無償の愛【完結】

あおくん

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28.捜査_視点変更

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「では、他にいなければ解散とする」



週に一度、各地に散らばった騎士団長、副団長による会議が王都で開かれる。

話し合う内容は、各地の情報共有の為の話し合いだ。

各地からあげられた情報は出没した魔物の情報が殆どだが、時期によっては人事異動、闘技会、そして予算や支給物等の話し合いも行われる。

今回の内容は各地で出没した魔物の情報が主だった。



他に情報はないかと伺う第一団長の声に、俺は手を上げる。



「イヴェール地域第二騎士団長のフォンテーヌ殿か、いかがした」

「私からは、夜間の町や村での見回りの強化を依頼したい」

「夜間はわかるが…町の中か?」



俺の発言に疑問を口にする第一団長をはじめ、周りからも声が上がる。



「それは、なにか理由があるのか?」

「ええ。詳しくは告げることが出来ませんが、…記憶喪失の子供が発見されました」

「記憶喪失…?」

「はい。記憶喪失の為確証はなく私の憶測でしかないのですが、…話を聞く限りどうやら森の中でセオンから記憶をとられたと思われます」



この発言に小声で話す声がザワザワと聞こえ始めた。



「セオンが?…、まさか…、しかし、それがどうして夜間の見回りにつながるんだ?」

「その子が唯一覚えていることが、“夜間に出歩いていた”ことと“その時にあった人物との交流”だからです。

勿論家の外に出ることを禁止しているわけではありませんが、基本魔物が好む暗闇の中外出する人はいません。壁がない村ならよりその傾向にあるでしょう。

私が見回りの強化を提案した理由は、記憶喪失の子が覚えているその交流をしていた人物を見つけたいからです」

「しかしフォンテーヌ第二団長は先ほど、セオンに記憶をとられたと言ってたが、見つける必要はあるのだろうか?」

「セオンに記憶をとられたというのは、あくまで私の予想になります。

本当に記憶喪失であった場合、その人物に会わせることによって、その子の記憶を取り戻す手掛かりになると考えています」

「そもそもフォンテーヌ団長の管轄でその子が見つかったのでしょう?

他の場所を探すよりもイヴェール街でその人物を探した方が確実じゃないですか?」

「勿論そうですが、夜間町の中を巡回しておりますが、そのような人物は発見されていないことから、他の町及び村の可能性を考えました。

またその子の話が本当ならその子は“森”で目を覚ましたと、ならばイヴェール街だけではなく他の町をも調べたほうがと思った次第です」

「その子は平民ですか?」

「“子”という表現を使うぐらいなら、子供ということだろう?

