World of Fantasia

神代 コウ

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新たな街の情報

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 異世界から来た人間にのみ与えられる特殊な能力を持った武具。その力は大きな戦力アップに繋がる為、見つけ次第確保していきたいところだろう。それにこの世界の住人にとっては変わった見た目のただの鉄の塊に過ぎない。

 エンチャントもしてなければ特別に攻撃力が高いわけでもなく、能力上昇効果もない。奪い合いや厳重に守られるといった心配もなさそうだ。

 「要するにユニーク武具って奴か」

 「ユニーク武具・・・?面白いってこと?」

 「あながち間違っちゃいないな。他の武具とは異なる性能や見た目をしたものをそう呼んでる。アタシらにとっては珍しい物だから価値は高いんだが、店売りすると安価で取引されちまうんだ」

 ミアの説明を受け、よりその線での考え方で濃厚なのではという気がしてきたシン。ユニーク武具について知らないツクヨにも、その武器の重要性が伝わったようだ。

 ツバキやアカリはそんな物もあるのだというリアクションをとっていた。どうやら彼らの知識の範囲内では、この世界にそのような一部の人間しか効果のない特殊な物があるという知識はなかったようだ。

 だがこれはシン達にとっては好都合。二人の目を盗んでコソコソとする必要はないようだ。他のユニーク武具があるのなら、心置きなく調査や聞き込みなどが行える。

 「お待たせしました!まもなく出発いたします。同行して頂ける方々はお集まり下さい!」

 商人の馬車の出発準備が完了する。一行は“音が満ち溢れる街“というアルバ方面へ向かう馬車の元へと集まり、その一台に乗り込んだ。中には他の冒険者達も乗っている。何人かは一緒に戦った覚えもあるような顔ぶれもいた。

 「アンタ達もリナムルを離れるのかい?」

 一緒に乗車していた人がシンに声を掛ける。自分達が冒険者であることを伝えると、彼は同じく商人の馬車を護衛する為に乗り合わせた冒険者の一行なのだと語る。

 話のついでに、シンは彼にアルバ方面には何があるのかと尋ねる。森を抜けた先には幾つかの村があり、その近辺には洞窟やダンジョンが構えているのだという。

 そしてその話の中には、シン達が目指している“音が満ち溢れる街“という“アルバ“の街の情報も含まれていた。シンは何も知らないフリをしながら、その街のことについて尋ねる。

 「音が満ち溢れる・・・?とは、一体どういう事ですか?」

 「その名の通り、音や音楽がそこら中に満ち溢れてるのさ。それこそ音というもの目視できる程にね」

 言葉だけではどうにも理解しづらい部分もあったが、その冒険者が言うには風に舞う木の葉のように、音というものが街中に溢れているのだという。それに触れると様々な効果のある音や音楽が聞こえてきては、今自分に必要なリラックス効果が得られるのだという。

 ではその音というものが、どこから発生しているものなのか。流石の冒険者もそこまでは分からないのだそうだ。

 「そんなに気になるなら行ってみるといい。この馬車はアルバの街にも寄るだろうからね」

 「貴方はアルバへは行かれないんですか?」

 「俺ぁ途中の村で降りるよ。さっき言ってた村の近くにある洞窟に用があってね。そこでクエストを受けてるんだ」

 途中下車をするという彼の話を聞いている内に、止まっていた馬車が動き出す。

 「おっ、漸く出発するようだね。道中は獣人達が先に偵察した道をいくらしいから安全だろうけど、戦闘になった際はよろしくね!」

 そういって冒険者の男は、馬車が動き出したのをきっかけに積荷を手伝っていた仲間達の元へと移動していった。

 「なんだか楽しそうなところ?みたいだね、そのアルバって街」

 「でも不気味じゃないか?発生源の分からない音が街中に溢れてるって・・・」

 浮かれるツクヨにシンが冷静な視点から答える。だがあくまで原因が不明なのは外部の者が知る範囲の情報の中での話。アルバに着き現地の者に話を聞けば、もっと詳しい話が聞けるかもしれない。

 不安になるよりも楽しむ方向で考えた方がいい。そう言わんばかりに、アカリは浮かれるツクヨに便乗し、音で癒やされるというものに想像を膨らませる。

 ツバキはそんな二人に呆れている様子を見せるが、内心では彼も行ったことのない街に胸を躍らせていた。心配していても心が保たないと、ミアはシンに諭しなるようにしかならないと受け入れる姿勢を取らせる。

 商人達の馬車が出発したのは、夕日が森の向こう側へと沈み始める夕暮れ時。開けた道は次第に木々に覆われ始め、街の暖かな光の届かぬ森の中へと身を投じていく。
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