【完結】窓際おやじはスーパーヒーロー

双葉なおき

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窓際親父はスーパーヒーロー

11.凱旋

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「とりあえずお茶やな」

心も体も元気になった三蔵は、お気に入りのカフェリンリンで久しぶりのコーヒーブレイク。
「うん、気分がいい、実にいい。久しぶりに仕事した感がある」

ほとんど他力本願な感じではあるが三蔵的はやり遂げた感に満たされているらしい...

いつもここに来ると三蔵は海の見えるテラスに座る。
何とも潮風が心地いい。
でも今日は少し気になることがあった...

「あの娘どうしたんやろ?あんなに海が綺麗に見える最高の席やのに、全く海も見ずに飲み物も飲んでない」
ひどく悩んでいるそんな気がした。

しばらくすると彼女は立ち上がった。
それまで気づかなかったが杖をついている。
足を怪我しているようだ。
背も高く綺麗な顔立ちで肩幅もある。
いわゆるアスリート系。
やはり気になった。
三蔵は出て行く女性を目で追っていた。

「あー久しぶりにゆっくりした!さあ戻るか」
仕事中は毎日休憩している様にしか見えない三蔵も、ゆっくりはしてないようだ。
しかし今日は、三蔵の帰りをみんなが首を長くして待ってるはず。
どのタイミングでゆっくりしとんねん!ってやつである。

「ただいま戻りました!」
三蔵にとってはまさに凱旋である。
当然声にも張りがある。
「お帰りなさい!」
「おー山本君どうでした?」
「はい、バッチリです!これからも今以上にいい関係を望むと専務から言われました」
「おー素晴らしい!早速営業部に報告してください」
部長も嬉しそう、話かたも丁寧で優しい。
「じゃあ営業部に行ってきます!」
こんなとき三蔵はなぜか少しもったいぶりたくなる、カフェブレイクもそう。
まずは自分の席に戻りお茶を少々。
その後トイレを済ませて、軽くストレッチ、さあ行こう。
多分これはいらない行動である。

「営業部の皆さん、戻りましたよー」
いかにも大成功である。

「おーお帰り、山本さんありがとうございました」
「えーまだ何も言ってないですけど」
「その様子を見ればわかりますよ、許してもらえたたみたいですね」
「はい、今まで以上のお付き合いを望むと専務に言ってもらえました」
おー営業部は拍手喝采である。

「それと、杉林社長にも同じように言ってもらえました」
「それは凄い!いい仕事をしてくれました。早速うちの社長にも報告します。もちろん山本さんのこともね。ありがとうございました」

あー気分がいい最高や!あの見下げていた目がキラキラした目に変わっていた。
特に我社のマドンナ「栗の木いくこ」さんに微笑みかけられたのが嬉しかった。
なんて素敵なんやろう。
40オーバーなのだそうだがどう見ても30代前半。
得意料理はあじの南蛮漬けらしい、食べてみたいもんだ。

席に戻っても大した仕事はないので当分妄想は続くのである。

「えっ?ねえねえ、見てみて、ニュース。前回のオリンピックで銅メダル取った白鳥しのぶさんが自殺したらしいよ。しかもこの近くでね」

あーっ、そうや、思い出した白鳥しのぶや!
昨日カフェで暗い顔をしていた女性である。
やっぱり悩んでたんや。

「なんで自殺なんか?」
「なんでも怪我でオリンピックは絶望的やったみたい」
「あっテレビもしてるわ!」
海野総合病院の磯野先生もコメントしている、この先生なら直せたという話だ。

不安がこんな形になるとは、三蔵も当然動揺はしたものの、すぐさま思った。
彼女を救うのは俺しかないと。
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