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12師匠のストーキング
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気がつくと師匠がホワイトハングの鉤爪を剣で受けていた。
そして、信じられないことに、華奢な師匠がホワイトハングの巨体を押し返した。
巨大な体躯を持つ魔物が師匠の剣に押し負けて大きくのけ反る。
そこを師匠は見逃さなかった。
「そこじゃ!」
師匠の剣がホワイトハングの片腕を斬り飛ばし、更にのけ反った為に丸出しの腹に剣の一撃を打ち込む。
剣が魔物の腹の深く、心臓に達したのだろう、魔物はピクピクと痙攣を起こし、そして動かなくなった。
「し、師匠?」
「大丈夫か? アル?」
「は、はい」
なぜ師匠がこんな山奥に?
俺の頭はぐるぐるした。
一時は死を覚悟したものの、師匠のおかげで九死に一生を得たが、謎だ。
「し、師匠、なぜここに?」
「愚か者! 師匠が弟子を放置すると思っておるのか? ずっとストーキング……いや、見守っておったぞ!」
「……今、ストーキングって、言っちゃった」
師匠は顔を赤くして、何故か汗汗し始めて。
「そ、それはな。お前のことが心配で、心配で、一時も目を離したことはないぞ。決してお前が一人で水浴びしたり、お風呂に入っているところを覗きたかったからではないぞ」
「師匠、水浴びもアウトですが、お風呂は完全にアウトじゃないですか?」
「仕方ないじゃろう? 100年ぶりに見る生身の若い男なんじゃぞ?」
いや、この人の痴女レベルはかなり酷いな。
ほとんど、覗きというか、本人の言っちゃった通りのストーカーじゃないですか。
とはいえ、命の恩人をむげにもできないので、とりあえずお礼を言っておこう。
「いや、ストーキングの件は後で追及しますが、とにかく命を救って頂いてありがとうございます。心から感謝します」
「感謝しておる割には、なんか目が我を蔑んでおるような気がするのは気のせいか?」
知らないよー。そりゃ、顔にも出るよ。こんな師匠じゃ!
「師匠の気のせいですよ。別にお風呂を覗かれたことなんて……」
「やっぱり蔑んでおるではないか? なら、お詫びに今度一緒にお風呂入ろう? 我の身体、いくら見ても良いぞ! それでおあいこじゃろ?」
「嫌です」
即答だった。裸で師匠とお風呂になんか入ったら、確実に襲われる。
痴女と一緒にお風呂入るとか絶対あり得ないです。
師匠の方が力強いしレイプされる。
そのくせ、絶対責任取れって結婚させられるに決まってるから、却下だ。
「我、そんなに魅力ないのかのう」
黙ってれば、凄く魅力的です。でも、言わないでおこう。
「まあ、師匠にはきっと運命の人がいますよ」
「さりげなく、振るな!!」
そんなことを言っているうちに師匠は急に真面目な顔になって言った。
「まあ、恋愛の話は置いて置いて、お前の弱点がわかってであろう?」
「弱点? そうだ、俺の方がステータスが上だったのに遅れをとった!」
「何故じゃと思う?」
「そ、それは」
俺はなんとなくわかった。
俺に足りないもの。
それは本当の意味での経験値。
魔物は長い経験から見事に俺の剣を折り、鋭い腕の一撃を与えようとしてきた。
それが可能だったのは、戦いにおける経験の差。
俺は数値上の経験値はたくさん得たが、死線をかい潜るような厳しい戦いは経験していない。つまり、戦いの経験が不足している。
「本当の意味での経験値が足りていないのだと思います。俺の方がステータスは上だった」
「うむ、その通りじゃ。普通に戦えばお前の方が強かった筈じゃ。じゃが、魔物の簡単な陽動に引っかかってしまった。それは、経験の差じゃ」
「師匠? 俺はどうすれば? 経験を積むために、厳しい敵と戦うべきでしょうか?」
