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いじめを許さない
《第39話》いじめを許さない その2
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西条先輩から衝撃の事実を聞かされてから数日が経った。僕はあの後先輩と話し、矢上原はしばらく先輩の家に居る事になった。それはいいのだが、問題は先輩の話である。なんなんだあの人なんで今まで隠してたんだ?そんなことを考えながら学校へ向かっていると
「おやおや、私のことにつて考えているのだなまやくんよ」
後ろからニョッキり先輩が現れた。
「うおっ、ビックリさせないでくださいよ」
「死ぬかと思った?」
「思ってないです」
と言うと先輩はやれやれと首をふるふるして僕の後ろについてきている。
「もう、つれないなぁ・・・」
「先輩については聞きたいことが山ほどあるんですがまともに答えてくれないし、こっちも何が何だかあんましよく分かってないんですよ」
僕はつかつかと早足で先輩を振り切ろうとしていたが、この人の事をよく知るチャンスな気もするので、少しペースを落とすことにした。
「私のことは私の気が向いた時に・・・いや、西条茜が話したい時に話すよ」
「まぁ、話す話さないを決める権限は先輩にあるんで、いいんですけど、なるだけ早めに」
「そんなに知りたいなら昼休み君の教室に行ってあげるよ。どうせ暇なんだろう?」
「いや、いいっす」
まぁ、確かにそうなのだが、こられるとめんどくさいので丁重にお断りしといた。
学校に着いたので僕たちは各々の教室に向かって歩き出した。
ここでスクールカーストの話なのだが、スクールカースト上位の者がこの学校を仕切り下位の者はそれについて行くかそれの発する命令に従うとかまぁ、そんな感じだ。
もちろんのこと僕はスクールカースト下位だ。
「よォ、櫻口元気かぁうぃっっつ!」
と後ろから元気のいい声と共に思いっきり押されて転けた。
「っ・・・痛・・・くはない」
不思議と痛くなかった・・・神の力のお陰だろうか・・・?
「ぷっ・・・だっさ~」
はーしんど朝からしんどいなぁ・・・
「おーい、げんまさ高原行動しようぜ!」
「おう!」
こいつはげんまさこと玄歩まさ・・・なんとかだ。いわゆるスクールカースト上位の存在でどちらかと言うとヤンキーに分類される。割と背が低いからそこそこ背の高くて陰キャである僕を小突いてくる。
クラスの陰キャをいじめるものがスクールカースト上位の人間になれるのだ。
しかし、僕なんかより酷い目にあっているクラスメイトもいる。それが安川夏男君というのだが、彼は入学してからずっと玄歩に目をつけられており、いじめの対象にされている。安川君も控えめな性格なので先生に言ったりとか何とかもしないから、余計対象にされやすいのだ。
普段どんなことをされているかと言うと殴られたりもの隠されたり携帯取られたりとか色々とやられてるわけなんですが、これ以上具体例を挙げるのはなんかしんどいものがあるのでここまでにしておく。
僕はその後普通に授業を受けて昼休みになった。玄歩が弁当を食っている安川君の机の前に立ちはだかった。僕はそれを横目に弁当を食っていた。
「お前弁当食う時いただきますとか言うんかw」
「いうだろ、普通」
安川君はパクパク飯を食い始めた。
「げんまさ~食堂いこーよー」
多分こいつの彼女だと思われるケバい女が玄歩の後ろからよってくる。
「ちょっと待ってな、おい、安川。俺の顔見ろや」
「・・・」
「聞いとんのかぁ!」
と叫んだ後、玄歩は安川君の弁当をばちこんと床にぶちまけた。
「おい・・・なにするんだ!」
さすがに安川君も怒ったようで立ち上がり玄歩に殴りかかろうとするが逆に殴られる。
「お前、先やった方が悪いからな」
「先に弁当ぶちまけたのはお前だ!」
クラスの人間がザワザワとなる。「先生に言うべきか」みたいな声や「やったれ」みたいな声も聞こえる。玄歩の彼女はニヤニヤしながらその状況を見てる。僕は巻き込まれたくないので弁当を食って立ち去ろうとした時に、西条先輩が教室に入ってきた。