子供ならやはり他の町や村、地域に行くことは難しいんじゃないか?」

「そもそもその記憶喪失は一人なのか?その子だけ特別扱いというのもどうなのだろう?」



あれこれと意見する声に、ストップをかけたのは第一団長だった。



「そこまで!見回りの強化には私としても意義はない。

その記憶喪失の子を抜きとしても、民を守ることに繋がるのだ。反対する理由がない。

だが、外の巡回を手薄にすることがないことを前提に、町や村の中の巡回数を増やしてくれ。以上だ」



第一団長の言葉に、数名は納得していないように顔を見合わせていた者がいたが、殆どの人たちは頷き席を立つ。

納得していない者は貴族出身が多いように思えた。

だが、純粋に”記憶喪失の子供”を心配し、「見つけたら連絡するから」と伝えてくれた人もいた。

その者たちは腐っていない貴族、または平民から騎士になった者だったが。



会議室の中に人が少なくなってき始めてから、俺たちも席を立つ。



「話しちゃってよかったの?」

「ああ、その子の両親にも頼まれているからな。

それに見回りを強化することで、子供を捨てる奴らの抑止力にもなるだろう」



リーツと話しながら会議室から出ようとしたところで呼び止められた俺たちは足を止める。



「フォンテーヌ殿」

「……レドルド団長?」



第一騎士団団長、カルド・レドルドは、全ての騎士団をまとめる存在だ。

先程の会議での進行役もやっていた人でもある。

そして、数少ない腐っていない貴族だ。



「先程の記憶喪失の子供の話だが、話を伺ってもいいか?」

「構いません。とはいっても先ほど申し上げた通り、恐らくその子はセオンから記憶を吸い取られている為、あまり情報をお伝えすることは出来ませんが…」



申し訳なさげに告げると、レドルド団長は横に首を振って答える。



「良い。聞きたいのはそういう事ではないからな」

「では一体…?」



訝し気に尋ねると、レドルド団長も目を彷徨わせ困った表情をみせる。



「その子供は、…なんだ…、他の子と違うところはあったりするだろうか?」

「違うところ、とはいったいどのような?」

「例えば……服装や、髪、そして聞いたことがない言葉を発したり…などだ」



挙げられた例にアレンを思い出しても一つも心当たりはなかった俺は首を振った。



「服装は私の知る限り他の平民の子供となんら変わりありません。髪、瞳の色は茶色で、言葉に関しても特に不思議に思うところはありません」

「そう、か…」

「しかし、何故そのような事を尋ねられるのですか?」

「いや…」



渋るレドルド団長に、同じ第一騎士団のシャルド・シリアン副団長が後ろから現れた。



「どうせ機密事項ではないのですから言ってしまってもいいのでは?」

「シャルド…、そうだな。それにフォンテーヌ殿ならば…」



レドルド団長は俺に向き直り、真剣なまなざしで話をつづけた。



「これは、フォンテーヌ殿が気にしているその子が、そうであるという話ではないことを前提で聞いてほしい」



レドルド団長の言葉に頷くと、斜め後ろに控えているリーツも俺に引き続き頷く気配を感じる。

レドルド団長は話しだした。



「このアルバラド国には、ある日いきなり人間が現れるのだ」

「いきなり?」



リーツが訝し気に問うと、レドルド団長が頷く。



「ああ。他の国で起きたことがあるかまではわからないが、このアルバラド国では三度突然人間が現れたと目撃情報があった。

一度目は王城に急に現れたが、かなりの衰弱具合ですぐに亡くなってしまった。

二度目はオエスト地域に現れ、私に報告が入った。実際にあったが話が通じず、何を言っているのかわからなかったが、一先ず保護として教会に預けた。

が、捕らえられたと思われたのか、教会の者が翌日その者を伺うと舌を噛み切って亡くなっていたようだ。

三度目はドゥード地域の町に突然現れ、二度目に現れたものと同じく言葉は通じなかったが、かなりの体調不良で教会に保護されている。

今では容態も落ち着き、言葉も少しずつ覚えてもらって入るが……何しろ高齢で進捗がよくない。

だが、何をみても珍しそうに物を触れる態度から、何も覚えているようには感じられなかったと報告を受けている」

「それで私の先ほどの会議での発言に思うものがあったのですね…」



頷くレドルド団長に、俺の隣に並んだリーツが問う。

俺はゴクリと唾を飲み込んだ。



アレンが、容易に入り込めないような深い森の中で目を覚ましたのは、他の三人のように急にこの世界に現れたのではないかと、そう思ったからだ。

それならば説明がつく。

アレンを捨てた人間がいたのではなく、落ちたのが森の中だったから。

アレンがあっていたおじさんという男も、この世界の人間ではないから、我々騎士団が見回っていても発見できていないことも。



「でもなぜです?我々は週に一度こうして情報共有として打ち合わせを行っていますよね?

何故その時他の団長、副団長に伝えられなかったのですか?」



リーツの問いにはレドルド団長ではなく、シリアン副団長が答えた。



「では逆に問いましょう。記憶喪失のその子が唯一覚えている人物の話がなかった場合、あなた方は伝えられましたか?」



言葉を詰まらせる俺とリーツにシリアン副団長が続ける。



「ただの記憶喪失の人物で、しかもなんの脅威にもならないような人間をわざわざ報告するまでもない。

そう思われたのでしょう?記憶喪失であっても生きていく分には可能ですし、身寄りを失った子供達は教会に預けられますからね。

その記憶喪失の子も、同じように教会に預ければ済みます」



ふうとシリアン副団長が息をつく。



「別に責めているわけではありませんよ。レドルドに報告があったのは、団長に就任して間もない平民出身だった為ですから」

「相変わらず毒舌だな。まぁ、フォンテーヌ殿が発見したその子は言葉が通じるのだろう?

ならば“尋ね人”…、私は勝手にそう呼んでいるが、その尋ね人の特徴に合致しないことがわかった。…すまなかったな。気にしないでくれ」



まるで落ち込む部下を励ますかのように軽く肩を叩いた後、会議室に背を向けて去ろうとするレドルド団長を今度は俺は引き止めた。



「待ってください。三人目の人物は今も生きているのですか?」

「生きているが…何故だ?」

「尋ねてもらいたいことがあります」



不思議そうな面持ちでレドルド団長が向き直る。



「記憶喪失のその子に、覚えていることを訪ねた際、セオンと思われる魔物の特徴を口にしていました」

「…ああ、それでセオンに記憶をとられたと考えたのだな」

「ええ。ですがその子がセオンの特徴を告げる際、私は聞いたことのない言葉を聞きました。

その子はセオンの事を“うさぎ”と表現し、その子を預かっている2人は私同様“うさぎ”という言葉は聞いたことがない様子でした。

もし可能であれば、三人目の人物に聞いていただきたいのです。“うさぎ”という言葉を聞いたことがあるかを…」

「…本人は何一つ覚えていることはないだろうと既に報告にあるが」

「それは“この世界のもの”に対してではないでしょうか?

