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03
太陽が天頂に君臨している。
港町メルヴァは正午を迎えていた。
「おい、押すなよ!」
「うるせえ。こうでもしなきゃ、前が見えねえんだよ」
冒険者ギルドのロビーは冒険者で埋め尽くされ、怒号が飛び交っている。
みんなの気が立っているのも無理はない。これから、月間成績が発表されるのだ。
騒がしい室内で、アシュレイは静かに佇んでいた。
「成績1位は間違いなくこの俺だ。みんな、酒を奢るぜ」
高らかに勝利宣言をしたのはクライヴだ。
アシュレイはクライヴを忌々しく感じた。自分が一番だと思っている傲慢さが気に食わない。
「きっとクライヴさんが1位ですよ! クライヴさんの火炎魔法は世界一ですから!」
新人の魔法戦士リッキーがクライヴを持ち上げた。クライヴが得意気に笑う。
「あー。俺もクライヴさんみたいに強くなりたいなー!」
リッキーの追従は止まらない。
アシュレイはリッキーを哀れに感じた。冒険者とは主君を持たず、己の腕だけを信じて生きる無頼な存在だ。先輩に媚びる暇があったら己の技を磨いた方がいい。
「ふむ。みんな集まったようだな」
ギルド長のエルフ、イルミナが巻き物を持ってロビーに現れた。場が騒然となる。
「刮目して見よ。これが月間成績だ」
イルミナが巻き物を広げ、ロビーの壁に貼り出した。
室内が静寂に包まれた。
「俺とアシュレイが同率1位……!?」
沈黙を破ったのはクライヴだった。よほど悔しかったのだろう。華やかな美貌が左右非対称に歪んでいる。
リッキーがイルミナに詰め寄った。
「なんでクライヴさんが単独1位じゃないんですか?」
「クエスト成功率。受け取った成功報酬の金額。そして、ダンジョン攻略動画の再生回数。すべてにおいて同じ成績だったからだよ」
イルミナが指輪に嵌め込まれている透明な石に、細い指を這わせた。
すると、中空に四角い枠が現れた。絵画の額縁を彷彿とさせるそれは、ビジョンと呼ばれる映像投影装置である。
ビジョンにダンジョン攻略動画のサムネイルが映し出される。
アシュレイとクライヴが参戦したクエストの動画は、確かに再生回数が一致していた。
「くそっ!」
クライヴが悔しそうに拳を握りしめる。
イルミナはそんなクライヴを楽しそうに見つめると、イヤリングを外した。そして、イヤリングを天井に向かって放り投げた。
チカチカと光が明滅したあと、コウモリに似た羽を生やした球体が現れた。
クライヴが眉をひそめる。
「フライングレコーダーか。俺が悔しがる様子を撮影しようってのか?」
「察しがいいな」
イルミナが笑う。
フライングレコーダーはみんなの頭上をふよふよと漂い、冒険者ギルドの様子を撮影している。
「同率1位のおふたりに、インタビュー! ご自分の成績を振り返って、どう感じますか?」
中空に風の精が現れて、アシュレイとクライヴに質問を投げかけた。現在、フライングレコーダーが作動している。このインタビューもまたコンテンツとして配信されるのだろう。
「応援してくださる皆さんのおかげです」
アシュレイがそう答えると、クライヴがニヤリと笑った。
「さすが、優等生は言うことが違うねー。その仮面みたいな微笑み、ぐちゃぐちゃにしてやりたくなる」
クライヴはフライングレコーダーに顔を近づけた。アップになって何を言うのだろう?
「次回こそはこの俺、クライヴ・ラドフォードが単独1位だ。みんな、応援よろしくな!」
どこまでも傲慢な男だ。
アシュレイはため息をついた。
港町メルヴァは正午を迎えていた。
「おい、押すなよ!」
「うるせえ。こうでもしなきゃ、前が見えねえんだよ」
冒険者ギルドのロビーは冒険者で埋め尽くされ、怒号が飛び交っている。
みんなの気が立っているのも無理はない。これから、月間成績が発表されるのだ。
騒がしい室内で、アシュレイは静かに佇んでいた。
「成績1位は間違いなくこの俺だ。みんな、酒を奢るぜ」
高らかに勝利宣言をしたのはクライヴだ。
アシュレイはクライヴを忌々しく感じた。自分が一番だと思っている傲慢さが気に食わない。
「きっとクライヴさんが1位ですよ! クライヴさんの火炎魔法は世界一ですから!」
新人の魔法戦士リッキーがクライヴを持ち上げた。クライヴが得意気に笑う。
「あー。俺もクライヴさんみたいに強くなりたいなー!」
リッキーの追従は止まらない。
アシュレイはリッキーを哀れに感じた。冒険者とは主君を持たず、己の腕だけを信じて生きる無頼な存在だ。先輩に媚びる暇があったら己の技を磨いた方がいい。
「ふむ。みんな集まったようだな」
ギルド長のエルフ、イルミナが巻き物を持ってロビーに現れた。場が騒然となる。
「刮目して見よ。これが月間成績だ」
イルミナが巻き物を広げ、ロビーの壁に貼り出した。
室内が静寂に包まれた。
「俺とアシュレイが同率1位……!?」
沈黙を破ったのはクライヴだった。よほど悔しかったのだろう。華やかな美貌が左右非対称に歪んでいる。
リッキーがイルミナに詰め寄った。
「なんでクライヴさんが単独1位じゃないんですか?」
「クエスト成功率。受け取った成功報酬の金額。そして、ダンジョン攻略動画の再生回数。すべてにおいて同じ成績だったからだよ」
イルミナが指輪に嵌め込まれている透明な石に、細い指を這わせた。
すると、中空に四角い枠が現れた。絵画の額縁を彷彿とさせるそれは、ビジョンと呼ばれる映像投影装置である。
ビジョンにダンジョン攻略動画のサムネイルが映し出される。
アシュレイとクライヴが参戦したクエストの動画は、確かに再生回数が一致していた。
「くそっ!」
クライヴが悔しそうに拳を握りしめる。
イルミナはそんなクライヴを楽しそうに見つめると、イヤリングを外した。そして、イヤリングを天井に向かって放り投げた。
チカチカと光が明滅したあと、コウモリに似た羽を生やした球体が現れた。
クライヴが眉をひそめる。
「フライングレコーダーか。俺が悔しがる様子を撮影しようってのか?」
「察しがいいな」
イルミナが笑う。
フライングレコーダーはみんなの頭上をふよふよと漂い、冒険者ギルドの様子を撮影している。
「同率1位のおふたりに、インタビュー! ご自分の成績を振り返って、どう感じますか?」
中空に風の精が現れて、アシュレイとクライヴに質問を投げかけた。現在、フライングレコーダーが作動している。このインタビューもまたコンテンツとして配信されるのだろう。
「応援してくださる皆さんのおかげです」
アシュレイがそう答えると、クライヴがニヤリと笑った。
「さすが、優等生は言うことが違うねー。その仮面みたいな微笑み、ぐちゃぐちゃにしてやりたくなる」
クライヴはフライングレコーダーに顔を近づけた。アップになって何を言うのだろう?
「次回こそはこの俺、クライヴ・ラドフォードが単独1位だ。みんな、応援よろしくな!」
どこまでも傲慢な男だ。
アシュレイはため息をついた。
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追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
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