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エピローグ
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一年が経ち、今年の四月から千春は中学生になった。まだ慣れないブレザーの着心地に顔をしかめながら学校に登校していた。
「おはよう」
と後ろからあいさつをされた。振り向くとあやしく笑う男の子が立っていた。制服が同じ学校指定のものであった。
「おはよう」
と千春はそっけなく返した。
「千春はさ~」
となれなれしく名前を呼ぶので、「気安く、話しかけないで」と千春は拒絶の言葉を発した。男の子はバツの悪い顔をして、千春を追い抜き少し前を歩いた。彼の姿をみて千春はいつも憂鬱な気持ちになる。
「おい、ゴロウ~」
と声がして、同じクラスの男子が、千春の前にいる男の子の名前を、校門の辺りで呼んでいた。
「おう、斉藤、おはよう」
と言ってゴロウは駆けだした。
「なあ? ゴロウ。おまえ、坂本のことが気になるのか?」
ゴロウは苦笑する。この斉藤という男子生徒は、千春の姉が勤める病院で臓器移植のため入院していた。そんな時に出会い、二人は仲良くなったみたいだ。
遠ざかっていく二人の背中を千春は見送りつつ、ゴロウと呼ばれた者の後ろに憑いていく、シロウやシロウの顔にそっくりな子どもたちが、ぞろぞろと彼を取り巻いている。
遠ざかれば遠ざかるほど、ぶよぶよとした生き物のようにそれはなっていくようだった。シロウの視線が千春の目と合った。
――ごめんね、シロウ……。わかってあげられなくて……。
そこで千春は初めてぶよぶよ人間を見たのである。
「おはよう」
と後ろからあいさつをされた。振り向くとあやしく笑う男の子が立っていた。制服が同じ学校指定のものであった。
「おはよう」
と千春はそっけなく返した。
「千春はさ~」
となれなれしく名前を呼ぶので、「気安く、話しかけないで」と千春は拒絶の言葉を発した。男の子はバツの悪い顔をして、千春を追い抜き少し前を歩いた。彼の姿をみて千春はいつも憂鬱な気持ちになる。
「おい、ゴロウ~」
と声がして、同じクラスの男子が、千春の前にいる男の子の名前を、校門の辺りで呼んでいた。
「おう、斉藤、おはよう」
と言ってゴロウは駆けだした。
「なあ? ゴロウ。おまえ、坂本のことが気になるのか?」
ゴロウは苦笑する。この斉藤という男子生徒は、千春の姉が勤める病院で臓器移植のため入院していた。そんな時に出会い、二人は仲良くなったみたいだ。
遠ざかっていく二人の背中を千春は見送りつつ、ゴロウと呼ばれた者の後ろに憑いていく、シロウやシロウの顔にそっくりな子どもたちが、ぞろぞろと彼を取り巻いている。
遠ざかれば遠ざかるほど、ぶよぶよとした生き物のようにそれはなっていくようだった。シロウの視線が千春の目と合った。
――ごめんね、シロウ……。わかってあげられなくて……。
そこで千春は初めてぶよぶよ人間を見たのである。
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話の展開が面白そうだが、表現が雑なところがあるかな、もう少し読み進めてみたい。
感想ありがとうございます😊
はい、日々精進していきます!