【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる

古井重箱

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第4話 そうだ、悪妻になろう

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 花嫁とは、古来は供物の一種だったのだろう。
 俺は身動きが取れないほど飾り立てられたあと、馬車に乗せられた。俺は人間の形をした荷物だ。馬車はこれから運河へと向かう。
 運河の行く先は南域なんいきである。

「レムート兄様! 絶対に幸せになってくださいね!」
「ネルヴァス……! いつか必ず会おう!」

 俺は愛する弟との別れを惜しんだ。
 南域は遠い。
 ひとたび嫁げば、実家に帰ることなどできないだろう。
 ……いや。
 離縁されれば別か?
 馬車に揺られるあいだ、俺の中で黒い感情が芽生えた。
 ヴァイゼンとやらの不興を買えば、俺は子を産むという呪わしい運命から逃れられるのではないか? 離縁されたあとは、王都にある寺院で修道士として生きよう。修道士は日課として音楽を奏でる。神への捧げものにするためだ。
 そうだ。
 自分は人形だなんて落ち込んでいる場合じゃない。
 動け! そして自由になるのだ!
 大好きな音楽とともに生きるんだ!
 ヴァイゼンとやら。
 あんたに恨みはないが、俺はあんたとじゃなく、音楽と結婚する。

「ふふっ」

 俺が微笑みをもらすと、従者が嬉しそうに薄く焼いた菓子を勧めてきた。
 さくさくとした食感の菓子を齧りながら、俺は悪妻になるための計画を練りはじめた。
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