隊長さんとボク

ばたかっぷ

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九話

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尖った石に足を取られながら、半刻ほど歩いた先に見えて来たのは、ごうごうと流れ落ちる滝。

「どうやらここで終わりみたいだな」

「きゅ~(秘石はどこにあるのかな)」

しばらく辺りを探して回ったけど、それらしいものは見当たらない。

谷は相変わらず薄暗くて不気味な様子で、ホントにこんな所にスゴい力を持つ秘石なんてあるのかな…、と疑いを持ちはじめたその時。

「エナ!いまの見たか!?鳥が滝の向こうに入っていったぞ」

「きゅっ!(じゃあもしかしたら向こうに洞窟があるのかも!)」

「きっとそうだ!入ってみようぜ」

ボク達はせーので滝の中に突っ込んだ。

「ぷあっ、やっぱりだ!」

「きゅう~(う~びしょびしょだよう)」

ぷるぷると体を振って水気をきる。

洞窟は思ったよりもずっと狭くてすぐ奧の方まで見渡せた。中は外よりも一層薄暗かった、なのにボンヤリと周りの様子がわかるのはなぜだろう。

「エナっ!あれを見ろよ!」

「きゅっ!(ああっ!)」

洞窟の奧に祭壇のようなものが見える。そこには呪符が貼られた大きな石が祠ってあって、その石がボンヤリと光を放っていた。

「間違いないあれが秘石だっ!」

「きゅう~(やったあ!見つけたんだね。ボクたち)」

「よおっし!早く精霊を解放して力を分けて貰おうぜっ」

「きゅうっ!(うんっ、でもどうやって解放するの?)」

「う~ん…。とりあえずこの呪符を剥がしてみるか?」

「きゅうきゅあ…(でも大丈夫かなあ…閉じ込められるなんてホントにいい精霊なの?)」

「なんだよっ!弱虫エナ!お前は力が欲しくないのかよっ。オレはなにがなんでも手ぶらでなんか帰らねえぞ!」

「きゅっ!(ボ、ボクだって!)」

「よし、じゃあやるぞ…」

「きゅう…(うん…)」

ボクが見守るなか祭壇に近づいたハイカが、そっと秘石に貼られた呪符をくわえて剥がそうとする。だけど呪符はちっとも剥がれない。

「なんで剥がれないんだよ!」

「きゅ~(なにかまじないとかかけてあるのかな…)」

「んぎーっ!」

ハイカが必死に噛み付くけど、呪符は剥がれるどころか破けもしなかった。

「あーっもう!交代だエナ!お前もやってみろ」

「きゅ…(う、うん…)」

やっぱりちゃんと呪法師の人とかに頼まないとダメなんじゃないのかなあ。

そんなことを考えながら、ハイカの早くやれってプレッシャーに負けてボクも呪符をくわえた。

そのまま手前に引くと、呪符はパラリと剥がれて下に落ちた。

「きゅ?(あれ…剥がれた?)」

呪符は下に落ちる途中で灰みたいになって、パラパラと消えてなくなった。
それに気を取られていると突然、洞窟の中に声が響いた。

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