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13:新しい遊び
②
しおりを挟む「まずはどうするの?」
「やっぱ名前からじゃねえかな。チャー、なんかないのかよ?」
「うんと、『ボコボコおじさん』ってどう? 人をボコボコにするオジサン」
「チンピラじゃねえかよ。却下」
「やっぱさ、『クモギラス』だろ。でっかいクモ。町を糸で埋め尽くす!」
「ワチコちゃんさ、それどうやって作るの? チャーでもさすがに無理だと思うけど」
「奈緒子の言うとおり。却下」
「じゃあ、直人はどうなのさ。なんかあるの?」
「考え中」
「なんだよそれ、ズルいよ。奈緒子はなんかないの?」
「そうねえ、じゃあ『バラバラ女』ってどう? 人をバラバラにする女の人」
「ちょっと待って、それ『ボコボコおじさん』のパクりじゃ――」
「それイイじゃん。ナオちゃんやっぱすごいな」
「だから今オジサンて――」
「じゃあ、それで決まりな! 作れそうだし」
「オジ――」
「じゃあ、書きまーす」
奈緒子がノートを開いて、左上に〈バラバラ女〉と書き記した。
「んで、つぎはなに? どういうことをするかとか決めんの?」
「そうだな、すげえ怖いこと考えよう! クモみたいに町を糸で——」
「み、見た目とかってこと?」
「そうだな、じゃあ奈緒子みたいに白いワンピースで立ってるってどう?」
「それいい! ぼくもそれ賛成!」
「ヤダ、わたしだと思われるじゃん」
「思わねえって誰も。その役はワチコにさせればいいじゃん」
「バカかお前。あたしがやってどうすんだよ」
「ホント、ワチコってば口悪いよなあ。冗談じゃん」
「ワチコちゃん、バカって言葉を使うのはいいけど、ホントにムカつく人がいたら、そのときはなんて言うつもり?」
「そのときは、『このクソバカヤロウ』だよ」
「あ、あんまり変ってないじゃん」
「うるせえな、このクソバカヤロウ!」
「アハハ、わたしもいつか使ってみようかな」
「ワチコの真似なんかしないほうがいいよ。それよりさ、やっぱワンピースはいいけど、白いのはあんまり怖くないとぼく思うんだ」
「そうそう、チャーの言うとおりだよね。わたしなら、赤いワンピースにするけど」
「奈緒子って、赤いワンピース持ってんの?」
「ない。白いのならいっぱいあるから、それを持ってきて絵の具とかで赤に塗ればいいじゃん」
「ナオちゃん、なんでそんなにいっぱいワンピース持ってんの?」
「それは……いいじゃん、べつに」
「そ、そうだよ。あ、そうだ。どうせ赤色にするならさ、『血塗れナース』みたく血だらけってことにしない?」
「お、それいいね。チャーって、たまにいいこと言うよな」
「たまにだけどな」
「たまにね」
奈緒子がノートに〈①バラバラ女は血だらけのワンピースを着ている〉と書き記す。
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