短いお話

クイン

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『エイプリルフールは弾ける日』

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 テレビをつけるとニュースキャスターが顔面蒼白で話始めた。自身の身の上に何かあったのか? それとも自分自身のスキャンダルでもあったのか? とほくそ笑んでいたら、

『このままだと人類は一週間以内に、八割以上がこの地球上に存在していない』と突拍子もないことを言うものだから、コーヒーをこぼしてしまった。今スタジオを映していたカメラが切り替わり、外の風景へと移行した。辺り一面、氷の世界である南極に、突如として岩の柱が突き出し、空高くそびえ立っている。また映像が切り替わり、今度は人工衛星から地球をみた写真が写された。その写真は地球から一本の長い棒が地球を突き刺しているようだった。

『ご覧ください。まるで地球がマイクみたいになっております』とリポートするキャスター。その横でゲストの若いギャル系アイドルの娘が、

『やだーマイクっていうより、風船の紐みた~い』

 と笑っている。しかしその横でしかめ面のハゲ頭のおじさんが、

『君ねー、笑いごとではないんですよ』

 その言葉でアイドルの娘は笑うのをこらえた。

『それはどういう意味なんですか?』

 と進行役のキャスターが天文学者であるハゲおじさんに話を振る。

『みなさんは二日後に浮遊惑星が、地球の近くを通過するのをご存じですよね?』

 一同は頷く。

『あ、四月三日の惑星接近って夜空に月がもう一個できるやつでしょ? 楽しみなんですよ! ロマンチック~』

 どこまでも癇に障る物言いの娘に、ハゲおやじはいら立ちながら、咳払いをした。

『ええ、そうです。本来地球は太陽との引力関係によって公転しています。地球と太陽。または月や他の惑星。これらは絶妙なバランスによって今の状態をキープしています』

 またも一同は頷き、アイドルの娘だけは何を言っているのかさっぱりわからないといった顔をしている。

『もちろん浮遊惑星にも引力があり、それの影響で他の衛星であったり、惑星であったりを引き連れています』

『あの~何が言いたいんですか? もしかして、そのでっかい星が地球を引っ張っていっちゃうんですか?』

 ともうつまらないといったアイドルの娘が、自身の髪をいじりながら発言した。

『その通りです』

『え? 嘘! マジ! それは爆笑なんですけど』

 高笑いをするアイドルを無視して、ハゲおやじは続ける。

『本来。浮遊惑星の引力で地球が太陽系からでていくことなどありえないのですが、今回のこの謎の柱。こいつのせいで、浮遊惑星の引力に引っかかり地球は太陽系から離脱します』

 そう言い終わるとスタジオは沈黙した。ただ一人アイドルだけは状況がつかめていない。

『それって何か困るの?』

『太陽から離れるということは、突然、北極や南極よりも寒い状態になるということ、そして永遠の夜が続く』

『それじゃーヒーターだったり、服をいっぱい着ればいいじゃない』

『それだけではしのげないほどだよ。加えて植物達も枯れ、そもそもの酸素が供給できなくなる。地下シェルターをつくるにも時間がなさすぎる……』

 またも静まり返ったスタジオ。口火を切ったのはアイドルだった。

「それじゃーどうすんだよー!」

 その豹変と共にスタジオで暴れるアイドル。一旦放送が中断され『しばらくお待ちください』のテロップが出た。

 私はただ画面に釘付けになるばかりだった。放送が再開されたと同時に〝なーんちゃって、エイプリルフールでした〟と看板を持ったキャスター達が笑っている。大成功ですねとの会話をしているテレビ画面の中の人達。私はテレビを消した。

 私の仕事は建築作業員。今入っている仕事は、政治家や財政界の人たちの地下シェルター建設の依頼。つい先日まで金持ちのやることはよくわからないと思っていた。昨夜未明、私の住んでいる町に柱が突如出てきた。そして恐らく世界各国で柱がでてきていると思われる。まるで水風船に思い切り針を刺し、破裂しないか、今か今かとなっているそんな状態である。
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