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札と刀と怪物と
《第35話》札と刀と怪物と その7
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「神田!急いでくれぇ!」
「分かってますからちゃんと掴まっといてください!」
俺は熊化した神田の背中に乗って森の方まで向かっていた。思ったより毛深いし乗りやすい。
「っと・・・ここからちょっと敵が多そうっすが、いけますかね?」
神田が四本の足を止め、俺に問掛ける。俺はもちろん進めと言いたいところだが、このまま行って殺されたら元も子もない。
「お前、一旦人間フォームにもどれ」
「なんっすか、人間フォームて・・・」
神田は少しぶつくさ言いながら人間に戻った。
「あれ、店長じゃね?」
俺は奥の方に店長と思われし影を見た。
「よく分かるっすね~」
神田は少し関心した風に言った。
「なぁ、店長の後ろの方・・・木から木へぴょんぴょん飛んでるやつ見えるか?」
俺は今まで見てきた怪物とはまた別のタイプだと思われる怪物らしきものを見かけた。
「はい・・・さすがに見えます」
その怪物は店長の方へ距離を縮めて行く・・・まさか、店長は気づいていないのか?
「神田・・・俺を投げろ」
「ふぁ?何言ってるんっすか?さすがに先輩が危ないっすよ」
「そんなことは承知の上さ、俺は店長を救いたい」
ただそれだけだ。たったそれだけなんだ。
「分かりました。救急車呼んどきますねっ!」
俺は神田に足を掴まれると思いっきり投げ飛ばされた。おい、まだ心の準備が出来てないのに投げるんじゃねぇ
「うぁぁぁぁぁぃ!」
店長がこちらを振り向いて、「まやくん」と言われた気がしたが、その後後ろから迫り来ていた敵に攻撃され意識を失ってしまった。
『邪魔が入っちまったぜ』
飛んできたまやくんは血だらけになって地面に転がっている。おおよそ神田くんに投げてもらったのだろう。
俺を助けるために・・・
「あんたは誰だ」
『私はお前を捕える者。次こそは邪魔させないぜ』
と言うと、その敵は消えた。姿かたちが消えただけで、俺に攻撃をしている。
「うっ、こいつ透明化できるのか」
『ハハハ、我が名はインビジブル。他の奴には俺の姿、見えているが、お前だけには見えないようになっている』
俺にしか見えていないというわけか・・・神田くんに来て欲しいところがあるが、彼を危険に巻き込みたくない。くそっとりあえずもう少し奥の方へ進むか・・・。
『逃げても無駄だぜ、ウケケケ!』
俺は見えざる敵の攻撃から身を守るすべが無い。しかもやつもかなり速いので俺ごときのスピードでは追いつかれてしまう。
「だが、向かってくるとわかっているなら、捕らえることはそう難しいことではない」
俺はインビジブルの体を捉えた。
『なっ!』
「死ねぇ!」
俺は頭があると思われし場所に触手を突き刺した。
『グキキ・・・俺は死んでも俺はいる。俺は十人いるからな、あと九人だ』
と言うとドロドロになって消えた。が、後ろから打撃を食らわされた。前からも横からも来ている。
「ええい!じゃまだぁ!」
俺は触手をブンブン振り回すが、カスリともしない。相手が素早いのと、俺の気の焦りが合わさって上手いこと当たらないのだろう・・・。
「くそっ・・・俺としたことが・・・」
まやくんも助けなければならないし、俺自身もこの状況を突破せねばならない。
『グキキキキ俺達は倒せない。お前は俺たち倒せない』
インビジブル達は俺をサンドバッグかなんかのように殴ってくる。佐々嶺は多分一ちゃんの援護にでも行ってるのだろう。考えろ、この状況を打破する状況を・・・やはり神田くんを呼ぶべきのか・・・それとも・・・
『そろそろ死ね』
『あんたはもう終わり』
『終わりだ終わり』
『待て待て、こいつは死なないし』
『死なないならば終わらない』
