【完結】初夜失敗? 気にするな! 俺はおまえが大好きだよ

古井重箱

文字の大きさ
18 / 19

18

しおりを挟む
 夢魔の討伐から三週間が過ぎようとしていた。
 連日のように冒険者ギルドに人々が訪れ、アシュレイとクライヴにサインを求めた。ふたりはファンサービスに快く応じた。
 さすがに月が変わる頃には、人々の『夢魔殺し』への熱狂も落ち着いた。
 アシュレイは<草原の輝き亭>の食堂でクライヴとお茶を飲んでいた。
 時は夜、もうすぐ休む時間である。
 
「アシュレイ。そろそろ寝ようぜ」

 クライヴが立ち上がる。
 アシュレイはクライヴの上衣の裾をぎゅっと握った。

「……ひとり寝はもう嫌だ。おまえのベッドで眠りたい」
「でも……俺は下手クソだから、アシュレイを満足させられない」
「俺がリードしてやる。グダグダ言わないで覚悟を決めろ!」

 クライヴがアシュレイを抱きしめた。

「ほんっと、おまえは強くてかっこいいな」
「誘われるのは嫌か?」
「まさか。嬉しいよ。すっごく嬉しいよ……」

 ふたりはクライヴの部屋に足を踏み入れた。
 洗浄魔法が組み込まれている魔法石で体を清める。サイドテーブルの上には潤滑剤が置いてあった。準備は整っている。

「アシュレイ。愛してるよ」

 クライヴは優しい口づけを交わしたあと、アシュレイの服を脱がせた。そして、みずからの着ているものもすべて取り去った。
 裸になったふたりは、ベッドの上で抱き合った。
 ちゅっちゅっと軽い音を立てていたキスがやがて、深いものへと変わっていく。
 クライヴの手のひらがアシュレイの胸元をまさぐった。

「んっ! ふ……っ」

 小さな突起から生まれる快美がアシュレイを溶かしていく。クライヴはひとしきり指で愛撫を与えたのち、アシュレイの乳首に吸いついた。濡れた舌がアシュレイの敏感すぎる突起を刺激する。
 アシュレイは勃起した。

「クライヴ、もうそのぐらいにしてくれ……っ」

 ちゅぽんっと音を立てて、クライヴがアシュレイの胸元から顔を離した。琥珀色の瞳が焦げつくようなまなざしでアシュレイを見つめている。
 アシュレイはベッドの上で仰向けになった。
 クライヴがアシュレイの腰に枕を添える。臀部が浮き上がり、秘められた箇所があらわになる。
 潤滑剤を手に垂らすと、クライヴはアシュレイのアヌスに指を突き立てた。

「すごい……。うねってる」

 アシュレイのナカが蠕動ぜんどうし、クライヴの指を食い締める。奥に至る道の途中にある悦点をこすられるたび、アシュレイの腰が跳ねた。クライヴは喘ぎ声を必死で抑えているアシュレイの唇にそっとキスをした。

「もっとアンアン言っていいんだぜ?」
「そういう柄じゃない」
「おまえのさ、ベッドでも強気なところ、すっごく魅力的だけど。余裕なんてなくなるぐらい、ぐちゃぐちゃにしてやりたくなるね」
「あ……、あぁっ!」

 クライヴはアシュレイの性器を舐めながら、アヌスをほぐしていった。

「なんか、ナカがすごく柔らかい……。もしかして自分でいじってた?」
「……この前、上手く挿入できなかったのは俺の後孔がこなれていないためだと思ったから……その……、ひとりで練習していた」
「アシュレイがひとりでしてるところ、想像するだけで興奮する」

 ぐいっと硬い肉がアシュレイの太ももを押してきた。クライヴの雄芯は堂々たる姿になっていた。
 アシュレイはクライヴのへその下に頭を潜り込ませると、ペニスのくびれにちゅっと口づけた。

「さっきのお返しだ」
「あんまり可愛いことばっかりすると、こうだぞ」
「んっ! あ、だめだっ。胸とナカ、同時にいじらないでくれ……」

 指が二本、そして三本と増やされていく。クライヴはアシュレイの肉筒を丁寧にほぐしていった。アシュレイのアヌスは腫れぼったくなり、肉壁がきゅうきゅうと収縮してクライヴの指をしゃぶった。

「挿れてもいいか?」
「ああ。来い」

 足を大きく広げてクライヴを待つ。
 クライヴの切っ先がアシュレイの後孔を貫いていった。まだ全部入っていない。アシュレイはできるだけ力を抜いた。クライヴがふうっと息を吐く。彼の刀身はすべてアシュレイの肉筒に飲み込まれた。

「つながってる……」

 涙まじりにクライヴがつぶやいた。アシュレイはクライヴの頬を撫でた。ふたりは手をつなぎながら腰を振った。奥をこちゅこちゅと突かれるたびにアシュレイの唇がほころんでいく。

「気持ちいいか? アシュレイ」
「うん」

 正常位で抱き合ったあと、アシュレイは体位を変えた。
 クライヴの陽根の上にまたがり、騎乗位で交わる。アシュレイは腰をくねらせては嬌声を漏らした。クライヴは積極的なアシュレイに驚いたようだった。

「アシュレイって大胆だよな」
「おまえの綺麗な顔を見下ろすのは、なかなかにいい眺めだ」
「そういう強気なところが大好きだ」

 奥まで穿うがたれて、アシュレイは歓喜の声を上げた。
 膨らみきったアシュレイのペニスから白い矢が放たれる。
 クライヴもまた果てたらしい。アシュレイの肉筒を支配していた熱塊がすっかりおとなしくなっている。
 ペニスを引き抜いたあとも、クライヴはアシュレイを離そうとしなかった。

「俺の恋人、最高すぎないか? 強いうえに床上手で」

 ふたりはゆっくりとキスを交わした。
 事後のふれあいは砂糖菓子のように甘くて、アシュレイの心を酔わせた。
 
「クライヴ。愛してる」

 アシュレイの腰をクライヴが抱き寄せた。
 ふたりは洗浄魔法が組み込まれた魔法石で体を清めると、衣服を着てベッドに戻った。

「事後の勢いに任せて裸で寝たりしないからな。やっぱり俺たちは骨の髄まで冒険者だな」
「そうだな」

 その夜、アシュレイはクライヴの腕の中で眠りについた。
 夢魔はもういない。
 悪夢にうなされることはなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オメガのブルーノは第一王子様に愛されたくない

あさざきゆずき
BL
悪事を働く侯爵家に生まれてしまった。両親からスパイ活動を行うよう命じられてしまい、逆らうこともできない。僕は第一王子に接近したものの、騙している罪悪感でいっぱいだった。

Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される

あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。

世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました

芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」 魔王討伐の祝宴の夜。 英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。 酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。 その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。 一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。 これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

処理中です...