「馬鹿か……それでは命がいくつあっても足りぬぞ。お前が最初にすべきは個人戦闘能力を磨くことじゃ。剣の修行、魔法の有効的な使い方、我が指導してやろう。我は不知火流剣刀術を師匠から継承したが、それをアルにも教えてやる。魔法の使い方もだ」
「あ、ありがとうございます!!」
俺は初めて師匠に本当にありがたく、感謝した。
初めて会った時、最初に命を救われて以来の気持ちだ。
「でな、代わりにとは言ってはなんじゃが、我と結婚を……」
「お断りします」
即答だった。
いくら師匠でもそれはダメだ。
俺は師匠のことは女性以前に師であると認識している。
師匠を女性とは見ていない。
女性不信の俺にとって唯一信用できる女性は師匠だけだ。
だが、師匠を女性として見てしまうと、信用できないような気がするんだ。
だから、いくら師匠の頼みでもダメだ。
「な、何故じゃ? お前だって我のこと好きじゃろ? こんなに懐いておるし、我ならアルの言うことなんでも聞くぞ。とんでもなく恥ずかしいプレイだって受け止めるから!」
「だから、師匠はそういう余計なこと言うからモテないんです!!」
思わず、言うまいと思っていた言葉が出てしまった。
「そ、そんな、面と向かってモテないって断言された。フった上にくさすとか、酷い!」
「師匠の下心が酷すぎるからです。もう少し、見た目相応に清楚で美人のままにできないんですか? 見た目通りなら、好きにならない人、いませんよ!」
「わ、我のこと、美人って言った。それも清楚だなんて! はっ!? これは結婚OK
のサインじゃな? ありがとう! 我もようやく結婚できる!」
「だから、そういうとこ!」
師匠はせっかくの行動が台無しだった。
本当、これで見た目相応の女の子だったら、俺も全てを忘れて違う人生を歩もうとか思ったかもしれない。でも、今の俺は師匠と幸せな家庭を築くより、俺を裏切った勇者エルヴィン、そして、そして、俺が心の底から信じていたのに裏切った幼馴染のクリス!
クリスだけは絶対許さない。心の底から後悔させてやる。
師匠がぽーと、赤くしてクネクネとシナを作っている間、俺は復讐の炎をたぎらせていた。
そして、信じられないことに、華奢な師匠がホワイトハングの巨体を押し返した。
巨大な体躯を持つ魔物が師匠の剣に押し負けて大きくのけ反る。
そこを師匠は見逃さなかった。
「そこじゃ!」
師匠の剣がホワイトハングの片腕を斬り飛ばし、更にのけ反った為に丸出しの腹に剣の一撃を打ち込む。
剣が魔物の腹の深く、心臓に達したのだろう、魔物はピクピクと痙攣を起こし、そして動かなくなった。
「し、師匠?」
「大丈夫か? アル?」
「は、はい」
なぜ師匠がこんな山奥に?
俺の頭はぐるぐるした。
一時は死を覚悟したものの、師匠のおかげで九死に一生を得たが、謎だ。
「し、師匠、なぜここに?」
「愚か者! 師匠が弟子を放置すると思っておるのか? ずっとストーキング……いや、見守っておったぞ!」
「……今、ストーキングって、言っちゃった」
師匠は顔を赤くして、何故か汗汗し始めて。
「そ、それはな。お前のことが心配で、心配で、一時も目を離したことはないぞ。決してお前が一人で水浴びしたり、お風呂に入っているところを覗きたかったからではないぞ」
「師匠、水浴びもアウトですが、お風呂は完全にアウトじゃないですか?」
「仕方ないじゃろう? 100年ぶりに見る生身の若い男なんじゃぞ?」
いや、この人の痴女レベルはかなり酷いな。
ほとんど、覗きというか、本人の言っちゃった通りのストーカーじゃないですか。
とはいえ、命の恩人をむげにもできないので、とりあえずお礼を言っておこう。
「いや、ストーキングの件は後で追及しますが、とにかく命を救って頂いてありがとうございます。心から感謝します」
「感謝しておる割には、なんか目が我を蔑んでおるような気がするのは気のせいか?」
知らないよー。そりゃ、顔にも出るよ。こんな師匠じゃ!
