皇弟が冷淡って本当ですか⁉ どうやらわたしにだけ激甘のようです

流空サキ

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第五章

置き場所

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―――観月の宴の最中にまずは祖父の時有を助ける。
 
 時有はこの国では一番の術者だ。
 その彼が自由になり味方になってくれれば後は怖いものはない。
 時有の力をかりて有明を助け、紫檀の扉まで向かってそのまま日本へ逃げればいい。
 康夜は火の血族の演舞が終わったらそのまま未令、時有、有明と合流する。
 日本へ戻った後、扉は時有が壊す。
 そもそもあの扉を再び日本とつなげたのは時有だから。痕跡を残さぬよう、平安国と日本との橋を断絶すれば、誰も跡を追うことはできない―――。

 卓水の提示した父と祖父救出案はシンプルなものだった。

「時有を助けるところまで涼己が手助けしてくれるよ。木火土金水の演舞のあと、涼己の剣舞が控えているから涼己は準備のため一旦席を立つことになってる。その間に時有の水牢を目指す」
「そんなことしてたら剣舞の準備ができないんじゃあ」

 きっと衣装も複雑なものなのだろう。

「そこはほら、ぼくたちには時間を味方にできる方法がある」

 卓水はにっと笑う。
 時有を助けたらすぐに涼己は扉を通り日本へ行き準備を整える。
 こちらで六分あれば向こうでは一時間もある。それだけあれば十分な準備ができる。

「ただし時間との勝負であることは変わりないけどね」

 未令はうーんと腕を組んだ。
 言うのは簡単だけれど、要は正面突破の正攻法だ。
 相手は木火土金水を扱う術者。彼らにどんな力があるのか。未令には未知のことだ。
 そんな彼らに何の力もない未令が太刀打ちできるのだろうか。
 せめて紫檀の扉が宮殿にあり、すぐにも飛び込めればいいのだけれど。
 
「そういえばどうして扉は卓水の屋敷に置いてあるの?」
「ああ、そのことね」

 帝の住む宮殿を囲むように五つの血族の屋敷が取り囲み、更にそれらを囲むように貴族の屋敷が建ち並んでいる。 
 ここからは見えないが、その更に外側には帝都が広がっているらしい。
 未令の質問に卓水は、

「もともと奈生金と緑香と僕との三人で順に管理しようって話だったんだけど、緑香は宮殿詰めだからあんなの面倒見れないって匙を投げてね。だけどほんとはあいつ、扉を一度通ったら派手に気を失ったものだからそれ以来一度も扉に近づこうとしないんだ。奈生金は金の血族だろう? 金と扉の材質である木とは相性が悪いんだ。奈生金の屋敷で管理しているとなんとなく扉の繋がりが悪くてさ。木と水は相性がいいからね。だから自然ぼくが管理することになっちゃって」

 要はなんだかんだ理由をつけて押し付けられてるんだよと卓水は笑う。


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