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居場所
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空から光の束が降る少し前
暗がりが眠る準備をする交代の時間のこと。
ゆっくりと開くまぶたに雫が
ひんやりと纏わりついたらしく
少し不思議な気分だ。
「やっと来た・・・」
朝を待ちわびて涙目になった
楽しい時間が来ないかもしれない不安が
怖かったのだろう。
少女は次第に顔を綻ばせていく
そして時間を確認し、電気をつけた。
「今日もコントラストが見えてる!」
煌めく向日葵がもうじき現れる太陽を
まだ来ないのかとわくわくしていた。
「あら?」
窓の下から優しく暖かな声が春風の様に
ゆっくり吹き付ける。
「お母さん?」
庭に咲く花に水をあげていたのか
星のように少しの暗がりで輝いていた。
「昨日は大丈夫だったの?」
先程とは打って変わり心配が溢れながらも
確認のつもりでなのかぎこちない笑顔になっている。
「大丈夫! 私は向日葵だから!」
控えめながらも真っ直ぐ透き通る声が
不安を拭い去ると陽が反射するように返ってきた。
「じゃあ、コーンスープ作っちゃおうかしら?」
大好物であり思い出の味
そして朝をキラキラと包む魔法の一つ。
「あとポストにアジサちゃんから手紙が来てたわよ」
少し怯える表情になった二階の向日葵を悟り
母は付け足す。
「アジサちゃんはいつでも向日葵ちゃんの味方よ?」
「え?」
「手紙の匂い嗅いでみてね」
少し疑問を持ちながら
言われた通りに1階へと降りて
リビングのテーブルの上でじっと待つ手紙を
手に取った。
オドオドしながら中身を読んでみる。
【向日葵ちゃん・・・ あのね?
きのうはごめんなさい! お歌をやめるって聞いたから
きけなくなるのかなってかなしくて
ひどいこといっちゃったの
きらわれたかなってそしたらつたえたくて
てがみにしたの・・・ またあそんでくれる?
がっこうでまってるね だいすきだよ アジサより】
読んでいる内に光が溢れていくのを
庭でこっそり見ていた母親
しかし水をまきすぎて湖を眼前に
あたふたしてしまったが・・・
元気よくトーストにかぶりつき
コーンスープを美味しそうに飲む娘に
安心した父親は優しく問いかける。
「今日も元気だな?
可愛い笑顔と声を見せつけてやるんだぞ」
ふひっと笑顔で返す娘に
ニカッと笑って返す。
これで居場所を取り戻した
居場所から逃げなかったから
また戻りたいと願ったから
おしまい
暗がりが眠る準備をする交代の時間のこと。
ゆっくりと開くまぶたに雫が
ひんやりと纏わりついたらしく
少し不思議な気分だ。
「やっと来た・・・」
朝を待ちわびて涙目になった
楽しい時間が来ないかもしれない不安が
怖かったのだろう。
少女は次第に顔を綻ばせていく
そして時間を確認し、電気をつけた。
「今日もコントラストが見えてる!」
煌めく向日葵がもうじき現れる太陽を
まだ来ないのかとわくわくしていた。
「あら?」
窓の下から優しく暖かな声が春風の様に
ゆっくり吹き付ける。
「お母さん?」
庭に咲く花に水をあげていたのか
星のように少しの暗がりで輝いていた。
「昨日は大丈夫だったの?」
先程とは打って変わり心配が溢れながらも
確認のつもりでなのかぎこちない笑顔になっている。
「大丈夫! 私は向日葵だから!」
控えめながらも真っ直ぐ透き通る声が
不安を拭い去ると陽が反射するように返ってきた。
「じゃあ、コーンスープ作っちゃおうかしら?」
大好物であり思い出の味
そして朝をキラキラと包む魔法の一つ。
「あとポストにアジサちゃんから手紙が来てたわよ」
少し怯える表情になった二階の向日葵を悟り
母は付け足す。
「アジサちゃんはいつでも向日葵ちゃんの味方よ?」
「え?」
「手紙の匂い嗅いでみてね」
少し疑問を持ちながら
言われた通りに1階へと降りて
リビングのテーブルの上でじっと待つ手紙を
手に取った。
オドオドしながら中身を読んでみる。
【向日葵ちゃん・・・ あのね?
きのうはごめんなさい! お歌をやめるって聞いたから
きけなくなるのかなってかなしくて
ひどいこといっちゃったの
きらわれたかなってそしたらつたえたくて
てがみにしたの・・・ またあそんでくれる?
がっこうでまってるね だいすきだよ アジサより】
読んでいる内に光が溢れていくのを
庭でこっそり見ていた母親
しかし水をまきすぎて湖を眼前に
あたふたしてしまったが・・・
元気よくトーストにかぶりつき
コーンスープを美味しそうに飲む娘に
安心した父親は優しく問いかける。
「今日も元気だな?
可愛い笑顔と声を見せつけてやるんだぞ」
ふひっと笑顔で返す娘に
ニカッと笑って返す。
これで居場所を取り戻した
居場所から逃げなかったから
また戻りたいと願ったから
おしまい
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