【完結】いばらの向こうに君がいる

古井重箱

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03. ヤリチンの俺がお見合い!? (内藤視点)

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「お見合いですか?」

 珍しく職場の上司にランチに誘われたと思ったら、意外な申し出があった。内藤がチャラくてヤリチンなのは社内でも有名である。まさかそういった話が持ちかけられるとは思わなかった。内藤はひとまず、サバの味噌煮定食に添えられた香の物を咀嚼した。

「内藤くんもそろそろ落ち着いたらどうだね」
「そうしたいのは山々ですけど」
「家内の友人に、オメガのお子さんがいてな。子ども好きの優しい青年らしい。どうだね、会ってみないか?」

 内藤の脳内に花びらが舞い散った。

──子ども好き? ってことは、エッチにも積極的なのかな。

 ヒートの時にだけ番うカップルになどなりたくない。内藤はパートナーを愛し抜きたかった。
 内藤が喜色をあらわにすると、上司は満足そうに微笑んだ。

「では、話を進めてもいいかね?」
「はい! よろしくお願いします」

 後日、写真と釣書が送られてきた。
 写真館で撮影されたとおぼしき一枚には、マッシュボブの美青年が写っていた。優しげな微笑みを浮かべているが、内藤はこの人物の正体を知っている。

──ショッピングモールで会った、クソ生意気なオメガじゃねぇか!

 釣書によれば、彼の名は犀川悠理というらしい。
 一体、何人のアルファが彼に懸想をして、プライドをズタズタにされてきたことだろう。
 上司からの紹介なので、やっぱり辞退しますとは言いづらい。
 
──今度は何を言われるんだ……!?

 悠理の毒舌を恐れた内藤だったが、希望が残されていることに気づいた。先方が断ってくる可能性があるではないか。
 ショッピングモールでナンパしてくるようなチャラいアルファは嫌だと悠理は思っていることだろう。

──顔は可愛いけどな。それだけじゃ結婚は無理だ。

 内藤はこの件を「終わった話」として片付けると、マッチングアプリのプロフィールを更新した。
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