「やぁ、まやくんよ。何やら揉めてるねぇ」
「僕は揉めてません。あの男ふたりが勝手に揉めてるだけです」
先輩はふーんと言って揉めてる方を見る。ぶちまけられた弁当。殴り掛かる玄歩。抵抗出来ない安川君。助けないクラスメイト。
「まやくんは、この状況で助けようと思わないの?」
「思わないです。巻き込まれたくないですから」
僕がそう言うと「そうか」と言って先輩が立ちあがり、揉めてる方に向かっていった。
「やめたまえ!」
そう言うと玄歩の手が止まり、先輩の方に目がいった。
「お前誰?さっきまで櫻口の机にいた女だよなぁ?彼女かぁ?」
「違うよ?どちらかというと主従関係だね」
誤解を生みかねないからその回答はやめてくれ
先輩はまるでゴミを見るかのような目で玄歩を見下し優しい口調で話し出す。
「君のやってる事は人として終わっている。いや、君のような人間は人としてどころか生命として終わっている」
「なんだお前?殺すぞ!」
「ひゃー殺害予告されたよ、こわーい」
先輩はケラケラ笑い始めた。何となく、先輩に恐怖を感じた。
「うるさい!黙れやこのクソアマぁ!」
玄歩は立ち上がると先輩に向かって殴りかかった・・・と、思ったのだが、先輩の体から少し黒い煙みたいなんが見えたあと、玄歩の拳は先輩を避けた。
「あっれれー?キミィ殴る気あるのぉ?」
先輩はニヤニヤしながら呆然と立ち尽くす玄歩の肩をポンポン叩いた。
「まぁ、いいや、君大丈夫かい?」
そう言って安川君に手を差し伸べて起き上がらせた。
その時である。「ぎゃああああ」という悲鳴が聞こえた。
玄歩だ。玄歩が口から血を流して呻いている。
「はっ・・・はが・・・歯がぁ・・・!」
どうやら歯が何本か抜けたらしい。
すると、先輩はてくてくとこちらに戻ってきた。
「な、なにやったんっすか?」
「私はさ、あの安川君がいじめられようが殺されようが知ったこっちゃないんだけど、どうも食べ物を無意味に粗末にするやつは許せないんだよ。だから、あいつにはしばらくまともに飯を食わせたくなかったんだ」
僕はゴクリと唾を飲む。分かった。この人やばい人だ。でも、なんでこの人は・・・この人は・・・
先生達が慌てて教室に入ってきた。どうやら玄歩の話を聞いて慌ててきたらしい。
教室に響き渡る悲鳴。それを見て笑う者が多かった。結局その程度の人間だったのだ。
僕はそれを見て清々しい気分になったが、そんな気持ちになった自分に虫唾が走る。
所詮自分も普通の人間なのだ。
「おやおや、私のことにつて考えているのだなまやくんよ」
後ろからニョッキり先輩が現れた。
「うおっ、ビックリさせないでくださいよ」
「死ぬかと思った?」
「思ってないです」
と言うと先輩はやれやれと首をふるふるして僕の後ろについてきている。
「もう、つれないなぁ・・・」
「先輩については聞きたいことが山ほどあるんですがまともに答えてくれないし、こっちも何が何だかあんましよく分かってないんですよ」
僕はつかつかと早足で先輩を振り切ろうとしていたが、この人の事をよく知るチャンスな気もするので、少しペースを落とすことにした。
「私のことは私の気が向いた時に・・・いや、西条茜が話したい時に話すよ」
「まぁ、話す話さないを決める権限は先輩にあるんで、いいんですけど、なるだけ早めに」
「そんなに知りたいなら昼休み君の教室に行ってあげるよ。どうせ暇なんだろう?」
「いや、いいっす」
まぁ、確かにそうなのだが、こられるとめんどくさいので丁重にお断りしといた。
学校に着いたので僕たちは各々の教室に向かって歩き出した。
ここでスクールカーストの話なのだが、スクールカースト上位の者がこの学校を仕切り下位の者はそれについて行くかそれの発する命令に従うとかまぁ、そんな感じだ。
もちろんのこと僕はスクールカースト下位だ。
「よォ、櫻口元気かぁうぃっっつ!」
と後ろから元気のいい声と共に思いっきり押されて転けた。
「っ・・・痛・・・くはない」
不思議と痛くなかった・・・神の力のお陰だろうか・・・?
