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第1話 カネ、カネ、カネ! この世はカネだーっ!!
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豪華な装飾が施された広間には、多くの人間が集められていた。
俺を含め、ここにいるみんなの願いはひとつ。
金儲けだ。
俺たちは商都ゲルトシュタットにあるポーション会社、アルセーディアの販売員である。
壇上に立った営業部長は口ひげを指先で整えると、声を張り上げた。
「売上一位になりたいかーっ!」
「おぉーっ!」
「金持ちになりたいかーっ!」
「おぉーっ!」
「売るぞ、売るぞーっ! ポーション、売りまくるぞーっ!」
「おぉーっ!!」
俺も腹の底から声を出した。
カネ、カネ、カネ。
ともかくカネが欲しい。
カネさえ手に入れば、故郷にいる妹にいい薬を買ってあげられる。
「アルセーディア社のポーションはーっ?」
「世界一!」
広間が熱狂に包まれる。
俺のようにハタチそこそこの若造もいれば、見るからに人生経験が豊かそうなマダムや、清潔感と気品あふれるイケオジもいる。幅広い客層を獲得するためだろう。販売員の属性はさまざまだ。
まだ幼い子どもだっている。
可哀想に。
親に売り飛ばされたのかな。アルセーディア社は子どもを使って同情を引いて、がっぽり儲けるつもりなんだろうな。
恐ろしい。
この世は地獄だ。
前世ではコンプライアンスなるものが叫ばれていたが、俺が転生したのは弱肉強食がまかり通る暗黒大陸だ。しかもこの街は、強欲の神マンモニウスが作ったとされる最凶の商都、ゲルトシュタット。やらないとやられる。
待ってろよ、リーザ。
お兄ちゃんが売上ナンバーワンになって、おまえに最高の薬をプレゼントしてあげるからな。
「ティノ・アザーニくん」
「はいっ!」
営業部長に名前を呼ばれ、俺は壇上へと向かった。
みんなの前で、販売員の証である菱形のバッジを渡される。もう後には引けない。
「きみには黄金騎士団を担当してもらいたい」
「承知いたしました!」
俺が即答したその時、最前列にいたベテラン販売員とおぼしき女性が「えっ……」と眉をひそめた。
「黄金騎士団ですって……? あそこは王立研究所と契約しているから、うちみたいな民間会社は受け入れないはずよ?」
「販路を開拓するのは、商売において重要なことだ。ティノくん。行ってくれるね?」
たぶん営業部長は、新米販売員の初々しさをウリにして騎士たちにポーションを買わせようと思ってるんだろうな。
俺に拒否権はない。
「必ず契約を取ってきます!!」
元気よく返事をすると、俺は社屋を飛び出した。
さーて。
狩りの始まりだ!!
俺を含め、ここにいるみんなの願いはひとつ。
金儲けだ。
俺たちは商都ゲルトシュタットにあるポーション会社、アルセーディアの販売員である。
壇上に立った営業部長は口ひげを指先で整えると、声を張り上げた。
「売上一位になりたいかーっ!」
「おぉーっ!」
「金持ちになりたいかーっ!」
「おぉーっ!」
「売るぞ、売るぞーっ! ポーション、売りまくるぞーっ!」
「おぉーっ!!」
俺も腹の底から声を出した。
カネ、カネ、カネ。
ともかくカネが欲しい。
カネさえ手に入れば、故郷にいる妹にいい薬を買ってあげられる。
「アルセーディア社のポーションはーっ?」
「世界一!」
広間が熱狂に包まれる。
俺のようにハタチそこそこの若造もいれば、見るからに人生経験が豊かそうなマダムや、清潔感と気品あふれるイケオジもいる。幅広い客層を獲得するためだろう。販売員の属性はさまざまだ。
まだ幼い子どもだっている。
可哀想に。
親に売り飛ばされたのかな。アルセーディア社は子どもを使って同情を引いて、がっぽり儲けるつもりなんだろうな。
恐ろしい。
この世は地獄だ。
前世ではコンプライアンスなるものが叫ばれていたが、俺が転生したのは弱肉強食がまかり通る暗黒大陸だ。しかもこの街は、強欲の神マンモニウスが作ったとされる最凶の商都、ゲルトシュタット。やらないとやられる。
待ってろよ、リーザ。
お兄ちゃんが売上ナンバーワンになって、おまえに最高の薬をプレゼントしてあげるからな。
「ティノ・アザーニくん」
「はいっ!」
営業部長に名前を呼ばれ、俺は壇上へと向かった。
みんなの前で、販売員の証である菱形のバッジを渡される。もう後には引けない。
「きみには黄金騎士団を担当してもらいたい」
「承知いたしました!」
俺が即答したその時、最前列にいたベテラン販売員とおぼしき女性が「えっ……」と眉をひそめた。
「黄金騎士団ですって……? あそこは王立研究所と契約しているから、うちみたいな民間会社は受け入れないはずよ?」
「販路を開拓するのは、商売において重要なことだ。ティノくん。行ってくれるね?」
たぶん営業部長は、新米販売員の初々しさをウリにして騎士たちにポーションを買わせようと思ってるんだろうな。
俺に拒否権はない。
「必ず契約を取ってきます!!」
元気よく返事をすると、俺は社屋を飛び出した。
さーて。
狩りの始まりだ!!
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