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宿屋の一室にて
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二人が宿に着いた時には、既にツクヨ達は受付を済ませており、ロビーでツクヨがシン達の到着を待っていた。二人を見つけるや否や、手を振って近づいていくツクヨ。
カウンターで同行者が到着したことを伝えると、三人は宿の階段を上がっていき、二階にあるツバキとアカリの待つ部屋へと向かった。
内装は木造のオーソドックスな作りで、料金的にも比較的優しい宿を選んだようだ。一番端の他の部屋よりも広い一室を借りており、ベッドも四つある贅沢な仕様の部屋だった。
「ベッドが四つ・・・」
「あぁ、私はソファーで構わないよ。みんなはベッドを使って」
「いいのか?ツクヨ」
「買い物くらいしかしてないし、疲れてないから大丈夫だよ!あぁそうだ。色々アイテムを買い揃えておいたから、それぞれに振り分けてくれる?誰が何をどれだけ必要とか分からないからさ」
そういうとツクヨは、部屋の一角にまとめて置いてあったアイテムを二人に見せる。随分と買い込んだようだ。様々な種類のアイテムが、まるでお店のように並べられている。
シンとミアは宿をとってもらった代わりに、見返りとしてアイテムの配分を行った。前線に出る三人には回復効果のあるアイテムを多めに。そして後方支援を行うツバキとアカリには、状態異常を回復するアイテムを。
しかし後方支援の二人には、シン達のようにアイテム欄などというものはないので、持ち運べる量には限りがある。子供が持てる量を考え、一向は床にしゃがんだり腰掛けながら五当分に振り分ける。
「それで?何か新しい街についての情報は集められたのかい?」
「アタシらを疑ってたのかぁ?勿論、仕入れてきたぜ」
ミアは酒場で掴んだアルバの情報やこの街のこと、そして過去に彼らが関与していた聖都の噂などをツクヨに話した。
「そうか・・・。聖都は復興したんだね。なんだか故郷のように思えるんだ。あの街は私が最初にこの世界のことについて触れた大事な街だったからね。それにきっとシャルロット達なら、新しい聖都を正しい方向へと導いていけるだろう・・・」
何も知らないツクヨに、この世界のことを色々と親切に教えてくれたのは、聖都の騎士隊に所属していたシャルロットという女性だった。同じく騎士隊に所属していたシャーフと、反乱組織のアーテムと幼馴染であった彼女は、騎士隊でありながら聖騎士のやり方に疑問を持ち、対立する二人の幼馴染の間で苦悩していた。
シュトラール政権の崩壊と共に、同じく疑問を抱いていた聖騎士の一人イデアールと共に、聖都復興に尽力してくれたことだろう。今なら彼女らの掲げていた本当の正義を実行できることだろう。
それが第二第三のシュトラールを生み出さなければいいのだが・・・。
話の途中で、シンは酒場でミアに羽生らかされたある出来事について追求した。それは最初に相席となった二人の女性のことについてだった。
「そういえばミア、最初に相席になった二人の女の人・・・。彼女らの話に違和感を感じたことなんだけど・・・」
「あぁ、すっかり忘れてたわ。アルバの街が昔、ライプツィって呼ばれてた話だろ?」
「そう、それだ。他の客はそんな話、知らなかったようだったけど」
するとミアは、会話をする中で素性を隠していた彼女らの正体について、シンとツクヨに説明した。
「彼女らは“ダークエルフ“っていう種族だ。青白い肌とフードの奥に見えたエルフ族の耳。彼女らは長寿の種族。昔というのがどのくらい過去の話かまでは分からないが、そんじょそこらの人間の一生よりも、だいぶ長いこと生きてきたからこそアルバに改名された時の事とかも知ってたんだろうな」
「そういう事だったのか・・・。それなら何故その時教えてくれなかった?」
「二人は何らかの事情で素性を隠してただろ?誰に聞かれるかも分からない酒場で、そんな話できるかよ」
ミアは彼女らの事情を察した上で、言葉を選んで話していたのだ。
「そういえばツバキとアカリは何を?妙に静かなんだが・・・」
「彼らは向こうの部屋で、各々の作業に打ち込んでるよ」
「作業?一体何を・・」
扉で遮られた向こう側の部屋で、ツバキとアカリはそれぞれ発明と調合を行なっていると、ツクヨは二人に語った。街を巡る中で、二人は自分に出来ることを模索し見つけたのだという。
それが元々器用だったツバキの発明と、リナムルから悩んでいて漸く見つけた自分にでも出来ることと始めた、アカリの調合だった。
カウンターで同行者が到着したことを伝えると、三人は宿の階段を上がっていき、二階にあるツバキとアカリの待つ部屋へと向かった。
内装は木造のオーソドックスな作りで、料金的にも比較的優しい宿を選んだようだ。一番端の他の部屋よりも広い一室を借りており、ベッドも四つある贅沢な仕様の部屋だった。
「ベッドが四つ・・・」
「あぁ、私はソファーで構わないよ。みんなはベッドを使って」
「いいのか?ツクヨ」
「買い物くらいしかしてないし、疲れてないから大丈夫だよ!あぁそうだ。色々アイテムを買い揃えておいたから、それぞれに振り分けてくれる?誰が何をどれだけ必要とか分からないからさ」
そういうとツクヨは、部屋の一角にまとめて置いてあったアイテムを二人に見せる。随分と買い込んだようだ。様々な種類のアイテムが、まるでお店のように並べられている。
シンとミアは宿をとってもらった代わりに、見返りとしてアイテムの配分を行った。前線に出る三人には回復効果のあるアイテムを多めに。そして後方支援を行うツバキとアカリには、状態異常を回復するアイテムを。
しかし後方支援の二人には、シン達のようにアイテム欄などというものはないので、持ち運べる量には限りがある。子供が持てる量を考え、一向は床にしゃがんだり腰掛けながら五当分に振り分ける。
「それで?何か新しい街についての情報は集められたのかい?」
「アタシらを疑ってたのかぁ?勿論、仕入れてきたぜ」
ミアは酒場で掴んだアルバの情報やこの街のこと、そして過去に彼らが関与していた聖都の噂などをツクヨに話した。
「そうか・・・。聖都は復興したんだね。なんだか故郷のように思えるんだ。あの街は私が最初にこの世界のことについて触れた大事な街だったからね。それにきっとシャルロット達なら、新しい聖都を正しい方向へと導いていけるだろう・・・」
何も知らないツクヨに、この世界のことを色々と親切に教えてくれたのは、聖都の騎士隊に所属していたシャルロットという女性だった。同じく騎士隊に所属していたシャーフと、反乱組織のアーテムと幼馴染であった彼女は、騎士隊でありながら聖騎士のやり方に疑問を持ち、対立する二人の幼馴染の間で苦悩していた。
シュトラール政権の崩壊と共に、同じく疑問を抱いていた聖騎士の一人イデアールと共に、聖都復興に尽力してくれたことだろう。今なら彼女らの掲げていた本当の正義を実行できることだろう。
それが第二第三のシュトラールを生み出さなければいいのだが・・・。
話の途中で、シンは酒場でミアに羽生らかされたある出来事について追求した。それは最初に相席となった二人の女性のことについてだった。
「そういえばミア、最初に相席になった二人の女の人・・・。彼女らの話に違和感を感じたことなんだけど・・・」
「あぁ、すっかり忘れてたわ。アルバの街が昔、ライプツィって呼ばれてた話だろ?」
「そう、それだ。他の客はそんな話、知らなかったようだったけど」
するとミアは、会話をする中で素性を隠していた彼女らの正体について、シンとツクヨに説明した。
「彼女らは“ダークエルフ“っていう種族だ。青白い肌とフードの奥に見えたエルフ族の耳。彼女らは長寿の種族。昔というのがどのくらい過去の話かまでは分からないが、そんじょそこらの人間の一生よりも、だいぶ長いこと生きてきたからこそアルバに改名された時の事とかも知ってたんだろうな」
「そういう事だったのか・・・。それなら何故その時教えてくれなかった?」
「二人は何らかの事情で素性を隠してただろ?誰に聞かれるかも分からない酒場で、そんな話できるかよ」
ミアは彼女らの事情を察した上で、言葉を選んで話していたのだ。
「そういえばツバキとアカリは何を?妙に静かなんだが・・・」
「彼らは向こうの部屋で、各々の作業に打ち込んでるよ」
「作業?一体何を・・」
扉で遮られた向こう側の部屋で、ツバキとアカリはそれぞれ発明と調合を行なっていると、ツクヨは二人に語った。街を巡る中で、二人は自分に出来ることを模索し見つけたのだという。
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