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どうせ明日も晴れている。
《第72話》どうせ明日も晴れている。その6
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「僕の言ったことが・・・真実に・・・」
唯野に言われた言葉をそのまま信じるのならば、最強の力だ。
『ふざ、けるな!!!ワタシがまける。ハズがない!カミとニンゲンのサはウまらない!!』
パンチの体制で動けない悪魔は右の触手をぐりゃりとうねらせ、僕に鋭い攻撃を繰り出した!
「お前の攻撃は、僕に当たらない」
次の瞬間、悪魔の触手は僕の横腹をすり抜け、虚しく空を切った。
攻撃が当たらなかったことに『あり、えない・・・!』とあからさまに動揺している。
「もうそこから動くな」
僕がそう命じると、まるで無可動フィギュアのように、ピタリと何も動かなくなった。
「僕の攻撃をくらえ」
そう言って牙吠々々丸さんから貰った刀で五本の触手を切り裂く。
『グギャ・・・グギギ』
「痛みは感じるのか、ならばさらにもがき苦しめ」
『グギャァァァっ!ァっ・・・』
痛みでもがき苦しんでいるというのに、指一本動かせない。
これが僕の決めたことだからだ。
「お前は今まで吸収していた人間を吐き出す」
そう言った瞬間、悪魔の機械的な左腕から僕より年下と思われし男の子がボトッと落ちた。
「前田・・・!」と、いつの間にか目を覚ましていた神田がそう叫んだ。
「もっといるだろ。全てだ。全員だ!」
その次はモザイクの顔から僕の知り合いの夏川君がボトリと落ち、それを境に、ボトリ、またボトリと4~5人の若い男女が体から吐き出された。誰も彼らのことを見て反応が無いことを見るに、僕らの知らないところで色々な人を吸収していたのだろう。
「最後だ。矢上原を出せ・・・」
『それは・・・ワタシが・・・ワタシデナクな・・・』
そう言い終える前に、ドレスの部分が人型に形を変え、僕達のよく知る矢上原千聖になって、地面に転がった。
『ギャギャ・・・グギョ・・・』
そして、悪魔は触手と機械が混じり合い、最終的に赤とグレーのサッカーボールみたいになった。
「哀れな姿だな。これで最後だ。この街の・・・八十幸の土地神の座を捨てろ」
僕がそう言うと神社の境内に生えていた黄金の木々がどんどん枯れて紫色の枯れ木になり、本殿の方から金色の光が満ち溢れた。
その時、本殿の襖が開いた。
「やぁ、久しぶり~」
そこに居たのは僕らのよく知る随分とおちゃらけた八十幸の神であった。
「神!そこに封印されてたのか!」と店長が叫ぶ。
「あぁ、よく寝たよ。てか、なんだい?あの禍々しい物体は?」神は自分を神の座から引きずり下ろした悪魔を見下すようにそういうと、「私まだ眠いから寝るね。そこのゴミは捨てといちゃって」と言って本殿の襖をピシャリと閉めた。
「やれやれ、俺たちの神はああでなくっちゃ。ね、まやくん?」
「そうだな。店長」
僕は散々振り回された悪魔を前にし、「吹っ飛べ!!」と叫びながらサッカーボールのように思いっきり空へと蹴り飛ばした。
「店長!僕を空まで投げてくれ!」
「やれやれ、君は投げられるのが好きだなぁ」
店長は呆れたようにそういうと、触手で僕を絡めて大きく振りかぶって「いくよ!せいの!」と叫んで空へと投げた。
店長に投げられた僕はまるでジェット機のような速さで、悪魔を追い抜いた。
「こーーーーれーーーーでーーー!!!」僕は悪魔を百メートルくらい追い抜いたところでそう叫び、体制を整える。そして、地上のみんなが豆粒サイズになった時、僕は刀を構え「終わりだァ!!!!」と叫びながら急降下した。
僕の一太刀が悪魔に炸裂。
赤とグレーのボールは真っ二つになり、空中で大爆発した。
「完全勝利!!!!」
しかし、大事なことを忘れていた。そう、今まさに、空から地上へジェット機のような速さで落ちたているのだ。
「やばいやばいやばい!!死ぬぅ!!!」
僕は死ぬかもしれないという現実を目前に、慌てて腕を触手にしたり、刀をブンブン振り回してみたりするが、何も起こらない。
「僕は飛べる!飛べる!」しかし、何故か飛べない。「おい!僕の言ったことが真実になるんじゃないのかァ!?!?」と情けなく叫ぶ。
「先輩!下!俺の腕んとこに落ちてきてください!」
もうみんなが普通の人間サイズに見えてきた頃、聞き覚えのある後輩の声が聞こえた。
「わかった!何とかしてみる!」
神田は上半身と脚を熊化させている。僕をキャッチする準備は万端なのだろう。
「まやくん!周りも俺たちが囲っておく!安心して落ちてこい!」
神田の周りには店長や一ちゃん。それに唯野や助太刀がバッ!と手を広げて待っている。
その後僕は何とかしてみんなにキャッチされ、一命を取り留めた。
「もう、無茶しないでくださいよ」
「そうだよまいまい!死んじゃったらどうするの!?」
「そうだぞー次からは命綱つけような」
そんなことを言いながらみんなで笑いあった。
「何とかなったな」と神田に抱き抱えられている僕が店長に向かってそう言うと
「そうだね。こういうことはどうせ何とかなるものさ」
そう。どうにかなった。戦いは、いや、全て、とりあえず終わったのだ。
そう安心するとなんだか眠くなってしまい、毛深い後輩の腕の中で暫し眠りにつくことにした。
唯野に言われた言葉をそのまま信じるのならば、最強の力だ。
『ふざ、けるな!!!ワタシがまける。ハズがない!カミとニンゲンのサはウまらない!!』
パンチの体制で動けない悪魔は右の触手をぐりゃりとうねらせ、僕に鋭い攻撃を繰り出した!
