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集会
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偵察隊とアズールがアジトへ戻った数分後、自ら現地に赴き事態の確認と仲間達の生存を確かめに行ったアズールは獣人族の仲間に伝言を伝え、会議場に今避難している全ての種族の代表者を集める。
エルフ族からは、人間と同じ大きさのエルフであるエイリルと数人の仲間が。そして今回の研究所襲撃で、脱出のルートを確保するという重大な役割を見事に果たした妖精のエルフ族が数名。
人間からは元々リナムルにいた住人達の中から代表の人物とその補佐役が数名。冒険者ギルドから派遣された者達からは、それぞれのチームのリーダーで動ける者が参加した。
リナムルへ商業目的で向かっていた商人達からは、商業組合の参加者が全員。そしてシン達のパーティーからは、研究所へ向かったシンとツクヨ、そしてリナムルで防衛を務めていたミアが参加した。
まだ子供であるツバキは集会に興味がないようで、自分の発明に関するリナムルの書物や研究所から持ち出された興味深い資料を読み漁っていた。
「すげぇ!流石最先端の研究施設があるっていうアークシティの知識だぜ!船にも使えそうな技術もいっぱいあるじゃねぇか!こりゃぁじじぃを超える日も案外近いかもなぁ~。・・・それにエルフ族の転移ポータルかぁ。俺もいつかそんな発明を・・・」
アカリはリナムルで起きた獣達による襲撃の際に、獣人族と共に獣を討ち払った紅葉の回復の為に静養しており、目を覚ました紅葉と共に薬草や植物の書物や、ツバキと同じく研究所の資料から治療薬や動物にも効く回復薬など、薬の知識を学んでいた。
一方の紅葉の身体は、以前のヒヨコの姿から成長しており、羽毛は僅かに赤く染まりつつあった。それがあの時アカリ達を襲った、獣にやられた獣人の魂を引き戻した事による影響なのかは分からない。
しかし、当の本人は特に異変がある様子もなければ、これまでと様子もさほど変わらない。研究所の資料には、森の野生動物に関する図鑑や生態の資料などもあったが、紅葉のような特徴を持つ鳥の事はまだ見つかっていない。
「貴方のその身体、どうしちゃったのかしらね?」
「ピィ?」
「でもよかったわ、貴方が無事で。私と貴方はずっと前から一緒だったように感じるの。きっと私の忘れてしまった記憶にも重要なヒントがある筈だわ・・・。いつか思い出せるといいのだけれど・・・」
「ピィィ・・・」
アカリの座る椅子の横に、まるで一緒に座るかのように隣の椅子にちょこんと乗った紅葉は、話しかけるアカリの言葉に頭を傾げている。ただの成長という割には、アカリの手に収まっていた頃が懐かしいと思えるくらいに大きくなった紅葉。
羽も大きくなり、練習せずとも飛行能力を得た紅葉は、もう彼女に守られるだけの存在ではなくなっていた。
そして、会議場に集められた者達は、早速リナムルへ連れて来た研究員達の事についての質問とアズールの補佐として呼ばれた獣人達の静止する言葉が飛び交っていた。
「何故奴らを連れ帰った!?もっと助けるべき者達がいる筈だろ!?」
「研究所に囚われていた者達は全員連れてきたという証言は、エイリルやエルフ族からも聞いているだろ!」
「そういう話ではない!アイツらは人殺しだぞ!?そのせいでどれだけの血が流れたと思っている!すぐに殺すべきだ!」
「末端の研究員である奴らは何も知らなかったようだ。罪の意識を抱いている者も多い。それに奴らの持ち出した資料や話の内容は、我々の今後にも重要な情報と知識をもたらした。その証拠に、今も尚治療を受けている者達の回復速度は大きく上昇している!」
「そんなもので、これまでの悲劇が許されるものか!何より火種を大きくした獣人族のお前らが、何故奴らを庇う!?一番怒り狂っていたのはお前らだろうがッ!」
不毛な討論が繰り広げられる中、アズールが漸く口を開き、自ら研究所へ赴きそこで見たものや得た情報を、エイリルや妖精のエルフ族の者達、そしてシンとツクヨと共に、情報を擦り合わせながら真実を知りたがっている者達に丁寧に説明していく。
無論、先ほどの様子からも彼らが黙って聞いている筈もなく、進行は大きく遅延しその度に怒号が飛び交った。しかし、アズールが口にしたリナムル周辺を巻き込んだ事件と思惑の黒幕、そしてその背後に控える何者かの存在の話を始めた時、彼らもまた言葉を失う事になる。
「いいから話を聞け!アイツらを生かすも殺すもいつでもできる事だ。だが殺して気を晴らせば、知り得た情報は手に入らなかった。救われる命も救えなかったかもしれない。それよりも重要なのは、その裏にいた存在だ」
「そんな話を聞きに来たのではない!」
「アークシティの差金だったのではないのか?」
「奴らが言っていた事だ。嘘にしろ本当の事にしろ、奴の脅し文句だろ」
研究所の後ろ盾がアークシティだということは、その研究所を破壊すれば敵対する意志があると見做される。しかし、いくら大きな組織力を有しているアークシティとはいえ、生命を弄ぶような非道な研究や実験を容認している筈がない。
会議場に集まった者達は、研究員が命乞いをする中で口にした我々を殺せばアークシティが動くぞという脅しに使った言葉程度にしか思っていなかった。実際、辺境の地にある街の一つが相手にできる組織ではない。
しかし、彼らにも生物実験を受けたという証言と証拠がある。それをアークシティ側に提出すれば、彼らに非道な実験を行なっていた組織も無事では済まなくなる。
