経験値10000倍~ハズレスキル放置プレイヤーが覚醒したらレベル上限なし! 最強で最速のレベルアップ~

島風

文字の大きさ
73 / 93

73勇者エルヴィンの処刑になる

しおりを挟む
「貴様には呆れてものが言えん! 貴様は死刑だ!」  

「そ、そんな、ば、ば......馬鹿な、俺が、死刑!!」  

ここは王国王宮、謁見の間。国王マンフレート・フォン・アルデンヌは怒りに満ちて、勇者エルヴィンに死刑を冷たく宣告していた。  

人類の希望であったアル擁する勇者パーティではあったが、この勇者は何とパーティの要であるアルを殺害せんとした事実。あまつさえ魅了の魔法で聖女ナディヤや煉獄魔導士アンネと爛れた関係を持った。 

いや、二人だけではない。至る所から彼の犠牲者がわんさかと出てきた。 

特に犬耳族の被害は甚大で、国王自らおもむき陳謝せねばならないだろう。 

それだけではない、ダンジョンの街で自身の仲間である聖女ナディヤの命と引き換えに魔物の餌として、その間に自分達だけスタンビードから逃げた。およそ勇者とは程遠いクズ。  

「エルヴィン、我が国に貴様のようなクズの勇者は必要ない、断じてない!」  

「た、大変申し訳ありません!! こ、国王陛下! し、しかし、な、な、なんとか死刑だけは再考ください! 俺は心を入れ替えて国の為に戦います!!」  

勇者エルヴィンは近衛騎士団に捕まり第一王子からの報告、聖女ナディヤや剣聖クリスの勇者パーティ脱退の嘆願書とその理由。更に調査が行われて詳細が知られてしまっており、処分を受ける。  

つまり、死刑だ。勇者の死刑などもちろん、前代未聞の事だ。  

「お、お願いします! 本当に心を入れ替えます! 本当なんです!」  

必死のエルヴィンは土下座で嘆願するが、国王陛下はあまりの事に聞く耳を持たない。  

「目ざわりだ! 直ちに連行しろ!顔を見るだけで腹立たしい!」  

「こ、こ、こっ こくおぉうへ……い……か、お、お、おゆゆるし……を……!!!!!」  

「黙れ! この卑怯者!!」  

騎士の一人がそう一言怒鳴った。エルヴィンは彼に見覚えがあった。C級ダンジョン攻略の際、使い捨てと適当に扱った騎士だ。  

「あ、あなたは王子レオン様の騎士、お願いだ! 陛下にとりなしてくれ、頼む、昔のよしみじゃないかぁ?」  

エルヴィンは自分のした事を深く考えていない。彼は騎士達を虫けらのように扱ったのだ。自分のした事を考えれば、このような恥知らずな懇願が出る筈もないだろう。  

「貴様! 貴様のおかげで何人の騎士が亡くなったと思うのだ? よく、そのような恥知らずなことを!!」  

「エルヴィンよ。その騎士から貴様が騎士団をどのように扱ったのかよくわかる事ができた。全く、卑怯が服を着ているような男だな」  

「お、俺は勇者です。俺がいなくなったら、我が国はどうやって魔王と戦うのすか? 陛下、俺に今一度、チャンスをください。必ず魔王を蹴散らします!!」  

エルヴィンは勇者である自分には利用価値があると心から信じていた。だからこそ、多少の罪なぞ、大した問題ではないし、大事の前の小事であるとさえ考えていた。つまり、アルや騎士達の命なぞ、小事であり、大した問題ではないと考えていた。そして、勇者の自分の価値を再度理解すれば、陛下の考えが変わると本気で思っていた。  

「我が国には英雄アル君がおる。貴様は不要だ」 

「なっ!? そんなバカな! アルは勇者ではないではないですか?」  

必死になおも陛下に縋るエルヴィン、しかし、陛下から冷たい事実を突きつけられる。  

「アル君は真の勇者と見た。先日猫耳族の救援にて聖伝にある終末の化け物を滅した。アル君がいれば我が国も安泰、いや人族の希望が甦ったのだ」  

「し、しかし、俺だって勇者ではないですか? 人族の為には勇者がいた方が!」  

エルヴィンは知らない事だが、事の経緯が詳細にわかったのはナディヤの脱退届けからエルヴィンの魅了疑惑を捨ておけず、調査を開始し、これまでの悪行が発覚した。 

彼の被害者は多数に及ぶ、それだけではない。 

犬耳族の新族長からやはり魅了疑惑を指摘され、近衛騎士団に確認させた。 

そして、まさしくエルヴィンが魅了の魔法を使う現場を取り押さえた。 

友好民族である犬耳族に被害を与えるなぞ、まさに国の恥なのだ。国王にとって、この一件は国の威信をかけた問題なのだ。エルヴィンに寛大な処遇などあり得ない。  

「して、刑の執行はいつが適切じゃ?」 

「恐れながら国王陛下」 

陛下は官吏の意見に耳を傾けた。 

エルヴィンは一縷の望みをかけて官吏を見た。 

官吏が俺の命の嘆願をしてくれるかもしれない。 

どう考えたらそうなるのかは謎だ。 

「国王陛下の犬耳族への訪問は来週でございます。そのために明日にでも出発する必要がございます。結論をいいますと明日の朝までに執行しては如何かと?」  

「なるほど、良い考えだ!! 犬耳族の族長にも我が国の誠意を示せる」  

はたりと陛下は膝を叩く、陛下の気持ちが固まったのは明らかだ。 

エルヴィンへ死刑は決まった 

彼のした事を考えれば妥当な処罰だ。 

もう、死刑になるしか道がないと悟ったエルヴィンは声を震わせ、泣き叫ぶ。  

「お、お許しください、し、死刑だけは、死刑だけは!!!!」  

しかし、裁定は下り、エルヴィンの死刑が確定される。  

人の命を軽く見、自身を最上の存在と考えていたエルヴィンは涙を流して床をのた打ち回る。その姿は、人を見下し上位存在であることを傲慢に誇示していた男とは思えないものだ。  

他者を駒としてしか考えず、嘲笑い、他者の大切な人を害してきたエルヴィン。仲間を無駄死にされてきた騎士やあるいはアルがここにいたなら、その不様な姿を笑う資格があったろう。だが、彼らはやはりそんなことはしないのだろう。実際この場にいる騎士も彼を嘲笑うような事はしない。こんなクズのことなど記憶に留めるのも煩わしいのだ。  

「や、止めてくれぇ!!!!!!!!!!!!」  

そして、連行される彼の言葉に耳を傾ける者はただの一人もいなかった。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...