「ぷっ・・・だっさ~」
はーしんど朝からしんどいなぁ・・・
「おーい、げんまさ高原行動しようぜ!」
「おう!」
こいつはげんまさこと玄歩まさ・・・なんとかだ。いわゆるスクールカースト上位の存在でどちらかと言うとヤンキーに分類される。割と背が低いからそこそこ背の高くて陰キャである僕を小突いてくる。
クラスの陰キャをいじめるものがスクールカースト上位の人間になれるのだ。
しかし、僕なんかより酷い目にあっているクラスメイトもいる。それが安川夏男君というのだが、彼は入学してからずっと玄歩に目をつけられており、いじめの対象にされている。安川君も控えめな性格なので先生に言ったりとか何とかもしないから、余計対象にされやすいのだ。
普段どんなことをされているかと言うと殴られたりもの隠されたり携帯取られたりとか色々とやられてるわけなんですが、これ以上具体例を挙げるのはなんかしんどいものがあるのでここまでにしておく。
僕はその後普通に授業を受けて昼休みになった。玄歩が弁当を食っている安川君の机の前に立ちはだかった。僕はそれを横目に弁当を食っていた。
「お前弁当食う時いただきますとか言うんかw」
「いうだろ、普通」
安川君はパクパク飯を食い始めた。
「げんまさ~食堂いこーよー」
多分こいつの彼女だと思われるケバい女が玄歩の後ろからよってくる。
「ちょっと待ってな、おい、安川。俺の顔見ろや」
「・・・」
「聞いとんのかぁ!」
と叫んだ後、玄歩は安川君の弁当をばちこんと床にぶちまけた。
「おい・・・なにするんだ!」
さすがに安川君も怒ったようで立ち上がり玄歩に殴りかかろうとするが逆に殴られる。
「お前、先やった方が悪いからな」
「先に弁当ぶちまけたのはお前だ!」
クラスの人間がザワザワとなる。「先生に言うべきか」みたいな声や「やったれ」みたいな声も聞こえる。玄歩の彼女はニヤニヤしながらその状況を見てる。僕は巻き込まれたくないので弁当を食って立ち去ろうとした時に、西条先輩が教室に入ってきた。
「やぁ、まやくんよ。何やら揉めてるねぇ」
「僕は揉めてません。あの男ふたりが勝手に揉めてるだけです」
先輩はふーんと言って揉めてる方を見る。ぶちまけられた弁当。殴り掛かる玄歩。抵抗出来ない安川君。助けないクラスメイト。
「まやくんは、この状況で助けようと思わないの?」
「思わないです。巻き込まれたくないですから」
僕がそう言うと「そうか」と言って先輩が立ちあがり、揉めてる方に向かっていった。
「やめたまえ!」
そう言うと玄歩の手が止まり、先輩の方に目がいった。
「お前誰?さっきまで櫻口の机にいた女だよなぁ?彼女かぁ?」
「違うよ?どちらかというと主従関係だね」
誤解を生みかねないからその回答はやめてくれ
先輩はまるでゴミを見るかのような目で玄歩を見下し優しい口調で話し出す。
「君のやってる事は人として終わっている。いや、君のような人間は人としてどころか生命として終わっている」
「なんだお前?殺すぞ!」
「ひゃー殺害予告されたよ、こわーい」
先輩はケラケラ笑い始めた。何となく、先輩に恐怖を感じた。
「うるさい!黙れやこのクソアマぁ!」
玄歩は立ち上がると先輩に向かって殴りかかった・・・と、思ったのだが、先輩の体から少し黒い煙みたいなんが見えたあと、玄歩の拳は先輩を避けた。
「あっれれー?キミィ殴る気あるのぉ?」
先輩はニヤニヤしながら呆然と立ち尽くす玄歩の肩をポンポン叩いた。
「まぁ、いいや、君大丈夫かい?」
そう言って安川君に手を差し伸べて起き上がらせた。
その時である。「ぎゃああああ」という悲鳴が聞こえた。
玄歩だ。玄歩が口から血を流して呻いている。
「はっ・・・はが・・・歯がぁ・・・!」
どうやら歯が何本か抜けたらしい。
すると、先輩はてくてくとこちらに戻ってきた。
「な、なにやったんっすか?」
「私はさ、あの安川君がいじめられようが殺されようが知ったこっちゃないんだけど、どうも食べ物を無意味に粗末にするやつは許せないんだよ。だから、あいつにはしばらくまともに飯を食わせたくなかったんだ」
僕はゴクリと唾を飲む。分かった。この人やばい人だ。でも、なんでこの人は・・・この人は・・・
先生達が慌てて教室に入ってきた。どうやら玄歩の話を聞いて慌ててきたらしい。
教室に響き渡る悲鳴。それを見て笑う者が多かった。結局その程度の人間だったのだ。
僕はそれを見て清々しい気分になったが、そんな気持ちになった自分に虫唾が走る。
所詮自分も普通の人間なのだ。
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