初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん

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5、それぞれの視点

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■sideミーラ


うちのお嬢様は不憫で、可哀想な人なのです。

父親には冷たくされ、母親には使用人のように扱われ、姉には事あるごとに意地悪をされたり、時には存在ごと無視されています。

朝とも言えないまだ薄暗い時間から働かされ、本来ならば夫人が行うべき邸の管理も、当主が行うべき領地の管理もお嬢様が行っているらしいです。

らしいというのは限られた人しか記入できない書面があるからです。

でも絶対お嬢様が行っていますよ!

だって税?とか私よくわからないですが、とにかく王都から申告確認が来た時、本来なら当主が対応するべき事をお嬢様が対応していらしたからね!

それにしてもあの時のお嬢様はとてもかっこよかったわ。

かわいらしい見た目なのに、仕事の時はふわふわした銀髪の柔らかそうな髪の毛を結びあげて、堂々とする態度で指示を出していくのです。
王都の人の対応にも、困っていた執事にお嬢様がどこからともなく表れて、すぐに当主の書斎に案内して…、そこからは私はみていませんが、とにかく!
とてもかっこよかったのです!

他の使用人たちも私みたいに、お嬢様の薄ピンクの瞳で指示を受けたときには悶えたくなっているでしょう。可愛すぎて。
しかもあのかわいらしいお顔でにこやかに微笑みを向けられながら一緒に仕事してくれるのも、もう天使としか言い表せません。
というかお嬢様がすることではないのに、「遅くなったわ」とかいってしょんぼりするところなんてもう床の上ゴロゴロしたくなるほどかわいいのです。

まぁそんな感じで。
仕事も出来るお嬢様はそれだけではなく性格もすごくいいの。

冷たい水に手を付けて洗濯をする私達使用人たちの事を気遣って、早朝から井戸から水を汲んで置き水温を上げておいてくれてるらしく。
またハンドクリームを配布してくれたり、普段は貴族くらいしか使えないトリートメントを自作したのか私達使用人にも卸してくれたり。

とにかくお嬢様の支持率は侯爵家に仕える私たちの中では断トツにトップクラス。
寧ろお嬢様以外を支持している人なんているのかと思ってしまう程。

だって私お嬢様付きに選ばれた時、皆から言われたもの。
「お嬢様が正式に籍をいれることになったら連絡くれ!」と。
それも鬼気迫った顔で。

あれは絶対お嬢様が戻ってこないことを確信した後、侯爵家をやめるつもりよね。
まぁお嬢様以外クズしかいないから、お嬢様がいないあの家で仕えたくもないでしょう。
うんうん。わかるわかる。

顔も性格も、なにもかも完璧なお嬢様を受け入れない事なんて絶対ないんだからそこは大丈夫。
と思っていたんだけど…、でもあの異世界の女性については誤算だったわ。
いや、私が計画した婚約話ではないんだけどね。


まぁでもそれほどに素晴らしい私達のお嬢様があの家から、いいえ。
あの家族から逃れられることができたことだけは、私達使用人としては本当に胸をなで下ろす案件でした。

まぁお嬢様がいなくなったあの家が機能しているのかはわからないけどね……。
お嬢様についていくことが許された私には、侯爵家のことなど情報も入ってこないのでわかりません。

それにしてもあの令息はいったいどういうつもりなのでしょうか?

お嬢様と婚約したかと思ったら、別の女性を連れてきてお嬢様に紹介したり…。

今流行りの小説のような展開がお嬢様を待っていたら、今すぐ私がお嬢様を連れ出して駆け落ちのごとく逃げ出すことも考えているのですが、どうやらあの男はそうではないようにみえるのよね。

お嬢様を見て顔を赤らませてポーとしたり、お嬢様の名前を軽々しく呼ぼうとして失敗したり、お嬢様が笑みを向けただけで照れてたように口元を隠す姿はまさしく恋する男子のような……

あれ、でもちょっとまって。

お嬢様に対する嫌がらせであの侯爵がもってきた縁談だと思っていたけれど、そうなるとお嬢様がいった「公爵家に断ることも難しい」っていう意味が違うんじゃない?