だがそれ以上に恐ろしいものが、研究所のバックに付いていることをアズールは彼らに伝えた。それこそ、シン達がその正体を知りたがっている黒いコートの人物のことだった。
エルフ族からは、人間と同じ大きさのエルフであるエイリルと数人の仲間が。そして今回の研究所襲撃で、脱出のルートを確保するという重大な役割を見事に果たした妖精のエルフ族が数名。
人間からは元々リナムルにいた住人達の中から代表の人物とその補佐役が数名。冒険者ギルドから派遣された者達からは、それぞれのチームのリーダーで動ける者が参加した。
リナムルへ商業目的で向かっていた商人達からは、商業組合の参加者が全員。そしてシン達のパーティーからは、研究所へ向かったシンとツクヨ、そしてリナムルで防衛を務めていたミアが参加した。
まだ子供であるツバキは集会に興味がないようで、自分の発明に関するリナムルの書物や研究所から持ち出された興味深い資料を読み漁っていた。
「すげぇ!流石最先端の研究施設があるっていうアークシティの知識だぜ!船にも使えそうな技術もいっぱいあるじゃねぇか!こりゃぁじじぃを超える日も案外近いかもなぁ~。・・・それにエルフ族の転移ポータルかぁ。俺もいつかそんな発明を・・・」
アカリはリナムルで起きた獣達による襲撃の際に、獣人族と共に獣を討ち払った紅葉の回復の為に静養しており、目を覚ました紅葉と共に薬草や植物の書物や、ツバキと同じく研究所の資料から治療薬や動物にも効く回復薬など、薬の知識を学んでいた。
一方の紅葉の身体は、以前のヒヨコの姿から成長しており、羽毛は僅かに赤く染まりつつあった。それがあの時アカリ達を襲った、獣にやられた獣人の魂を引き戻した事による影響なのかは分からない。
しかし、当の本人は特に異変がある様子もなければ、これまでと様子もさほど変わらない。研究所の資料には、森の野生動物に関する図鑑や生態の資料などもあったが、紅葉のような特徴を持つ鳥の事はまだ見つかっていない。
「貴方のその身体、どうしちゃったのかしらね?」
「ピィ?」
「でもよかったわ、貴方が無事で。私と貴方はずっと前から一緒だったように感じるの。きっと私の忘れてしまった記憶にも重要なヒントがある筈だわ・・・。いつか思い出せるといいのだけれど・・・」
「ピィィ・・・」
アカリの座る椅子の横に、まるで一緒に座るかのように隣の椅子にちょこんと乗った紅葉は、話しかけるアカリの言葉に頭を傾げている。ただの成長という割には、アカリの手に収まっていた頃が懐かしいと思えるくらいに大きくなった紅葉。
羽も大きくなり、練習せずとも飛行能力を得た紅葉は、もう彼女に守られるだけの存在ではなくなっていた。
そして、会議場に集められた者達は、早速リナムルへ連れて来た研究員達の事についての質問とアズールの補佐として呼ばれた獣人達の静止する言葉が飛び交っていた。
「何故奴らを連れ帰った!?もっと助けるべき者達がいる筈だろ!?」
「研究所に囚われていた者達は全員連れてきたという証言は、エイリルやエルフ族からも聞いているだろ!」
「そういう話ではない!アイツらは人殺しだぞ!?そのせいでどれだけの血が流れたと思っている!すぐに殺すべきだ!」
「末端の研究員である奴らは何も知らなかったようだ。罪の意識を抱いている者も多い。それに奴らの持ち出した資料や話の内容は、我々の今後にも重要な情報と知識をもたらした。その証拠に、今も尚治療を受けている者達の回復速度は大きく上昇している!」
「そんなもので、これまでの悲劇が許されるものか!何より火種を大きくした獣人族のお前らが、何故奴らを庇う!?一番怒り狂っていたのはお前らだろうがッ!」
不毛な討論が繰り広げられる中、アズールが漸く口を開き、自ら研究所へ赴きそこで見たものや得た情報を、エイリルや妖精のエルフ族の者達、そしてシンとツクヨと共に、情報を擦り合わせながら真実を知りたがっている者達に丁寧に説明していく。
無論、先ほどの様子からも彼らが黙って聞いている筈もなく、進行は大きく遅延しその度に怒号が飛び交った。しかし、アズールが口にしたリナムル周辺を巻き込んだ事件と思惑の黒幕、そしてその背後に控える何者かの存在の話を始めた時、彼らもまた言葉を失う事になる。
「いいから話を聞け!アイツらを生かすも殺すもいつでもできる事だ。だが殺して気を晴らせば、知り得た情報は手に入らなかった。救われる命も救えなかったかもしれない。それよりも重要なのは、その裏にいた存在だ」
「そんな話を聞きに来たのではない!」
「アークシティの差金だったのではないのか?」
「奴らが言っていた事だ。嘘にしろ本当の事にしろ、奴の脅し文句だろ」
研究所の後ろ盾がアークシティだということは、その研究所を破壊すれば敵対する意志があると見做される。しかし、いくら大きな組織力を有しているアークシティとはいえ、生命を弄ぶような非道な研究や実験を容認している筈がない。
会議場に集まった者達は、研究員が命乞いをする中で口にした我々を殺せばアークシティが動くぞという脅しに使った言葉程度にしか思っていなかった。実際、辺境の地にある街の一つが相手にできる組織ではない。
しかし、彼らにも生物実験を受けたという証言と証拠がある。それをアークシティ側に提出すれば、彼らに非道な実験を行なっていた組織も無事では済まなくなる。
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