『神の力で終われない』
『そういやそうだ捕らえよう』
『捕らえよう』
もうダメだと思った時である。空から黒い刀身をした大太刀が落ちてきた。
『のわ!』
『またまた邪魔か・・・』
「助かった・・・ナイスだボス!」
この黒い刀は、ボスの持つ『助太刀』俺たちの誰かがピンチに陥った時に助けに来てくれる刀だ。
「行くぞ助太刀!俺を助けろ!」
そう言うと助太刀から黒い煙がでてきた。そう、これが助太刀本体を出す文言なのだ。
『助太刀に参りましたァ!』
黒い煙は侍のような形に姿を変えた。
『店長殿お久しぶりですなぁ!』
「あぁ、すまないな、俺としたことが少し手こずってしまって・・・」
『いやいや、どーんと頼ってきてくだされ!私の使命はあなた達の助太刀をすること、今回はこの九体の化け物の討伐を手助けすれば良いのですな?』
「その通り、俺に手を貸してくれ」
『かしこまりましたァ!』
と言うと、助太刀はまた黒い煙に戻り、俺の体に黒い煙がまとわりつく・・・
『お身体お借り致します!』
そう、こいつのやってくれるのは討伐ではなくあくまで助太刀、俺の体を乗っ取って戦う。体は俺でも中身は俺じゃないからインビジブルたちを見ることが出来るのだ。
『やはり店長殿の体で戦うのは面白いですなぁ!腕が自由に伸びますし、これで刀を振るうのはとても楽しい!』
「遠慮せずにどんどんやってくれ、俺は神の剣の力で自然治癒力も普通の人間の比じゃないからな」
俺は、否、俺の体は大太刀をブンブン振り回し、敵をざっしゅざっしゅと倒してゆく
『なっ・・・なんなんだこの化け物!』
『に、に、逃げるが勝ちだ』
しかし絶対逃がさない。逃げれない。
『我を化け物呼ばわりするとは・・・少々傷つきますな』
と言うと、最後の一体を切り裂き、全員ドロドロになって消えた。
『それでは私はこの辺でドロンさせていただきます!』
すると俺の体から黒い煙が抜けてゆく。
「おう、ありがとな」
そして、助太刀はぴゅーんと空の方へ飛んで行った。
「さて、まやくんを助けるとしますか」
幸いまだ息はある。まぁ、なくても魂を掴んで体に入れればいい話なんだけどさ
「神の剣、出てこい」
と言うと、俺の体から黄金に光る剣が出てきた。
「まやくんは賢いから救急車とか呼んでそうだけど、まぁいっか」
俺はまやくんに神の剣を突き刺した。
まやくんに神の力の一部を渡すことによりこの傷は回復する。
「ん?なんだこれは」
まやくんのそばにメモ用紙らしきものが落ちていた。そこには「外には化け物が大量にわいている」と書かれていた。
「理解した。佐々嶺と協力してこの街を出るよ」
剣を突き刺されたまやくんの体はみるみるうちに回復した。もう大丈夫だろう。
「ありがとう君みたいな最高の友がいた事を俺は忘れないよ」
俺は佐々嶺に連絡を取った後、その場で携帯を破壊した。
「さて、行きますかぁ」
俺がこの街を出る時、遠くに救急車のサイレンの音が聞こえた。
「分かってますからちゃんと掴まっといてください!」
俺は熊化した神田の背中に乗って森の方まで向かっていた。思ったより毛深いし乗りやすい。
「っと・・・ここからちょっと敵が多そうっすが、いけますかね?」
神田が四本の足を止め、俺に問掛ける。俺はもちろん進めと言いたいところだが、このまま行って殺されたら元も子もない。
「お前、一旦人間フォームにもどれ」
「なんっすか、人間フォームて・・・」
神田は少しぶつくさ言いながら人間に戻った。
「あれ、店長じゃね?」
俺は奥の方に店長と思われし影を見た。
「よく分かるっすね~」
神田は少し関心した風に言った。
「なぁ、店長の後ろの方・・・木から木へぴょんぴょん飛んでるやつ見えるか?」
俺は今まで見てきた怪物とはまた別のタイプだと思われる怪物らしきものを見かけた。
「はい・・・さすがに見えます」
その怪物は店長の方へ距離を縮めて行く・・・まさか、店長は気づいていないのか?
