校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

鏡居雨

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CASE2 奥田 美奈の場合

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(うぅ~、早くおしっこしたいよ~)

 バスが渋滞を抜けたとき、私の頭の中には「お漏らし」の四文字がすでに浮かんでいた。

(また、あの時みたいに、おしっこ、漏らしちゃいそう……)

 2年前、中学2年生の時の校外学習、その帰りのバスのことは、今でも思い出すたびにお腹の下の方がきゅううっとするくらい、私には嫌な思い出だ。

(あの時も、こんな風に、長い時間、おトイレに行けなかったんだっけ……)

 思い出したくないのに、段々おしっこが我慢できなくなってくるにつれて、あの時の記憶も鮮明になっていく。

 中学2年生の時、私は校外学習の帰りのバスの中で、おしっこを漏らしてしまった。

 その日は朝から少し暑くて、たくさんお茶を飲んでいた。そのせいで、トイレ休憩のない1時間ほどのバス移動の中で、私は早い段階でおしっこしたくなっていた。本当は先生に「おトイレに行きたい」と言えばよかったけれど、私はそれが恥ずかしくて、ずっとおしっこを我慢し続けた。

 けれど、やがて私の膀胱はおしっこを我慢しすぎて言うことを聞かなくなり、バスの中で近くの席の子に見られながらお漏らししてしまったのだ。

 あの日以来、車やバスで遠出するときはお漏らしが不安で、おむつをはいていないと不安になってしまうようになった。

 修学旅行の時も、みんなに内緒でおむつをはいて行った。そして、今日も……。

 そんなことを考えていたら、先生が

「もうすぐトイレ休憩にするね」

と言っているのが聞こえた。

(やっとおトイレ行ける……)

 そう思った途端、一瞬力が抜けちゃって、

 じょわわっ

とおむつの中におしっこが噴き出してしまった。

(まだ出ちゃだめっ! まだトイレに行けるってわかっただけだからっ!)

 慌ててもう一度おしっこの出口を押さえる手に力を入れると、手とお股におむつのもこもこした感触が走った。

 5分くらい経って、バスが止まった。先生の近くでおしっこを我慢していた菜奈絵ちゃんが大慌てでトイレに走っていくのが見えて、私もみんなよりも前の席に座っていることを良いことに、菜奈絵ちゃんの次にトイレの前までたどり着いた。

 ばしゃばしゃばしゃ!!!

 トイレの中から水面におしっこが打ち付けられる音がして、私のおしっこの出口も思わず開いてしまいそうになる。

 やがてトイレの中から水の流れる音がした。それと同時に、私のおむつの中で、

 ”ちゅいいぃぃぃ……”

と少しずつおしっこが出始めてしまった。

「あの……、できれば早く……」

 なんとか声を振り絞って言うと、扉が開いて菜奈絵ちゃんが申し訳なさそうに慌てて出てきた。

 ”ちょろろろろろ……”

 慌てて鍵をかけている間も、手が離れて力を入れているだけじゃおしっこはもう止まらずにおむつの中に出ちゃってて、私はおむつを下ろすよりも早くお腹に力を入れてしまった。

 じゅいいぃぃぃぃぃぃっ!!! しゃーーーーーっ!!

 おむつの中からくぐもった音が聞こえて、慌てておむつを下ろすと、もうおしっこの勢いはものすごいことになっていて、トイレの中に大きな音が響いた。

(うぅ……、ちょっとおむつ汚しちゃった……)

 黄色く汚れたおむつを見て、私は思わず泣きそうになってしまう。

(でも、スカートはおしっこで汚しちゃってないから……、セーフ、なのかな……?)

 周りから見れば「おトイレに間に合った子」として見えそうな感じだったのは幸いで、私は後ろに並んでいる子のことを考えて水を流しながら早めにトイレを出た。

「美奈ちゃん、トイレ間に合った?」

 バスに戻ろうとすると、先生がいつもの優しい顔で聞いてきた。

「えっと、おむつの中に、ちょっとだけ、出ちゃいました……」

「そっか。それじゃあ、先生の席にブランケットがあるから、それで他の子から見えないようにして、パンツにはき替えちゃっててもいいよ」

 先生が笑顔でそう言ってくれて、私は落ち着いてバスに戻ることができた。
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