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「はぁっ、はぁっ……! 着いた……!」
学校まで全力で走ったせいで校門前で膝に手をついて息切れを起こしていた。周りの生徒からはおかしなものを見るような目で見られている。俺は視線を気にしないようにして校門をくぐり教室へと向かった。朝礼前の教室は生徒たちが各々好きなようにしていて騒がしかった。けれど俺に話しかける生徒はいない。今まで誰とも関りを持とうとしなかったからだ。朝礼まで数分もなく、やることもないのでぼーっとしていた。
「みんなおはよう! 朝礼を始めるから席についてくれ!」
うちのクラスの担任が教室に入ってきて生徒たちに席に着くように促す。周りが席に着き始め、朝礼が始まった。
「それじゃあ出席をとるぞ。朝倉、飯田、……」
先生が出席を取っていく。教室を見渡すと生徒のほとんどは出席しているようだった。
「……宮下、向井、本宮…は欠席だな。山下……」
小夜だけが欠席していた。結局昨日の出来事が現実だったのかは分からない。小夜が居なくなったのが本当に機能の出来事のせいだったのか。それともそれとは無関係で行方不明になっているのか。
「よし。今日の欠席は本宮だけだな。それじゃあ最後になんだが、悪い話がある。」
出席の確認が終わり最後の今日の連絡事項の話に入ったと同時に先生の顔が曇る。
「実は、昨日から本宮の行方が分からなくなっている。」
教室の雰囲気がざわつく。
「静かに! もし何か知っていたり心当たりがある生徒は教えてほしい。これで今日の連絡は終わりだ。今日も一日頑張ろう!」
もう小夜のことは学校まで伝わっている様だった。先生が教室を出た後の教室はいつも以上にざわめいていた。
「行方不明ってマジかよ……。」「やだ、誘拐とか……?」「どっかで遊んでんじゃねえの?」
教室内では生徒同士で小夜の行方についての話題が広まっていく。各々が好き勝手に考える中で俺だけが真実を知っている。少なくともあれが現実なら、だが。
教室が小夜の話題で持ちきりになっているところで一時間目の担当の先生が教室に入ってきた。話していた生徒たちもチャイムが鳴る前に席に着き、授業の準備を始める。俺も準備をしなければと思い教材を壁として立てて携帯ゲームを取り出した。午前の授業が始まる。
……………………
キーンコーンカーンコーン
4時間目終了ののチャイムが鳴り、昼休みに入る。授業をしていた先生は教材を片付け始めている。午前中の授業全部ゲームそして乗り切った。授業中に質問をされることも初めの頃はあったが、分かりませんの一点張りで通してきたのでもう当てられることは無くなった。教材とゲーム機を片付けて購買へと向かう。個々の学校の購買はあまり大きくなく、商品も大したものはないので基本はみんな弁当を持ち込んでいる。購買で適当に総菜パンを買って教室へと戻る。
「遊ちゃん、一緒にご飯食べよう!」
「っ!? 小夜!?」
教室に入った瞬間小夜の声が聞こえた。しかしその本人は見当たらない。ひとりでに叫んだ俺を周りが気味が悪そうに見ている。そうだ。いつも購買から帰ってきたときには小夜が話しかけてきていた。入学当時からそうだったので幻聴が聞こえてしまった様だ。俺はそそくさと席に戻りパンに口をつける。一口、また一口と進みパンはすぐにすぐになくなってしまった。
(いつもはもっと食うのに時間がかかるんだけどな……。)
いつもは小夜が話しかけてきては食べるのが中断されていた。だから食べ終わるのは昼休みギリギリになることがよくあった。
「ねえ、ちょっといいかしら。」
総菜パンを食べ終わりぼーっとしていると誰かから話しかけられた。声をかけられたほうを見るとそこにはショートヘアーに赤いリボンの髪飾りが特徴的な女生徒が立っていた。
「誰だよアンタ。俺に何か用か?」
そう返すと女生徒は慌てたように返してきた。
「なっ、私のことが分からないわけ? いつも小夜と同じ環境委員の桜井 奈央よ!小夜と一緒に居るときに何度か見たことあるでしょ?」
そういえば小夜の委員会がある日はいつも終礼が終わった後に迎えに来ている奴が居たな。顔は覚えていないが多分こいつのことだろう。
「覚えておけも何も、顔はともかく名前は今初めて聞いたんだが。」
「うっ……、それは自己紹介する機会も無かったし……、それにあなたと話すこと自体なかったからしょうがないでしょ!」
「だったら覚えている訳がないだろ。」
言っていることの矛盾を突き付けられて桜井はうう…と顔を真っ赤にして黙り込んだ。少し言い過ぎたか?
