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飯盛山城 5
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一息で坂を駆け上がると、今度は急な下り坂になった。先の見通せない長い坂道は、背の高く葉の生い茂った木々に囲まれた地の底まで続く洞窟。地面に空いた穴のように口を開いていた。
「走ってください」
坂の入り口で降ろされると、そう言いながら六角義賢に背中を押された。
軽く押されただけだが、崖から落ちるように走り出した。
義藤も自分の身を自分で守らねばならないと承知していた。周りに頼り切っていてはいられないほど危険が迫っているのだ。
前を走る蒲生賢秀の背中を精一杯追いかけていたが、後ろから近づいてくる気配はない。六角義賢は、立ち止まって警戒しているのだろうか?
などと、考えてみたが、振り返って確かめる余裕はない。
坂を駆け下る蒲生賢秀の背中は少しずつ小さくなり、気を緩めれば一気に見えなくなってしまう気がする。それに、道の両脇から侵食してきた木の根が表面に突き出している場所もあって、余所見など出来るはずもなかった。
しかし、必死で走っていたはずだが不思議と息が上がらない。
知らぬ間に自分が成長していたのかと気を良くしていたが、別段、努力をした訳でもないのに何かが変わる訳でもなく、前に走る蒲生賢秀が無理のない様に速度を調整してくれているためだった。
前を走る背中から目を離すと、急に息が詰まったかのように乱れ始めた。知らずに合わせていた呼吸が乱れたせいだ。
咳き込みそうになるのを堪えて、前を進む蒲生賢秀の姿を探すと、その先の洞窟の底が輝き始めた。目が眩まんばかりの白く強烈な光。その光の中に黒い布切れがゆらゆらと揺れて、巻き取られるかのように小さくなって消えて行った。
置いてかれまいと、懸命に足を前に出したが、重く、これまでのように軽やかに走る事が出来なかった。
その横をいつの間にか追いついていた六角義賢が抜き去って行く。
今度こそと、懸命に後を追ったが、白い光に向かって走り去る影は、紙の上に一筆引いた水跡が乾いていくように音もなく吸い込まれて行った。
彼らから遅れる事、どれくらい経ったのか分からなかったが、自分の物でないような感覚の足を地面に杖のように突き立てて走り続けた。
ただ、まっすぐに前だけを見て、真っ白な光の中へ飛び出した。
「走ってください」
坂の入り口で降ろされると、そう言いながら六角義賢に背中を押された。
軽く押されただけだが、崖から落ちるように走り出した。
義藤も自分の身を自分で守らねばならないと承知していた。周りに頼り切っていてはいられないほど危険が迫っているのだ。
前を走る蒲生賢秀の背中を精一杯追いかけていたが、後ろから近づいてくる気配はない。六角義賢は、立ち止まって警戒しているのだろうか?
などと、考えてみたが、振り返って確かめる余裕はない。
坂を駆け下る蒲生賢秀の背中は少しずつ小さくなり、気を緩めれば一気に見えなくなってしまう気がする。それに、道の両脇から侵食してきた木の根が表面に突き出している場所もあって、余所見など出来るはずもなかった。
しかし、必死で走っていたはずだが不思議と息が上がらない。
知らぬ間に自分が成長していたのかと気を良くしていたが、別段、努力をした訳でもないのに何かが変わる訳でもなく、前に走る蒲生賢秀が無理のない様に速度を調整してくれているためだった。
前を走る背中から目を離すと、急に息が詰まったかのように乱れ始めた。知らずに合わせていた呼吸が乱れたせいだ。
咳き込みそうになるのを堪えて、前を進む蒲生賢秀の姿を探すと、その先の洞窟の底が輝き始めた。目が眩まんばかりの白く強烈な光。その光の中に黒い布切れがゆらゆらと揺れて、巻き取られるかのように小さくなって消えて行った。
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その横をいつの間にか追いついていた六角義賢が抜き去って行く。
今度こそと、懸命に後を追ったが、白い光に向かって走り去る影は、紙の上に一筆引いた水跡が乾いていくように音もなく吸い込まれて行った。
彼らから遅れる事、どれくらい経ったのか分からなかったが、自分の物でないような感覚の足を地面に杖のように突き立てて走り続けた。
ただ、まっすぐに前だけを見て、真っ白な光の中へ飛び出した。
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