「お前の攻撃は、僕に当たらない」
次の瞬間、悪魔の触手は僕の横腹をすり抜け、虚しく空を切った。
攻撃が当たらなかったことに『あり、えない・・・!』とあからさまに動揺している。
「もうそこから動くな」
僕がそう命じると、まるで無可動フィギュアのように、ピタリと何も動かなくなった。
「僕の攻撃をくらえ」
そう言って牙吠々々丸さんから貰った刀で五本の触手を切り裂く。
『グギャ・・・グギギ』
「痛みは感じるのか、ならばさらにもがき苦しめ」
『グギャァァァっ!ァっ・・・』
痛みでもがき苦しんでいるというのに、指一本動かせない。
これが僕の決めたことだからだ。
「お前は今まで吸収していた人間を吐き出す」
そう言った瞬間、悪魔の機械的な左腕から僕より年下と思われし男の子がボトッと落ちた。
「前田・・・!」と、いつの間にか目を覚ましていた神田がそう叫んだ。
「もっといるだろ。全てだ。全員だ!」
その次はモザイクの顔から僕の知り合いの夏川君がボトリと落ち、それを境に、ボトリ、またボトリと4~5人の若い男女が体から吐き出された。誰も彼らのことを見て反応が無いことを見るに、僕らの知らないところで色々な人を吸収していたのだろう。
「最後だ。矢上原を出せ・・・」
『それは・・・ワタシが・・・ワタシデナクな・・・』
そう言い終える前に、ドレスの部分が人型に形を変え、僕達のよく知る矢上原千聖になって、地面に転がった。
『ギャギャ・・・グギョ・・・』
そして、悪魔は触手と機械が混じり合い、最終的に赤とグレーのサッカーボールみたいになった。
「哀れな姿だな。これで最後だ。この街の・・・八十幸の土地神の座を捨てろ」
僕がそう言うと神社の境内に生えていた黄金の木々がどんどん枯れて紫色の枯れ木になり、本殿の方から金色の光が満ち溢れた。
その時、本殿の襖が開いた。
「やぁ、久しぶり~」
そこに居たのは僕らのよく知る随分とおちゃらけた八十幸の神であった。
「神!そこに封印されてたのか!」と店長が叫ぶ。
「あぁ、よく寝たよ。てか、なんだい?あの禍々しい物体は?」神は自分を神の座から引きずり下ろした悪魔を見下すようにそういうと、「私まだ眠いから寝るね。そこのゴミは捨てといちゃって」と言って本殿の襖をピシャリと閉めた。
「やれやれ、俺たちの神はああでなくっちゃ。ね、まやくん?」
「そうだな。店長」
僕は散々振り回された悪魔を前にし、「吹っ飛べ!!」と叫びながらサッカーボールのように思いっきり空へと蹴り飛ばした。
「店長!僕を空まで投げてくれ!」
「やれやれ、君は投げられるのが好きだなぁ」
店長は呆れたようにそういうと、触手で僕を絡めて大きく振りかぶって「いくよ!せいの!」と叫んで空へと投げた。
店長に投げられた僕はまるでジェット機のような速さで、悪魔を追い抜いた。
「こーーーーれーーーーでーーー!!!」僕は悪魔を百メートルくらい追い抜いたところでそう叫び、体制を整える。そして、地上のみんなが豆粒サイズになった時、僕は刀を構え「終わりだァ!!!!」と叫びながら急降下した。
僕の一太刀が悪魔に炸裂。
赤とグレーのボールは真っ二つになり、空中で大爆発した。
「完全勝利!!!!」
しかし、大事なことを忘れていた。そう、今まさに、空から地上へジェット機のような速さで落ちたているのだ。
「やばいやばいやばい!!死ぬぅ!!!」
僕は死ぬかもしれないという現実を目前に、慌てて腕を触手にしたり、刀をブンブン振り回してみたりするが、何も起こらない。
「僕は飛べる!飛べる!」しかし、何故か飛べない。「おい!僕の言ったことが真実になるんじゃないのかァ!?!?」と情けなく叫ぶ。
「先輩!下!俺の腕んとこに落ちてきてください!」
もうみんなが普通の人間サイズに見えてきた頃、聞き覚えのある後輩の声が聞こえた。
「わかった!何とかしてみる!」
神田は上半身と脚を熊化させている。僕をキャッチする準備は万端なのだろう。
「まやくん!周りも俺たちが囲っておく!安心して落ちてこい!」
神田の周りには店長や一ちゃん。それに唯野や助太刀がバッ!と手を広げて待っている。
その後僕は何とかしてみんなにキャッチされ、一命を取り留めた。
「もう、無茶しないでくださいよ」
「そうだよまいまい!死んじゃったらどうするの!?」
「そうだぞー次からは命綱つけような」
そんなことを言いながらみんなで笑いあった。
「何とかなったな」と神田に抱き抱えられている僕が店長に向かってそう言うと
「そうだね。こういうことはどうせ何とかなるものさ」
そう。どうにかなった。戦いは、いや、全て、とりあえず終わったのだ。
そう安心するとなんだか眠くなってしまい、毛深い後輩の腕の中で暫し眠りにつくことにした。
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