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第六章 にわかに信じ難い
第十二話 水を飲んでも太る
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うちの母親は常に何かしらのダイエットをしている。
今までも色んなその時々で流行ったものを一通り試している。
りんごダイエット、甘酒、きゅうり、カカオ、すりおろし玉ねぎの味噌汁、ヨーグルトきのこなど様々なものを試しては「少し痩せたかも」とか「お通じが良くなった気がする」などと言っているが、その後続いているのを見たことがない。
テレビで得た情報は家族の言うことよりも正しく、大抵のものは試してみる親だった。
その他は骨盤クッションやエアロバイク、ぶら下がり健康器、腹筋ブルブルベルトなど実家に帰るたびに健康グッズが一つは増えている。
そんなこんなで彼女は今現在は小太りおばさんである。ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に出てくるハンプティ・ダンプティという体が卵というキャラクターの体型に酷似している。
「水を飲んでも太るのよ。」
これが母親の口癖であった。
私はまたこの口癖が体に及ぼす現象をこの時はまだ知らずに聞いていたのである。
___________________________________
近所のスーパーの2階に100円ショップが入っている。
その同じ並びの一角に小さな化粧品売り場がある。パネルで囲まれたそのスペースはお年寄りの憩いの場所となっているようで、大抵通りかかる時には一人二人とお客が座っているのを見かける。
私は化粧品売り場には用は無いので素通りするのだけれど、店員とお客は楽しそうにそこで井戸端をしている。
しかも個室で話している感覚でわりといつも盛り上がっている。
だがパネルで仕切ってあるだけなので勿論会話は100均の方まで筒抜けなのである。
たまたまちょっとした文具の買い忘れがあって、そのスーパーの100均に立ち寄った時の事である。
何気なく私が買うものを探していると、化粧品売り場の方から年配の女性の声が聞こえてくる。
「そーなの、あまり食べないようにしてるけど全然痩せないのよね~。」
私は久しぶりの健康ネタの様なので一人で勝手にテンションが上がって、自然と聞き耳をたててしまう。
「もうね、水飲んでも太るんだから~。」
少し懐かしさすら感じるこのフレーズ。
年配女性のあるあるなのかね?
そうそう、食事の間にちょこちょこ完食してたりするんじゃないかな?大豆を食べなよ、と母親を見ていて思う事を心の中で言ってみる。
自分の腹が少し凹んだのをいいことに、少しだけ先輩風を吹かしてみる。
すると店員のハキハキ喋る女性が
「人ってね、体内の60%以上が水で出来てるっていうでしょ?」
「しかも水は人の事が大好きで、見返り無しに人に喜ばれようとしているらしいんだそうよ。」
突然の水目線か?
何かしらの宗教の教えだろうか??
「だからね、もしも水でも太るのよって体に言い聞かせながら飲むと」
「その水はこの体を太らせなきゃいけないって頑張るらしいわよ~。」
「えぇ~、そんなの嫌だわぁ。」
「じゃあなんて言って飲めば痩せるのよぉ。」
確かに。
「私は〇〇キロまでしか太らないんです、って飲めばいいんだって。」
(何それ?)
「そうしたら希望体重キープ出来るって。」
「あと老化を止めたい時は、『いつも若返らせてくれてありがとう』って言ってから飲むと良いらしいよ。」
(お~、これはかなり胡散臭い話だ。)
この店員さんは誰にこういう話を聞いたのだろうか?
とても信じ難い話ではあるが、本当ならかなり面白い話ではある。
現にうちの母親も少食にも関わらずお腹周りはかなり太っている。
常にダイエットをしているにも関わらず確かに全然痩せる兆しすら見えない。
最近はお腹もそんなに空かないので、朝と夜の2食にしていると言っていた。
この話の通りだとうちの母親は毎日毎日自分で体に「水で太れ」と言い聞かせながら水分を取った結果、水が母親を喜ばせようと頑張って望みが叶って太ったという事になる。
つまり水に罪はなく、人が望んだ結果通りになったのに嫌だ嫌だと不足しているという、、、なんとも水からしてみれば理不尽な事実なのだが人間のしている事の阿呆らしさに笑いを誘う話だ。
この化粧品売り場では化粧品を売ることなくこんな不可思議な健康ネタを売っていたんですね、ご近所スーパーあなどれん。
ふふっ、、、。
母親の事を思って納得がいき過ぎて、少し笑ってしまった。
こんな有力な情報を私が仕入れても、これを話したところで母親が耳を貸すことはないと言い切れる。
なのでいつかテレビを通して同じ情報を母が知ることがあればな、と願うが、、。
うーん、、、、、この話に出会う事は無いかな?