「神田・・・俺を投げろ」
「ふぁ?何言ってるんっすか?さすがに先輩が危ないっすよ」
「そんなことは承知の上さ、俺は店長を救いたい」
ただそれだけだ。たったそれだけなんだ。
「分かりました。救急車呼んどきますねっ!」
俺は神田に足を掴まれると思いっきり投げ飛ばされた。おい、まだ心の準備が出来てないのに投げるんじゃねぇ
「うぁぁぁぁぁぃ!」
店長がこちらを振り向いて、「まやくん」と言われた気がしたが、その後後ろから迫り来ていた敵に攻撃され意識を失ってしまった。
『邪魔が入っちまったぜ』
飛んできたまやくんは血だらけになって地面に転がっている。おおよそ神田くんに投げてもらったのだろう。
俺を助けるために・・・
「あんたは誰だ」
『私はお前を捕える者。次こそは邪魔させないぜ』
と言うと、その敵は消えた。姿かたちが消えただけで、俺に攻撃をしている。
「うっ、こいつ透明化できるのか」
『ハハハ、我が名はインビジブル。他の奴には俺の姿、見えているが、お前だけには見えないようになっている』
俺にしか見えていないというわけか・・・神田くんに来て欲しいところがあるが、彼を危険に巻き込みたくない。くそっとりあえずもう少し奥の方へ進むか・・・。
『逃げても無駄だぜ、ウケケケ!』
俺は見えざる敵の攻撃から身を守るすべが無い。しかもやつもかなり速いので俺ごときのスピードでは追いつかれてしまう。
「だが、向かってくるとわかっているなら、捕らえることはそう難しいことではない」
俺はインビジブルの体を捉えた。
『なっ!』
「死ねぇ!」
俺は頭があると思われし場所に触手を突き刺した。
『グキキ・・・俺は死んでも俺はいる。俺は十人いるからな、あと九人だ』
と言うとドロドロになって消えた。が、後ろから打撃を食らわされた。前からも横からも来ている。
「ええい!じゃまだぁ!」
俺は触手をブンブン振り回すが、カスリともしない。相手が素早いのと、俺の気の焦りが合わさって上手いこと当たらないのだろう・・・。
「くそっ・・・俺としたことが・・・」
まやくんも助けなければならないし、俺自身もこの状況を突破せねばならない。
『グキキキキ俺達は倒せない。お前は俺たち倒せない』
インビジブル達は俺をサンドバッグかなんかのように殴ってくる。佐々嶺は多分一ちゃんの援護にでも行ってるのだろう。考えろ、この状況を打破する状況を・・・やはり神田くんを呼ぶべきのか・・・それとも・・・
『そろそろ死ね』
『あんたはもう終わり』
『終わりだ終わり』
『待て待て、こいつは死なないし』
『死なないならば終わらない』
『神の力で終われない』
『そういやそうだ捕らえよう』
『捕らえよう』
もうダメだと思った時である。空から黒い刀身をした大太刀が落ちてきた。
『のわ!』
『またまた邪魔か・・・』
「助かった・・・ナイスだボス!」
この黒い刀は、ボスの持つ『助太刀』俺たちの誰かがピンチに陥った時に助けに来てくれる刀だ。
「行くぞ助太刀!俺を助けろ!」
そう言うと助太刀から黒い煙がでてきた。そう、これが助太刀本体を出す文言なのだ。
『助太刀に参りましたァ!』
黒い煙は侍のような形に姿を変えた。
『店長殿お久しぶりですなぁ!』
「あぁ、すまないな、俺としたことが少し手こずってしまって・・・」
『いやいや、どーんと頼ってきてくだされ!私の使命はあなた達の助太刀をすること、今回はこの九体の化け物の討伐を手助けすれば良いのですな?』
「その通り、俺に手を貸してくれ」
『かしこまりましたァ!』
と言うと、助太刀はまた黒い煙に戻り、俺の体に黒い煙がまとわりつく・・・
『お身体お借り致します!』
そう、こいつのやってくれるのは討伐ではなくあくまで助太刀、俺の体を乗っ取って戦う。体は俺でも中身は俺じゃないからインビジブルたちを見ることが出来るのだ。
『やはり店長殿の体で戦うのは面白いですなぁ!腕が自由に伸びますし、これで刀を振るうのはとても楽しい!』
「遠慮せずにどんどんやってくれ、俺は神の剣の力で自然治癒力も普通の人間の比じゃないからな」
俺は、否、俺の体は大太刀をブンブン振り回し、敵をざっしゅざっしゅと倒してゆく
『なっ・・・なんなんだこの化け物!』
『に、に、逃げるが勝ちだ』
しかし絶対逃がさない。逃げれない。
『我を化け物呼ばわりするとは・・・少々傷つきますな』
と言うと、最後の一体を切り裂き、全員ドロドロになって消えた。
『それでは私はこの辺でドロンさせていただきます!』
すると俺の体から黒い煙が抜けてゆく。
「おう、ありがとな」
そして、助太刀はぴゅーんと空の方へ飛んで行った。
「さて、まやくんを助けるとしますか」
幸いまだ息はある。まぁ、なくても魂を掴んで体に入れればいい話なんだけどさ
「神の剣、出てこい」
と言うと、俺の体から黄金に光る剣が出てきた。
「まやくんは賢いから救急車とか呼んでそうだけど、まぁいっか」
俺はまやくんに神の剣を突き刺した。
まやくんに神の力の一部を渡すことによりこの傷は回復する。
「ん?なんだこれは」
まやくんのそばにメモ用紙らしきものが落ちていた。そこには「外には化け物が大量にわいている」と書かれていた。
「理解した。佐々嶺と協力してこの街を出るよ」
剣を突き刺されたまやくんの体はみるみるうちに回復した。もう大丈夫だろう。
「ありがとう君みたいな最高の友がいた事を俺は忘れないよ」
俺は佐々嶺に連絡を取った後、その場で携帯を破壊した。
「さて、行きますかぁ」
俺がこの街を出る時、遠くに救急車のサイレンの音が聞こえた。
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