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第五章 復讐その四 アルグレア王国と神の眷属 後編
『天国への階段』探索②
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「ん?」
一瞬、闇の中に何かが動いたように見えた。
「? どうしました?」
左隣に座るハンナさんが不思議そうに尋ねる。
「あ、ああいえ……今、何かが動いたような気がしたんですが……」
「……本当ですか?」
僕の言葉を聞いたハンナさんは、少し腰を浮かせて階段の先……闇の中を見据える。
「……ソフィア様、念のため僕達の後ろに回っていただけますか?」
「は、はい……」
ソフィア様はメイスを手に取り、ゆっくり僕の後ろに回った。
「……誰、ですか?」
ライラ様が死神の鎌を構えて正面に立ち、暗闇に向かってささやく。
すると。
——ヒュッ。
突然、ナイフが暗闇から飛んできた!?
「っ!」
ライラ様は左眼を紅く輝かせると、左腕でそのナイフを弾いた。
「アデル様……四……いえ、五人います」
「五人……“黄金の旋風”ですか?」
「いえ……また違う連中です」
「っ!?」
“黄金の旋風”じゃない!?
じゃあここにいるコイツ等は一体誰なんだ!?
「っ! 来ます!」
ライラ様の声と同時に暗闇から赤い帽子を被った子どもくらいの背格好をした敵が飛び出し、僕達に襲い掛かってきた。
「あは♪」
正面の一人が剣を突き出すよりも早く、ライラ様が鎌を横薙ぎに振るうと、敵の胴体が真っ二つになった。
その瞬間。
「何っ!?」
半分になった上半身を踏み台にして、仲間の三人が飛び上がり、上からナイフを次々と投げつけてきた。
「うふふ♪」
——ドン! ドン! ドン!
フギンとムニンを構え、ハンナさんが微笑みながら弾丸でナイフを全て破壊……いや。
「ギャ!?」
「ガッ!?」
赤い帽子の連中のうち、二人の額と心臓を撃ち抜いていた。
「っ!? 一匹逃した!」
だけど、一人だけハンナさんの弾幕をかいくぐってソフィア様に迫る。
「っ! ソフィア様!」
クソッ!? 躊躇ってる場合じゃないか!?
僕は慌ててしゃがみ、そして。
「【加工】!【製……!?」
「くふ♪」
[技術者]の能力を、限界を超えて発動させようとしたところで、ソフィア様の微笑む声が聞こえると。
——グシャ。
「ブベッ!?」
ソフィア様がメイスを振るい、敵の頭を一撃でざくろのように潰した。
「ソ、ソフィア様……?」
「ふふ、それなりに護身術もたしなんでおりますので……」
そう言ってソフィア様ははにかむけど……護身術って、そんなレベルじゃないですよね!?
「アデル様、とりあえずは全員倒したようです」
ライラ様が残り一人を倒し、紅く輝く左眼で見回してからそう告げた。
「そうですか……ですが、この連中は一体……」
僕は死体となった赤い帽子の連中の衣服などを調べる。
しかし……顔は明らかに大人の風貌なのに、身体は十歳くらいの子どもと変わらないな……………………っ!?
衣服をはぎ取ると、緑色の肌が現れた。
「これは……!」
緑色の肌……まさか、ゴブリン!?
いや、だけど、ゴブリンがあんなに見事な連携をするか!?
それに、顔は人間のそれだし……。
さらに僕は衣服を調べる。
すると、服の裏側に王国の紋章が刺繍されていた。
つまり。
「……この連中は、王国の暗部、ということか」
転がるゴブリンもどきの連中を一瞥し、僕はそう呟く。
「ですが……王国がなんでこの『天国への階段』に?」
ライラ様が右の瞳で僕を見つめ、尋ねる。
「……分かりません。ですが、これで王国の目的はハッキリしました」
これから僕は、少し残酷なことをライラ様に告げなくてはならない。
ライラ様もそれを感じ取っているのか、ギュ、と白銀の拳を握った。
「王国は、この『天国への階段』を狙っている。そして……そのためにライラ様……カートレット伯爵家を襲ったのだと」
「…………………………っ!」
ライラ様がキュ、と唇を噛み、血を流す。
「ソフィア様」
「……なんでしょうか?」
僕は振り返り、ソフィア様に声を掛ける。
ソフィア様も、僕が何を言いたいのか……何を聞きたいのか理解しているんだろう。
その表情は、僅かに強張っていた。
「この『天国への階段』とは、一体何なのですか……?」
「……それは、以前にもお話した筈ですが」
そう言うと、ソフィア様はそっと目を伏せた。
「ですが、まだあるんじゃないですか? この『天国への階段』には」
「…………………………」
「あるん、ですね?」
「…………………………(コクリ)」
観念したのか、ソフィア様が静かに首を縦に振った。
「っ! それは! 一体何なのですかっ! 私達を絶望に追い込んで手に入れる程の……そんなものだとでも言うのですかっ!」
「ラ、ライラ様、落ち着いて!」
ソフィア様の胸倉をつかんで詰め寄るライラ様を、僕は慌てて止める。
ライラ様の右の瞳は、怒りに満ちていた。
「……本当に、聞かれるのですか?」
「「「っ!?」」」
ソフィア様の雰囲気が変わる。
先程までの慈愛をにじませたものではなく、無機質で、威厳に満ちたものに。
だけど。
「……はい、教えてください。この、『天使への階段』がどういうものなのか」
ライラ様は迷いのない瞳で即答した。
「分かりました……では、語りましょう」
ソフィア様は僕達を見つめ、そして静かに告げる。
「——この『天国への階段』が、何なのかを」
一瞬、闇の中に何かが動いたように見えた。
「? どうしました?」
左隣に座るハンナさんが不思議そうに尋ねる。
「あ、ああいえ……今、何かが動いたような気がしたんですが……」
「……本当ですか?」
僕の言葉を聞いたハンナさんは、少し腰を浮かせて階段の先……闇の中を見据える。
「……ソフィア様、念のため僕達の後ろに回っていただけますか?」
「は、はい……」
ソフィア様はメイスを手に取り、ゆっくり僕の後ろに回った。
「……誰、ですか?」
ライラ様が死神の鎌を構えて正面に立ち、暗闇に向かってささやく。
すると。
——ヒュッ。
突然、ナイフが暗闇から飛んできた!?