だってこんな事、絶対にテレビでやってないものな。
今までも色んなその時々で流行ったものを一通り試している。
りんごダイエット、甘酒、きゅうり、カカオ、すりおろし玉ねぎの味噌汁、ヨーグルトきのこなど様々なものを試しては「少し痩せたかも」とか「お通じが良くなった気がする」などと言っているが、その後続いているのを見たことがない。
テレビで得た情報は家族の言うことよりも正しく、大抵のものは試してみる親だった。
その他は骨盤クッションやエアロバイク、ぶら下がり健康器、腹筋ブルブルベルトなど実家に帰るたびに健康グッズが一つは増えている。
そんなこんなで彼女は今現在は小太りおばさんである。ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に出てくるハンプティ・ダンプティという体が卵というキャラクターの体型に酷似している。
「水を飲んでも太るのよ。」
これが母親の口癖であった。
私はまたこの口癖が体に及ぼす現象をこの時はまだ知らずに聞いていたのである。
___________________________________
近所のスーパーの2階に100円ショップが入っている。
その同じ並びの一角に小さな化粧品売り場がある。パネルで囲まれたそのスペースはお年寄りの憩いの場所となっているようで、大抵通りかかる時には一人二人とお客が座っているのを見かける。
私は化粧品売り場には用は無いので素通りするのだけれど、店員とお客は楽しそうにそこで井戸端をしている。
しかも個室で話している感覚でわりといつも盛り上がっている。
だがパネルで仕切ってあるだけなので勿論会話は100均の方まで筒抜けなのである。
たまたまちょっとした文具の買い忘れがあって、そのスーパーの100均に立ち寄った時の事である。
何気なく私が買うものを探していると、化粧品売り場の方から年配の女性の声が聞こえてくる。
「そーなの、あまり食べないようにしてるけど全然痩せないのよね~。」
私は久しぶりの健康ネタの様なので一人で勝手にテンションが上がって、自然と聞き耳をたててしまう。
「もうね、水飲んでも太るんだから~。」
少し懐かしさすら感じるこのフレーズ。
年配女性のあるあるなのかね?
そうそう、食事の間にちょこちょこ完食してたりするんじゃないかな?大豆を食べなよ、と母親を見ていて思う事を心の中で言ってみる。
自分の腹が少し凹んだのをいいことに、少しだけ先輩風を吹かしてみる。
すると店員のハキハキ喋る女性が
「人ってね、体内の60%以上が水で出来てるっていうでしょ?」
「しかも水は人の事が大好きで、見返り無しに人に喜ばれようとしているらしいんだそうよ。」
突然の水目線か?
何かしらの宗教の教えだろうか??
「だからね、もしも水でも太るのよって体に言い聞かせながら飲むと」
「その水はこの体を太らせなきゃいけないって頑張るらしいわよ~。」
「えぇ~、そんなの嫌だわぁ。」
「じゃあなんて言って飲めば痩せるのよぉ。」
確かに。
「私は〇〇キロまでしか太らないんです、って飲めばいいんだって。」
(何それ?)
「そうしたら希望体重キープ出来るって。」
「あと老化を止めたい時は、『いつも若返らせてくれてありがとう』って言ってから飲むと良いらしいよ。」
(お~、これはかなり胡散臭い話だ。)
この店員さんは誰にこういう話を聞いたのだろうか?
とても信じ難い話ではあるが、本当ならかなり面白い話ではある。
現にうちの母親も少食にも関わらずお腹周りはかなり太っている。
常にダイエットをしているにも関わらず確かに全然痩せる兆しすら見えない。
最近はお腹もそんなに空かないので、朝と夜の2食にしていると言っていた。
この話の通りだとうちの母親は毎日毎日自分で体に「水で太れ」と言い聞かせながら水分を取った結果、水が母親を喜ばせようと頑張って望みが叶って太ったという事になる。
つまり水に罪はなく、人が望んだ結果通りになったのに嫌だ嫌だと不足しているという、、、なんとも水からしてみれば理不尽な事実なのだが人間のしている事の阿呆らしさに笑いを誘う話だ。
この化粧品売り場では化粧品を売ることなくこんな不可思議な健康ネタを売っていたんですね、ご近所スーパーあなどれん。
ふふっ、、、。
母親の事を思って納得がいき過ぎて、少し笑ってしまった。
こんな有力な情報を私が仕入れても、これを話したところで母親が耳を貸すことはないと言い切れる。
なのでいつかテレビを通して同じ情報を母が知ることがあればな、と願うが、、。
うーん、、、、、この話に出会う事は無いかな?
だってこんな事、絶対にテレビでやってないものな。
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