だって令息があの異世界の女性に一目惚れしてお飾りの妻を探していたのなら、そこに食いついた侯爵がお嬢様を売り込む形となるわけだから、公爵家に断るもなにもないもの。
それに執事長から聞いたんだけど、侯爵家の跡継ぎはあの姉ではなく、お嬢様と聞いてるわ。
公爵家とあろう身分の持ち主が、お飾りの為に他家の跡継ぎに縁談を持ち掛けるかしら…?

令息のあのお嬢様に対する態度を考えたらひとつしかないじゃない。

お飾りではなく、本気でお嬢様を妻に迎えようとしている。

それしか考えられないわ。

あの異世界の女性の事が気がかりだけれど、そこは私がお嬢様の専属メイドとして見定めましょう!


「とにかく!ちゃんとはっきりわかるまで私お嬢様の行く場所どこでもついていきますから!
お嬢様も安心していつも通りいてください!」


お嬢様にそう告げると困った顔してうなずいてくれた。

お嬢様は普通にしても素晴らしい人なのだから、変に意識するよりいつも通りいてくれた方が一番。

さて!私は公爵家での仕事を執事のセバスチャンさんに聞きに行きましょうかね!
お嬢様付のメイドといっても公爵家での仕事もしないといけないと聞いたし。

仕事仕事~~!




■side公爵夫人



私の息子は、小さい頃からとても優秀でした。

顔は私と夫に似て美しくなるのは当たり前だけれども、中身も愛情をたっぷりと注いだお陰でひねくれることもなくスクスクと育ったわ。

どこから知識をもらってくるのかわからなかったけれども、かわいらしいうさぎのぬいぐるみを渡すと、「これは幼女向けのプレゼントでは?」といいながらも大切にしてくれるのも可愛いくてね。

特に銀色のうさぎは息子のお気に入りになったのか、すやすやと寝ている息子をこっそり覗きに行ったらぎゅうと抱きしめながら眠っていた。

あれは最高級にかわいかったわ。

そんな息子がスクスクと育つと、周りの女の子もほおっておかなくなってきて、次から次へと縁談の手紙が届くようになった。

愛情掛けた息子には出来れば気に入った女性と一緒になって貰いたい考えを私だけじゃなくて夫も同じく持っているので、届いた縁談にお断りしながらも、ある日息子に気になる女性はいないのかと尋ねてみたら…
なんと!?
かっこよく育ったはずの息子が昔の可愛さそのままに頬を赤らませて「い、いますよ…」と照れているのよ!

これは!と夫と共に詰め寄ると、一人の女の子の名前が出てきたわ。

名前はアニー・クラベリックといって、侯爵家次女。

クラベリック侯爵家は元々一人娘で、男の子が生まれる前に夫人が亡くなってしまった。
その後再婚をして、今の夫人の連れ子が今の長女になったはず。
結構頻繁に長女が侯爵夫人と共にお茶会やら夜会やら出掛けているから、婿養子を探しているのでしょう。

そういうことなら、次女のアニーちゃんに縁談を申し込みましょう!

とその前にアニーちゃんの事を調べることはしたけれど、全然問題なく。
成績も優秀で、性格も問題無しという女性であることが分かった為、私達は急いで縁談申し込みの手紙を送ったわ。

公爵家からの縁談を断るような家はそうそうないしね!

でもそれからは返事が全くなく、ついに一年が過ぎた頃やっと了承の返事が来たのよ。

まぁきっと愛娘の為に、色々とうちの息子の事を調べたのだろうと思って返事が遅いことなんてどうってことないわと、息子にokの返事が来たと告げると早々にアニーちゃんの為に部屋作りに励むじゃない!