「もう! そんなことはどうでもいいの! いいから来て!」
桜井が言うとガシッと手を掴まれ、そのまま屋上へと連れていかれた。
「なんだよ、こんな屋上に連れ出して。愛の告白でもするつもりか?」
「誰があんたなんかに告白なんてするのよ。馬鹿じゃないの?」
桜井がとても冷めた返事を返す。別に恋愛ごとに興味はないので傷つくことはないが。
「それで、いったい何の用だ? もうすぐ午後の授業も始まる。あまり長くは聞けないぞ。」
真面目に受ける気は無いがな。そう言うと桜井は先程とは打って変わり真面目な顔になった。
「ねえアンタ、昨日小夜と一緒に帰ってたわよね。小夜が行方不明になったことについて何か知っているんじゃないの?」
今朝に母さんにされたものと同じ質問だ。朝と同じ質問をされたならそこまで動揺もしない。ならば返答は決まっている。
「悪いが俺にも分からない。あの日は確かに小夜と一緒に帰ったがその後のことは知らない。だから俺にも分からないんだ。」
今朝と同じように質問に答えると桜井は悲しそうな顔をして俯いた。
「そっか……、分からないよね……。ごめんなさい、あなたなら何か知ってると思ったんだけど……。」
「いや、俺だって小夜のことは心配してるんだ。小夜のことを調べようとするのはおかしなことじゃない。俺だって小夜の手掛かりが何か無いか調べている。」
「そうなの? だったらもしも何か手掛かりが見つかったら教えて! お願い!」
桜井が必死な形相で俺に懇願してくる。その表情からどれだけ小夜のことを心配しているかが伝わってくる。
「ああ、任せてくれ。そっちもなにか見つかったらよろしく頼む。」
「分かったわ! もうすぐ午後の授業が始まっちゃうから私は行くわね。それじゃあまたね。」
そう言うと桜井は屋上のドアを思いっきり開いて走って屋上から出て行った。開いたドアが閉まりバタンと音が鳴ると同時に午後の授業開始5分前を示すの予鈴が鳴る。
「手掛かりなんて見つかるわけ無いのにな……。」
そう小さく呟いて俺も屋上を出た。幼馴染の友人の純粋な気持ちを弄んでいる様で心の中に罪悪感が残る。もう行こう。屋上の階段を降りて教室へ向かう。
午後の授業が始まる。
学校まで全力で走ったせいで校門前で膝に手をついて息切れを起こしていた。周りの生徒からはおかしなものを見るような目で見られている。俺は視線を気にしないようにして校門をくぐり教室へと向かった。朝礼前の教室は生徒たちが各々好きなようにしていて騒がしかった。けれど俺に話しかける生徒はいない。今まで誰とも関りを持とうとしなかったからだ。朝礼まで数分もなく、やることもないのでぼーっとしていた。
「みんなおはよう! 朝礼を始めるから席についてくれ!」
うちのクラスの担任が教室に入ってきて生徒たちに席に着くように促す。周りが席に着き始め、朝礼が始まった。
「それじゃあ出席をとるぞ。朝倉、飯田、……」
先生が出席を取っていく。教室を見渡すと生徒のほとんどは出席しているようだった。
「……宮下、向井、本宮…は欠席だな。山下……」
小夜だけが欠席していた。結局昨日の出来事が現実だったのかは分からない。小夜が居なくなったのが本当に機能の出来事のせいだったのか。それともそれとは無関係で行方不明になっているのか。
「よし。今日の欠席は本宮だけだな。それじゃあ最後になんだが、悪い話がある。」
出席の確認が終わり最後の今日の連絡事項の話に入ったと同時に先生の顔が曇る。
「実は、昨日から本宮の行方が分からなくなっている。」
教室の雰囲気がざわつく。
「静かに! もし何か知っていたり心当たりがある生徒は教えてほしい。これで今日の連絡は終わりだ。今日も一日頑張ろう!」
もう小夜のことは学校まで伝わっている様だった。先生が教室を出た後の教室はいつも以上にざわめいていた。
「行方不明ってマジかよ……。」「やだ、誘拐とか……?」「どっかで遊んでんじゃねえの?」
教室内では生徒同士で小夜の行方についての話題が広まっていく。各々が好き勝手に考える中で俺だけが真実を知っている。少なくともあれが現実なら、だが。
教室が小夜の話題で持ちきりになっているところで一時間目の担当の先生が教室に入ってきた。話していた生徒たちもチャイムが鳴る前に席に着き、授業の準備を始める。俺も準備をしなければと思い教材を壁として立てて携帯ゲームを取り出した。午前の授業が始まる。
……………………
キーンコーンカーンコーン