「師匠の気のせいですよ。別にお風呂を覗かれたことなんて……」
「やっぱり蔑んでおるではないか? なら、お詫びに今度一緒にお風呂入ろう? 我の身体、いくら見ても良いぞ! それでおあいこじゃろ?」
「嫌です」
即答だった。裸で師匠とお風呂になんか入ったら、確実に襲われる。
痴女と一緒にお風呂入るとか絶対あり得ないです。
師匠の方が力強いしレイプされる。
そのくせ、絶対責任取れって結婚させられるに決まってるから、却下だ。
「我、そんなに魅力ないのかのう」
黙ってれば、凄く魅力的です。でも、言わないでおこう。
「まあ、師匠にはきっと運命の人がいますよ」
「さりげなく、振るな!!」
そんなことを言っているうちに師匠は急に真面目な顔になって言った。
「まあ、恋愛の話は置いて置いて、お前の弱点がわかってであろう?」
「弱点? そうだ、俺の方がステータスが上だったのに遅れをとった!」
「何故じゃと思う?」
「そ、それは」
俺はなんとなくわかった。
俺に足りないもの。
それは本当の意味での経験値。
魔物は長い経験から見事に俺の剣を折り、鋭い腕の一撃を与えようとしてきた。
それが可能だったのは、戦いにおける経験の差。
俺は数値上の経験値はたくさん得たが、死線をかい潜るような厳しい戦いは経験していない。つまり、戦いの経験が不足している。
「本当の意味での経験値が足りていないのだと思います。俺の方がステータスは上だった」
「うむ、その通りじゃ。普通に戦えばお前の方が強かった筈じゃ。じゃが、魔物の簡単な陽動に引っかかってしまった。それは、経験の差じゃ」
「師匠? 俺はどうすれば? 経験を積むために、厳しい敵と戦うべきでしょうか?」
「馬鹿か……それでは命がいくつあっても足りぬぞ。お前が最初にすべきは個人戦闘能力を磨くことじゃ。剣の修行、魔法の有効的な使い方、我が指導してやろう。我は不知火流剣刀術を師匠から継承したが、それをアルにも教えてやる。魔法の使い方もだ」
「あ、ありがとうございます!!」
俺は初めて師匠に本当にありがたく、感謝した。
初めて会った時、最初に命を救われて以来の気持ちだ。
「でな、代わりにとは言ってはなんじゃが、我と結婚を……」
「お断りします」
即答だった。
いくら師匠でもそれはダメだ。
俺は師匠のことは女性以前に師であると認識している。
師匠を女性とは見ていない。
女性不信の俺にとって唯一信用できる女性は師匠だけだ。
だが、師匠を女性として見てしまうと、信用できないような気がするんだ。
だから、いくら師匠の頼みでもダメだ。
「な、何故じゃ? お前だって我のこと好きじゃろ? こんなに懐いておるし、我ならアルの言うことなんでも聞くぞ。とんでもなく恥ずかしいプレイだって受け止めるから!」
「だから、師匠はそういう余計なこと言うからモテないんです!!」
思わず、言うまいと思っていた言葉が出てしまった。
「そ、そんな、面と向かってモテないって断言された。フった上にくさすとか、酷い!」
「師匠の下心が酷すぎるからです。もう少し、見た目相応に清楚で美人のままにできないんですか? 見た目通りなら、好きにならない人、いませんよ!」
「わ、我のこと、美人って言った。それも清楚だなんて! はっ!? これは結婚OK
のサインじゃな? ありがとう! 我もようやく結婚できる!」
「だから、そういうとこ!」
師匠はせっかくの行動が台無しだった。
本当、これで見た目相応の女の子だったら、俺も全てを忘れて違う人生を歩もうとか思ったかもしれない。でも、今の俺は師匠と幸せな家庭を築くより、俺を裏切った勇者エルヴィン、そして、そして、俺が心の底から信じていたのに裏切った幼馴染のクリス!
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