アニーちゃんの趣味は読書ということもあって、学園にはなさそうな本を調べ上げて、部屋に大きめの本棚を設置し、尚且つ彼女専用の図書室も作り上げた。
他に彼女の好きなものはないのかと聞いても、無反応だったけれど…。

あれ、もしかしてアニーちゃんと息子ってそんな接点ないのでは?と思ったけれど、私達の自慢の息子が相手なら落ちない女の子はいないよねと、家に連れて来たら全力で落としなさいと告げ、そして彼女が来る当日。

わくわくしながら息子と待っていると、急遽息子は王子殿下に呼び出され。
それなら私一人で出迎えるわ!と意気込んでいたら王妃殿下に呼び出される。

なんでこのタイミングなのよ!と思いながら、息子と共に執事のセバスチャンに後を任せて、アニーちゃんを迎えることも出来ずに邸を離れたのだった。

そしてアニーちゃんを待たせていることから、息子を待たずに先に帰り
やっとのことでアニーちゃんに会えたの。

とてつもなくかわいらしい見た目で、そして昔息子はうさぎのぬいぐるみを大事にしていたことを思い出した。

なるほど。ストライクゾーンのど真ん中だったのね。

にや~と口元が緩むのを抑えられずに、彼女との食事を楽しんだわ。

じっと見つめていると、かなり細身で華奢すぎる体型をしていることに気が付いた。

出されたサラダとスープを平らげただけでかなりきつそうに見える。
それでも息子が来るまでと思っているのか、それとも私に気を使ってか、ゆっくりと、非常にゆっくりと食していく。

これはアニーちゃんではなく、侯爵家を調べたほうがよさそうね。と目を光らせたとき、息子がやってきた。

よりにもよって、年頃の女性を連れて。

優秀な息子に問題はないと思っていたけれど、ここまで女性心をわかっていないだなんてと私は内心頭を抱えたわ。

これは後でお説教ね。





■side 眞子



私は石原眞子。

日本の田舎の町に住んでいる特に目立った特技もない普通の女子高校生です。

ある日突然帰り道ぽっかり穴が開いたらしい場所に私は落ちた。

らしいというのは、その日テストの点数が悪くてあーあって思いながら空を眺めてたから地面に開いた穴なんて気付かなかったの。

そして穴に落ちて気付いたらこの世界にいた。

この世界は別に倒さないといけない魔王とかはいないらしいけど、それでも魔物はいるらしい。

でもちょっかいをわざわざかけたり、なわばりに飛び込んでいかなければ害はないらしい。
それは普通の動物と何ら変わらない感じね。

だから私がなんでここに来たのか、誰も召喚していないしで、皆目が点になってた。
というのも召喚自体やれる者がいないらしい。
昔はかなりいた魔法使いも今は全然いないのが原因だとか。

魔法使いは貴族、平民関係なく存在していて、いつしか平民の魔法使いが多くなったらしい。
立場を脅かされると思った貴族が平民の魔法使いを処刑していくようになって、それで魔法使いの存在が今では全くいないほどになったとか。

なので日本みたいに文明が栄えていて、でも二酸化炭素とか地球に悪い物質を出すような資源は使ってなくて、そこは異世界ファンタジーだなって思った。

なら早く日本に返してよって話になるけど、先ほど言ったように今は魔法使いの存在が絶滅危惧種なみに珍しく、もしかしたら帰れないと言われた。

王城で生活していくと、頭がおかしいおっさんたちが、私なにもできないのに聖女様だなんだと言い始めたらしくて、王子様に別の所に行ってもらうと言われた。
私も何の力も持ってなくても争いの種にならないように言うことを聞かなければいけないと思ったから、素直に受け入れた。
追い出されても困るしね。

それで来てくれた人は何度か会っている、とんでもなくカッコいい人だった。
名前は…カタカナで忘れてしまった。なんかヴぁ…なんとかさんとか言ってた気がするけど、正直一度聞いただけで覚えられないんだよね。
そこまで頭良くないんだ、私。

まあとりあえず凄いイケメンは現実離れしてて、なにこれ漫画?って言う感じだったからなにも胸がときめかなかった。
イケメンも度を超すとただの肖像画みたいになるのね。
それか私が違う世界の人だからいくらイケメンでも好意を抱かないようになってるとか。勝手な予想だけど。

イケメンな皇子の友人は困った顔しつつ、それでも私を引き受けてくれた。

王家でも魔法使いの存在を探して見るけど、それまでの間は公爵家で過ごしてくれとのことらしい。

身分とかよくわからないけど、とりあえず帰るまでお世話になろう。


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