1,305 / 1,646
報告と失踪
しおりを挟む
二人の会話は宮殿内で発見されたジークベルト大司教の遺体に関する事だった。パーティーの翌日の早朝、護衛の者が彼の部屋をノックするも返事はなく、フロントから持ってきたマスターキーで扉を開け、中へと入ってみると床に倒れるジークベルト大司教が発見された。
死因は未だに分かっておらず、体内からは微量の毒素が検出されたらしい。その事から毒による犯行なのではないかと推測され、大司教の食事や飲み物、食器の類などが重点的に調べられた。
後に彼の持ち物の中から、彼の体内から検出されたものと同じ毒素を持つ茶葉が発見されるも、どうやらそれが直接の死因にはならないようだ。現在も調査と取り調べが行われているようで、マティアスやルーカスも暫くの間は教会へは戻って来られないと言うことを話していた。
教会の者に報告を終えたクリスは、調査に必要なものを取ってくるよう言われたと伝えると、教会の奥へ続く扉の鍵を教会の者から受け取り、通路をさらに奥へと進んで行ってしまった。
後を追いかけたかったが、流石に他の者達にバレてしまうため、カルロスは暫く教会の中でクリスが戻ってくるのを待つことにしたのだが、一向に彼が戻って来る気配はない。
クリスが戻らない事に関して奇妙に思っていたのはカルロスだけではなかったようで、先程彼に鍵を渡した教会の者が流石に戻りの遅いクリスの様子を見に、教会の奥へと向かう。
数分待っていると、先程の教会の者が慌てて戻ってくる。何事かと他の教会の者が尋ねると、奥の部屋に先程クリスに渡した鍵だけが置いてあって、肝心の彼の姿がなかったのだと語る。
会話を聞いていたカルロスも思わず立ち上がり驚く。奥の部屋からの出口はその通路以外には無い。クリスが向かった部屋には窓や通気口などもなく、完全な密室となっている為、出て来るとしたら教会の者やカルロスらが待つ通路を戻ってくる以外あり得ないのだそうだ。
突然と姿を消したクリスも妙だが、教会の者の話ではその部屋から何かを持ち出したような形跡はなく、荒らされたような様子もない。普段と変わらぬ形のまま、鍵だけが机に置かれクリスの姿だけがなくなっていると言うのだ。
奇妙な出来事ではあるが、何も物が盗まれたりしていない以上、別段騒ぎ立てるほどのことでもないと判断したのか、教会の者達は外の警備隊に報告だけ入れて、教会の仕事が済むまでは奥の部屋の施錠をせず、現状のまま通路を封鎖する処置を施した。
話を聞こうと思っていたクリスの突然の失踪に呆気に取られるカルロス。すると、そんな彼らの元にも、外から聞こえてくる音楽に耳を傾けていたシン達やレオン達と同じ、妙に気を引かれる心地のいい音楽が聞こえ始めたのだ。
それまで街から聞こえていた音楽や歌声とは明らかにレベルの違うその音楽に、その場にいた者達も不思議と意識を持っていかれ、気持ちのいい音色に耳を傾けていた。
カルロスも、そのどこからともなく聞こえてくる音楽に耳を傾けていたかったが、レオン達とのことを思い出し、宮殿に向かうと息巻いて出ていったその後のことを話に、先ずはレオンの家へと向かった。
「それで今に至るって訳か・・・」
「あぁ。どうやら宮殿の中じゃ誰が犯人だか、色々と調査や事情聴取が行われてるらしいぜ。クリスも色々と調べられたみたいだが、アリバイが証明されたみたいで解放されたんだと」
「何故アイツはグーゲル教会よりも先に、ニクラス教会へ報告しに行ったんだろうな?マティアス司祭の使いをしてるのはわりかし有名な話だが、ルーカス司祭と親しいイメージは無いが・・・」
「そうなんだよなぁ、俺もそれが気になってたんだよ。この際クリスの奴が失踪した事よりも、そっちの方が気になるぜ」
カルロスから聞かされたニクラス教会での会話を思い返している間も、彼らの元へ薄っすらと聞こえて来る謎の音色。不思議と一人で耳にしている時よりも、誰かと会話をしている時の方が気が紛れるようで、二人の話し合いは自然とその音色の方へと流れていった。
「それにこの音楽だ。一体どこから流れて来てるんだ?」
「さぁ・・・どっからだろうな」
「街を歩いてて、音のする方角ぐらい分からなかったのか?」
「急いでたし、それどころじゃなかったんだよ。何らな今から確かめに行くか?・・・これだけすげぇ演奏、そんじょそこらの奴じゃ到底演奏出来ねぇぜ・・・」
夜の外出は些か怪しまれる可能性もあるが、カルロスの言うように並大抵の音楽家では、そうそう演奏出来ないレベルのその音を奏でている人物に興味を持っていたレオンは、一体何処で誰が演奏しているのかを確かめにいく事にした。
「なぁ、ジルも誘うか?アイツも宮殿での事件のこと、知ってただろ?気になってんじゃねぇかな」
「別にいいだろ。俺がお前から話を聞いた感じだと、全然答えが見えてくるって感じじゃなかったしな」
「悪かったな、役立たずで」
「いや、俺は寧ろお前が羨ましかったよ・・・」
「あ?」
意味深な言葉を吐き捨てたまま、レオンは心の内をカルロスに語ることなく、なるべく警備隊の目を避けながら二人は音のする方を目指し、夜の街へと消えていった。
死因は未だに分かっておらず、体内からは微量の毒素が検出されたらしい。その事から毒による犯行なのではないかと推測され、大司教の食事や飲み物、食器の類などが重点的に調べられた。
後に彼の持ち物の中から、彼の体内から検出されたものと同じ毒素を持つ茶葉が発見されるも、どうやらそれが直接の死因にはならないようだ。現在も調査と取り調べが行われているようで、マティアスやルーカスも暫くの間は教会へは戻って来られないと言うことを話していた。