「っ!」
ライラ様は左眼を紅く輝かせると、左腕でそのナイフを弾いた。
「アデル様……四……いえ、五人います」
「五人……“黄金の旋風”ですか?」
「いえ……また違う連中です」
「っ!?」
“黄金の旋風”じゃない!?
じゃあここにいるコイツ等は一体誰なんだ!?
「っ! 来ます!」
ライラ様の声と同時に暗闇から赤い帽子を被った子どもくらいの背格好をした敵が飛び出し、僕達に襲い掛かってきた。
「あは♪」
正面の一人が剣を突き出すよりも早く、ライラ様が鎌を横薙ぎに振るうと、敵の胴体が真っ二つになった。
その瞬間。
「何っ!?」
半分になった上半身を踏み台にして、仲間の三人が飛び上がり、上からナイフを次々と投げつけてきた。
「うふふ♪」
——ドン! ドン! ドン!
フギンとムニンを構え、ハンナさんが微笑みながら弾丸でナイフを全て破壊……いや。
「ギャ!?」
「ガッ!?」
赤い帽子の連中のうち、二人の額と心臓を撃ち抜いていた。
「っ!? 一匹逃した!」
だけど、一人だけハンナさんの弾幕をかいくぐってソフィア様に迫る。
「っ! ソフィア様!」
クソッ!? 躊躇ってる場合じゃないか!?
僕は慌ててしゃがみ、そして。
「【加工】!【製……!?」
「くふ♪」
[技術者]の能力を、限界を超えて発動させようとしたところで、ソフィア様の微笑む声が聞こえると。
——グシャ。
「ブベッ!?」
ソフィア様がメイスを振るい、敵の頭を一撃でざくろのように潰した。
「ソ、ソフィア様……?」
「ふふ、それなりに護身術もたしなんでおりますので……」
そう言ってソフィア様ははにかむけど……護身術って、そんなレベルじゃないですよね!?
「アデル様、とりあえずは全員倒したようです」
ライラ様が残り一人を倒し、紅く輝く左眼で見回してからそう告げた。
「そうですか……ですが、この連中は一体……」
僕は死体となった赤い帽子の連中の衣服などを調べる。
しかし……顔は明らかに大人の風貌なのに、身体は十歳くらいの子どもと変わらないな……………………っ!?
衣服をはぎ取ると、緑色の肌が現れた。
「これは……!」
緑色の肌……まさか、ゴブリン!?
いや、だけど、ゴブリンがあんなに見事な連携をするか!?
それに、顔は人間のそれだし……。
さらに僕は衣服を調べる。
すると、服の裏側に王国の紋章が刺繍されていた。
つまり。
「……この連中は、王国の暗部、ということか」
転がるゴブリンもどきの連中を一瞥し、僕はそう呟く。
「ですが……王国がなんでこの『天国への階段』に?」
ライラ様が右の瞳で僕を見つめ、尋ねる。
「……分かりません。ですが、これで王国の目的はハッキリしました」
これから僕は、少し残酷なことをライラ様に告げなくてはならない。
ライラ様もそれを感じ取っているのか、ギュ、と白銀の拳を握った。
「王国は、この『天国への階段』を狙っている。そして……そのためにライラ様……カートレット伯爵家を襲ったのだと」
「…………………………っ!」
ライラ様がキュ、と唇を噛み、血を流す。
「ソフィア様」
「……なんでしょうか?」
僕は振り返り、ソフィア様に声を掛ける。
ソフィア様も、僕が何を言いたいのか……何を聞きたいのか理解しているんだろう。
その表情は、僅かに強張っていた。
「この『天国への階段』とは、一体何なのですか……?」
「……それは、以前にもお話した筈ですが」
そう言うと、ソフィア様はそっと目を伏せた。
「ですが、まだあるんじゃないですか? この『天国への階段』には」
「…………………………」
「あるん、ですね?」
「…………………………(コクリ)」
観念したのか、ソフィア様が静かに首を縦に振った。
「っ! それは! 一体何なのですかっ! 私達を絶望に追い込んで手に入れる程の……そんなものだとでも言うのですかっ!」
「ラ、ライラ様、落ち着いて!」
ソフィア様の胸倉をつかんで詰め寄るライラ様を、僕は慌てて止める。
ライラ様の右の瞳は、怒りに満ちていた。
「……本当に、聞かれるのですか?」
「「「っ!?」」」
ソフィア様の雰囲気が変わる。
先程までの慈愛をにじませたものではなく、無機質で、威厳に満ちたものに。
だけど。
「……はい、教えてください。この、『天使への階段』がどういうものなのか」
ライラ様は迷いのない瞳で即答した。
「分かりました……では、語りましょう」
ソフィア様は僕達を見つめ、そして静かに告げる。
「——この『天国への階段』が、何なのかを」
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