もしレドルド団長の言ったように、この急に現れた尋ね人ならば、この世界にない物を知っている可能性が高いと私は考えます」



俺の要望に、レドルド団長は頷いてくれた。

承諾してくれたということは、レドルド団長もアレンの発した“うさぎ”という言葉を聞いたことがないということ。

そして覚えていないといった者の発言が、この世界の事に限定しているのではないかという疑惑。



実際アレンは食事の前に不思議な挨拶をして食べていたことも、俺は目にしている。

なにも覚えていないというのはこの世界の事であって、アレン自身に染みついている習慣は体が覚えているのだ。

アレンが話したようにふとした瞬間に思い出すのも、この世界に関してのことではないかもしれない。



「わかった。しかしその人物は今高齢になっている為王都に招くことが出来ない。私自身が訪ねることになる。

時間を頂くが…いいだろうか?」



後ろでシリアン副団長が溜息をついているが、…気にする素振りをみせることなく俺はレドルド団長に頷いた。

変に気を使うとそれこそ毒舌を浴びせられるだろうと知っているからだ。



「レドルド団長の都合で構いません。よろしくお願いします」

「後、訊ねたい事はないか?」



その言葉に、俺は考え、そして問うた。



「では一つだけ。その子が”尋ね人”だった場合、教会に身を寄せなければいけないのでしょうか?」

「いいや。その点については心配はいらない。教会に保護をお願いした理由は、弱っていたことが最初だが、今は身寄りがない為だ。

フォンテーヌ殿が聞くという事は、その子にはもう身を寄せるところがあるのだろう?もし尋ね人であったとしても教会に預けることはしなくていい」



よかったと安堵する。

アレンにどのような過去があったのかはわからないが、セオンから記憶をとられるほどの過去だ。

しかも思い出せる内容が家族のことではない人との交流。

考えなくても、アレンがどのような苦境を強いられてきたのか、その苦境を強いたのが実の親である可能性が高いことはわかった。

今アレンを笑顔にし、腹を痛めて産んだ実の子供のようにアレンを大切にしているあの夫婦から引き裂く必要がないことに、ひどく安堵した。



レドルド団長に礼を告げると、レドルド団長、シリアン副団長は俺たちに背を向け去って行く。



「…なんだか、複雑だね」



姿が見えなくなったことを確認したリーツがボソリと呟いた。



「なにがだ?」

「この世界じゃないところから来た人間って第一団長の話もびっくりだけどさ…、団長の愛しいアレンちゃんが俺たちと違う世界から来た“尋ね人”だった場合、捨てた両親に制裁も出来ないって事じゃん。

逆にこの世界の人間だった場合、ただでさえ森で捨てられたとか…信じられない事でいっぱいだし、他の団長達が言ってたようにわからないことだらけで親を見つけれる可能性が低すぎる。

それにさ、もし見つけたとしても、今更その子を返せとか言われたらどうすんの?」



リーツには副団長という立場もあるが、俺の恋愛相談をしている為、アレンについても色々と話しをしていた。

だからこそ不安に思ってしまうのだろう。



「確かに罰を与えることはできないが、その分アレンもその者たちに会うことがない事が俺としては喜ばしいな。

尋ね人ではなかった場合は、必ずその者たちを探し出し、罰を与えた上で牢に突っ込むことができる。

それに今のアレンの両親から話を聞くと、アレンは住民登録をされていなかったといっていた。

今更返せといったとしても、親子関係だった証拠もない人間に返す筋合いもないだろう」

「え?住民登録されてなかったの?それ俺初耳なんだけど…。

ってことは今仮登録中?ちょっとー、王都に比べてイヴェール街は貴族区とわかれているから比較的貴族たちと接触はないけど、それでもお忍びで遊びに出たりするんだからさー」

「わかっている、今のところアレンが町に出る時は誰かと一緒らしいし、一人の場合でも開店直後の店に買い出しに行くくらいで、貴族たちがお忍びする時間帯には被ってない」

「…え、なんでそんな把握してんの?…団長、…もしかしてストーカー行為している?」

「するわけがないだろう。アレンに聞いたんだ。それに今は空いている時間帯に父親に料理を習っているとも」

「へー、真面目だね~。てか料理習ってるって…花嫁修業?団長そんなことさせてんの?」

「させてない!」



アレンとの相談に前向きに乗ってくれるが、如何せん揶揄う様な態度に自身の気力が奪われている気がする。



「まぁ冗談は置いといてさ、第一団長の言っていた通り尋ね人との特徴にアレンちゃんは当てはまってないじゃん?

いくら団長がきいたことない言葉をアレンちゃんが言ったとしても、この世界の人の可能性があるんだから、戻ったらどれぐらい町の中の巡回に人を割くか考えよう」

「…そうだな」















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