教会の者に報告を終えたクリスは、調査に必要なものを取ってくるよう言われたと伝えると、教会の奥へ続く扉の鍵を教会の者から受け取り、通路をさらに奥へと進んで行ってしまった。
後を追いかけたかったが、流石に他の者達にバレてしまうため、カルロスは暫く教会の中でクリスが戻ってくるのを待つことにしたのだが、一向に彼が戻って来る気配はない。
クリスが戻らない事に関して奇妙に思っていたのはカルロスだけではなかったようで、先程彼に鍵を渡した教会の者が流石に戻りの遅いクリスの様子を見に、教会の奥へと向かう。
数分待っていると、先程の教会の者が慌てて戻ってくる。何事かと他の教会の者が尋ねると、奥の部屋に先程クリスに渡した鍵だけが置いてあって、肝心の彼の姿がなかったのだと語る。
会話を聞いていたカルロスも思わず立ち上がり驚く。奥の部屋からの出口はその通路以外には無い。クリスが向かった部屋には窓や通気口などもなく、完全な密室となっている為、出て来るとしたら教会の者やカルロスらが待つ通路を戻ってくる以外あり得ないのだそうだ。
突然と姿を消したクリスも妙だが、教会の者の話ではその部屋から何かを持ち出したような形跡はなく、荒らされたような様子もない。普段と変わらぬ形のまま、鍵だけが机に置かれクリスの姿だけがなくなっていると言うのだ。
奇妙な出来事ではあるが、何も物が盗まれたりしていない以上、別段騒ぎ立てるほどのことでもないと判断したのか、教会の者達は外の警備隊に報告だけ入れて、教会の仕事が済むまでは奥の部屋の施錠をせず、現状のまま通路を封鎖する処置を施した。
話を聞こうと思っていたクリスの突然の失踪に呆気に取られるカルロス。すると、そんな彼らの元にも、外から聞こえてくる音楽に耳を傾けていたシン達やレオン達と同じ、妙に気を引かれる心地のいい音楽が聞こえ始めたのだ。
それまで街から聞こえていた音楽や歌声とは明らかにレベルの違うその音楽に、その場にいた者達も不思議と意識を持っていかれ、気持ちのいい音色に耳を傾けていた。
カルロスも、そのどこからともなく聞こえてくる音楽に耳を傾けていたかったが、レオン達とのことを思い出し、宮殿に向かうと息巻いて出ていったその後のことを話に、先ずはレオンの家へと向かった。
「それで今に至るって訳か・・・」
「あぁ。どうやら宮殿の中じゃ誰が犯人だか、色々と調査や事情聴取が行われてるらしいぜ。クリスも色々と調べられたみたいだが、アリバイが証明されたみたいで解放されたんだと」
「何故アイツはグーゲル教会よりも先に、ニクラス教会へ報告しに行ったんだろうな?マティアス司祭の使いをしてるのはわりかし有名な話だが、ルーカス司祭と親しいイメージは無いが・・・」
「そうなんだよなぁ、俺もそれが気になってたんだよ。この際クリスの奴が失踪した事よりも、そっちの方が気になるぜ」
カルロスから聞かされたニクラス教会での会話を思い返している間も、彼らの元へ薄っすらと聞こえて来る謎の音色。不思議と一人で耳にしている時よりも、誰かと会話をしている時の方が気が紛れるようで、二人の話し合いは自然とその音色の方へと流れていった。
「それにこの音楽だ。一体どこから流れて来てるんだ?」
「さぁ・・・どっからだろうな」
「街を歩いてて、音のする方角ぐらい分からなかったのか?」
「急いでたし、それどころじゃなかったんだよ。何らな今から確かめに行くか?・・・これだけすげぇ演奏、そんじょそこらの奴じゃ到底演奏出来ねぇぜ・・・」
夜の外出は些か怪しまれる可能性もあるが、カルロスの言うように並大抵の音楽家では、そうそう演奏出来ないレベルのその音を奏でている人物に興味を持っていたレオンは、一体何処で誰が演奏しているのかを確かめにいく事にした。
「なぁ、ジルも誘うか?アイツも宮殿での事件のこと、知ってただろ?気になってんじゃねぇかな」
「別にいいだろ。俺がお前から話を聞いた感じだと、全然答えが見えてくるって感じじゃなかったしな」
「悪かったな、役立たずで」
「いや、俺は寧ろお前が羨ましかったよ・・・」
「あ?」
意味深な言葉を吐き捨てたまま、レオンは心の内をカルロスに語ることなく、なるべく警備隊の目を避けながら二人は音のする方を目指し、夜の街へと消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は“料理人”。
だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。
地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。
勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。
熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。
絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す!
そこから始まる、料理人の大逆転。
ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。
リアルでは無職、ゲームでは負け組。
そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる