう。
そこで初めてツクヨ達の存在を知ったであろうことを考え、すぐに自分が何者であるか、昨夜旦那のエディとのやり取りを説明しようと、その女性の元へ向かうツクヨ。
「おはようございます。私は・・・」
しかし、どうやら彼女は事情を既に誰かから聞いていたらしく、驚きや慌てるといった様子もなく、上品な返しで対応された。
「あら、ごきげんよう。話は主人から伺っているわ。丁度朝食の準備が出来たから、挨拶も兼ねてお呼びしようと思っていたのよ」
休める場所を提供してくれただけでなく、朝食まで用意してくれたエディ夫妻に感謝しつつ、共にミア達を呼びにツクヨは部屋まで戻る。
彼女はパウラといい、エディと共に交易の仕事をしながら暮らしているのだという。地方の村で生まれた彼女は、頻繁に仕事で訪れていたエディと出会う。
そして、人の出入りは多いものの、大きな事件や危険もないこの街で、静かな日々を送っていた。
パウラの昔話を聴きながら部屋へ着いた二人。まだ寝ているミアを起こしてくると言い、パウラを部屋の外で待たせ、急ぎ二人のいる寝室へ向かうツクヨ。
だが、既にミアは起きており、洗面所の方から水の音が聞こえてくるので、顔でも洗っているのかと、ツクヨは扉をノックしエディの奥さんが朝食の準備が出来ていることを知らせに来てくれたと、これまでの経緯を説明した。
ミアはすぐに行くと返事をした為、ツクヨはまだ姿の見えないツバキを探しに寝室の方へと向かう。すると彼は、まだ気持ち良さそうにベッドの上で横になっていた。
初めは強引に起こして連れて行こうと思っていたが、そのあまりにも気持ち良さそうな寝顔を見て、その小さな身体に蓄積された疲れを思うと、ツクヨを思いとどまらせた。
パウラにはまだ寝ていたと伝え、遅れ部屋から出てきたミアと共に、ツバキを残して食卓へと三人で向かった。
「おはよう。昨晩はよく眠れたかい?」
既に食卓についていたエディが、読んでいた新聞を机に置き、ミア達に語りかける。エディ夫妻は、ここにいる間はこの家を自分の部屋のように使ってくれて構わないと言ってくれた。
二人はその厚意に甘え、次の馬車が来るまでの間、お世話になることにした。
ただ、このままタダで面倒を見てもらうのも悪いと思い、自分達にできることはないかと話をする。
そこでミア達が冒険者であることを知ったエディは、この街にある冒険者ギルドのことを説明した。
国と国とを繋ぐ道の途中に位置するこの街は、“オルレラ“と呼ばれており、近隣諸国からの依頼も来ているのだという。
腕に自身のあった二人は、そこでの稼ぎで泊めてもらった礼をしようと決める。そして朝食を終えた後、エディに案内されて街のギルドへとやって来た二人は、そこでいくつかのクエストを受けていくことになる。
内容はこれと言って難しいものはなかった。クエストの内容や報酬を吟味して、ミアとツクヨはそれぞれいくつかの依頼をこなしていく。
その中で、ツクヨは戦闘をメインにした依頼をこなし、ミアは報酬の珍しいアイテムを目当てに依頼を受けていった。
戦闘を行うということもあり、ツクヨの依頼は度々オルレラの外で行われ、近くのダンジョンや商業人の馬車が通る道中のモンスター退治などが多く、ミアの依頼は、街中でのお使いや錬金術を活かしたものが多かった。
こうして二人は街の者達との交流を深め、瞬く間に一日が過ぎていった。
人の出入りが多い街と言われてはいるものの、毎日のように他国からの馬車がやって来るというものでもないのか、その日はミア達の目指すアークシティ方面へ向かう馬車は現れなかった。
仕方なく今日の分の稼ぎを手に、二人は再びエディ夫妻の屋敷へと戻ってくる。お礼なんかいいとエディは言ってくれたが、それでは二人の気が収まらないと、一部の金銭とアイテムを屋敷の収益へと加えた。
オルレラにやって来てから、忙しくはあったが穏やかな一日を過ごしたミア達は、再び昨夜のようにエディの貸してくれた一室で時を過ごす。
この時、ミアとツクヨは深く気にもとめていなかったが、ツバキが起きている姿を二人は目にしていなかった。
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