4時間目終了ののチャイムが鳴り、昼休みに入る。授業をしていた先生は教材を片付け始めている。午前中の授業全部ゲームそして乗り切った。授業中に質問をされることも初めの頃はあったが、分かりませんの一点張りで通してきたのでもう当てられることは無くなった。教材とゲーム機を片付けて購買へと向かう。個々の学校の購買はあまり大きくなく、商品も大したものはないので基本はみんな弁当を持ち込んでいる。購買で適当に総菜パンを買って教室へと戻る。
「遊ちゃん、一緒にご飯食べよう!」
「っ!? 小夜!?」
教室に入った瞬間小夜の声が聞こえた。しかしその本人は見当たらない。ひとりでに叫んだ俺を周りが気味が悪そうに見ている。そうだ。いつも購買から帰ってきたときには小夜が話しかけてきていた。入学当時からそうだったので幻聴が聞こえてしまった様だ。俺はそそくさと席に戻りパンに口をつける。一口、また一口と進みパンはすぐにすぐになくなってしまった。
(いつもはもっと食うのに時間がかかるんだけどな……。)
いつもは小夜が話しかけてきては食べるのが中断されていた。だから食べ終わるのは昼休みギリギリになることがよくあった。
「ねえ、ちょっといいかしら。」
総菜パンを食べ終わりぼーっとしていると誰かから話しかけられた。声をかけられたほうを見るとそこにはショートヘアーに赤いリボンの髪飾りが特徴的な女生徒が立っていた。
「誰だよアンタ。俺に何か用か?」
そう返すと女生徒は慌てたように返してきた。
「なっ、私のことが分からないわけ? いつも小夜と同じ環境委員の桜井 奈央よ!小夜と一緒に居るときに何度か見たことあるでしょ?」
そういえば小夜の委員会がある日はいつも終礼が終わった後に迎えに来ている奴が居たな。顔は覚えていないが多分こいつのことだろう。
「覚えておけも何も、顔はともかく名前は今初めて聞いたんだが。」
「うっ……、それは自己紹介する機会も無かったし……、それにあなたと話すこと自体なかったからしょうがないでしょ!」
「だったら覚えている訳がないだろ。」
言っていることの矛盾を突き付けられて桜井はうう…と顔を真っ赤にして黙り込んだ。少し言い過ぎたか?
「もう! そんなことはどうでもいいの! いいから来て!」
桜井が言うとガシッと手を掴まれ、そのまま屋上へと連れていかれた。
「なんだよ、こんな屋上に連れ出して。愛の告白でもするつもりか?」
「誰があんたなんかに告白なんてするのよ。馬鹿じゃないの?」
桜井がとても冷めた返事を返す。別に恋愛ごとに興味はないので傷つくことはないが。
「それで、いったい何の用だ? もうすぐ午後の授業も始まる。あまり長くは聞けないぞ。」
真面目に受ける気は無いがな。そう言うと桜井は先程とは打って変わり真面目な顔になった。
「ねえアンタ、昨日小夜と一緒に帰ってたわよね。小夜が行方不明になったことについて何か知っているんじゃないの?」
今朝に母さんにされたものと同じ質問だ。朝と同じ質問をされたならそこまで動揺もしない。ならば返答は決まっている。
「悪いが俺にも分からない。あの日は確かに小夜と一緒に帰ったがその後のことは知らない。だから俺にも分からないんだ。」
今朝と同じように質問に答えると桜井は悲しそうな顔をして俯いた。
「そっか……、分からないよね……。ごめんなさい、あなたなら何か知ってると思ったんだけど……。」
「いや、俺だって小夜のことは心配してるんだ。小夜のことを調べようとするのはおかしなことじゃない。俺だって小夜の手掛かりが何か無いか調べている。」
「そうなの? だったらもしも何か手掛かりが見つかったら教えて! お願い!」
桜井が必死な形相で俺に懇願してくる。その表情からどれだけ小夜のことを心配しているかが伝わってくる。
「ああ、任せてくれ。そっちもなにか見つかったらよろしく頼む。」
「分かったわ! もうすぐ午後の授業が始まっちゃうから私は行くわね。それじゃあまたね。」
そう言うと桜井は屋上のドアを思いっきり開いて走って屋上から出て行った。開いたドアが閉まりバタンと音が鳴ると同時に午後の授業開始5分前を示すの予鈴が鳴る。
「手掛かりなんて見つかるわけ無いのにな……。」
そう小さく呟いて俺も屋上を出た。幼馴染の友人の純粋な気持ちを弄んでいる様で心の中に罪悪感が残る。もう行こう。屋上の階段を降りて教室へ向かう。
午後の授業が始まる。
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